四方が白い壁に囲まれた空間に、チ〜〜ッスナルト屋で〜す、と頭の悪そうな声が響く。
瓦礫と化した鉄格子の前に置かれた、毛布を敷き詰めた段ボール(am○zonと描いてある)に寝そべっていた尾が九本有る子狐は弾かれた様に飛び起き、侵入者に威嚇の声をあげる。
「なにをしにきたぁっ、ここにはもうなにもないぞっ、わ、わしをこんなありさまにしおって……か、かえせ、わしのちゃくらかえせ〜」
「まあまあ落ち着いて、ほら、おいなりさんをあげよう、機嫌を直してくれよ、それと悪いんだが、今日用が有るのは親父になんだ、何処いるか分かる?」
こんなものにはだまされんぞ、それはそれとしておいなりさんにつみはない
これはわしがしょぶんしておこう、と嘯きながら尻尾でミナトのいる方を教えてくれる。
「すまんな、チャクラはそのうち返すよ(いつ返すとは言っていない)
九尾に示された方向に進んでいると、程なくナルトと同じ金髪の青年の姿を発見した、歩み寄りながら声を掛ける。
「親父〜〜如何?考えまとまった?」
「あぁナルトか……うん、そうだね、生き恥を晒そうと思う、悩んだけどオビトを止めるのは、僕かカカシであるべきだ……それで本当にそんなことが可能なのかい?」
「ん?あぁ、中忍試験の時にオカマ丸さえ確保出来ればヤレるんじゃないかな?多分、素体も白ゼツっていう便利なのが居るから、母ちゃんにも説明しといてよ」
八門仙人モードを会得し九尾との話し合い(物理)の際、両親の助けを借りなかった結果、直ぐには消滅しそうに無かったミナトとクシナに余りあるチャクラを分け与えたら、なんか元気になっちゃって今でもナルトの精神世界で暮らしているのだが、九尾襲来の下手人が自身の部下だったうちはオビトと知り、そしてオビトの苦悩、マダラとの関係、さらにマダラすら見えない糸で操るカグヤの存在など、流石の四代目火影でも情報の処理が追いつかず日を置いて話し合う事になったのだ。
「暁二人行方不明にしてるからね、白ゼツもそろそろ里の付近に生えているでしょ、あいつ暁の偵察係だし、探知に引っかかったら収穫して来るよ、この間の任務で雪一族の男の娘と友達になったから冷凍してオカマ丸待ちましょ」
タズナから請け負った依頼で、カカシ班は霧の抜け忍と戦闘になったが、手加減の仕方を考えて無かったナルトは、非殺傷攻撃として仙人モードによる千年殺しを敢行したわけだが、白以外の霧の抜け忍達は心に深い傷を抱える事となった。
「再不斬さんには本当悪い事したなぁ、攻撃範囲の増大が千年殺しにも適用されるなんて、アッ〜〜って初めて聞いたよ」
今度ガマの油を差し入れしよう、そう独り言ちながら過去を振り返る息子を見やり、ミナトはナルトと再会した時の光景を脳裏に描く……封印が急速に解れて行くのがトリガーになり意識が浮上したミナトが見たものは、自分と特徴が似ている少年が九尾の檻を殴りつけている所だった。
「えいしゃっオラッ、硬って〜なオイ仙人モードじゃ無理か……ふんっよっしゃ逝くぞっ"八門仙法 ダイナミックエントリーの術"」
自分の目がオカシクなければ、息子と思われる少年があろう事か九尾の檻を素手で壊そうとしている、檻の頑強さに手を焼いたのか一旦距離を取り何事か呟いた後、視認出来る程の膨大なチャクラを全身から噴き出した彼は、そのまま拳を振りかぶると再び檻へと突撃した、空間そのものを震わせる様な轟音が響き、九尾を閉じ込めていた封印が用を成さなくなり妖狐がまろび出て来る。
「愚かな餓鬼が、二親が命を賭して封印したワシをわざわざ解き放つとは、まずは貴様を八つ裂きしてやろう」
不味いっ封印が解けた事に呆然としていたミナトだが、ナルトの窮地を救おうと駆け出した所で待ったがかかる、他ならぬ息子の声に大きくなったと胸にこみ上げる感情に蓋をして訳を問う視線を送る。
「手は出さないでくれ、これは俺とこいつの問題だ」
幼くも凛々しい声音に判断に窮し、手を出しあぐねていると背後から懐かしく愛しい声が聞こえてくる。
「あの子を信じてあげましょう、なんてったってアタシとアナタの子供だってばね」
己の中にもあの子見ているとボンヤリ感じ入る部分があるが、彼女にはより確信を持って察する所が有るらしい。
「敵わないな……お母さんには」
二人はナルトを見守る事にし、息子と九尾に視線を移す、するといきなりナルトは九尾の尾による攻撃を受けてしまう、喉まで悲鳴が出掛かるが良く見るとナルトは仁王立ちのままその場から動いていない、続く連撃も甘んじて受け続けている。
「まさか、ナルトは九尾の憎しみを全て受け止めるつもりなのか?」
何でこんな事になったかと言うと話は数日前に遡る。
「いきなりシバク前に話し合いした方が良くないか?」
此処は何時もの森の中、影分身との自分会議での事であった。
「説得ったって具体的にどうすんのよ?」
この自分会議、意味無いじゃんと思う無かれ、半日ほっといた影分身たちは少し個性が出て来て、以外なブレイクスルーを齎らしたりするのだ、先だっての尻チャクラのように、今日も半日の間に変な個性が付いたナルトから妙案が捻り出された。
「拙者に考えが有る」
「ややっ君は図書館に遊びに行ったナルトじゃないか!して、その考えとは?……後その一人称どうしたの?」
「有無、図書館にて面白き時代小説があった故、おっと!考えで御座ったな……この喋り疲れるな、詰まりこうだ風の谷の姫姉様的な……」
全員に理解がひろがる、詰まりあれか?この子は怯えているだけ、とか、この子の心の痛みに比べれば云々と、いけそうだな、男は度胸何でも試してみるもんさ、アチコチで声が上がる、そしてこの場面へと繋がる訳だが。
九尾の攻撃は既に三桁に迫る勢いで繰り出されており、しかしナルトをその場から一歩も動かせてい無い、見守る両親もハラハラとする中、遂に状況が
動く、先に折れたのは勿論………ナルトだった、優しい姫姉様はしめやかに閉店休業し、荒々しい本宮○ろ志モードが新装開店する。
「うっっしゃっぁぁ〜〜っ!!」
気合一閃、振り上げられた右脚は妖狐の股座を強かに撃ち、冗談の様にその巨体を壁際まで吹き飛ばした、九尾は痛みもさるものながら目の前で起こった事が信じられずキョトンとしている、そこへナルトがゆっくりと足音を立てながら近づく、ツラ構えが先程とは違う、心なしか眉と揉み上げが太くなって思える。
「屋上に行こうぜ、久しぶりに……キレちまったよ」
屋上なんて無いからその場で開幕した残虐fightをミナトは思い出せない、思い出そうとすると白い靄がかかってしまうのだ、クシナはまだ心の整理が出来ず息子に顔をあわせる事が出来ずにいる、だが悪い事ばかりでは無い、九尾があんな姿に成ってしまう程絞り採ったチャクラで今もこうして居られるのだから、ナルトは今後について相談するためほぼ毎日やって来るし、クシナも立ち直ってくれるはずだ僕達は家族なんだから。
「自分会議なんてするもんじゃねーな、おっ!?白ゼツ生えてる!
収穫、収穫〜〜♫」