「ダンゾウが拘束された牢で自害したみたいですよ?」
両親の復活の祝いと野菜の解凍の礼を兼ねて、皆んなで連れ立って茶屋で餡蜜などをつついていると、イタチさんと鬼鮫さんが来店したので一声かけてみた、なんでも大蛇丸が全部ゲロったらしい、弟の身の安全という枷が外れたからか、それとも兄を不憫に思ったのか、三代目がサスケに事情を説明したみたいで……。
最近では専ら膝を抱えては、兄さん、兄さ〜〜んと泣き暮らしているようです、とそこまで伝えると。
「鬼鮫………」
訝る様子ながら、事情が解らない鬼鮫はイタチの対応に任せるつもりだったようで、自然と名前を呼ばれ、なんですか?イタチさん、と顔をあわせると其処には常なる車輪とは異なる万華鏡が踊っていた!
"万華鏡車輪眼 月読"
稀代のブラコンの炎の掌返しに、憐れ鬼鮫は武装解除!
「済まんな……サスケ、今直ぐにだっ!」
ヒュバオッ、風を切り走り去るイタチニキ、鬼鮫さんには謝罪の言葉無かったね、餡蜜を食べ終えた再不斬さんが迂闊に鮫肌に触って怪我をしている、慌てて治療に入る白に、序でに鬼鮫のチルドパックを頼み会計を済ませ騒動を詫びると、鮫肌を掴んで表へ出る。
布地に包まれてはいるが、まるで嫌々をする様にグネグネ動く鮫肌が気持ち悪くて二、三発入れると曲がったまま大人しくなった、これは良い物を手に入れたとほくそ笑みアパートを目指し歩き出す一同、氷漬けの鬼鮫は自来也に引き取られた。
木ノ葉崩しから幾ばくか経ち、木ノ葉と砂の同盟締結に伴い再びこの地を訪れた我愛羅、テマリ、カンクロウの姿は古びたアパートの前に有った。
深呼吸した後、敷地内へと入った彼等を、鎖でグルグル巻きにされたサボテンに口が付いた様な奇妙な生物が出迎える、ギギギギギャギギ、まるで金切声に聴こえる鳴き声に戦慄する三名………すると階上から、うるせ〜〜っ!の声と共にフライパンが飛び生物を黙らせる。
「いや〜っすいませんね、躾けが成って無くて、最近飼い始めたんだけど………全っ然懐きませんなっ」
はっはっはっ一頻り笑うと、来客へ顔を向け目を丸くするナルト、誰が来たのか今気付いたらしい、すると我愛羅が頭を下げ、先だっての謝罪とどうか自分を弟子にして欲しいと言い出した、如何やら尾獣を完全に制御している(様に見える)彼にその術を授けて欲しいとのことだった。
「そんな事言ったって俺、下忍だよ?互いに人柱力だし……政治的にまずいでしょ、多分……えっ?許可取ってあるの?」
人質交換らしい……互いに負い目のある今回の同盟を強化する為、砂には綱手が向かったみたいだ、でもなぁタイムスケジュールを消化したとは言え、暁の行動が本当に数年停滞するのか分かんないからなぁ、明日早朝にイキナリ。
"地 爆 天 征"
「うっぎゃっあぁあぁぁぁっ!」
ってなっても不思議では無い、断ろうと口を開くと、テマリが手に持った包みを差し出してきた。
"火の国牛 A5ランク高級すき焼きセットNET2kg"
生唾を飲み込む音がやけに響く………何て事だ………未だ嘗てこんな恐ろしい(嬉しい)攻撃に晒された事は有っただろうか?いや無い!(倒置法)。
だかしかしっ!俺はこんな攻撃には屈しはしないぞ!一昨年来やがれ!
お肉様には勝てなかったよ。
騒ぎを聞きつけ出て来た面々も、包みの表記を見るや否や俺を説得し始め……今俺は湯気を上げる鍋の前でニッコニコで座っている、砂の三名も誘い皆で食卓を囲むことになったのだ、テマリ達もこんな物食べ慣れている訳では無いらしく硝子蓋越しにクツクツ揺れる具材に釘付けのようだ……弟子入りを了承して後、包みを受け取り背を向けた時、頭にキノコが生える位ガッカリしていたので、振り返り様に食べて行かないの?と言った時の表情は一見の価値が有った。
小鉢に卵を溶いて今か今かと待機して数分……クシナが硝子蓋の封印を解き、お預けを食らっていた面々の箸が殺到する、!?何て事だ!殆ど噛む必要すら無くお肉様が解ける、薄桜色になった肉に卵液が絡まり照りがプラスされ口の中に絵も言われぬ滋味が広がっていく、チラリと視線を動かすと2kgの表記、何という安心感、何という多幸感!
そんな物は幻想だった、あれよあれよとお肉様が消費されて行き、今鍋の中には最期の一切れ、彼の部屋は、高度な心理戦が展開される異空間と化していた!
ざわ…ざわざわ…ざわざわ…ざわ…ざわざわ…ざわ…ざわ…ざわざわ…
また視覚に異常を感じる………互いに牽制し合う中、初手を切ったのは砂のテマリだった。
「クシナさん、どうぞ召し上がってください」
その時クシナとミナトに電流走る、目下の者にこう言われてしまったら年長者として固辞せざるを得ない!砂の忍恐るべし、口惜しさに手を握って。
「あら、私達はもうお腹一杯よ?残りは貴方達が頂きなさい、有難う、とても美味しかったってばね」
二名脱落、続いて満腹宣言した白と我愛羅、残すところのライバルは砂の二名と霧の鬼人そして俺の構図だ、火花散らす攻防の中、決着は意外な所から訪れた。
「ギッギュー♪ギッギュー♪ギギギ 」
鍋にサボテンが咲いていた………真っ白になって崩れ落ちる四名。
明けて翌日、アパートの前に馬鹿と我愛羅の姿があった、これから修行へと発つらしい。
「これから修行するに当たって幾つか決めておかねばなら無い事が有る………先ずは修行期間中お前の名前は一発とする!入力し辛いんだよね……そして返事は押忍だ!次っ修行の地だが………一発、お前は山と海どちらにいきたい?」
馬鹿の質問に、一発(我愛羅)は自身の忍術の特性を考慮して返事を返す。
「押忍、海が良いと思われます」
山に行きました。
山道を登りながら、一発ぅ、おいっ!一発!、呼び名にまだ慣れない一発(我愛羅)は返事が遅れてしまうがそんな彼に、何故山になったのか解るか?と問い掛ける、解りませんと素直に答える一発に。
「アホんだら、A-HONDA-RA!俺は里の外に出られねぇんだよ!」
だったら最初から海を選択肢に入れんなよ………そして到着したのは山頂付近の開けた場所、荷物を降ろしたナルトが修行期間中のチャクラの使用禁止を言い渡すと。
「見晒せっ!一発ぅ」
言うが早いか手近な大木に手刀を喰らわすと、三角飛びの要領で木々の間を駆け登り手刀を当てた木の上部に再度一撃し降りてくると、ワザマエッ!一本の丸太と化し倒れる大木を肩で受け止め一発に向き直った、驚くべきことに一連の動きにチャクラを使用してい無いらしい。
「……最終的にはこう成って貰う……」
唖然とする一発に喝を入れると、厳しい修行は開始された、食事は炒ったオカラと納豆、それにブロッコリー、後は山で採れる動植物、指導はとても厳しかった、チャクラを使え無いだけで猪一頭仕留めるのに半日かかる事もあった。
「時には有りの侭の姿で!」
全裸で山野を駆け巡る師弟、飛んで、跳ねて、掴んで、捻る、食った物に当たり死を覚悟した夜も有った、隣で寝ている先生も同じ状況なのだから絶望感も一塩だ、泣いた日も有った、怒った日も有った、何時しか一発は自身が自然と笑えている事に気付く………そして一月経つ頃……。
「ふっ!はぁっ!」
卒業試験に一発は7本の丸太を担ぎ師の前に立つ、全く大した漢だ、師匠の顔も青い、一発の姿は修行前と後では似ても似つかぬ様相と化していた、身長は明らかに伸びて、筋肉も盛り上がり登山前に着ていた上着が弾け飛ぶ程だ、歩くごとに、ズチャッズチャッと重厚感溢れる音が聞こえてくる。
やっちまったなあ、冷や汗を流して彼を見守っていると我愛羅は彼に話し掛けて来た。
「先生、俺の名前は母上から貰った我愛羅だけど………これからは一発(我愛羅)として生きて行きますっ!有難う御座いましたっ!」
あまりの覇気に山の木々が揺れる、直角に頭を下げる一発にかける言葉も無い。
「おっおぅ」
木ノ葉に帰還した彼等を待ち構えていた砂の忍二名は泡を吹いて気絶した。
守鶴「何だ?そのざまは九喇嘛よぅ〜シャハハハハハハハハ」
九喇嘛「おまえこれみておなじこといえんの?」
一発「コォーーーーーーーーーッ!(息吹)」
守鶴 九喇嘛「………………………………(アカン)」
守鶴調伏の一コマ