英雄殺しのカンピオーネ   作:鋼な魔王

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初の本格的な戦闘があります。
上手く描けているか分かりませんが楽しんで頂けたら幸いです。


神話の戦い

オルランドとは、イタリアの叙事詩『恋するオルランド』『狂えるオルランド』に登場する主人公である。

オルランドは決して傷つく事のない肉体と巨大な怪物を力技で捻じ伏せる程の怪力を誇っており、戦場では無敵の英雄として描かれている。

 

 

しかし、オルランドは元々フランスの叙事詩である『ローランの歌』に登場するローランと同一人物であり、イタリアの叙事詩はこの『ローランの歌』を元にして描かれてる。

更に起源を遡ればローランはシャルルマーニュ伝説に登場するシャルルマーニュの甥であり、数々の伝説を打ち立てた人物であるとされ、その伝説が吟遊詩人達により語り継がれヨーロッパ各地に広まり、信仰される事となり、後に『ローランの歌』や『狂えるオルランド』

などの叙事詩となる。

 

 

今回顕現した英雄神を誠はオルランドと呼んだが、これはオルランドが出会い頭にアンジェリカと言う名前を口に出し、特に理由なく狂った様に破壊活動をしていたからだ。

アンジェリカとはオルランドが恋をして失恋してしまう女性の名前であり、この失恋に寄りオルランドは精神を病んでしまい、全裸で放浪しながら猛獣などを素手で殺して回り、農民達に恐れられたと言う記述がある。

 

 

 

これらの伝承を元に誠はこの英雄神をオルランドとしての側面を強く持ちながら、フランスで顕現した事からローランとしての側面も持つ、世にも珍しい同じ神格同士の複合神であると判断した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(とりあえず奴の来歴は分かった。…1番警戒するべきはデュランダルか。あの剣はどんな剣にも勝る切れ味があるとされている。

下手な武器や盾で受け止めれば、それごと両断されかれねぇ。

それにオルランドなら怪力の権能も持ってる筈だ。接近戦は避けるべきだな。

幸い、あの女が居るお陰で『王』が使えるし、このまま奴の間合いに入らねぇ様にやらせてもらうか)

 

 

 

 

 

誠の権能である『原初の英雄』は、ジョン・プルートー・スミスの『超変身』や後の草薙護堂の権能である『東方の軍神』と同じく、1つの権能で複数の発動形態を持つ権能であり、その発動には当然の如く制限がある。

 

 

今回、誠が発動した『王』は近くに自分以外の人間が居ないと発動する事が出来ない。つまり、まつろわぬ神と戦うのに足手まといを連れて居なければならない。

草薙護堂の様に配下の者を引き連れ、協力しながら戦うならともかく、基本的に1人で行動し、他人と協力する意思の無い誠には中々厳しい制限であるーー。

 

 

 

方針を固めた誠が指揮官の様に右手を上げると、今度は30を超える武具が展開された。

 

 

その様子を見ていたオルランドは目を細め、若干顔をしかめながら誠に問いかけた。

 

 

「神殺し、貴様が先程から使っている武具はどれも無名の物では無いな?1つ1つが神具であろう。

一体、どれ程の数を所持しているのだ。」

 

 

「さぁな。自分でも総量を把握出来ない位には持ってるよ。

だから弾切れなんか期待すんなよ?」

 

「笑止!尽きるこのが無いのなら全て打ち払って貴様の首を直接落としてくれるわ!」

 

 

そう言うとオルランドはデュランダルを抜き放ち、誠は上げた右手を振り下ろし魔弾を解き放った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(何だこれは…。これがまつろわぬ神とカンピオーネの戦いなのか?

こんなにも出鱈目な物なのか⁉︎文字通り次元が違う!

…私は驕っていたのか。あんな者に命を賭けた程度で勝てる訳がない…。

父上の言っていた言葉の意味がようやく理解出来た。

これは人間にどうこうできる存在ではない。)

 

 

 

魔弾が煌めくたびに地面は弾け飛び、轟音が響き渡る。エリーゼを100回殺して余りあるだろうそれをオルランドはデュランダルでなぎ払い、時にはその肉体を持って受け止めながら距離を詰める。

先程から繰り返されているこの光景にエリーゼは己が矮小さを思い知っていた。

 

 

 

(だが、何故だろう。何故こんなにも私は惹かれるのだろう。こんな絶望しか見えない戦場に…。

ーーああ、そうか。私は魅せられているんだ。己が神話の戦いに居合わせている事に、無敵の英雄が魅せる武勇に、紫藤王が放つ黄金の様に眩い輝きに!)

 

 

 

 

エリーゼが思考を巡らせている間にも戦局は刻一刻と変化していた。

オルランドは既に最初にあった距離を10メートルまで縮めており、誠はオルランドを押し返さんと、魔弾の密度を上げ対抗していた。

 

 

(本当に硬ぇ野郎だ。さっきからドニの野郎にも傷を負わせる位の威力の武器を混ぜてるのに効いちゃいやがらねぇ。

そろそろ次の手を打たねぇと不味いな)

 

 

「どうした!神殺し!そんな攻撃では我に傷を負わす事はできぬぞ!それ!もう間合いに入ったぞ!潔く首を差し出すがいい!」

 

オルランドは誠の首を叩き斬らんと更に一歩踏み出し、デュランダルを振りかざした。

 

 

「そう簡単に殺られてたまるか!

我は疾き者!何よりもただ疾く戦場を駆け巡らん!」

 

 

誠は聖句を唱え、第2の権能『俊足なる者』による神速で、オルランドの間合いから離脱しながら背後に回り、その無防備な背中に魔弾を放った。

 

 

権能の同時行使、神速で動いている為、展開出来る武具が1つずつになってしまっているものの熟練のカンピオーネである誠は容易く行う事が出来た。

 

誠はそのまま神速でオルランドの回りを翔けながら、360度様々な方向、角度から魔弾を撃ち込み始めた。

 

 

 

「えーい!猪口才な神速の権能か!」

 

 

オルランドは四方八方から迫る魔弾に対応が間に合わず幾度も直撃しているが、特にダメージを負った様子も無く苛立たし気に吠えた。

しかし、その眼は立ち止まった時が最後だと言わんばかりに辺りを見回していた。

 

 

 

その様子を観察していた誠は、これ以上やっても意味がないと判断し、新たな手札を切る為に神速の権能の発動を止めてオルランドの足止めに更に100丁を超える魔弾を放ち、聖句を唱え始めた。

 

 

 

「炎よ、汝は天上に座す太陽の化身。汝は神々と人を繋ぐ者。汝は我が身を守り、森羅万象を焼き尽くす者!」

 

「そこか!猪口才な神殺しめ!今切り捨てくれる!」

 

 

オルランドが誠に向かい弾丸の様に飛び出した。誠は聖句を唱え終わると、魔弾を一切無視して此方に迫るオルランドに向け神速で一気に眼前まで接近した。

 

オルランドの眼前まで迫った誠は、何時の間にか炎の衣を纏っており、さらに炎を宿した右手を握り締めていた。

オルランドは突如目の前に現れた誠に驚愕しながら吠えた。

 

「神殺し!貴様ッ!」

 

「これで終ぇだ!くたばれ!脳筋野郎!」

 

そう言うと誠は炎を宿した拳を振り抜き、オルランドを殴りつけた。

オルランドに拳が当たると炎は一気に増幅し、オルランドはその炎に飲み込まれ、そこに巨大な火柱が上がった。




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