中々時間が取れないので今後は月に1、2回の更新となりそうです。
オルランドの頭上に掲げられたデュランダルを見て、誠は口角を上げ、不敵にニヤリと笑った。
その笑みを見てオルランドは訝しみながら問いかけた。
「何故笑う、神殺しよ。余りの絶望に気が触れたか?」
「いや何、漸くお前を殺す算段ができたからな。つい笑っちまっただけだよ。」
デュランダルによる『不変』か。なる程、確かに無敵だ。幾ら武具を叩き込まれようが、炎を浴び用が効かない筈だ。鋼の不死の権能とは違い、デュランダルの不変はダメージのカット、もしくは遮断だろう。それこそキリスト教がこの世にある限り折れる事は無いだろう。
だが、それは権能だ。権能であるなら破る手段はこの手にある。
「手前ぇに人界の理ってやつを教えてやるよ」
空気が変わった。誠から放たれる不気味な静けさにエリーゼはそう感じていた。しかし、本当にオルランドに対抗する手段があるのか?デュランダルの権能は超高火力タイプの誠と相性が悪い。
あの権能を突破するには真逆の権能による相殺か神格を直接攻撃するなどの特殊な方法しかなく、正攻法では決して突破できない究極の防御である。
(オルランドは無差別に辺りを破壊する。紫藤王が倒れればフランスは滅亡するだろう。だが何故だろう、私は王の勝利を確信している)
エリーゼは祈る様に手を合わせ恐らくすぐにつくであろう決着に誠の勝利を願った。しかし、その顔に普段の凛々しさは無く、頬は赤く染まり瞳を潤ませ、まるで恋する乙女の様であった。
オルランドは目の前の不敬な発言をした神殺しを睨んだが、先の発言が嘘では無い事を感じていた。
あの神殺しは間違いなく何か厄介な事をする。決着を急いだ方が良い。
「…ならばその前に切り捨てるだけよ!」
踏み締めた地面が抉れ、弾丸の様に走り出したオルランドは、首を切り落とす為に一直線に最速で誠に迫った。
自らに向かって来るオルランドに対して誠は慌てる事無く宝物庫から2メートル程もある豪華絢爛なハルバードを取り出し、そして聖句を唱え始めた。
「神よ!神よ!不敬であろう!此処より先は我が領土、人の世である、故に天の理振るうに能わず!」
誠が聖句を唱え終えると、オルランドはまず、自らの体の異常を感じた。
体が重い。先程まで全身に満ちていた己の力が全く感じなくなっている。だが神殺しは最早目の前にいる。後退すれば反撃を受ける、一度切ってから下がるしかあるまい。
オルランドはそのまま、デュランダルで誠の胴体を横一線する様に斬りかかった。
誠は迫り来るデュランダルを右手に持ったハルバードで合わせ、そのまま流れる様に頭上へ受け流し、そして近くの地面に刺さっていた片手剣を左手に取り、オルランドの脇腹に刺突を繰り出した。
繰り出された刺突はオルランドの肉体に何の抵抗も無く深々と突き刺さり、あり得ない状況にオルランドはその顔を驚愕に染めた。
「何ッ⁉︎」
「漸く一撃目だ。ついでに厄介なそのご自慢の剣も折っておくぜ!」
誠は片手剣から手を離し、ハルバードを両手で握るとオルランドを頭から両断する様に振り下ろした。
オルランドは、まずいと悟り咄嗟にデュランダルで受け止め様とハルバードに合わせたが、まるで小枝の様に易々と叩き折られ肩から腰にかけてを深く切られる事となった。
「ガハッ!…馬鹿な!デュランダルが折れる筈がない!神殺しィ!貴様一体何をしたァ!」
「言っただろ、人界の理を教えてやるってよ。この人の世で何時までも天の理たる権能を振るえるとでも思ってんじゃねーよ。ここじゃ、お前はちょっと頑丈な人間なんだよ。デュランダルも唯のロングソードだ。当然、重量のあるハルバードを正面から受ければ折れるって訳だ」
「神格の否定だとッ⁉︎貴様ァ!何処まで我らを辱めるつもりだァ!」
「何を言うかと思えば…
当然だろ?俺は
『原初の英雄』第二の発動形態『英雄』又は『裁定者』。ギルガメッシュが神を廃し、人を神の手から解き放った事に由来する権能であり、神格を否定する『英雄』の発動化ではありとあらゆる権能を無効化し、神を人にまで堕とす究極の対神権能である。
しかし、自らの権能も無効化し、深夜12時まで他の権能を使用出来なくなる『英雄』は誠に取っても諸刃の劔でもあり、『英雄』を使ったのは100年を超える年月の中でも片手で数える程しかない。その点を考えればオルランドは諸刃の劔を抜かざるを得ない強敵であった事が伺える。
「おのれ、おのれおのれェ……‼︎」
「あばよ、オルランド。俺に『英雄』を使わせた事は高く評価するぜ。これで1つ賢くなったな、どんな力にも絶対はねぇって憶えて逝きな」
そう言って誠はハルバードを再び振りかぶり、重症を負ったオルランドは避ける事が出来ずに頭の先から股まで両断された。
両断したオルランドの体が少しずつ光の粒子となって空中に溶けていくのを見ながら誠はどかりとその場に腰を下ろし、久方ぶりの満足感に浸っていた。
すると戦場を見守っていたエリーゼが更地となったオルレアンの森を何処か悲しげに眺めながら歩み寄り誠に歩み寄り声をかけた。
「王よ、勝利をお祝い申し上げます。おめでとうございます。この度は我らの懇願を叶えていただき、誠にありがとうございます」
「あ?別にお前らの為じゃねーよ。俺は、俺と対等に戦える奴がいれば相手が誰であっても行くだけだ。今回は偶々、それがまつろわぬ神だっただけの話だ」
実際、誠の言葉には嘘偽りは無い。誠はまつろわぬ神だけでは無くカンピオーネなどにも戦いを挑む。全てのカンピオーネと戦った事のある者は誠くらいの者であろう。
しかしそれでもエリーゼは感謝せずにはいられなかった。自らの故郷を救ってくれたのは誠であり、何より自身の慢心をへし折り、世界の頂点の一角である誠に魅せられてしまったのだ。
「王よ、お願いしたき義が御座います」
「あ?んだよ、まだあんのかよ。言ってみな」
「この度、私は聖人の位を返上したいと思います。そしてどうか貴方様の歩む道に私を連れて行って下さい!」
騎士の誓いの姿勢をとり、懇願するエリーゼに対し誠は少し驚いた様な顔をしてから直ぐに冷たい目を向け小さく呟いた。
「……へぇ」
如何でしょう?ちなみに今回のエリーゼが魅せられたのはあくまでカンピオーネの強さであり、主人公ではありません。初めて会ったのが他のカンピオーネであればエリーゼはそちらについて行った可能性は大です。
まぁ、相性的にヴォパン公爵と羅豪教主は無いと思います。逆にドニや護堂にはほぼ間違いなくついて行きます。