セブンスドラゴンⅢ~俺なんでかISDFやってます~ 作:定泰麒
更に関係ないけど、緋弾のアリアの二次小説勘違いモノは面白いからオススメ
キリカが加わってからは圧倒的だった。竜に手出しさえもさせずに俺達は進んだ。
高々数日でこんなにも強くなるのかこれがS級とでもいうのか。
正にその評価に値する成長に見た目こそさほど変わりはしてない、けど内面的な器官を含め肉体が強化されてるのがわかる。
キリカだけじゃない。俺の護衛をしてくれてる二人もそうだ。ここにくる前と来た後では雲泥の差だろう。
彼らはルシェ族の中でのS級であるのかもしれない。これに関しては検査する必要もあるだろうけど。
では俺は?
結論だけ言うと、何も変わってない。そりゃ当然だ、なんせ何にもしてないからな。
そんなこんなで最奥にたどり着こうとしている。道中の敵を何体倒したかなんて憶えてない。
さながら空手の百人組み手をやった感じだろう。
まあそっちもそっちでやったことなんかないけどな。
にしても、お腹が痛い。トイレなんてないし困ったもんだ。
ルシェ族の美人とは違うんだが、これまた俺から言わせたら美人な女性が救援に来た。
トウジとは知り合いらしい。その時点でやれるのだろうと察しはついた。
それに二人の話を聞いているとトウジが彼女に対して助けを求めた事からもその実力の高さが伺えた。
トウジは道中、無口だった。それだけ集中していのかとも思ったが、戦闘には加わらないし変な奴だって最初は思った。
だけど、時折その実力の片鱗は目にした。
その内の一回は、妹の命を救った一撃だ。
感謝してもしきれない、その後も的確なフォローだけはしてくれている。
妹とも話したが、きっと今は体力の温存と俺達でいう魔力の温存をしているのだろうという話になった。
つまり、このトウジという男は帝竜討伐だけを狙って意識を研ぎ澄まし、作戦をたてているのだろう。
彼のような男でも、そこまでしなきゃ勝てない帝竜という存在に改めて恐怖を感じた。
奥へと向かっていく中で、俺達の救援にやってきた女性と話した。キリカというらしい。
彼女とは幾らか話したが、良い女とは彼女の事を指してると思った。
でも、恋愛感情とか湧かなかった。彼女はトウジの事が間違いなく好きなのだ。
話の節々に伺える彼女たちの態度はとてもわかりやすい。
良い友人には成れそうだ。
「ところでキリカ。あのトウジという男の実力は君から見てどうだい?」
聞いてみたかった。キリカはトウジの事を昔から知っていた事は既に聞いている。
今までの道中での敵への対処を見ている限りこのキリカは相当の使い手だ。
そんな彼女はトウジに対してどんな評価をしているのかが気になったのだ。
願わくば、俺達兄妹の思っている実力はあってほしいものだが。
「私なんか比べものにならないくらい彼は強いわよ。私には竜を一撃で倒すなんて不可能だけど、彼は私の目の前でやってみせた。それも彼にしか出来ない方法で」
「竜を一撃!? 奴はそこまでの実力があるというのか!」
「ええ、彼はいつも運が良かったって言って謙遜するけどね」
「それは本当に運じゃないのか? 確かに彼は強いと俺も妹も思ってる。だけど、竜を一撃で倒せるなんて思ってない」
「運だけなんて有り得ないわ。あなた達、天文学的な数字ってわかる?」
話がまだ全然わからないけれど、どうにも興味を持たせられる。それに竜を一撃で倒せるなんて聞いておきたい話だ。
「数字はわかるが、天文学的ってどういうことだ?」
「例えば、竜と私達が共存出来ると思う?」
「はっ? 何を言っている。それは不可能だ」
「そう不可能だけど、確率的に言えば0じゃない事を私達は天文学的な数字っていうの」
「なるほど、それで?」
「彼は何度もその天文学的な数字な事をやってのけるの。竜を一撃で倒した時が正にそれの一つ」
「具体的に知りたいんだけど」
「竜の脳天に剣を突き刺したと言ってしまえば話は終わりなんだけど……」
「まず、その時点で難しい事をやってのけた事は理解できる。だけどなんか妙な感じだな」
「話はそう単純じゃないの。そうなるまでの過程が、普通の人には不可能な領域なの」
「不可能な領域……」
「言葉でどう説明したらいいか分からない。でも彼は強烈なカウンターをしたの。私が危なかった時に私の眼前にいた竜の注意を引きつけて、竜めがけて突っ込んだ。ほら彼が今腰に装備している武器わかる?」
トウジの方を見た。腰には俺の持つ短剣よりもかなり長い木の剣が引っさげられている。
「あれ刀っていうの。私のと一緒であの中には鋭い鉄の刃が納められてる」
そういってキリカは、自身の刀を見せた。木の囲いは鞘と言って中の刃を守るそうだ。
「それで彼、刀を持って竜に突っ込んだんだけど尻尾で吹き飛ばされたの。でも吹き飛ばされたのは意味があった」
「そこだけ聞くと間の抜けた奴に聞こえるけどね」
「でしょ、でもここからが凄かったの。彼は両手に持っていた刀を上に投げ飛ばした。一本は私の足元に、もう一本は竜の脳天に突き刺さってたの」
「……やはり、運なんじゃないか? それ……」
「そう思う? 不可能なのよ人間にはそんなこと」
「どうしてだい?」
「人間は意図しないところで反射してしまうの。とても熱いモノに手が触れてしまうとさっと何も考えずに離してしまうように。ではトウジの状況でどう反射するのか後で考察してみたの」
反射ねぇ。まず普通の奴なら尻尾で攻撃された時点で死んでるよ。と思った事を口にしてみた。
「その通り。でも私や彼なら耐えられる。そして、私ならとっさに避けるかそれが出来なくても身を守るわ。そうなった時、私は反射的に刀の持っている手に力が籠もる。きっとあなたもそうでしょ?」
「あぁ、そうだろうな」
「でも彼は違ったの。意図して尻尾の攻撃に当たった。そしてその時の状況。風の力さえ使って刀を竜の脳天に突き刺したの」
「分からないな、あまり」
「そうなのよ。不可能な状況の説明って難しいの。でも見ればわかる。きっとまたトウジはやるわ。もしかしたら帝竜も一撃で……なんてね」
どう言葉を出していいかわからなかった。参考になる話ではなかったのは確かだ。
分かったのは竜でも頭に一撃加えれば死ぬということ。
俺も竜を一撃で倒してみたいもんだ。
「ただいま~ジュリエッタ♡」
「おかえり……なんて言うと思ったかしら!」
「落ち着いて~☆ どうしたの?」
「落ち着いてる場合じゃないわよ。13班は竜と戦ってるし、あなたの変わりに人の応対させられたのよ」
「ふ~ん。誰?」
先ほどまでの朗らかな作り笑顔とは明らかに違う顔だ。
「『ヒーロー』よ。しかも、なんか妙に引っかかるね……」
「詳しく聞かせて」
「珍しく真面目になったわね」
「その『ヒーロー』には興味があるの」
「あれ? あなた知り合い?」
「違うわ。私が一方的に知ってるだけ」
「へぇ~、とりあえず後で詳しく話すわ。それでどこ行ってたの?」
「聞きたい? 横須賀基地よ。欲しければ取りに来いって」
「なにを? あのサンプルは既にもらったじゃない」
「違う方よ」
アリーはその机に置いていた物をジュリエッタに見せる。
「それって!?」
「そう『あの刀』よ」
「それだけなら、ISDFに持ってきて貰えば良かったじゃないの?」
「まぁね。でももう一個用件があったの♪」
ふと顔が元の笑顔に戻った。
「なによ、それ?」
「簡単な話よ。『ハルミネトウジ』の半永久的な引き抜きよ」
「ってことは、やっぱあの青年はなんかのS級?」
「それに関してはそうだと思うわよ☆」
「他にも理由があるみたいな言い方ね」
「やっぱりジュリエッタは頭が良いわね♡」
「そんな事前から私の方が知ってるわ」
「ふふん♪ そうね。でも彼の事はまだ詳しくは話せないかな~」
「なによそれ……。それで? 許可は降りたの?」
「ダメだったわ♧」
「当然ね。あの戦闘データを叩き出せる人物なんてISDFがやるはずがないわ」
「ジュリエッタは知ってたかな?」
「なにを?」
「私はね、欲しいものは手に入れるタイプなの」
どこかゾッとするような微笑みにジュリエッタは背中に汗が流れる感覚を覚えた。
今回も圧倒的準備回。
勘違いものは下準備が欠かせないってばっちゃ言ってたから仕方ないよね。