セブンスドラゴンⅢ~俺なんでかISDFやってます~   作:定泰麒

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第一回ネタバレ回


chapterX

 

 カタカタカタと、暗闇に唯一光る光源のパソコンの前でひたすらにキーボードを打つ音がする。

 

 「なにこれ……」

 

 ジュリエッタは、アリーから渡された『ハルミネトウジ』という男のデータを見ていたのだ。

 そのデータを元にセブンスエンカウントを使い再現された映像を作り出していたのだ。

 その過程の中で、これでもかとというほど高い能力を見せつけられていた。

 

 「竜の腹の中でも生きられるのね……」

 

 最後まで作り上げたそれを見ながら独り言を呟く。

 

 「パンドラの箱……予想通りだったわ。彼人間であって……人間ではない?」

 

 ジュリエッタは瞳を閉じた。それでも脳は活性化している。疲れているのに、瞳を閉じてもいるのに。今見ていた『トウジ』のデータを調べたくて、調べたくて仕方ない。

 

 「これじゃ、病気だわ」

 

 一人の研究者として、彼はまたその目を開け、解析を始めた。どこか皮肉な笑みを浮かべて……。

 

 

 

 

 

 ついにここまで来たのか、真竜ニアラを根本から殺す時だ。

 過去の13班達が戦ったニアラよりも強い。それはニアラがこのアトランティスにおいて、片翼を損傷されていたからだ。

 ISDFの隊員達も総動員で、俺や13班を支援してくれた。

 

 ただ一つ懸念すべきなのはユウマが“あれ”の副作用で万全の状態ではないということ。

 それでもユウマは俺達をここまで引っ張り上げて来た。

 そして、ニアラを目前にして倒れていた。決して敵にしてやられた訳じゃない。副作用で倒れたのだ。

 ヨリトモさんに「俺とユウマの分もISDFとして戦ってこい」と背中を押された。

 ヨリトモさんは道中遭遇した竜の一体に腹を割かれていた。大事に至らなかったのは運が良かった。それでもユウマとともに待機という形にはなってしまったが……。

 

 横に並んでいる13班達を見た。キリカを筆頭に選ばれた者達だ。元からの能力を含め、潜在能力も並みの者じゃない。

 それぞれがなんらかのS級の天才達。その中には、この前出会ったルシェの兄妹の姿もある。

 

 俺の存在は場違いだ。運が良いただそれだけなのに、勘違いに勘違いを重ね、気づけばISDFのエースのような立ち位置になり、こうやって真竜ニアラの討伐に向かわされている。

 

 13班の奴らと違って才能なんてない。それでもなぜかやらなきゃいけないって体が動く。

 だから俺は進むし、竜を倒す。最初の頃はずっと帰ってゲームしてぇなんて思ってた頃が懐かしい。

 あーでも、ゲームはしたい。ニアラ倒したら帰ってやるんじゃー。ニアラなんて秒で倒してやる(13班が!)

 

 さぁ! ニアラ戦いを始めよう。お前を倒して人類が一歩進めるように。

 

 戦いはニアラの言葉から始まった。

 

 『家畜に明日はない』

 

 ブレスに翼による風圧、爪に牙何でもありの無差別攻撃は、今まで相手にしてきたどの竜よりも強い。

 ただそれに相対して13班は強かった。キリカがを含む前衛職が切り込み、メイの援護やアキラのカードによる魔物召還。ニオもえげつない魔法をぶっ放している。

 

 俺はやることもなく、ショットガンを撃つだけの機械とかしている。

 

 この間の帝竜戦よりも戦力が有り、各々の実力もかなり上昇しているおかげもある連携が彼らだけで成立している事がその原因だろう。

 有り難い事だ。ニアラも弱まっていくのが目に見えてわかる。

 ほぼ百点満点の戦闘だろう。苦戦すると思っていた俺には嬉しい誤算だ。

 

 ニアラが倒れ伏しそうになっているその頃にキリカから援護を頼まれた。

 

 「もう起き上がれなくなるように、私がとどめを指す。トウジ手伝いなさい!!!」

 

 興奮が伝わる。このニアラとの戦闘でアドレナリンもかなり分泌されてるんだろう。

 手伝わない義理などない。

 

 ショットガンから武器を刀に換えてニアラの迫り来る爪を振り払い、翼をなぎ払う。

 

 もう少し、もう少し。

 

 全てはキリカがニアラを叩き斬るまでの前座。俺は与えられた役目をこなすだけ。

 

 キリカが竜殺剣を構えその目を閉じる。

 その目が見開いた時、この戦いが終わるんだろう。

 

 「トウジ行くわ!」

 

 その言葉を受け、キリカはニアラに一直線に駆け出した。その速さは既に人間を超えている。

 ニアラでも対応は出来ない。そう思った。事実最終的にはキリカはニアラを切り裂いた。

 しかしそううまくいかなかった。その最後の際にニアラは『真竜メテオ』を放ったのだ。

 

 やばいって思った時には、体が動いていたんだ。

 キリカもやばいと思ったんだろうその勢いを止めて、守りの構えをしようとしていた。

 

 「止まるなキリカ! とどめを指すんだ!!」

 

 俺は叫んでいた。

 キリカは再び、ニアラに飛び込む。キリカの眼前には『真竜メテオ』をキリカに当てようとしているニアラだ。

 だが、ニアラの一撃はキリカには当たらなかった。

 

 理由はそう難しくない。俺がキリカを庇い『真竜メテオ』を食らい、その直後キリカが竜殺剣でニアラにとどめを指した。

 意識が消える中、それが見えたんだ。

 

 

 

 

 ニアラは倒れた。13班もそれぞれ怪我を負っているが重傷者はいない。

 ただ一人、犠牲者が出た。ニアラの最後の一撃は重く、激しい一撃だった。

 トウジの体は弾け飛び、死体さえない。

 

 第三真竜ニアラが倒れた日に、『春峰冬司』は死んだ。

 

 その事実だけが、静かにキリカの心に響いた。

 

 

 

 

 

 『またか……また失敗だ』

 

 虚空を何かが佇む。

 

 『何を間違えた?』

 

 『そうか……次は……』

 

 時が戻る。

 

 『結果は変わらない……』

 

 また時を戻した。

 

 『人類の希望が……消えてはならない』

 

 『負けない。竜には負けない』

 

 『一度は勝った筈なんだ。だから、また勝てる』

 

 『今度は選択を間違わない』

 

 『人類は勝つんだ。何者にも邪魔は出来ない』

 

 『何千回何万回、竜が殺しても、また始めるだけだ。人類が勝つその時まで』

 

 再び時を動かす。今度はニアラの攻撃を希望が当たらないように、いや誰にも被害がないようにすればまた人類に希望が宿る。

 

  

 

 

 

 「止まるなキリカ! とどめを指すんだ!!」

 

 ニアラの『真竜メテオ』がキリカに迫る。

 俺はキリカの前に出てそれを刀で防ぐ。分かっていた。刀なんかでこの攻撃は防げない。

 それでも仕方ないこれが……。あぁ~ゲームしたかったぜ~。

 

 これが死かなんて思った。刀からもの凄い衝撃が体を伝わる。その痛みに目を閉じたのは仕方ない事だった。

 

 

 

 『君はまだ死なせない』

 

 はっきりそう聞こえた。そして目を開ける。またあの天井だ。

 また変な声を聞いた気がする。それにこの光景ということは俺は死ななかったんだなって、少しほっとした。

 

 「まるでこの病室はあなたの部屋みたいですね」

 

 「俺もなんかそんな気がしてきた。ユウマ、またお前がついててくれたんだな」

 

 「今回は僕もずっとは無理でしたけどね。真竜ニアラのデータをインストールしたので」

 

 「大丈夫なのか?」

 

 「あなたに比べれば大丈夫です」

 

 その目は少し暗い。

 

 「なに? 今回は酷いのか?」

 

 「今までよりは程度ですかね。しばらく前線には出れません」

 

 「そうか、悪いな」

 

 「あなたには良い休暇かもしれません。少し飛ばしすぎたんですよ」

 

 それには同意せざるを終えない。それにあのニアラ戦でさほど活躍はしていないけれど、燃え尽きた感は否めない。特に最後の一撃は重かった。

 

 「だな。それでまたあいつはいるのか?」

 

 「ええ、彼女もそこに」

 

 目を向けた先にいる、キリカにデジャヴを感じた。違う所と言えば腕のギプスがあるかないかぐらいだ。

俺が起きた時に寝ているのもそうだし、そもそも状況からしてそうだしな。

 

 「この前と一緒だな」

 

 「ですね」

 

 ユウマから笑みがこぼれる。

 

 「また寝る。おやすみ」

 

 「ええ、おやすみなさい」

 

 また俺は目を閉じた。

 




本当はこれの前に一個話しがあったんだけど、ミスって消し飛ばしたから、もういいやって感じでこれ出しちゃった。
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