セブンスドラゴンⅢ~俺なんでかISDFやってます~ 作:定泰麒
chapter2
「次は未来に行くらしいな」
「うん。あなたも来るんでしょ?」
「俺は今回お留守番だ。一応兵隊さんなもんだから、上官の命令は絶対だとさ」
「そうなの……残念ね」
「俺の分まで真竜を倒して来てくれや」
「言われるまでもないわ。私が居ない間に死なないでね」
「それはこっちのセリフだ。馬鹿やろう」
それから二日後、キリカを含んだ十三班とトウジを抜いたISDF隊の面々は次なる真竜の討伐に向け未来に向かった。
エデンと言われるその場所は、旧約聖書から由来しているのかエデン即ち楽園を意味している。
人類の始祖とされているアダムとイヴが住んでいたエデン。
至福と喜びと平和に満ちた場所。
だが、そこに真竜がいるとすればその意味とは正反対の光景が広がっているかもしれない。
ようやく待ちに待った時が訪れた。あの一瞬の出来事の間だけまるで彼女のようだった青年。
見た目の第一印象は、普通の青年。顔も体格も歴然の戦士や彼女達のようなオーラもない。どうあがいても受ける印象はそんな感じだった。
「君が春峰冬司君かい?」
「正義の味方に名前を知っていてもらえるなんて嬉しいです」
「僕を知っているのか」
「そりゃ、巷でちょっとした噂にもなってますし」
「そうか」
喋ってみても、その印象は変わらなかった。普通ただそれだけ。
「それで、俺になんか用でもあるんですかね?」
「…ちょっとね。ごめんね、呼び出したりして」
「いえ、いいんです。それに俺も一つ頼みたい事がありまして」
「頼み事? なにかな?」
「それはレイブンさんの用件が終わってからにでも」
「了解した。それでだね、ちょっとこんな所ではなんだから場所を変えたいんだけどいいかな?」
「ええ、いいですとも」
「それじゃ、思い出の場所へと連れて行こうか」
「ヒーローにもやっぱそういうのあるんですね。ちなみに場所は?」
「昔は東京タワーと呼ばれていた、そんな場所だよ……」
僕は冬司君を連れて、悲しい思い出の地へと向かった。
始まりはあの時だったんだ。まさしく、終わりとされた時点。
でもそこから、また新しく始めさせられた。
正解がない問題なんて存在してはいけない。
問題がある正解がダメであるように。
全てが正しい答えになるようにしなければ100点満点なんて夢のまた夢だ。
不思議な物でタイムマシンは自由自在には出来ない物らしい。
さしずめ不完全な完成形だと俺は思った。
だって、普通行きたい時間とか帰りたい時間とかを設定できるもんでしょタイムマシンって言ったら。
それに現状で人類が死滅の危機だというのに超未来であるエデンにかなりの人間がいるっておかしいだろって思う。
タイムパラドックスなんて用語が頭に思い浮かぶ。
アトランティスに置いても疑問に思う事はある、あの場所で俺が真竜ニアラを倒した後、キリカ達は検体の一部を残してニアラは、資源となり消えていったとこを見ていたらしいのだ。
それじゃあ、過去の伝説の十三班が撃退した筈のニアラはどうなったのか。その話自体がなかった事になったのか、そんな事はない。十三班が撃退したという事実は証拠としてデータも残っている。
ではどういうことなのか、大まかに上げると二つの仮説が立てられる。
一つは、真竜ニアラは長い時間をかけて2020年までに蘇ったという説。
そして、もう一つは俺達が倒したニアラはこの世界のニアラではなくて一種のパラレルワールドのニアラなのではないかという事。
この説に関して、退院した後でノーデンスのBARにてジュリエッタさんと盛り上がった。
ニアラ復活説は確かにあり得るが、もう一つのパラレルワールド説が主な議論になった。
確かにそっちの方が説明がつくことが多いという。竜はこの時代で地球という星を壊そうとしているという話しを聞いた事があるとジュリエッタさんは口を滑らせた。
そのことに関して追求したが、やんわりとこれは超がつくほどの高官レベルでしか知らない事だから、他に言ったらダメよと言われた。確かな情報でもなさそうだけどねと最後に零した。
そんな事がありつつも、パラレルワールドの説に再び戻り、次の十三班の目的地が未来だということを聞いた。
未来に行けるのだから、竜が人類を死滅させることはできないと思ってたけど、そう考えると未来に行ける事も違う観念から捉える事ができるわね。
でも確かめられないのが、残念ね。2020年のニアラ戦をマシンに乗って見に行けたら答えがすぐわかるんだけどね。
そう2020年のニアラ戦において、ニアラはその翼に怪我を負っていたとされている。それはアトランティスをニアラが攻め滅ばした際に負わされた傷。
ニアラをアルカディアで倒した現状で、2020年に傷を負っていればパラレルワールド説が濃厚になり、傷がなければ復活説が濃厚。
もし傷があったとして、復活の際に翼まで完治していなかったともなればまた話が変わるが。
行けないと思うけどね。2020年には……。
そう言って話は終わったのだった。
それも数日前の事、今の俺は横須賀基地でトレーニング中だ。帝竜戦で竜の体内に居たのが問題だったみたいで、体にがたがきて入院。
そして、未来には行けず待機を命じられて寂しく一人で基地でトレーニングという訳だ。
ISDFは主に士官候補生と一般からの兵士で分けられているわけだが、無論士官候補生は将来ISDFのトップに立つように育てられている。
だが、俺は提督付き副官という妙な役職を与えられており一般からの兵士な筈なのに同期の士官候補生達よりも上の立場にいるというなんとも厄介な物だった。
でも、不思議と妬みや嫉妬が表立って出てくる事はなかった。
というのも、懐かしく感じるのも変だけどユウマとあの国会議事堂に行った時に見せた戦闘能力がその要因の一つなんじゃないかということ。
正直、殆ど気絶してたんだけどねなんて言える訳もなく。ISDFで一、二を争う戦闘能力を持ったユウマと対等レベルで戦えていた事はそれは凄い事だと、それも新兵でだ。
畏怖の念の方が強いらしく、その結果一人でぼっちトレーニングだ。
緊急の際は、出動できるようにしてはいるけどね。
そうそう、実はもう一つ重要な事が決まった。俺が使う二刀をノーデンスが用意してくれる事になったのだ。
金は払えとの事だったが、正直彼らの武器はかなり性能もいいし、使い勝手もいいので嬉しい限りだ。
トレーニングも佳境を迎えて、最後に柔軟をしていると緊急警報が発令された。
場所は渋谷。
内容はマモノの大量発生。
竜じゃなくてよかったと、胸をなで下ろし早速買った新品の二刀を持って現場に向かった。
あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。