セブンスドラゴンⅢ~俺なんでかISDFやってます~   作:定泰麒

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 二章の伏線&会話多いよ回。でもって文字数少なめ。


chapter2.1

 

 閃光のような眩い光に包まれ、気づけば周りにはマモノの残骸と一人立つヒーロー。

 

 その光景は誰が見ても正義の味方だ。人種も関係なく人を助けるその姿は人類にとっては正義でも相手から見れば悪役のような物なのかもしれない。

 勧善懲悪が好きな世の中で、現実には勧善懲悪は少ない。ぶつかり合うのはお互いに大事な物があるからで、竜にとってもまた人間を滅ぼしたい理由があるのではないかと思う。

 

 それでも、マモノも竜も倒さなければならないのは自分が背負った正義があるからで、それは誰にも曲げられないのだ。

 それが僕の背負った百年の正義。勇者でも全てを救えないのなら救えない人達を救うのが僕の定め。

 悲しくも自らに施した技術がこうさせる。でも止まってはいけないのだ。

 止まってしまったら救えない人が増えてしまうから。

 

 でも時々考えてしまう。僕ではなく彼女や彼らが僕の変わりにこの世界に居たなら、この世界とどう接していたのか。考えても無駄な事は分かってる。

 僕は間違ってるのか、合っているのか正解なんてわからない。

 そもそも正解があるのかさえもわからない。

 だからこそ、進むんだ。進んだ先に答えがなくても自分が選んだ選択なのだから。

 

 

 

 

 

 渋谷にマモノが湧いたのを刈り終わった。特段危険な敵じゃなかった。多くのマモノや竜を相手してきた経験が俺を強くしているのかもしれない。

 運だけじゃ生き残れない現状で、ちょっとは強くなれたのかもしれない。

 逆に運がよくてマモノを倒せているのかもしれない。

 

 確信が持てないのが辛くはある。

 

 今のとこ、特に問題はない。

 

 予定によれば、一週間近く十三班達もISDFの精鋭達も帰って来れないっていう話だ。

 いささか悪い予感が胸をよぎる。嵐の前の静けさに似たそんな感覚だ。

 

 何も悪いことが起きなければいい。なにもなければアニメとか漫画を見てこの期間を過ごせるのだから。

 

 自室でシャワーを浴びながら、浴室のテレビを見る。これもなぜか俺に与えられた特権の一つだ。

 エリートじゃないし、ISDFに入ってからに関してはほとんど運でここまで生き残ってきた俺には少々心苦しいもんがある。

 

 それでもこの環境自体はかなりありがたいので甘んじて受けることにしている。

 その分常に最前線だし、何かあれば一目散に逃げることもできないし、報酬と待遇に値する事をやるってのはなかなか大変なもんだ。

 

 にしても、随分テレビの放送内容も変わった。少し前まではアニメも映画も多くやってたのに、緊急速報とかマモノや竜についての特番がかなり増えた。

 それも仕方のない事で、ISDFがマモノや竜に対する情報の規制緩和があったんだ。

 

 増加するマモノに、人の宿敵である竜の復活。流石に隠し通す事が出来なくなっていた。

 日本政府が崩壊したこの日本で、全ての頂点はISDFだ。

 

 今では当たり前の常識の事実。でも、100年前の日本ならありえなかった。

 軍が国を統治するなんて、発展途上国だけのように思っていた筈だ。

 日本には自衛隊という防衛のための軍があったけど、地位は決して高くなかった。

 文官が武官を統べる世の中が、ほんの僅かの期間でひっくり返った。

 それこそが竜の襲撃。俗に言うセカンドエンカウントだった。

 

 力が物を言う時代に世界は逆戻りし、それから現在に到るまでかなりの苦労があった。

 そして、今後発展していく筈の未来を考える。

 

 たった一つの事柄が、未来を変える。

 

 それはそう遠い未来じゃないかもしれない。下手したらISDFが消え去ってしまうかも、それだけは阻止しなければいけない。

 

 

 

 

 

 「六体の竜の検体。現在まだ二体分しか得られていない。不味いわね」

 

 「不味いって言ってもしょうがないじゃない。始まったばっかりなのよ」

 

 「それはそうなんだけどね~♪ 時間がないわ」

 

 「それって……?」

 

 「来るわよ♡ 三度目の再会」

 

 「……。三度目…、まさかそれって」

 

 「そうよ、ジュリエッタ。奴らがもうすぐ来るわ。終わりは近い」

 

 薄明かりの部屋で、彼女はその閉じた瞼を少しだけ開けた。

 

 「きっとISDFは大変よ~♪」

 

 いつもの調子に戻って彼女はジュリエッタに微笑む。

 

 「十三班もISDFの指揮官とエースの一人がいない。これはどうなるか……、トウジ君。あなたの本当の姿を私に見せて」

 

 「アリー、あなたどうしてあの子にそこまで固執するの? 確かにあのデータは私でも違和感とか疑問だらけよ。でも彼が元々十三班と同じような力を持っていると仮定すれば説明がつく」

 

 「そうね。でもそれがおかしいのよジュリエッタ。彼の能力は仮定だけど、キリカにかなり近い力を本来は持ってる。確かにコントロールはできるけど、隠せるものじゃない。彼を一番最初に検査したときに本来ならそのデータが出ていた筈なのに、クラスA程度のものでしかなかった。それがありえない」

 

 「例えばこういう事は考えられない? 俗に言う火事場の馬鹿力のように、ここぞというときにしか能力が出ないとか」

 

 「それもないわ。あれをやったのがキリカだったらわかる。最大の出力が遥かにSを超えたあのデータを只のAクラスじゃ理論的にも宇宙的にもありえない。そして、もう一つ私が彼に固執する理由があるの」

 

 「なによ、それ」

 

 「残念だけどそれは教えてあげられないわ。でもいずれわかる」

 

 不満げな顔を見せまいと帽子を深く被り直しジュリエッタは部屋から出て行った。

 

 「そうありえないのよ。私が人類の希望に対して殺意を抱かされたって言うのはありえないの。あの子は私でさえもわからない何かを抱えてる」

 

 

 

 

 

 「君はタケハヤという英雄を知っているかい」

 

 「確か伝説の13班達と同時代の英雄ですよね?」

 

 「そうだ。それにリーダーとしても一人の戦士としても最高だった人物」

 

 「でも確か戦いの最中、亡くなってしまったんですよね」

 

 「そう、自分を犠牲にして世界を救ったんだ。何故だと思う?」

 

 「それだけの力を持っていたからとかじゃないんですか?」

 

 「違うかな。彼はね、正義の味方になるため、愛する人と家族を救うために最後まで戦い続けたんだ」

 

 「凄いですね」

 

 「うん。僕も彼みたいなヒーローになれたらって思ってる」

 

 「……実は俺の友達に正義について悩んでる奴がいるんです。今度そいつと会ってもらえませんか?」

 

 「……いいよ。でもそのかわりに君に聞きたい事があるんだ。」

 

 「俺に? 一体なんでしょう?」

 

 「じゃあ、単刀直入に聞くけど君いや、ハルミネトウジ君。あなたは一体何者なんだい?」

 

 

 





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