セブンスドラゴンⅢ~俺なんでかISDFやってます~   作:定泰麒

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難産だったのは間違いない。

ドラクエⅩとジョジョの七人目のスタンド使いをやってたなんていう事もない。


chapter2.5

 

 その日は随分と嫌な夢を見ていた気がする。中身を覚えていないのが幸運だった。

 

 寝ていた時にかいた汗を流すために朝からシャワーを浴びた。シャワーを浴びながら備え付けのテレビを横目に、今日の日程をおさらいしていた。

 

 現状ISDFは警戒態勢を敷いている。そんななかでここのとこ俺に言い渡されていた任務は専ら、訓練及び待機。

 何かあったときの為の戦力の温存とでも良いか。

 訓練と言っても名ばかりのような物で、実際は各自の自主トレであった。

 

 ただその日はいつもと違い、俺は昼から四谷に行くことになっていた。

 なんでもここ最近四谷一帯で、フロワロの増殖が確認されており、それにつられてかどうかは知らないが魔物も増えているという話なのだ。

 

 そこで一人の化学者を同行し、原因の究明に協力せよという任務だった。

 えっと名前はなんだったか……確か南雲?博士とかそんな感じだったような。

 

 とりあえず朝は大人しくしていよう。うん、いや四谷の件でブリーフィングルームに呼ばれてたな。護衛対象の確認と作戦内容の詳細とかだろう。

 

 なんにせよ、そう難易度は高くない任務。……と思っていた。

 

 

 

 

 

 四谷は既にISDFによって封鎖されていた。その景色から人の様子は見て取れない。避難は済んでるようだ。

 そもそもこの日本、いいや、それだけじゃない世界中がフロワロと魔物、竜の脅威に晒されており民間人の安全を確保するためにどの政府組織も苦労していた。

 

 「さてと、ここに居るのは横須賀基地の精鋭達と聞いてるよ。よろしく那雲三喜夫だ」

 

 護衛対象の那雲博士。どうも漢字違いで南雲ではないらしい。

 

 「今回、フロワロの増殖及び魔物の増加についての原因究明という任務を言い渡されていると思うんだが、なによりフロワロも魔物もまだまだ研究中の物だ。データの採取にも時間がかかる、大変だけど護衛の方は頼むよ」

 

 さて、この那雲博士。実は元ISDFの研究者であり、半ば強引にISDFに復帰したのは一つの理由があった。

 

 竜斑病の治療法を見つけるためであるという話だ。ヨリトモさんと一緒に居るところに偶然居合わせてしまい、半ば盗み聞きのようになってしまって心苦しいものはあった。

 

 

 

 フロワロが咲き乱れる中で、なぜか竜はともかくとしてマモノも出てこない。

 それにしても、このフロワロやはり美しいと思う。さほど花には興味がないが綺麗なものは綺麗だと思える感性は人並み程度に持ち合わせてるつもりだ。

 ただ薔薇に比べるとあまりにも、そのトゲがきつすぎるが。

 

 「触れないな。千切るのにも命を削られる花なんて」

 

 「君は、えっと……トウジ君と言ったかね」

 

 俺はその言葉に頷いた。どうも一人事が聞かれていたらしい、恥ずかしい限りだ。

 

 「確かに触れるのも怖いが、このフロワロから病気の治療に使える成分がでるかもしれない、それにこれもまだまだ未知のものだ。一日事のデータの更新は欠かせない。それにこの四谷のは異常な増殖の仕方だよ、もしこれがこの四谷だけにとどまらなければ……」

 

 「遅かれ早かれ人類は死ぬとでも?」

 

 「悲しい話だがね……でも治療よりも前に根本的な解決をしなければどっちにしろと言ったところだ」

 

 それから何事もなく任務は終わった。マモノさえも出なかったのだ。でも問題はそれからだった。撤退の号令をかけるそうその時、空間が歪んだ。

 

 比喩でもなんでもない、正にそのままの意味。それが意味する所は帝竜の再来。怖い物語の続きが始まろとしていた。

 

 地面が空になり、空が地面になり右から左にまた左から右に。容赦なく体を引っ張られる。確実に三半規管はやられていた。

 帝竜は住処を自分の思うがままに換えられると聞いていたが、今それが俺の目の前で起こってる現象だろう。めまいや吐き気に襲われながら一緒に来ていたISDF隊員達や那雲博士を目で探すがどこにも見あたらない。

 意識が飛ぶのにそう時間はかからなかった。

 

 

 身体を揺り動かす凄まじい衝撃で目を覚ます事になった。その衝撃に見合った音もまた俺の耳を貫く。

 

 数秒我に返るために使った。それで気づいたのがどうも俺が今座っている場所は固いコンクリートの上でも土のある地面でもなくて竜の頭上を跨がっていた。思わず驚いて声が出たのも仕方のないことだった。

 

 しかもその竜、よくみれば八十年前の資料に載っていた四谷にいたとされる帝竜そっくりだ。生憎名付けられた名前が出てこないが間違いない。

 

 俺はまた知らぬ間にこの竜をやってしまったのだろうか。まるで天に、いや神など信じていないが神に操られてでもいるのかと思わなくもない。

 

 周りを見渡しても何もなかったように、元通りの四谷の光景だ。

 ビルの陰からこちらを伺うように那雲博士や他の隊員達が俺を覗いていた。

 とりあえずは安心していいのかもしれない。そう思った瞬間通信が入った。緊急用の警告音を響き渡らせながら、向こう側のオペレーターは一方的に残酷な事を告げた。

 

 『多数の竜種の襲来を確認、これによりただいまから〈ZOT作戦〉を発令致します。各ISDF隊員達は迅速に行動を開始してください』

 

 人類VS竜の三回目の戦いが、13班という主役達を抜きで始まろうとしていた。

 

 「噂もあながち嘘ではなさそうだ。彼も又地球が産み出した狩人なのかもしれないな」

 

 那雲博士は一人、通信を聞くトウジを見てつぶやいた。

 

 

 

 

 

 孫の為にISDFに戻り、世界中の優秀な知能とともに現状を打開するために研究に次ぐ研究の日々。

 

 研究員の中にも徐々に竜斑病にかかり始める者もいた。何十、何百の研究者達がいてその者達でさえきちんとした原因さえもわからない始末。過去にはこんな病なかったように思える。

 きっとそう遠くない内にこの研究所、全ての人員が病により死に絶える。それは何が何でも回避したい。

 

 だが現実は非常だ。完璧に治すような治療薬などない、なんとか誤魔化すものを作ることしかできていない。

 

 その中で、四谷にてフロワロの増殖が確認された。嫌な予感しかしない。

 どう表現したらいいかわからないがタイムリミットが迫ってるような感覚に捕らわれた。

 それでも精一杯の抵抗をしてみる。八十年前の彼らがやったように竜を殺すことなど出来ない。だがサポートならば出来る。ならば自分にできる精一杯を。

 

 自らフロワロ採取に乗り出し、護衛がつくことになった。その中には、ISDF横須賀基地のエースの一人の姿もあった。ユウマとは違う、どちらかといえば13班を思い起こされるような能力の持ち主。

 

 どうもヨリトモ達とは違い基地待機を言い渡されていたらしい。一度この目で直接、彼の戦闘を見てみたいとは思ってはいたものの、まさかこのタイミングとは思わなかった。

 それでも蓋を開ければマモノも竜の襲撃もなかった。何事もなく終わった事を喜ぶが、少し残念に思ったことも確かだった。

 

 それも帝竜が光臨する前の話だったが。

 

 

 

 全てが一瞬だった。地面の揺れに始まり、体が宙に浮き上がる。重力の無視、右に左に体を引っ張られるが体が何かに引っかかった。

 どうも空間の歪みで出来た高層ビルの中にある鉄杭が白衣に引っかかっている。運がよかったのかもしれない。それにどうも影響を受ける中心部から少し離れた所に飛ばされたらしい。そのおかげで右に左に引き吊り回されることはなくなった。

 

 一安心しつつ、一体なにが起こっているのかを焦る頭を落ち着かせるために深呼吸しながら目を開ける。まるでこの四谷が回し車のように回転していた。ISDFの隊員達も見事に翻弄され、明るかった空も急に黒に染まり始める。

 

 その中心には帝竜が君臨し、まるで王様のように振る舞う。

 

 その中で異質な光景を見ることになった。遠目にではあるが少しずつ帝竜に近寄るISDF隊員の一人の姿だ。

 体は振り回されているだが、体の正面を常に竜に向けている。この異常な現状に対応しようとしているのか。あれはもう人間を超えているとしか言えなかった。

 

 四谷がようやく落ち着きを見せかけた頃、彼は帝竜の頭へとたどり着き僅か一閃。四谷は瞬く間に元の姿に戻り、空に太陽も見えた。

 

 男はただ竜の上にいた。

 

 

 

 

 

 人々は逃げ惑う。おびただしいマモノと今まで教科書ぐらいでしか見たことがなかった竜の実物に恐怖した。

 車を踏み潰し、家を焼き払う竜に一般人なんて束になっても勝てるわけもなく、そもそも立ち向かう者なんて皆無だった。

 

 男だけじゃない、女も子供も殺されていく。

 

 その凄惨さ、正に生き地獄。

 

 世界中の誰もが助けの手を求めていた。

 

 「またせたなぁ!」

 

 男は笑った。

 

 「これ一回言ってみたかったんだよな」

 

 それから男は、竜を殲滅せんと動き出した。両手に愛刀を携えてこの地獄を駆け抜ける。

 

 




最近、『報われない男の物語』という原作が女王騎士物語の二次小説がハーメルンにマルチ投稿が開始されたということで、おすすめなので見ていただきたい。
 この小説を勘違いで書くことに決めたきっかけの一つです。
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