セブンスドラゴンⅢ~俺なんでかISDFやってます~   作:定泰麒

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chapter0.5

 

 「トウジ君は知っているでしょうか。伝説の13班の事を」

 

 「80年前の英雄ですよね。確かS級の能力者で構成されていたとかなんとか、今となっては謎も多いですけれど」

 

 「よくご存知で」

 

 「まぁ、割と常識なんじゃ?」

 

 「確かに、では更に聞きます。貴方は彼らに興味は?」

 

 「もちろんありますよ~。なんせ昔から知ってる英雄ですし、子供心に憧れてた時代もありましたから」

 

 「これはこれは…丁度いい。では今から国会議事堂行くのでついて来てください。マモノも出ますから装備整えて出発です」

 

 「えっ? 国会議事堂って今危ない場所の筆頭格なのでは? ていうか何しに?」

 

 俺の質問に答えず、ニタリと笑い黙るユウマ。なんだろう俺は今人生最大の危機をこの身に味わっているのではなかろうか。

 この横須賀基地に来て一カ月。どれだけの地獄の日々であったか。何度今日が命日と悟った事であろう。

 初日に配給された装備は、刀二本とショットガン。マモノが怖すぎてまだショットガンしか使ってません。

 ヨリトモさんとか、ユウマ君やばすぎんよ。近接戦闘の鬼だかんね。二人が前にいってぼこすかマモノやってるとこを二人から逃げたマモノをショットガンでぶっぱして即去り余裕です。

 

 そんな訳で有無を言わせずユウマ君に国会議事堂に連れて来られたのだけど。

 国会議事堂といえば嘗ての英雄が本拠地にしていた場所であるんだが、今は完全にマモノの巣になってる場所であり、ここに突入するなんて事は自殺行為に等しい。

 

 「とりあえず13班がいたとされる部屋に向かいましょう。今回は趣味のようなものなので、貴方には援護してもらいたい。まぁ危なくなったら刀を抜いてください」

 

 趣味でマモノの巣窟くるとかマジ戦闘狂じゃん。俺ユウマ君の趣味に殺されそうです。

 ヨリトモさーーーん。貴方ユウマ君の保護者なんだから、なんとかできなかったのーーー!!!

 

 

 

 

 

 「ユウマ、トウジの奴が来て一月近いがお前から見て奴はどうだ?」

 

 「なんというか、未だ本気を見せていないように感じますね。まるでショットガンしか使わず、刀を抜かない。何が彼をそうさせているのか、彼の本領は刀を使った近接戦闘とデータにありますので」

 

 「やはり、お前もそう思っていたか。まぁ最初の出動時に臆せず我らに付いてきてショットガンでの援護ができたのは賞賛モノだったが」

 

 「マモノ自体は弱かったですが数が数だっただけに、最悪ISDFにも被害が出ても不思議じゃなかった。でも彼の活躍もあり全く被害がでなかった。まるで新兵の活躍とは思えませんでしたね」

 

 銃による援護射撃。ISDFでは上等手段ではあるがマモノの数も多く乱戦になることも多い戦闘では援護射撃が満足に行えないことも多い。

 味方にでも当たってしまえば、それだけで大打撃だ。マモノは決して弱い存在じゃない。

 ラビというマモノの中でも最弱のような存在であっても一般人には死をもたらし、ISDFでも油断があれば被害があって然り。

 それだけマモノという存在は恐ろしい存在なのだ。ユウマでもヨリトモでも油断すれば即ち死だ。現実は非常であり、無情である。

 

 「竜を狩る者。伝説の13班達に対する敬称だが、彼らもまた人間離れした存在だったという。私はお前以外に初めてその存在を感じさせられたよ」

 

 「随分、彼を評価していますね。それにしてもどうすれば彼に刀を抜かすことができるのか」

 

 「奴をマモノの巣にでも突っ込ませればきっと抜くのであろうがな」

 

 「ではマモノの巣にでも突っ込みますか…」

 

 「…お前、それは本気で言っているのか!」

 

 「訓練及び探索という名目で許可を下さい。少なからず彼にも良い経験になるでしょうし、僕との連携もより昇華するでしょう。勿論私が前衛で彼にはフォローしてもらい、私が少しでも危険だと感じたら撤退しますので」

 

 「絶対に死ぬな、そして死なせるなよ。お前は人類の希望で、あいつには私も少なからず期待している」

 

 「当然です。では明日にでも行ってくるので、探索の様子はこちらにてご覧ください」

 

 こうして、ユウマとトウジの国会議事堂行きは決まった。既にヨリトモも承諾済みであり、元々トウジには拒否権はなかったも同然だったのだ。

 

 

 

 

 

 「マモノの巣窟と聞いてましたが、まだ戦闘らしい戦闘をしていませんね」

 

 まるでユウマが独り言のように呟いた。ここまで戦闘は5回ほどあり、俺は内心かなりビビっていたのだが目の前のユウマが一人で大活躍するので、何もしなくて良かった。

 まじぱねーっす。やっぱ本物のエリートちげーわ。ガチ勢じゃんよ。一応、アイテム類全部持ってきたけど必要なかったぜ。まだ何にも消化してねぇし。

 

 「知っていますか、トウジ」

 

 不意にユウマが声をかけてきた。その目にどこか喜びを感じる。貴方そんなに戦闘が楽しいんですか。もう一般人な俺は限界に近いです。

 

 「何をですか?」

 

 「嘗ての13班には凄腕の刀使いが居たらしいのです」

 

 「あー、それなら知っていますよ。なんでも女性の身でありながら人類の希望を背負った刀を持ったS級のサムライであったと」

 

 「そんな彼女の残した刀がここにあるとしたらあなたどうします?」

 

 「あるんですか。そんな刀がここに…」

 

 再びユウマが怪しい笑みを向けてくる。そして、喋らない。

 いや、答えんかい!!!

 

 この話題ふったのお前やないかい。もうやだこんな同僚。

 でも、そんな刀あったら見てみたい。真竜を倒した者が持っていた刀。そんなエクスカリバー的な伝説の剣みたいなもんやん。

 なんかそういうのロマンあるやつって男心をくすぐるよね。

 

 そんなこんなで奥に進む。戦闘があってもほとんどユウマ任せ。ショットガンしか使ってない。

 二刀流でチャンバラしか出来ない俺には近接戦闘は難易度が高い。

 ショットガンはその分楽だ。引き金弾くだけ。勿論相手に向かってだ。マモノのどこに当たるのは全て運任せ。拡散弾だから、敵にあたればいいのさ。

 

 さてさて、迷宮のような国会議事堂をさまよいつつ目的地も近くなったところでユウマが話しかけてきた。

 

 「実は、今回僕が貴方をこれに誘ったのには理由があります」

 

 「理由。さてなんでしょう」

 

 「一つは、先程話した刀を探索。もう一つ、いえ此方の方が重要です。それは貴方に刀を抜かせること」

 

 「俺に刀を抜かせることですか? どうしてまた?」

 

 一瞬、命の危機を感じた。もしかしてユウマ君に俺が刀を使うことが下手なのがバレたのではと勘ぐってしまったのだ。

 

 「今日まで戦闘する機会は多くありました。その中で貴方は一度も刀を抜いた事がない。データでは刀での近接戦闘が最も評価されているのにも関わらずです。そこで今回こういったことを企画したのです」

 

 言葉が出なかった。俺が近接戦闘で評価されてるなんて知らなかったし、刀抜かなかった事でこんな事につき合わされることに無情さを覚えたのだ……

 

 さて、目的地にたどり着いた。ムラクモ機関の13班の部屋。このどこかに本当に伝説の刀があるのであろうか…

 

 「ほんとに刀はあるんですか?」

 

 「わかりません。ですが、未だにその刀が見つかっていないことと、刀の保管場所という意味ではここが最も有力視されている事に間違いありません。ただ……」

 

 「ただ?」

 

 「ただ……一度ヨリトモさん率いるISDFの精兵達がここの探索をしたときに見つからなかったとのことです」

 

 「そんな……てことはほぼここには刀は存在していないということですか」

 

 「ええ、可能性は低くなりました。ですが!!!」

 

 PiPiPiPi……

 

 そのとき、唐突にナビからの通信音が入る。相手はどうやらヨリトモさんのようだ。

 

 『此方ヨリトモ! おい、聞こえるか! お前ら!』

 

 「こちらユウマ。どうしたのですか!」

 

 『今すぐそこから撤退しろ!!! そこに向けて無数のマモノが向かっているという反応が出た! それに中には竜の反応もでている! さっさと脱出するんだ!』

 

 心臓が潰れそうだ。きっと今俺の顔はひきつっている事だろう。

 竜との遭遇を考えただけで、死を連想してしまう。マモノどころの話しじゃない。

 竜によって人類は滅びかけた。それだけ竜という種族は人類にとっての天敵で最凶の相手だ。

 

 「竜…面白い」

 

 なんなんだよーーー! ユウマこのやろー! お前マジ死ぬ気か! 俺を殺す気か!

 

 『ユウマ、馬鹿言ってんじゃねぇ。それにトウジも何黙って笑ってやがる! お前ら命が惜しくないのか!!!』

 

 ビビって声出ないだけ、顔もひきつりすぎて笑ってるように見えるだけなんです!

 頼むこの状況なんとかしてくれ。誰か助けて……

 

 Gyaoooooooooo!!!

 

 ドアの外から無数の有象無象の叫び声が聞こえる。その中に一際大きい叫び声も混じって聞こえた。

 きっとその声こそ竜なのだろう。より明確に死を連想させられる。

 

 「ヨリトモさん、一応救援送ってください。僕は単騎でも竜の撃破は出来ます。それにトウジ君もいます。だから大丈夫です!」

 

 『……わかった。耐えろよ! すぐに俺もそっちに向かう。死ぬなよ!』

 

 詰んだ。俺の横でユウマが何か言っている。だがなんて言っているかわからない。

 その言葉を聞くことも出来ないほどに俺は動揺している。

 

 「…です。では、トウジ君後ろは頼みましたよ」

 

 最後だけ、耳に入ってきた。まだ動けずに居る俺。

そんな俺を尻目に彼はドアの向こうに飛び出した。

 ドアの向こうは、暗いのに怪しい光で満ちている。そして気づいたその光はマモノ達の目なのだ。

 何かに反射して目が光を放っているように見えるのか。それとも暗闇でも光る様になっているのか。どちらでもいいが、余計恐怖を感じる。俺が意識を失うのに時間はかからなかった……。

 

 

 

 

 

 『目を覚まして……、貴方は……。…の………そして、私の刀を一度だけ使わせてあげる。戦いなさい!』

 

 目を開ける。俺は自分でも何をしているのか解らないぐらいの混乱状態だ。

 さっきの声はなんだ?

 そして、俺が持ってるこの刀の内の一本には見覚えがない。

 身体に強烈な痛みが走り、倒れてしまいそうになる。

 だが、決して倒れはしなかった。何かが支えてくれているのだ。

 そして、その体を支えてくれる暖かいなにかが、俺の意識を覚醒させた。

 

 「まだ行けますか! トウジ!」

 

 ユウマだった。訳がわからないが流石の彼も息が上がるほどには大変な状況らしい。

 いつも礼儀正しい彼が俺を呼び捨てにしているのも一つのそれだろう。

 何故か、不思議と恐怖はない。

 

 「ギリギリだけど、なんとか君のお陰で意識がスッキリしたよ」

 

 「それはよかった。まさか竜が三体とはさすがに私でもきつい。それに君の持つ刀が折れた時は少し死を感じました」

 

 「わからないんだ。なにが起こってるのか」

 

 「…よく聞こえなかった。もう一度おねがいします!」

 

 会話の最中眼前に広がる巨大な鋭利な爪。それらに対処しながら喋るのも大変だ。

 それでも両手に持った刀を振るう。

 見たこともない一振りの方は無事だが、配給されたほうのはもうガタがきている。刃こぼれも激しい。

 というか、意識を失ってる内に何があったのだろう。周りを見るに無数のマモノの死骸と竜と思われる死骸が一つ。

 残るは前後の竜二匹というところか。

 

 「トウジ! ここでしかけます。これではじり貧だ! 私の援護を!!!」

 

 その言葉と同時に走り出すユウマ。

 ムリムリムリ! 俺の眼前の竜が俺めがけて攻撃仕掛けてる時に援護なんて無理だ!

 放たれる鋭利な爪によってついに壊れたガタがきていた刀。余計に手に力が入っていたのか、もう一本の刀もはじき飛ばされ無防備になってしまう俺。

 

 しかし、弾きとばされた刀はユウマの方に飛んでいき狙ったかのように竜の目に刺さる。

 くぐもった声を上げる竜。その隙をユウマが見逃すはずもなく竜に目掛け最大級の一撃を放つ。その一撃を受けて倒れる竜からユウマが刀を引き抜く。

 

 「お見事です、トウジ!!! そしてこれを受け取ってください!」

 

 ユウマは持てる力を持ってトウジに向けて刀を投げる。

 

 そして、見事にそれを取りそこなう俺。刀は竜の足元に。再び俺の命を刈り取ろうとする鋭利な爪。

 詰んだ状況再び。余りの威圧感にたじろぐ、迫る爪に足が絡まり後ろに倒れてしまう。それが運良く竜の爪を避けることに成功する。

 ユウマに助けを求めようと後ろを振り返るが、満身創痍だったのだろう地面に倒れ伏していた。

 

 どうしたらいい、どうしたら!

 

 その時、気が付いたのだ。俺にはまだ武器がある。背中にあたる違和感の正体に。

 

 そうショットガンだ。型名とか全然覚えてないがISDFの隊員に配備された最新式のショットガン。もし俺が意識のないなか使って居なかったとすれば、使えるはず。

 ショットガンをなんとか構えて、竜へと放つ。だが竜はたじろぐ程度で、最後の一撃には程遠い。あの刀ならばあるいわ!

 

 全力で竜の足元に落ちている刀目掛けて走る。ショットガンで牽制しつつ何とか刀の下へ。

 上を見上げれば竜が俺を見ている。まるで嘲笑うかのような雰囲気だ。

 一気に身体中の力が湧き上がるような感じがした。火事場の馬鹿力とでもいったらいいのか。

 その力を持ってしてようやく拾い上げた刀を切り上げる。

 

 「うぉりゃぁああああ!!!」

 

 世界がまるで左右で別れるような錯覚を覚えた。それが錯覚と認識するのに長い時間がかかったように思える。

 その錯覚が消える頃には、竜は左右対象に真っ二つになりその息を止めていた。

 俺はやったのか……

 再び意識を刈り取られる。だが今度は恐怖からではなく、強烈な疲労感からだった。

 

 

 




 書いてて思ったんですけど、勘違いモノくっそむずいですね。
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