セブンスドラゴンⅢ~俺なんでかISDFやってます~ 作:定泰麒
虚空と絶望と咲き乱れる綺麗な紅い花。どこか悲しいそんな妙な夢を見てしまった気がする。
瞼を閉じていてもわかるような明るさに思わず目を開ける。今度は開けたら開けたで余りの眩しさに目を閉じてしまった。
「ようやくお目覚めですね。トウジ君。御加減は如何ですか?」
目は閉じたままでも、その声の持ち主ぐらいはわかる。ユウマだ。
さて、どう答えたものだろう。体が重い、上体を起こそうとするも起き上がれない。
それでもなんとか口は開けることができそうだ。
「あまりよくはないです。体がかなり重いのですが……」
「あぁ体が重いのは仕方ないでしょう。貴方が最後に使ったエグゾーストの後遺症です。しばらく寝ていればそのうち治りますよ」
「エグ…? なんと?」
「『Exhaust』最後に貴方が使った能力ですよ。誰でもできるようなモノではないです。きっと貴方もなにか感じたのでは?」
「火事場の馬鹿力のことでしょうか? 竜を倒す時に漲ってきた」
「ええ、十中八九それのことです。嘗ての13班達も使えたとされたその技はISDF内で現在使えると確認されたのはヨリトモさんと僕。そして貴方だ」
「そんな、俺なんて唯の……」
「唯のなんです? 僕とともに無数のマモノを撃破し、竜を倒した貴方は唯のなんだと…?」
「……」
「貴方の謙遜は魅力でもあるのかも知れませんが、やりすぎれば短所にもなります。何があなたにそうさせているのか、僕にはわからない!」
黙るしかなかった。ついこの間まで唯の一般人でしかなかった俺も、今では竜を倒した人間だ。
ほとんど意識ない内に行われた行為だったが、最後は自分の意識でもって竜を倒したんだ。
それでも、何故ユウマがそれに対して怒ったのかが疑問に残る。
「そこまでにしとけ、ユウマ! トウジも今意識が覚醒したばかりなんだ」
「くっ……! 失礼します」
ヨリトモさんだった。きっと今までそこにいたのだろう。生憎まだ目が開いてない状態のために気づくことが出来なかった。
「ヨリトモさん……俺はどれほど寝ていたのですか?」
「二日だ…。ボロボロの状態でエグゾーストを使ったんだ。体への負担も大きい」
「死ぬかと思いました……。何があったかよく覚えていません。唯、いつのまにか見慣れない刀を持って竜を切ったのは覚えています」
「それも仕方ない。戦闘のダメージがそうなっても仕方ない程に大きかった。言葉で説明しても難しい、後で映像を見せよう。君らに取り付けていたカメラの物だ」
「ありがとうございます」
気になってたのは、ほんとにそこなんだよ。恥ずかしい話だが、俺怖すぎて気を失ったよな?
あれほんとどうなって、ああなったんだ?
早く映像がみたい。
「他にはなにかないか?」
「……。そういえばあの刀は?」
「あれはお前らを回収した後に技術班の方に回されたよ。お前も予想しているかも知れんが『天叢雲剣』そのものだったようだ。良いデータになるだろう」
余計に謎が深まる。意識を失ってる時、妙な声が聞こえて『天叢雲剣』を持っていたっていう事なんだが、俺に一体何があった。
「そうですか……」
「俺からもいいか?」
「ええ、どうぞ」
「ユウマの事なんだがな……。あいつの事を頼まれて欲しい。詳細は言えないがあいつは特殊な生まれだ。さっきの事も大目に見てほしい」
ユウマ、ユウマなぁ~。普段は良い奴なんだが戦闘狂。それにどこか陰がある。
さっきだってなんかしらんが怒られた。
でも、トータルして仲良くはしておきたい。実際あいつに命を救われたもんだし、同年代っぽいし、先輩だしな。
「もちろんです。今回の事は原因はユウマにもありますが、私にもあると聞きました。それに今回こうやって生きて帰れたのも彼のお陰でしょう」
「すまん。そう言ってくれると助かる。それに今回の事の原因は俺にもあったんだ。竜種の出現等予想もしていなかった」
「本当に第7の真竜が生まれようとしているのですね……」
そうISDFの隊員として、この基地に来た時、告げられていたその事実。
第7の真竜の出現。最近のマモノ出現と妙な流行り病。全てはそのせいだという話しなのである。
当然、一般人には知らされない事実だ。
最初は眉唾モノだったが、マモノを狩ったり、更に流行り病の患者、目に見える形で増えている。
そして、今回の竜種の出現は俺の中で眉唾から事実へと認識を変えるのに時間はかからなかった。
それからまた時は経ち、翌日にノーデンスへの検査を控えたその日の事である。
あれから、竜種の撃破を評価され新兵でありながらも階級があがった。
それでもヨリトモさんの部下というのは変わらず、同僚のユウマともそれなりにやっている。
ユウマも君付けから、呼び捨てへと変わり。俺も俺でユウマへの敬語を止めた。
勿論双方ともの合意の元だ。お互い背中を預ける中なのだ、堅苦しいのは止めようとなった結果だ。
割と仲良くやれてると信じたい。
明日のノーデンスへの検査は骨が折れそうとの事だ。
新しく配備された刀二本とショットガンを手入れをしてその日を終えた。
翌日、ノーデンスにて。
一人の英雄が誕生しようとしていた。
切っ掛けは、ある日拾った広告チラシ。どうやらバーチャルでかつての竜災害を題材にしたゲームが出来るという宣伝チラシ。
無性に興味を惹かれ、その場に行くことに決めた。
いざ行ってみたは良いものの、途中聞こえてきた話しによるとそれをするには大金がいるとのこと。
でもそれでも、なんとかなる気がして、それにここまで来たのだからとひとまずセブンスエンカウントに赴いた……。
入り口まで来ると、奇妙な耳の長い生物? いや、機械かなにかだろうそれによって入場する事は叶わなかった。
無駄足だったかと落胆していると、一人のまだ幼い少女が一緒に入らないかと声をかけてくれた。
どうやら彼女は、招待状という物を持っているらしい。
しかも、S級の招待状だ。それにはもう一人連れて行くことができると書いてあった。
それには先ほどの耳の長いナニカもたじたじであり、かくして二人の少女はセブンスエンカウントに入れる事になった……。
まだあどけなさが残る幼い少女は『ミオ』と名乗った。
いざ、ゲームをする事となりミオがナビゲートを少女はプレイヤーとして竜へと挑む。
その際に選択した職業はサムライで何となくその手に持った刀が自分の手に馴染む気がした。
マモノに対して刀を振るう度に強くなるような感覚を得られる。
ナビを担当しているミオはその才能を生かしてより巧みにより正確に情報を伝え、刀を振るう少女は戸惑う事なく最上階へとたどり着いた。
待ち受けていたのは、竜。しかも帝竜級だ。
いくらゲームと言えども、その威圧感、息づかい、爪や牙に恐怖を感じる。
それでも少女は、刀を振るった。一人対一匹。
白熱した戦いに外でその様子を見ている野次馬もヒートアップしていた。
まるで魅せる様な戦いに、心が熱くなり応援せざるを得ない。
結果、白熱した戦いを制したのは少女だった。
それは誰にとっても衝撃的だった。単騎撃破に加え、魅せる戦いに、今までの誰よりも高いトップスコア。
当然それはセブンスエンカウントを運営しているノーデンスにも見られていた。
そこで所謂、スカウトをノーデンスから受けた。
ゲームと思ってやっていたものがどうやら深く現実に関わっているらしい。
世界を救え。竜のデータを集め、時代を超えろ。
訳もわからないまま、それでも他人事ではないと思った少女はいつの間にか頷いていた。
そして、その最中にヨリトモ率いるISDFが会議室へと到着した。検査という名目だが実際には、タイムマシンを開発したとされるノーデンスにISDFへの技術提供を受け入れさせるためだ。
しかし、そんな話しなど少女の耳には入って来なかった。一年ほど前にISDFに徴兵された幼なじみの姿がそこにあったのだ。
昔からなんでも出来たのに運がいいだけとずっと謙遜する奴、マモノを装備もなしで撃破した日から何も言わずに消えた奴。
「あんたなんでここにいるのよ! 『トウジ』」
それから昔からよく見てきた苦笑いをする幼なじみに何も言えなくなった。
それには罪の意識があったのかもしれない。少女が買い物に付きあわせる事がなければ今日この場で再会する事になるはずはなかったのだから……。
「まさか、ここで会うなんておもわなかったよ『キリカ』」
プロローグは唐突に訪れ、そして気づけば終わっている。
運命とは定められている。ただそれが絶対という訳ではないというのもまた……。
超えよ、時代
断てよ、宿命
今、終劇の幕があがる
伏線張るの楽しいけど雑だなと思う今日この頃。