セブンスドラゴンⅢ~俺なんでかISDFやってます~   作:定泰麒

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chapter0.99

 

 まさかもまさか。あんなとこでキリカに会うとは思いもしなかった。

 

 『矢射場 桐香』

 

 自他共に認める幼なじみ。今まで散々俺の事を勘違いしてきた筆頭格。

 例えばこんな事があった。割と大事な時に働く運が連続的に作用してしまった事がある。

 テスト勉強する時間がなく、全て山勘で受けた時があるのだ。その時オール90点以上の成績を出して学年で一位になってしまった。

 何時もなら、高々180人中50位前後だ。そんな俺が急に一位を取ったので流石に学友達がなにやったんだと聞いてきた。

 というか勉強して、テスト受けるよりも山勘の方が点取れるとか自分にショックを受けてた俺である。

 そんななかでキリカは、一人勘違いしてる様子で「ようやく本気だしたのね」と告げた。

 

 俺が知る限りこのキリカ、努力の塊だ。それに元が良いらしくやればなんでも出来る少女だ。

 昔から俺とキリカで散々遊び回ってもいたんだが、なぜかライバル視をされていた。

 そこらへんの男なんかよりも、運動が出来て頭も良い。ちなみに普段ならば学年一位は彼女だった。 

 

 学年一位の才女がそんな事言うもんだから、俺の評価が学友、教師を始め予想以上に上がった。

 次のテストで何時も通りにやっていた結果、再び順位は50位に戻ってしまった。

 その学期の成績表には散々書かれた気がする。やれば出来る子とか書かれたの小学生以来だった。

 

 過大評価されて、普通にやれば怒られるとかやってらんないってそん時はよく思った気がする。

 

 まぁそんな幼なじみなんだが、別に嫌いでもなく。あの買い物に出かける時までよく連んでいた。

 何も言わずに行ったのも心配させたくなかったからで、ISDFなんか秒で止めてくる予定だったからだ。

 流れに流され、今ではISDFのエースだよ。世の中おかしい。ほんとおかしい。

 

 

 

 「面白かったわね~ISDFの連中♪ 人が造った戦士に、人類の進化を否定する剣士、それと歴戦の生ける英雄か~」

 

 「面白くないわよ。あんな連中に私の研究を使われるなんて真っ平ごめんも良いところだわ!」

 

 「まぁまぁ、ジュリエッタ。いいじゃない計画のためには彼らは使えるわ~」

 

 ノーデンス会議室でなにやら怪しい動きがあったその裏でキリカは久しぶりに再会したトウジを問い詰めていた。

 

 「なんで何にも言わないで行っちゃったのよ! 高校最後の年の途中で消えちゃって! ほんとみんなどれほど心配したのかわかってるの!」

 

 「俺もこんな風になるなんて思いもしなかったんだ。すぐに誤解が解けて学校に戻れるはずだった。なのに気づけばこうだ。勘違いにも困ったもんだよな」

 

 「またあんたはそんなことをいう。あなたは出来る人なのにどうしてその才能を偶にしか見せないの! 正直、私はあなたにずっと馬鹿にされてるようだった」

 

 「馬鹿になんかしたことないさ。実力以上に運がよかった。ただそれだけ。お前さんの方が才能あるのは間違いない」

 

 久しぶりに会ったせいだったのだろうかキリカはありったけの言葉でトウジをなじった。

 トウジもトウジで困り果てたものだった。

 自分が知っている幼なじみはこんなに感情を爆発させるほうでもないし、久しぶりに会ってこんな風に攻められることなんて予想さえしてなかった。

 

 「いつもそれ、運がよかった。勘違いとかもうその範疇を超えているわ! もういい、今日はもう話したくもない!」

 

 「なんかすまんな。明日から共同で任務だ。お互い頑張ろうや」

 

 トウジはかくして横須賀基地へと帰還することになったが、その心中では“おんなってめんどくせーーーーー”と思っていたとかいないとか。

 

 

 

 しかし、そこで帰るに帰られない事情が発生する。

 突如としてノーデンスにドラゴンの襲来があったのだ……。

 ナガミミと呼ばれる不思議な生物がそれを伝える。

 

 「ミオが危ない!」

 

 そう言って武器も持たずに飛び出して行った幼なじみの姿にそういうとこ変わってないななんて思った。

 きっとあいつの頭には今、その『ミオ』という少女を助けることしか考えていないだろう。

 俺もそんな彼女に助けられたことが少なからずあった。

 

 「たくっ、どっちが馬鹿なんだか……。至急ISDFを呼び戻してください。俺はあいつの援護及び民間人の救助をしてきます!」

 

 ノーデンス社長にそれだけ通信で伝えて、キリカの下へと向かう。

 場所はわかっていた。自分を乗せた下降するエレベーターにイライラしてしまう。

 

 エレベーターがようやく付いた時には既にキリカがドラゴンと対峙していた。

 後ろに怯える少女を庇いながら竜との戦闘なんて命が幾つあっても足りない。

 全速力で二人の下へと走った。

 

 「キリカ! 後ろに引けーーー!!!」

 

 「あんたどうして!」

 

 そんな会話もつかの間、トウジは全速力によるスピードからの跳躍、そして竜に向けた二本の刀を突き刺そうとする。

 だが、それを食らうほど竜は甘くない尻尾にてトウジを凪払いものの見事に吹き飛ばされた。

 

 だが、まだ運は彼を見放す事はなかった。二本の刀が吹き飛ばされた時に手元から離れ、一本はキリカの方にもう一本はあろう事か竜の脳天に突き刺さったのである。

 本来竜の脳天に突き刺さるほど、頭が柔らかくもなければ刀も鋭くはない。

 でも事実、刀は竜の脳天に直撃し見事倒している。

 

 キリカはその光景を見ていて、トウジの戦闘スキルの高さに驚愕していた。

 

 あれはわざと敵に弾き飛ばされたのだと……

 

 セブンスエンカウントをしていた際での竜との戦闘で竜は学習し成長する頭の良い生物だということはわかっていた。

 でも所詮はデータだ。それにも限界がある。となれば現実ではどうだろう。その知能は計り知れない所がある。

 

 あの瞬間、彼が私に声をかけた時。竜は間違いなくトウジという存在に気づいた。

 だからこそ、私達への攻撃が遅れトウジへ尻尾を凪払うしか出来なかった。

 それを間違いなくトウジは読んでいた。だから一撃を食らう覚悟をしていたのだろう。

 一方の刀は武器も持ってきていない私の方に投げつけた。だがそれは一応の手段。

 本命はスピードの乗った跳躍から勢いのある刀を竜の攻撃による慣性さえも利用し大きく大きく上へと投げ出された刀を竜に向けて突き刺す事。

 彼は一瞬の内にそれを脳内でシュミレートしたに違いない。しかも何回も何十回もだ。風さえも計算しどこに投げ出し、どこまで上に飛ばせば竜の頭に突き刺さるのか。まるで神業。重力や風という自然の摂理さえも利用した強烈な一撃。

 結果は正にお見事としか言えなかった。竜も流石に脳天への一撃には倒されるを得ず、苦悶の表情を浮かべ命を散らしていた。

 

 「キリカさん…もしかして今彼はわざと……」

 

 ミオも彼の魅せた技に気づいたのだろう。ミオには戦闘能力はないもののS級のナビゲーターとしての才能があるらしい。

 そんな彼女も今のを見て偶然とは思わなかったのだろう。

 

 「ええ、私もそう思う。あいつは昔からそんな奴よ。そして最後にこういうの『運がよかっただけだよ』って苦笑いしながらね」

 

 立ち上がり、こっちに向かって苦笑いしながら駆け寄ってくる彼を見ながらそんな言葉をミオに呟いた。

 

 

 

 

 

 まじ死ぬかとおもったーーー!

 くっそ締まらねー。カッコ良くヒーロー登場的なことやってしまった結果これだよ。

 超腹いてー。ほんと俺よく生きてるわ。

 

 刀とか両方ともすっぽ抜けるし、一本はキリカの足下突き刺さってるし。

 そんで持ってもう一本は竜の頭突き刺さってるし。一体俺が吹き飛ばされた後なにがあったんだ……。

 

 「トウジ大丈夫?」

 

 「なんとか腹が痛いぐらいですんでる」

 

 「ほんと馬鹿ねぇー。無茶しすぎよ」

 

 「お前に言われたくないさ。そこの女の子助ける為に武器も持たずに飛び出すとか馬鹿だわ」

 

 「うっ……。それは……なんにも言えないけど、あんたこんな事出来たのね!」

 

 「こんなことって?」

 

 「またいつものなのね……」

 

 その言葉の後に、ため息をつかれた。変わってないなぁなんて小声でいいながら、俺を見るキリカ。

 

 「あんたが吹き飛ばされた時に、一本は私の方に飛ばして、もう一本を空に投げて竜の脳天に突き刺した。こんな技そうそう出来ないでしょ」

 

 えっ! これ俺がやったん!

 

 あまりの驚きに声さえも出ない。顔は苦笑いで固まったままだ。

 

 「どうせあんたの事だから運とでも言うんでしょ」

 

 「……。偶然だよ、運がよかった」

 

 キリカの表情にも諦めが見える。ずっと昔からこの顔を見てきた気がする。

 

 

 

 だが、そんな会話も長く続けることは出来なかった。新たな竜の襲撃があった。

 しかも帝竜級。当然竜のなかでも最強クラスの敵だ。

 

 急いで刀を竜の頭から抜き取り、暫定的にキリカの足下の刀はキリカに預けた。

 

 正直一刀流は苦手だ。無理に刀を使うよりショットガンを使ったほうが援護がしやすい。

 本来ならば撤退してるとこだが、キリカは戦う気まんまんだ。

 帝竜がこっちに目線を向けている隙にミオちゃんをノーデンスの内部に逃げ込ませ、あるモノを頼む。

 

 久しぶりにじり貧の感覚を味わっている。ミオを逃がしてから何分経ったのか。やはり銃だけだと援護しか出来ないのが大きいのかも知れない。

 

 キリカも同じ事を思っているのだろう。だがその目は死んでなどいなかった。

 必死で帝竜に切りかかる所を、キリカに攻撃の手を受けさせないように銃で援護する。

 割と息は合っているのではなかろうか。まぁ十数年来の友人だ。息が合わない訳がない。

 

 それでもお互いに疲労は募る。そんな時ようやくミオちゃんに頼んでおいたモノがキリカの手元へと投げ出される。

 即ち、彼女の為に創られた彼女の為の刀。セブンスエンカウント内で得られたデータを元に僅か数時間で出来上がった現代科学の賜物である武器。

 きっとよくキリカの手に馴染むだろう。

 

 キリカはニッと笑うと俺に向けて貸していた刀を投げた。

 どうやら、彼女の真価は一刀流による居合いの型にこそあるらしい。

 彼女が刀を構えるとまるで世界が変わったかのような雰囲気になる。

 

 俺の目にもやっとで捉えることが出来る剣速で、これにはドラゴンも攻め倦ねているようだ。

 

 俺も俺で、ようやく二刀流になり納めていたほうの刀を抜き放つ

 ここに来てキリカとのアイコンタクトを取る。お互いそろそろ限界に近い。ならば持てる全てを出すのみだと。

 キリカが居合いから抜刀術へ。

 

 不思議とあの時の感覚が蘇る。確かユウマが言っていたエグゾーストという奴だ。

 

 「力閂オロシ!!!」

 「割きモミジ!!!」

 

 技を出したのは同時だった。お互いがお互いに当てないようにしなくてもいいようなレベルで息が合っていたと思う。

 技を出し終わり、後ろを振り返れば帝竜が倒れていた。

 

 それを見終えた後、キリカは倒れるように意識を失っていた。

 

 その後、ISDFの援軍が来るまでなんとか彼女を守り抜いて俺も倒れてしまったのである。

 

 「すまん、後は頼んだユウマ」

 

 「ええ、無論です!」

 

 またISDFになって何度目になるかわからない気絶をすることになった。

 

 

 

 『運命が変わるに、時間軸が変わるのもまた必定。だが運命による結果が変わることはない』

 

 どこかで、なにかの声がした。

 




 やっとこさ、プロローグ終了。久々に書いたけど既に出来上がった物語を変えるってやっぱ大変だよね。
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