セブンスドラゴンⅢ~俺なんでかISDFやってます~   作:定泰麒

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chapter1.4

 

 そいつは余所から来たのは間違いなかった。

 まず、俺たちルシェとは違う容姿だしなによりここいらであんな出で立ちをしてる奴は見たこともない。

 当然最初から監視していた。ルシェには石の声が聞こえる。奴に感して石は何も教えてはくれなかった。

 それも余計に怪しむのに拍車をかけた。

 

 監視していて、純粋にその戦闘力の高さに驚愕した。

 奴は走って、マモノや竜から逃げていた訳だがそれ自体普通の奴には出来ない。

 

 だってそうだろ。まだ一体に追いつかれたら振り切れるかもしれないが、奴は十体以上のマモノに同時に追いかけられさらに二匹の竜にも追いかけられていたのだ。

 そんな同時に追いかけられてたら、命が幾つあっても足りない。

 しかも、何故か少しずつマモノの数が減っていく。

 ありえない。その減っていくというのはマモノ達が追いかけるのを諦めたという訳じゃないのだ。

 

 そして俺は違和感に気づいた。奴は走りながら、後ろに何かを投擲していた。

 よく見ればその投擲している物は石だった。

 このクラディオンに落ちてる石なのは間違いない。見ればわかる。

 石は硬く鋭い物がここにはよく転がっており俺自身も牽制程度にはよく使っているが奴はそれを必殺の武器として使っているのだ。

 

 倒れたマモノに近づき、その当たった箇所を確認した。

 全て急所に当たり突き刺さっている。有り得ない。石よりもマモノの方が硬くここの石がどれほど上質でも原石のままじゃ到底突き刺さる事など……。

 

 もう一つ、恐ろしい事があった。奴は一度も振り返る事がなかったのだ。

 だからこそ、石を投げていることに気づくのが遅れた。

 俺が全力で投げてもマモノに石は突き刺さらない。なのに奴は振り向かずに石を投げて、全てマモノの急所に当て絶命させた。

 

 奴がようやく俺たちの居住区につく頃にはマモノは全て倒し、竜も奴に恐れをなしたのか追いかけることを諦めてどこかに消えていた。

 俺はこんな化け物相手にどう戦えばいいのか……。

 

 ええい! 考えても対策が一切思いつかん! 差し違えても村を守るぞ!

 

 

 

 

 

 「戦う気はありません。どうか剣を納めてください!」

 

 「ああん! てめぇみてぇな化け物の言葉なんて信用できるかよ!」

 

 なぜだろう。何故俺は化け物扱いなんだ?

 

 うん? そうか! わかったぞ!

 

 俺が余所から来たから化け物て捉えてるのか!

 そうだよな。だって俺たちも宇宙人みたら化け物って思うもん。実際竜とか宇宙からきてるし~。

 

 さぁでも問題はどうすれば、信用を得られるかだな。

 仕方ない。ここは正直に聞こう。

 

 「あのほんとに害意なんてなくてですね。それで直球なんですがどうしたら信用してもらえますか?」

 

 「てめぇなんか信用できるかよ! 差し違えてもここへは踏み込ませないぞ!」

 

 これ駄目だ、完全な拒絶だよ。もうなんなんだよ。みんないねぇし、迷子だし、竜に追いかけられるし、ついてなさすぎる。

 

 「くぅーじゃあ分かりました。武器を捨てたら話を聞いてくれますか?」

 

 「はん! 俺は知ってるぞ! てめぇは武器なんかなくてもつええって事わよ!」

 

 「しょうがない最終手段です。ここはって!!!」

 

 話してる途中で容赦なく、短剣で切られかけた。

 この種族の人達は、戦闘民族なのであろうか?

 

 ぎりぎりで避けたものの、唐突な一撃によろけて後ろに何かに躓いた。

 マズい。これそのまま行くとこけるパターンだ。しかも相手は容赦なく突っ込んできてる。しかも物凄い速さだ。

 

 案の定、後ろに転けてしまったんだがその時に右足が何かに当たった。

 そんでもってあれ追撃が来ないと相手をみると苦悶の表情を浮かべて地面に膝をついている

 

 「ちっ!!! てめぇはやっぱここでなんとかしねぇとな!!!」

 

 「大丈夫ですか? なにか辛そうですが」

 

 「あんっ!? てめぇがやったんじゃねぇか。それにしても男の急所狙うとは、急所狙うのはマモノと竜ぐらいにしときやがれ!!!」

 

 そこで全てを察した。相手はあの時俺に全力の速さで追撃に来た。後ろに転がりそうな相手なんて追撃するにはベストなタイミングだ。

 だがそこで予想外のカウンターがあった。

 相手は短刀で一撃を狙うなら頭か心臓だからかなり至近距離じゃないと不可能。実際かなりの至近距離まで近づいた。

 そこで俺が丁度転けた拍子に右足が上がってしまった。そしてある部分がその右足に直撃した。

 

 ある部分とは即ち、男の急所だ。

 考えただけでも、ゾッとする。相手は心なしか脂汗も出てるように見える。

 俺にとっては運がよかったが、相手にとっては地獄だろう。

 

 いつの間にか俺も股間を抑えてしまっていた。

 

 

 

 

 「トウジがいない! あいつどこ行きやがった! 他にいない者は誰かいるか!?」

 

 「各班、全員集合を確認しています!」

 

 「トウジの奴だけがいない。これはおかしいな」

 

 「もしかして先行した13班の彼らについていったのではないでしょうか?」

 

 「もしそうだとしても、それは軍規違反だぞ! 連絡はとれないのか!」

 

 「既に連絡は入れています。ですが、応答がありません。きっとあっち側の通信機が壊れているのでしょう。それにごく稀に違う場所に送られるとノーデンスの技術部長も言っていました。最悪我々と違う場所に転移してることもあるかも知れません!」

 

 「くっ! 仕方ない、敵を殲滅しつつ13班に合流するぞ!」

 

 ISDFの面々は、いないトウジについて多少議論をした上で先へ進むことになった。

 ISDFにという軍において命令違反や規律違反は即ち、最悪処刑にも成りかねない行為でありトウジのみここにいないのは集団を乱す行為だ。

 要するに事と次第によっては、トウジは……。

 

 

 

 一方、その頃。

 

 13班はこのアトランティス海洋王国の王女と会っていた。

 

 王女は絶望していた。第3真竜ニアラによって滅ぼされつつあるアトランティス。

 ニアラ討伐に行き返り討ちに遭ってしまい王であった父も死んでしまった。

 平和で美しかったこのアトランティカも多くの土地がマモノに浸食され、国民の犠牲は数え切れない。

 

 でも微かに光が見えたようなそんな気分を味わっていた。

 

 だが、その光の灯火はすぐに消えた。そして、13班に別れを告げて去っていった。

 

 「儚さを感じさせる王女様でしたね。私もいろんなお方に御仕えしましたが、その中でも一番だったかも知れません」

 

 「きっと彼女も大変なんだろうね~。多くの人が亡くなったんでしょ?」

 

 「途中で助けた人達が言っました。ここで助けて貰えたのは運が良かったって……」

 

 救助した人達の瞳には皆一同に悲しみの感情が写っていた。

 それは当たり前だった。13班がアトランティスに来たのはついさっきのこと。だがニアラはもっと前にこのアトランティスに来て多くの被害を与えている。

 救助した人達の家族も殆どニアラによる被害によって殺されているか、行方不明になっていた。

 

 「どうしたらいいんでしょうか……私達は……」

 

 「倒すしかないでしょ~。あの真竜ニアラをね!」

 

 

 

 13班は高台の竜種狩りを行う。まだまだ経験不足感は否めないが、今朝組んだばかりの筈のチームでの動き、そして各々の能力を生かし今出来る最大限の動きをする彼らの素質は計り知れない。

 

 そんな様子ヨリトモとユウマも見ていた。

 

 「やはりあいつら普通じゃないな」

 

 「まだまだですが、彼らが経験を積めば私も危ういかもしれません」

 

 「ふむ、それにしてもトウジの姿が見えない。奴らに話しを聞くか」

 

 「……ええ、今はそうしましょう」

 

 こうして、13班とISDFはアトランティカの高台にて合流することになった訳だが……。

 13班もまたトウジの居場所は知らなかった。

 

 「トウジの奴。また消えたの!」

 

 「また? 以前にも消えた事が?」

 

 「今回とは少し違いますけど、ISDFに徴兵された時です」

 

 「あ~、そのトウジ君っていう子がキリカの知り合いなのね~恋人かしら~」

 

 「なっなに言ってるんですか!? そんな私とトウジは唯の幼なじみです!」

 

 「う~ん。その割には顔が朱いぞ~」

 

 「メイさん、いい加減にしてください!」

 

 トウジがいないという緊急事態にも関わらず少しずれていた会話にヨリトモが待ったをかけた。

 

 「これはまずい事になっている。おい13班、至急ノーデンスに連絡しろ! 1人、行方不明で連絡つかないと」

 

 「はっはい! ナガミミ、聞こえた? ト、トウジがいないのよ。場所わからない?」

 

 「あーん? なんだっけ、あーあのお前と昨日一緒に戦ってた奴か。 待ってろよ……。はっ! どうやら丁度良いらしいぜ。奴は次の目的地にいるぞ」

 

 「次の目的地?」

 

 「あぁ、クラディオンってとこらしいぜ」

 

 キリカには何やら嫌な予感がよぎっていた。

 

 

 

 




 
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