セブンスドラゴンⅢ~俺なんでかISDFやってます~ 作:定泰麒
「13班急ぐぞ! トウジはこの洞窟の奥にいるらしい」
「道中かなりのマモノと竜に遭遇することが考えられます。気をつけて進まないと」
「マモノと竜。トウジは無事でしょうか……」
「わかりません。ですが、彼なら生きているでしょう。運が良かったなんて言って」
「…そうですね」
13班と共にヨリトモとユウマも洞窟の奥へと進む。
昨日まで実践をしたことがなかったのが嘘だったかのようにひたすらマモノを狩り、竜を狩る13班にヨリトモは改めて驚愕し、彼らを見て伝説の13班を思い浮かべた。
「おかしいですね」
ふと、ユウマがヨリトモの後ろで呟いた。眉間に皺を寄せている所をみるとなにか考え事をしているのは見てとれた。
「なにがだ?」
ユウマの呟きを聞き取ったヨリトモがユウマにその意味を聞いた。そのヨリトモもまた何か違和感でも感じているのか、彼も眉間に皺を寄せていた。
「マモノ、竜の数が多すぎはしませんか?」
「確かに多いが、多すぎとはどういうことだ?」
「まずアトランティスにニアラが来ているという事実が前提条件でありますよね……」
「あぁ、まだ詳しい住処は判ってはいないがこのアトランティスのどこかにいるのは間違いない」
「ですよね。昔の文献にも竜あるところにマモノありと書かれていたように、竜の数が多ければ多いほど相対的にマモノも増える。それが今僕たちがいる洞窟でも同じようにその現象が起きている訳てすがトウジは一体これをどう切り抜けたのでしょう」
「一番の疑問はそこか?」
「はい。ここにくる前にポータルでジュリエッタさんにトウジの辿った道筋を解析して貰いましたよね。それで今我々は彼が辿った道順通りに来ているなのにこれ変ですよね」
「何が言いたいんだ。もう少し詳しく話しをしてくれ」
ヨリトモはユウマが言いたい事を少しばかり理解することが出来ていなかったが、それは話を盗み聞きしていた13班達を一緒だった。
ユウマの感じている違和感は分かる。でもその正体がイマイチ掴めていないのだ。
「通常マモノと竜を倒すとDzであったりAzを落として消える訳ですがトウジの通った筈のこの道にそれらしき物が一切ない」
「トウジが拾ったのでは?」
「私が彼ならばまずマモノと竜を相手にしません。ただひたすらに逃げます。装備は持っていても、一人でこれだけのマモノと竜を相手にしていたら絶対に死ぬ。しかも彼は地図さえもない状態でここに放置され、連絡も取れない。人間がそのような極限状態になったらまず逃げる事を考えます。そして比較的に安全と思える場所救助が来るまで待つ」
「でもそれはこの洞窟において不可能じゃないか。これだけのマモノと竜がいたらいずれ四方八方を敵に囲まれる」
「その通りなんです。だから疑問に思ったのです、どうなったらこの不思議な状況になったのか。トウジの実力なら四方八方を囲まれても一転突破で逃げおおせることは可能でしょう。ですが、その際にDzやAzを拾うことなど不可能に近いでもそれらがない。これはおかしい」
「そうだな……。だが、トウジがISDFに徴兵されるきっかけになったときも不思議な事が多かった。今回も又、その時と同じ様な状況になっているのかも知れないな」
「また……運ですか」
「……」
「運だけなんて有り得ない。彼にはなにか秘密がある。それが未だに分からないのです。彼の事は信用も信頼もしています。ただ、分からない事が怖いのです」
分からない事が怖い。キリカもまた似たような思いを抱いた事があったのを少し思い出した。
幼なじみの『春峰冬司』は昔は、こんな存在ではなかった。だがいつからか普通とは違ってきたのはいつだったか、今になっては思い出せない。
ただ、その忘れたなにかがとても大事なナニカな気がして怖くなるのだ。
トウジは昔からなんでも出来た。だから、負けないように置いてかれない様にひたすらに追いかけた。だがいつからかそのなんでもを運がいいと言うようになり、気づけば彼を追い越していた。
でも、彼がたまに見せる『運がいい』という行為は遥かに自分を上回っている様な事だ。だから、キリカはトウジの『運がいい』という言葉は本気であるという意味で取るようになった。
そうでもしなければ、彼という人物を理解出来ないと思ったのだ。幼なじみ以上の想いを抱いた彼に置いて行かれたくはなかった。
「これまずいよな~。現地人との戦闘とか許可されてないし、逆に友好的にっていう話だったのに」
眼前で苦悶の表情を未だに浮かべている尖った耳のバンダナを巻いた青年の対処を考えつつ、これからどうすべきなのか非常に困った。
因縁つけてきたのはあっちだけど、先制の攻撃を当ててしまったのは俺だし。
もう考えるの放棄して、ここでひたすら救助来るの待とうかな。
「なぜお前は俺たちを襲いに来た!」
「襲いになんて来てません。どちらかと言えば守りに来たんです」
「あぁん? そんな嘘、俺に通じると思うなよ。どうせ竜に襲われる俺達の住処に泥棒でもしにきたんだろうが!!」
こいつ……、被害妄想激しすぎはしませんかねー。
いや、でも状況を考えれば仕方ないのか。周りには竜とマモノ。滅ぼされるのも時間の問題と思ってるとこに、救いに来たって言ったって嘘に聞こえるか。
「どうしたら信じてくれる? 俺は本当にこのアトランティスを救いに来たんだ。厳密に言えば真竜ニアラの討伐だが……」
「一人でか」
「違う。仲間達と共に来たはずだったのに一人はぐれてしまったんだ。でも奴らは優秀だから、俺の場所くらいすぐ突き止められるだろう」
「そいつらはお前よりも強いのか?」
「強い。俺なんかとは比べられないくらいに」
「そうか……。だがお前はまだ得体がしれない。取りあえず信頼して欲しいというのなら、武器を渡せ。そして、拘束させろ」
なんか行ける雰囲気だな。ここは大人しく言われた通りにするか。ヨリトモさんやユウマがなんとかしてくれるだろう。
「わかった。言われた通りにしよう」
腰につけていた刀と、背中に装備していたショットガンを地面に置いて青年の方に蹴り飛ばした。
「次は拘束させてもらうぞ。お前ら出てこい。こいつを拘束しろ」
武器を捨てた事で、バンダナ青年の表情は少しだけ緩やかになった。頭が少し冷えたのだろう。
そんな彼が指示を飛ばすと、岩陰やら草陰からぞろぞろと武器を持ったネコミミの女や尖った耳の男達が出てきた。
腕に縄を締められるが、かなりきつく締めてあり動かす事が出来ない。
「どうすべきか……。とりあえず広場まで連れて行こう。それと誰か、ユージンとニオを呼んできて来てくれ」
見ててわかったのは、この俺と戦ったバンダナ青年がこの集団のリーダー格であろうという事だ。
「お前名前は?」
「トウジだ。あなたは?」
「エーグルだ。これでも一応自警団の団長だ。それとお前の処遇だが、広場でいろいろと話しをしながら決めたい。まぁ殺されたりはしないだろう。今からお前に警護をつける奴はここでも優秀な二人の兄妹だ」
「それがさっき言ってた、ユージンとニオっていう奴らか」
「ああ。それじゃ詳しい話は後でな、俺は村長を呼んでくるわ」
うーん。この先どうなることか、展開がいまいち読めない。
早く助けにきてくれねーかな。
「村長!」
「どうしたの、エーグル」
「実は腕が起つ怪しい男と先ほど交戦しまして……」
斯く斯く然々。
エーグルは、これまであったことを村長に報告をした。その際にトウジが倒したマモノからのAzを村長に渡す。
実はマモノの落としたAzは全てエーグルが回収していた。
言わば自分の証言の証拠品として集めておいたのだ。
「こんなにたくさんのAzが。なる程その男というのは相当な手練れの方のようですね。ひとまず会って見ましょうか」
エーグルと村長は、トウジがいる広場に向かった。
私の独自解釈でAzは、竜とマモノから取れる共通の純度の低いエネルギーという設定でいきます。Azは通貨として使われてますけど、いまいちそこらへん調べてもわかんなかったんで、もうこういう感じでいいかなって(白目)