セブンスドラゴンⅢ~俺なんでかISDFやってます~ 作:定泰麒
「話は聞いてる。あんたらがトウジの仲間か?」
「そうよ。トウジは無事なの!?」
「さて、しらんなぁ。知りたければ俺を倒してからにしな!」
「そんな、どうして!」
「理由は後で説明してやるよ!」
エーグルはキリカに向けて飛びかかった。
キリカもまた刀を構える。戦闘は始まった。
3対1の戦い。圧倒的にキリカ達の有利な状況だ。
メイの銃による牽制をしつつ、アキラがそのデュエリストとの真価を発揮し火力の高い魔法攻撃を繰り返す。
エーグルを殺す訳には行かない。だが、手加減できるほど弱い相手ではないのも幾度かの打ち合いでキリカは理解していた。
よってキリカはエーグルから武器を取り上げる事による無力化を狙っていた。
今後幾度も竜と戦っていくのだからそれぐらいできなければ真竜など倒せる訳がない。
短期間で勝負を付けたいエーグルは自身の持てる力をガムシャラに13班へとぶつけていた。
でなければ一瞬でやられてしまうと思っていたのがそれに起因する。
トウジから聞いた13班は、トウジよりも強いと彼自身から告げられていたからだ。
何より村の守り手として一番手の自分が余所者に続けて負けるなど彼のプライドが許さなかった。
それでもやはり13班は強かった。エーグルにとって初めて見る攻撃の連続だ。
銃やカードによる魔法などここには存在さえしていない。
「とりゃぁあ!」
最後はキリカの一閃にて、エーグルの武器が破壊され勝負はついた。
エーグルは満身創痍の様子だが、キリカはどうしても聞かなけれいけない事があった。
「トウジはどこ!?」
「あいつは……帝竜を倒しに行った」
「えっ!」
「さっき向かった所だ。走れば間に合うかもな」
キリカは仲間を見つめた。今すぐ行きたい。それでも仲間の意見を聞かなくてはいけないと思ったらのだ。
それにISDFとも共に作戦を遂行している。トウジはISDF所属というのもあった。
「助けに行きたい!」
正に直球で仲間達に告げた。
「フフッ。私はあなたのそういう所、好きよキリカちゃん」
「行くしかないでしょ。キリカねーちゃん!」
「ありがとう」
問題はISDFだ。ユウマとヨリトモがなにか話しているのがわかった。
だが、そんな時ナビから緊急通信がかかってきた。
「まずいぞ! その村の近辺に竜とマモノが大量に出やがった! 場所は4ヶ所だ」
ナガミミの声に皆が険しい表情になる。エーグルの方にも村の守り手達から報告が入る。
「くっ! 一ヶ所ならこの村で守れる。トウジから色々話は聞いてる。頼む! 他の三ヶ所なんとかしてくれねぇか」
先ほどまで戦っていた人物が自分達に頭を下げている。これには頭を抱えた。
最初に声を挙げだのは、ヨリトモだった。
「よし、わかった。一ヶ所はISDFでこのまま対処できる。問題は残り二ヶ所か」
「その内一ヶ所はトウジ達が行った方向だ。てことは残りはおめぇら行けるか」
キリカはそれに頭を悩ませる。村を救いたい、でもトウジが帝竜を倒しに行ったのを助けに行きたい。
そこでまた仲間に助けてもらえるなんて思いもしなかった。
「キリカちゃん。あなた一人であの青年を助けに行ってきなさい。あなたと青年なら帝竜だって倒せるはず!」
「えっ? なん……」
アキラが何か言おうとした所をメイが口を防ぎ黙らせる。
「大丈夫。こっちはレンジュウロウを呼ぶわ。だからあなたは行きなさい」
「メイ……ありがとう。それじゃ、行ってくる!!!」
キリカは走った。ナガミミが小言を飛ばすがそれも聞こえない。
「なんで行かせたの? キリカが一番強いのに、俺達が危ないじゃん」
「まだお子様には早いわよ。アキラちゃん♪」
「ちぇ~」
時は遡り、村長がトウジに会いに行った所だ。お互いに自己紹介も程々に本題に入った。
「貴方はどこから来て、何をしに来たのか。本当の所を話してはもらえないかしら」
「早速本題なんですね……。分かりました、ご説明しましょう」
説明に四苦八苦しつつも、なんとかこうにか村長とエーグルに何故ここに来たのか目的を告げる。
更に今自分が割と危機的な状況に陥っている事も二人に告げた。
「……。そう、俺は何故か仲間から離されて一人だけここに飛ばされたようなんです」
「アトランティスを助けに来といて救助を待つなんてとんだ笑いモンだな」
「自分でもそう思うよ。正にミイラ取りがミイラにっていうやつさ」
「ミイラ?ってなんだよ」
「申し訳ない。俺のとこのことわざだよ」
「ふーん。まぁどうでもいいけどよ。それでどうする、お前は一応ここを救いに来たんだろ?」
頭を掻きながらエーグルは、トウジに尋ねた。トウジもトウジで困った様な表情だ。
その様子を見ていた村長がトウジに案を出す。
「トウジさん、あなた腕が起つのですよね。だったら暫くエーグル達とここの為に戦っては貰えませんか?」
「元々そのつもりだったのですが、よろしいのでしょうか? 私は余所者で信頼できないでしょう?」
「信頼は確かに出来ません。ですが我々は現状とてつもない危機に立たされています。そんな状況で腕の立つ戦力は是が非でも欲しいのです。ですから、お願いします」
「分かりました。その言葉に私も応えたい、何をすればいいんでしょう?」
「この村の鍛冶場の奪還です」
「鍛冶場……」
村長の言葉に驚いているのか、エーグルは口をあんぐりとさせた。
「村長! それは!」
「わかってます、エーグル。ですが誰かがやらなければこのまま我々は竜に滅ぼされる事になります。それだけは避けなければいけないのです」
「くっ! ……わかりました。よしトウジ、後ろの二人を連れてけ。さっきも言ったと思うがそのユージンとニオは相当に腕が立つ。それに俺の目が確かならお前は相当の手練れだ。お前らならもしかすると……」
鍛冶場に巣くった帝竜でさえ倒せるかもなというエーグルの小さな声はトウジの耳には聞こえなかった。
2020年。世界が一度滅びかけた。竜に依る侵略とでも言えばいいのか竜の苛烈を極めるような攻撃に人類は為すすべもなかった。
しかし、そんな折り地球は自らを守るために人類に守護者を生み出した。
それがS級の中のS級である伝説の13班だ。「狩る者」と呼ばれた彼らは戦いの中で成長し、およそ人間とは思えないスピードで竜を凌駕した。
何度も倒れて、何度も絶望したその先にようやく掴んだ平和。
だが彼らは予期していたのかも知れない、自分達亡き後世界はもう一度滅びかけると……
だから、彼らはある物を残した。自らの記憶と自らが愛用した装備の数々。
それらは彼らにとって大切な人に預けられたという。
「私は正義のヒーローだ。この拳で悪を倒す……友の為に」
今日も一人、竜とマモノを狩る日々。その鋼鉄の身体を駆使した彼はマモノ如き容易く屠ることができ、危なくなればその瞬足の足で逃げおおせる事だってできた。
「まさかあの刀がISDFに回収されてしまうなんて思いもしなかった。あれは次世代の『狩る者』の為の物だったのに。ごめんね、『トウコ』」
ムラクモ機関が存在していた時の最重要基地に隠していた筈の『天叢雲剣』が何故か一人のISDF隊員に使われた上、回収されたのは彼にとっても痛手だった。
だが、こうも考えられた。絶対に自分や嘗ての仲間達にしか分からないように暗号化されたパスワードを開き、その刀を抜けた青年は次世代の『狩る者』ではないか、そしてこれは運命だったのではないかと……。
「名前は何と言ったか、確か『ハルミネトウジ』だったか……。一度その青年と会わなければいけないか。少なくともなんらかのS級だろう。そうでなければ、この状況を切り抜けられる筈がない」
彼はISDFに所属している協力者に頼みトウジがユウマとともに国会議事堂へ向かった資料を手に入れていた。
ひとまずは書類を眺めて様々な説を並べる。一通り、説を用意した所でようやく映像を見た。
人類の新たな希望に成り得るのか者を見極めるのかと思うと心が震えるのが分かる。
「これはどういう事だ。何故この青年から『トウコ』を感じるんだ!」
映像を見終えた所で何度も何度も自分が気になった場面を繰り返す。
頭では理解している。だから否定するがその度に心が告げる。彼はトウコであると、姿形が違うだけで、80年前に何度も見てきた仲間の背中にそっくりだ。
誰よりも前を向き、誰よりも優しく、誰よりも強かった彼女の刀捌きに時々出る下唇を噛み締める所まで。
およそ20分程度か。彼が一度何故か気を失い、ボロボロになってから立ち上がるまでの僅か20分。
その20分間、トウジという人物はトウコに成っていた。
「どうやらこの青年には是が非でも会わなければならないようだ。これは次世代の『狩る者』所の話じゃない。直接聞かなければならない」
その日、仮面にその身を隠した孤独な男がISDFが向かったとされるノーデンスに乗り込んだ。
今セブンスドラゴン2020の再プレイしてるんですけど、そのせいでプロット書き直したり想定していた話数より10話ぐらい多くなりそうで絶望なんかしてない。