深夜、皆が眠りについた頃、ガッツは人知れず目を覚ました。
生贄の烙印が微かに痛む。
「・・・来やがったか」
壁に立てかけた剣を取るのと時を同じくして、
「化け物だ!沢山いやがる!」
誰かが声を荒立て村民に伝える。そのすぐ後に、敵の来襲を知らせる鐘の音も響き渡った。
「えっ」
「ど、どういうことなの」
6人家族の背筋が凍りつく。
「に、逃げる?」
「どこに?」
「高台にある神殿に。あそこなら門もある」
逃げようとしているようだが別にどうでもいい。
気にも留めず、淡々と戦支度を進める。
「あ、あんた戦うつもりなのか」
青年は恐る恐るガッツに声を掛ける。
「・・・自分の身は自分で守るしかねぇだろうが」
「少し待ってくれ、戦える連中と合流してから」
「いい、俺は一人で充分だ」
有無を言わせず会話を終え、一人歩を進める。
烙印のせいでどこから敵が来るのか大体だが分かる。
忌々しいが役に立つ。
「獣鬼か?」
いや、似てはいるが微妙に姿が違う。
それとは別に、どことなく人に似てる奴がいる・・・どうでもいいか
奇声を上げながら近づいてくる魔物に向かい、横薙ぎに剣を振る。
その技だけで、4体の魔物は首と胴が泣き別れした。
次は袈裟切りで真っ二つ。
後ろから飛び掛かってくる敵には、鋼鉄製の義手で殴りつけ、
遠くから石つぶてを投げてくる敵に対しては、連射式ボウガンであしらった。
その戦技は常人には推し量ることすら出来ないと言っていいほどに卓越していた。
ただ無心に本能に任せて振る。
いつも通りだ。仲間がいないことさえ除けば・・・
それに一抹の寂しさを覚え、思わず苦笑する。
「俺もずいぶんと丸くなったもんだ」
そう考えているうちに魔物達は震えおののき始めた。
自分たちでは勝てないと感付いたのだろう。
それを知ってか知らずか、敵の群れの後ろから重武装した小鬼が姿を現した。
手懐けた豚にまたがって、颯爽と槍を掲げている。
豚に乗る騎士
そんなのがいるとは考えもしなかった。
呆れ顔で見ているとどうにも怒ったらしい。
無鉄砲に突撃してきたので、身を翻して避けるのと同時に二匹丸ごと叩き切った。
どうやらこれが指揮官だったらしい。
魔物達は頭目を倒されて動揺し、散り散りに逃げてゆく。
一息ついて、魔物を倒した時、額に飛び散った血を拭う。
慣れない船旅の疲れが残っているせいか、大した敵でもないのに大分疲れた。
どこかで骨休みするべきか?
別の場所で戦っていた青年たちの歓声がふと聞こえる。
夜が明け、日が昇ろうとしていた。
今回戦った敵
土の小鬼
人のようだが、人ではない。
顔は醜く歪み、手足のバランスは狂っている。
人骨をぽりぽりとかじる。
石の小鬼
土の小鬼とほとんど同一の存在だと思われる。
土の小鬼より少し強い。
獣鬼
小鬼とよく一緒に登場するので習慣が似通っている?
鬼士
豚の上に重武装した小鬼が乗っているだけ。
ベルセルク版 獣鬼
簡単な道具を使う程度の知能がある。極めて貪食で、人間や動物を襲うだけでなく、共喰いも日常的に行っている。洞窟の中など暗い所を棲家とし、人間の女を攫って繁殖する。