情報を頼りに進むとチルノと小さな天使が戦っている最中だったっス。
近くに大ちゃんがいたので一緒に様子を見ていたんスけど、森が凍ったり焼け焦げたりで大惨事。あの大ちゃんがワナワナ震えて怒りをこらえる程っスよ、相当っス。
ため息をつきながらしばらく様子を見ていると天使の方に巨木が倒れてくる。
「あ、危ないっス!!」「ぐほぉ!」
慌てて飛び出し頭突きをしてかばう。そして自慢の刀傘で巨木をへし折る。
「ふう、危なかったっス。天使さん、大丈夫ッスか?」
「お、おう…」
「おーーい、大丈夫かーーー?」
なんとかみんな無事ッスね。
「うんうん、無事でよかったッス。あ、俺は名刀小狐膝丸ッス。はじめまして。」
「あ、あぁ俺はヒスイ。さっきはありがとうな。」
俺が右手を差し出すとヒスイは右手を握って立ち上がる。
「それにしてもチルノちゃん、派手にやったッスね」
「えへへぇ~」
「後でお説教してもらうッスよ」
「えぇ~」
とりあえず所々氷付けになってたり燃えたりした森をみんなで後片付けしたあと、真っ黒なオーラを放つ大ちゃんにチルノとヒスイを引き渡す。
因みに、ヒスイはお店をやるためにネギを多めに買い込んだとのこと。ちゃんと理由があったんスね。
大ちゃんの説教を背に、俺はネギを得るために人里へと向かった。
○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○
「ネギをもらう方法?」
「そうッス。ネギ不足で困ってて…」
とりあえず慧音に相談。慧音はそうだな…と考えた後に名案をだしてくれた。
「異変解決のお礼としてもらうのはどうだ?」
「異変解決?」
「そうだ、幻想郷では、外の紅い霧みたいな異変が次々とおこる。それを解決すればお礼がもらえる。現にそれで生活を成り立たせている者もいるんだ。」
「なるほど!じゃあ異変を解決に…「待った、先に稗田家へ相談した方がいい。お礼を決めるのは主に稗田家だからな」なるほど!じゃあ稗田家の所に行ってくるッス!」
「あぁ、行ってらっしゃい」
話を終えた俺は慧音の家から飛び出して稗田家へ向かう。
「…というわけで、この紅い霧を晴らせたらネギをくださいッス!」
「そうなんですか、もちろんいいですよ。」
「よし、これでなんとかなるッス…」
稗田家に到着後、阿求に入り、阿求さんに相談してみると簡単にOKをもらえた。
「ありがとうございましたッス!」
「いえいえ、異変解決頑張ってください。」
「はい、行ってきまs「阿求ー!」おや、誰ッスか?」
お礼を言って阿求の家からでようとすると、1人の女の子が入ってきた。そして、その女の子に見覚えがあった。
「あ、この前の夜に眼鏡っ娘に抱きついてt「うわあぁぁぁ!?」……モガモガ」
「?どうしたの、蓮?」
「ちょ、ちょっと失礼…」
この前の夜、眼鏡の女の子に抱きついていた女の子である。と言おうとしたら突然この子は顔を真っ赤にして俺の口をふさぎ、俺を連れてその場を離れた。
「はぁ~。流石に男に乙女心を知れとは言わないけどさ…もうちょっと考えて言おう?」
「あー…ごめんなさいッス」
確かに、よく考えてみたら相手にとっては恥ずかしいことッス。信用が減るってこのことッスね。でも…
「でも、俺は乙女ッスよ。」
「え~、乙女~?」
「おう、花も恥じらう乙女ッス。」
「…本当に~?」「本当に。」
「「………」」
なんだかずいぶん気まずい空気となってしまった。何か話さないと。
「そういえば、名乗ってなかったッスね。俺は名刀小狐膝丸、名刀とでも呼んでくれッス。」
とりあえず挨拶をしよう、顔見て挨拶大事ッス。
「そうだね、僕は羽織蓮。飴が大好きだよー。よろしくね」
「蓮…」
その名前を聞くと思い出すのが、霧の湖で出会ったカッコいい猫耳少年、蒼風蓮。今、どこで何をしてるんだろう…はぁ。
「よろしくねー。名刀君ー…って、おーい!ユサユサ」
「あ、す、すみませんッス。」
ボーッとしてたらダメっすね。向こうも何かあったのか俺を心配してるッス。
「何かあったの?」
「あ、えっと…大丈夫ッス。知り合いに似たような名前の人がいただけッス。…はぁ。」
何故かはわからないけど、なんだかため息が多いッス。
「あー、もしかして蓮君かなぁ。」
「え?もしかして知ってるんスか?」
「うん、うちの飼い猫~。」
「………」
おそらく人違い…いや猫違いッス。
「蒼風蓮って名前、知ってる?」
「あ、はい。というか、件の知り合いッス。」
「そっか~。じゃあうちの飼い猫だね~。」
「……え?」
猫違いではなかったんスかね?
「蓮君をよろしくねぇ~。」
「あ、こちらこそよろしくッス。」
話が終わってから紅い館へと駆け出した。もう日が傾いているから、つく頃には多分夜ッス。
○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●
予想通り、ついた頃には夜ッス。
ちなみに、敵の本拠地に乗り込むということで、「誰にも認識されていないこと」の変化を能力で防いでいるッス。
つまり、認識されていない状態から変化しないので目の前に居ても俺のことはわからなくなるッス。
そこでヒスイを見つけたんスけど、ヒスイはなにやら寝ている白猫をジッと見つめているッス。
なんとなく近づいてみると、「いや、まさか蓮のはずが……」なんて聞こえてきたッス。
あの人の飼い猫ッスかね?少なくとも、あのとき俺を抱き締めてくれた人とは色と耳、しっぽしか同じようなところはないッスけど…。
すると突然「にゃふぅっ!」という叫びとともに白猫が目を覚ました。
「お、おぅっ!?くすぐってぇ!」
さらに白猫は突然肩に乗ってほっぺたをすりすりさせている。相当ヒスイちゃんになついているみたいッス。
「ううぇっ!?なんかざらざらするっ!」
ヒスイはほっぺたをなめられていた。まぁ、確かに猫の舌ってざらざらしてるッス。
「うん、これは蓮じゃない。なら、蓮がいっつも触らせてくれないところ満喫するかねぇ」
するとヒスイは白猫とじゃれあい始めた。
耳をなでたり、しっぽをつかんだり…
「にゃう!」という白猫の悲鳴のようなものがあたりに響く。
そしてヒスイが白猫を持ち上げたときだった。
「うぉっ!?」
「ヒスイちゃん、やめて…怒るよ?」
いきなり白猫は湖で俺を抱き締めてくれたあの人となって、怒るそぶりをしていた。
しかし、ヒスイは「ほほーう?」と言って悪人の笑いかたをしていた。
「ほれほれ、引き剥がせるならやってみろよ」
「にゃっ、やめにゃっ、にゃうぅー!」
ヒスイは人となった蓮君の重さに耐えられずに蓮君に覆い被さる状態。
そしてそのまま、ヒスイは蓮君とじゃれあっていた。
俺はどうするべきっスか…?
俺のなかでは『ヒスイ羨ましいなぁ、この続き見てみたいなぁ』という欲と『蓮君が泣いてる、助けるッス!』という正義感が渦巻いていた。
「…………ハァ…………ハァ」
ふと気がつくと、身体が熱くなっているのがわかる位、俺は興奮していた。なんで…?
「ほーれほーれ、おぉ、蓮がやりかえしてこないなんて新鮮だ!」
「にゃぅぅ、や、やめて、ふにゃぅっ!」
こうして迷っている間にも、戸惑っている間にも、蓮君はヒスイに弄ばれている。
その時、ふと気がついた。
「へへへへへ・・・大丈夫、汚れてもすぐそばに湖があるぜ」
「だ、大丈夫じゃ、にゃいぃ………!」
蓮君が、泣いてる…
蓮君が悲しんでる…
助けなきゃ!
蓮君の泣き顔をみて、俺の心は1つに纏まり、そっと蓮君の腰にある短剣の位置をずらす。
「ふふふ…それじゃあ…って、いってぇぇぇぇぇ!?」
「ふにゃぅ!?」
ずらした鞘つきの短剣はみごとにヒスイの膝につきささり、そのスキに蓮君はヒスイから逃げ出した。
しかし、蓮君が逃げ出した先にあるのは霧を出した紅い館。つまり敵の本拠地…蓮君があぶない!
蓮君を追って、紅い館へと向かった。