この物語は社畜の管理局員の熱い、自営業設立への涙あり、笑いありの物語となっております(超大嘘)
また、感想を大募集しています。悪い所や、誤字、矛盾があった場合はどうかご指摘をお願いです。
プロローグ
時空管理局、その存在意義は読んで字のごとし数多に存在する次元世界を管理・維持するための機関だ。俺はそこで働いている。
因みに働いてるって言っても決して戦闘とかをするわけじゃない。俺がやっているのは事務仕事だ。っていうか俺の持つ魔力量では逆立ちしようが戦う魔導師にはとてもじゃないがなれない。
俺が管理局に努めることが出来たのは単に事務系の資格を多く持っていたから万年猫の手も借りたい状態の管理局には丁度良かった為勤める事が出来たのだ。
正直な所を言えば俺は管理局何かには入らず趣味でもある模型の専門店でも営みたかったのだが親からの反対を受けアッサリ陥落…今に落ち着いた。
つい二年程まではジュエルスカなんちゃらがやれとかで慌ただしく、おまけにその事件で上層部が軒並み居なくなったりするなどととんでもない事態になっていた(そんな中でも黙々と仕事はしていたが)。御蔭で管理局は人員不足が更に悪化、それを好機と見たのかミッドチルダ以外の次元世界からも荒くれ共が舞い込み一時は世紀末的な様相になる地域すらあった(家の近所だったりする)。
モヒカンで肩パッドをを付けた荒くれ共は刺々しいバイクに乗りそこらじゅうを走り回ったりもしていた。だが、時間も過ぎればそれなりに落ち着くと言う物で管理局も力を取り戻し暴徒の鎮圧にあたった。最近では『世紀末崩壊事件』なんて呼ばれているらしい。
まあ、『世紀末崩壊事件』は置いておくとして…その際には有名な魔導師たちも出陣したらしい。例えば今目の前で何やら頭を抱えているエース・オブ・エースとか――――
「あああ~~~ストレスが貯まる!砲撃撃ちたーいー、訓練したーいー!」
無視したい、酷く無視したい。
エース・オブ・エースについての噂は確かに耳にしていた。
何でも子供の頃に捜査に協力し、その際に犯人の一人に身動きを取れなくしたうえでトラウマに残るような砲撃をぶちかましたとか、それをオハナシと言い張るとか(どう聞いてもO☆HA☆NA☆SIだが)、似たような事をまた違う人にやったとか。他にも彼女がここに居るのはそのあまりにも強すぎる魔砲(誤字に非ず)で故郷の次元世界で大災害をもたらしたため指名手配犯にされたとか…はたまた無人世界の一つや二つを軽く消し飛ばしている等と管理局の白い魔王に相応しい伝説を残している…。恐ろしや恐ろしや。
「何か今酷く間違った情報で怯えられた気がしたような…」
「ハハハ、気の所為じゃないですか?それより早く仕事を終わらせましょう」
とてもじゃないが相手はしたくない。っていうか相手にしなければならない。何故なら今回の仕事がそれだからだ。
思い返すは、上司に呼び出された数時間前――――
「失礼します、呼ばれたとおりに来ました」
「おお、よく着たな」
扉を開けて部屋に入れば居たのはやや太った人の好さそうな顔をしたオジサン。俺の上司だ。
因みにこの上司、人の好さそうな顔をしているのに中身はとんでもない狸だ。きっと管理局にいるよりも詐欺師でもやってた方が似合うんじゃないかと思っている。
「それで、要件は何でしょうか?」
「ハハ、せっかちだな。お茶の一杯でもどうかね?」
「お断りします」
単刀直入に聞く、正直な所早く終わらせたかった。理由は現在の時刻だ。
時刻は正午、現在は昼休憩の時間となっておりもしかしたら残業するかもしれないこの身にエネルギーをチャージする貴重な時間なのだ。
しかし、上司はそれを知らずか…あ、いや絶対気付いてるわあの顔。今一瞬笑ったもん。
「そうか、残念だな…まあ要らないと言うならしょうがない」
「それで要件は」
「ああ、それだがね…君に転属命令だ」
「……は?」
え、転属命令?辞令でも異動でもなく転属命令?それって大体悪いことしたりした奴が送られるときの言葉だよね…え、何か悪いことしたっけ?
「あの…私に何か落ち度でもありましたでしょうか…?」
「君に落ち度はない…いや、あるにはあるがそれではないな」
「でしたら何故…」
「実はな…」
そう言って話し始めた上司の理由は実にふざけたものだった。
「二年前のJS事件であのエース・オブ・エースが子供を引き取ったという話は知ってるな?」
「え、そうだったんですか?」
「…君の落ち度はそう言うところなんだが…まあいい。それでだ、現在昇進の話を受けず戦技教官として教導隊に努めてはいるがその拾った子供の育児が大変らしくてな、教導自体は行えているようだが書類が全く手が付いていないらしい」
「はぁ…」
「そこで本来なら誰かしら補佐官が付いているはずなのだが…偶々、と言うか万年人手不足の管理局にはそれを回すことが出来ない。そこで各部隊に人は余ってないかと伝令が上から来たのだ。まあ当然、どこも足りてるわけではない。寧ろ欲しい位だが…ウチは違う」
「確かに書類仕事だけですしね、それに最近は中々書類が来ないから暇してる奴もいるって聞きます(俺は違うが)」
「そこで、ウチの所から出す訳になったのだ。それに選ばれたのが君」
「…ちょっと待ってくださいよ!何勝手に本人の意思無視で進めてるんですか!?っていうかあのエース・オブ・エースの補佐ならウチに居るファンたちがやりたがるでしょう!」
「別にただ君を選んだわけじゃない。確かに君は魔力はゴミの程しかないが書類仕事は優秀だ。気付いているかね?君一人で大体五人分くらいの書類が捌けている…御蔭で暇そうな奴が四人だ。このままだとその内君に頼り過ぎになってしまうかもしれないからな」
「っていう事は補佐は期間付きってことですか?」
「そうだ、大体…半年、長くて一年ほどか」
「そうですか…分かりました。それなら納得です」
詰まる所、エース・オブ・エースが育児で忙しい分の書類仕事はお前がやれっていう命令だろう。っていうかいいな、エース・オブ・エース…いや、実績があるからいいのか。
「よし、納得が行ったのなら早速仕事だ。今回は特別にエース・オブ・エースにこの部署に来てもらってる。応接間の集中執務室に居るはずだから行って来い」
「来てもらってんの!?っていうか俺の昼食タイムは?!」
「無しだ」
なんて事があって、俺は昼飯を抜かれこうして頑張っているエース・オブ・エースこと『高町なのは』と共に仕事をしているのだったまる
「うう~お腹空いた~」
「大丈夫です、自分もですから」
「全然大丈夫じゃないよ~っ!」
「今日のノルマ終わったら食べられますよ」
そう言われましても、この集中執務室に食べ物なんてございません。
今居る集中執務室とはウチの部署で仕事が大幅に遅れてるものがその差を埋めるために仕事以外に意識を向けないようにされた部屋…いわば本当に仕事をするだけの部屋だ。だから集中力を乱す要因になる食べ物等、置いてあるはずもない。
高町なのははノルマ(書類の束三スタック、3Gメモリースティック一本分)を見て、絶望した顔をする。
「うう…ヴィヴィオ、フェイトちゃん…私は今日帰れそうにないよ」
「そう言ってる間に手を動かせば書類一枚は出来ますよ」
「鬼畜…鬼がいるの~~!」
失礼な、誰が鬼だ。魔王に言われる程鬼畜ではない。
「ほら、早くしないと明日の分も含めて二徹コースになってしまうかもしれませんよ?」
「待って!せめて休憩時間だけは取らせて!」
しょがない…確かに適度に休憩を挟まなければ作業効率は落ちてしまう。
「分かりました、そうですね…十分ほど休憩時間にしましょう」
「やった、案外長い!」
俺は十分の休憩をやらない程鬼畜に思われているのだろうか、いくら何でも酷いと思う。まだ昼から四時間ほどだと言うのに…
「そんなにキツクは無いと思いますが…」
「いやだって、いきなり挨拶をする間もなく『仕事です』なんて言われたら誰だってそう思うよ…自己紹介すらしてないし…」
む、自己紹介を忘れていた…確かにそうだ。いち早く仕事を終わらしたい思いから早々に仕事に移ってしまったんだった。これは失策だった。っていうか社会人としてあいさつと自己紹介すらしてないっていうのは致命的だ。
「確かに、これは申し訳ありませんでした。自己紹介をするのを忘れるとは…」
「にゃはは…まあ、別にいいよ」
「それでは自己紹介をさせて―――」
「ちょっと待って」
自己紹介をしようとしたら止められた。何故だし
「これからそんなに直ぐ終わる短い期間ってわけじゃなくなるんだからもう少し気軽に話そうよ?そんな堅苦しい敬語ばかりじゃなくて」
「あー、分かり…分かった。こんなのでいいか?」
「うん、大丈夫だよ」
どうやらOKのようだ。もしこれで駄目って言われたらどうすればいいか分かんなかったよ。
「えーと、それじゃあ名前はピース・ルナセル、二十一歳。階級は事務員なので無し、魔力はゴミの程しかない平凡な人間だ。あ、趣味は模型作りで将来の夢は管理局辞めて模型屋さんになることだ。好きな言葉は平和的にだ。嫌いな言葉は強要だな」
没になった小ネタ
ピース「……」
同僚「どうしたんだ?そんな予定表を見つめて」
ピースはデバイスの予定表を見て、机で固まっていた
ピース「…俺、明日で有給が十五日消えるんだ」
同僚「あ…(察し)」
悲しげに、涙を流しながらそう呟くピース。同僚は彼に同情をせざるを得なかった。
ピースの流した涙は、デバイスのホログラムを通過し、机の上にあった一枚の書類を濡らした