休日出勤を終え、一日に減った休日を満喫した次の週の最終日。今日もお仕事でいつもの如く俺は高町なのはと一緒に残っていた。
その休憩時間中に彼女は唐突に質問をしてきたのだ。
「ねえ、ピースくんはどうして模型屋さんになりたいの?」
「ん?何だ急に」
最近は仕事の速度も終わり休憩時間になったら机に速攻で突っ伏していた彼女だったがここ三日ほど前から休憩時間中におしゃべりが出来るくらいの余裕を持つようになっていた。
しかし、休憩時間になっても一緒に居るのは俺しかいないので喋るのは必然的に俺だけになる。
話の大体は彼女の方から話しかけられることが多く、話を振られたら返すのが普通なので少しずつだが会話のキャッチボールが形成されるようになり多少なりとも仲は深まった気がする。
「いや、今朝のニュースで最近は管理局に就職する人が多いって言う特集をやっててね。その理由は数年前はゴタゴタが多かったけど今は安定してそうだからって思ってる若い人が多いんだって」
「そうだっのか、知らなかった」
「ニュース見てないの?」
「生憎、住んでる場所的にニュースがやる時間帯よりも前に出ることが多々あってな」
「案外遠い所に住んでるんだね」
「まあ…で、何でそのニュースが俺の将来の
「いや、最近の人でだってそう言う認識で居るのにどうして別の職業やりたいのかなって」
ふむ、確かに高町なのはの言う事も一理ある。前にも言ったが管理局はブラックな所を除けば基本くいっぱれることもなく、安定した高い収入を得ることが出来る。それに万年人手不足の為解雇されることは稀だ…いや、事務職だとたまにあぶれるからされる確率が高いらしいが気にしないでおこう。
顎に手を当て考える。どうして自分が態々安定した職を切り離して別の職をやりたいのか
「…なんでだろう?」
「考えてなかったの!?」
アレ?本当に何でやりたいんだっけ…いや、確かに少年の心を持ってるから子供の頃から夢が変わってないとは言った覚えがあるけど子供の頃に模型屋さんを目指した理由が見つからない。単純に模型作るのが好きだからだっけ?
「ん~まあアレだ。こう幼いころからの大切な友人的存在に『俺は模型屋になる!』みたいな宣言でもしたからって理由でどうだ?」
「絶対その理由今作ったよね、本当に今適当に思いつきましたって理由だよね?」
しょうがない、覚えてない物は覚えてないのだ。けど多分単純に模型作るの好きだから俺は模型屋になるみたいなノリで夢を持ったんだと思う。
少年の心を持ち続けることを決めている俺にとってはかなり重要な決断だったんだろうが簡単に決めてしまっていたようだ。それでいいのかよ、俺。
「けど、一応建前的な理由はあるさ」
「へえ、どんな?」
「現実的な話になるがな。ミッドには模型を好んで作ろうって奴は少ない。そりゃ今の時代そんなもの作らなくたってホログラムで次元航行船の1/500くらいの奴なら簡単に出来る。他にも完成されたフィギアとか売ってるしな。だから模型専門店なんて言うのはすごくミッドじゃ稀だ。この前二人が壊ちゃったあの店なんてかなりレアなんだよ。店舗数が少ない所為で世の模型好き達は態々遠出しなきゃいけない。…Tamazonにも模型やその道具が売りに出されることは少ないからな。だからこそ、俺は模型屋を作ってそのニッチ層の客人をターゲットにすればそこそこ人気が出ると踏んだわけだ」
「……」
「どうした、何で黙ってるんだ?」
「いや…予想以上にしっかり考えててビックリしたから」
失敬な、建前なのだ。それ相応に理屈と道理は通っていなければならない。建前とは、他者を納得させるためにあるものなのだから。
「そしたらそれこそそっちはどうなんだ。確か故郷の次元世界を魔砲で滅ぼしかけたからミッドに来たって聞いたが」
「頭冷やす?」
「スイマセンでした」
「そうだなぁ…私はお嫁さんとかになりたいなぁ…」
「既に子持ちなのにか?」
「OHANASIする?」
「ごめんなさい」
怖い、管理局の白い魔王怖い。そう言えばフェイト・T・ハラオウンの方は管理局の金色の死神なんて言う二つ名もあった…これだけ聞くと管理局が悪役みたいに聞こえて来る。不思議だ。
「けど相手はいるのか?」
「……」
続く無言、どうやらいないようだ。
まあ、前に男が居るのかと聞いたときも居ないと言っていたしそれに今一番彼氏なんじゃないか疑惑が掛かってた神谷もあの時の彼女の反応を見る限り駄目っぽい。
この人は本当に男に興味があるのか疑わしくなる。だって異性からの好意にトコトン鈍い傾向がある。確かこの前ウチの部署じゃない奴が来て彼女に告白してたっけ…結果は酷いものだったが。
『た、高町さん!ボクは一生貴女を守って、支えて行く覚悟があります!」
『そうなの?ありがとう、嬉しいな』
これで終わりなのだ。いや、確かに告白したほうももっとストレートに行けばよかったんじゃないかとは思うがそれでもあの対応は酷い。ていうか全く言葉の意味に気付いてなかったのだ。鈍いにも程がある。
告白して来た奴は態々こっちの仕事場にまで来たからその光景を間近で見ていたが中々に、可哀そうに思うくらいの振られ方だった。告白しに来たやつは泣きながら出て行ったし。あの時はもしかしてわざとやってるんじゃないのかと疑ったほどだ。その後聞いてみれば無意識でやっていたらしい。
「私だって…こう、出会いが欲しいって思ってるよ。だけどお仕事が…」
いや、貴女態々こっちまで来てくれた人を思いっきり振ったじゃん。出会い寄ってきてましたよ?高町なのは。
「はあ…じゃあ今度俺の友人でも紹介してあげようか?一応同じ年だし大丈夫だろ」
「え、いやそれは流石に悪いよ…」
「大丈夫だと思うぞ、そいつも結婚したいーーッ!って叫んでたし」
「逆にどうして叫ぶほど結婚したいのか気になるんだけど…」
「さあな」
何であんなに結婚したがっていたんだろうか、俺の友人は?まあ特に興味があると言う訳ではないので忘れよう。
何て思っていれば高町なのはが
「ピースくんは結婚したいとか思ってないの?」
と、質問して来たが―――
ピピピピピピピッ
「…」
「…」
「休憩時間終了です。お仕事を再開しましょう」
「何でこのタイミングで来るのぉぉぉ!」
「手を動かしましょう」
「ちょっと聞いてみたかったのに…」
社畜は時間に厳しい、これ常識ね。因みに仕事が終わる時間だけはその限りではない。…悲しい性である。
午後八時、お仕事終了。
今日は休憩時間からの高町なのはの作業効率が著しく落ちた為このような時間である。原因?決まっている、集中力の大きな乱れだ。
「気になり過ぎて身が入らなかった…」
「終業時間に現れてるな」
「あ、もう今はオフモードなんだ」
「分別はつけてるからな」
高町なのはは仕事が遅く終わると電光石火の勢いで帰ってしまうので仕事が終わったら速攻で俺がオフの状態になる事を知らなかったのだが、今日はグッタリとしていて直ぐに帰らない。
「お子さんはいいのか?」
「今日はフェイトちゃんが見てくれてるの…」
執務官って早帰りが多いのか?この前も似たような事を聞いた気がする。
「最近は犯罪者も少なくなってるからお仕事の量も少なくて早く上がれることが多いんだって…」
「それで学校から帰ってきたお子さんを見ているってことか」
「うん…」
予想以上にグッタリしてるな。普通集中力を長く持たせれば持たせる程疲れるモノなんだが…。どっちかっていうと気分的要因か?
それで明日の仕事まで響いたら困るな。最近書類補佐官になったことが認められて給料が一割増えたっていうのに仕事の速度が遅いと判断されたら給料を減らされかねない。…しょうがない、ここは―――
「…一緒に飯でも食いに行くか?」
「ふぇ?」
「いや、集中力が無い状態でも頑張ってて疲れてそうだから美味いものでも食わした上げた方がいいかなって思ってな」
「…なんか食べ物でつられるって思われてる感じがする」
「違うよ、単純になんとなくそう思っただけだ」
「……」
「どうせ今日はお子さんの心配はないんだろう?こうしてたまにはガス抜きに行くのも悪くないんじゃないか?あ、けどストレスの発散だからって砲撃は撃たないでくれよ」
「人を砲撃でストレス解消してるみたいに言わないで欲しいの…」
「いやいや、初日の事を思い出せよ。思いっきり言ってたよね?」
砲撃撃ちたいって言ってたよね?俺はまだはっきり覚えてるぞ。それを聞いてああ、魔王なんだなって思ったんだから。
「…砲撃云々はともかく、それだったら行く」
「分かった、じゃあまずは帰り支度だな。因みに俺はもうできてるぞ?」
「早くない!?」
「グデーっとしてる間に済ましておいたからな」
こうして、俺は高町なのはと仕事終わりに出かけることになったのだった…まる。
今朝小説情報を確認してみればあらびっくり、UAとお気に入りが伸びていた…ゴミは喜びのあまり帰ってきたのちに急いで書き上げた…それが今回の話が投稿されることになった原因なのだ…
あ、感想は変わらず大募集中です。非ログインユーザーさんからも受け付けております。気になるところがあったらバシバシ言っちゃってください。
今回の小ネタ
ピース「……」カタカタタッーン
ピース「よし、今日はもう終わりだ!」ピロリン
ピース「ん、メール?差出人は…本部のほうまで出向してる上司?」
件名:資料を送ってくれ
本文:至急、私のPCに入ってる資料データが必要になった。そのデータを送ってくれ
ピース「…まあそれくらいなら」
追記:また丁度今頃の時間帯に書類が送られてくるからそれの処理も頼む。書類の内容は×××の件についてだ。君なら三時間もあれば終わるだろう
ピース「チクショォォォォォォォっっ!!!!」
書類は、手渡されなくても、来るよね(白目)