メルヘヴン バカな救世主   作:悠之

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第二話 喋るÄRM【バッボ】

今ユウはドロシーの箒に乗せて貰い、空を飛んでいる。ドロシーにとっては当たり前の光景だが、ユウにとっては何もかもが新鮮で素晴らしい物だった。

 

ユウ「お~すげぇな!俺、空を飛んだのは初めてだ!」

 

ドロシー「ちょ、分かった!分かったからあんまり動かないでよユウたん!」

 

箒に乗りなれているドロシーにしては珍しく、ふらふらとしながら飛んでいる。

 

ドロシー「ほんとにもう、こう言う時は子供っぽいんだから。まぁ、そこも可愛くて素敵だけどね♥」

 

ドロシーは自分の後ろに乗りながら今もキョロキョロと辺りを見回しているユウを見ながら、少し頬を赤らめる。

 

ユウ「ほえ~。……ん?おいドロシー、向こうの方に人が居るぞ。しかもすげぇ勢いで走ってる」

 

ドロシー「人なんてそんなに珍しく無いでしょ」

 

ユウ「いや流石に土煙あげながら走ってたら気になるだろ」

 

ドロシー「えぇ!?」

 

ユウに言われてドロシーも見ると、ユウの言った通り土煙をあげながら人が爆走していた。

 

ドロシー「(……なかなか役に立ちそうじゃない)ユウたん、私ちょっとあの子を試して良い?」

 

ユウ「ん、別に構わんよ」

 

ドロシー「ありがとう。じゃあガーディアンÄRM【リングアーマー】」

 

ドロシーが呼ぶと銀のリングが、人の大きさ程度の銀の甲冑になった。

 

ドロシー「行きなさい【リングアーマー】」

 

【リングアーマー】はドロシーの命令に従い、爆走している人の元へと走っていった。

 

ユウ「俺も降りてみてくる。よっ!」

 

ユウは箒から飛び降りて、【リングアーマー】を追いかける。

 

追いかけると、ちょうど【リングアーマー】が金髪のツンツン頭の少年に吹っ飛ばされている所だった。

 

ユウ「おーあれを吹っ飛ばしたのか。なかなかやるな」

 

ユウは金髪の少年の【リングアーマー】を吹っ飛ばした力に感心しながら、飛んできた【リングアーマー】を片手で受け止めた。

 

金髪の少年「あー!お前、そいつの仲間か!何でいきなり襲って来るんだよ!」

 

ユウ「う~ん、何でだ?」

 

金髪の少年「こっちが聞いてんだっ!」

 

と言い合っていると、空からドロシーが降りてきた。

 

ドロシー「はいはいそこまで」

 

金髪の少年「うわっ!今度は空から女の人が降ってきた!」

 

ドロシー「私はドロシー、この甲冑に坊やを襲わせたのは私よ。坊やの力を少し試してあげようと思ってね」

 

ドロシーはユウの持っている【リングアーマー】を銀のリングに戻し、襲った理由を説明した。

 

ギンタ「何だよ。そう言う事だったのか。試すんならもう少し優しくしてくれよ。俺は『虎水 ギンタ』宜しくなドロシー。で……」

 

ユウ「………俺か?俺はユウだ。まぁ宜しく」

 

ユウとギンタは握手を交わした。そして、ドロシーの提案で三人で超レアなÄRMを探しに行くことになった。

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

ドロシーに着いていくと、以前は遺跡か何かが残っていただろうと思える荒れ果てた土地にたどり着いた。

 

ユウ「ここにそのバットってのがあんのか?」

 

ドロシー「バットじゃなくて【バッボ】よ。もうユウたんは~、そう言うお茶目な所も素敵♥」

 

そんな二人を置いてギンタはさっさと遺跡の入り口を探していた。

 

ドロシー「ってあれ?坊やは?」

 

ドガァァン

 

ギンタは入り口を破壊していた。

 

ギンタ「おーい、早く行こうぜー!」

 

ドロシー「ちょっと何やってるのよ!もし崩れたりしたら―――」

 

ドガァァァァン

 

ユウ「ん?すまん。入り口はそっちか」

 

何を間違えたのか、ユウは遺跡の入り口の二メートル程横の壁をぶち壊していた。

 

ドロシー「はぁ~」

 

ドロシーは額を押さえながら深い溜め息をついた。

 

取り合えず遺跡の中へと進んでいく三人。しかし

 

ドロシー(おかしい、【バッボ】はレア中のレアなÄRMの筈。それなのに罠がまったく無いなんて)

 

更にしばらく奥へと進んでいくと、開けた場所にたどり着いた。

 

ギンタ「お!見ろよユウ!ドロシー!」

 

ギンタが指差す方向を見てみると、部屋の中央に宝箱が置かれていた。

 

ドロシー「う~ん」

 

ユウ「どうしたドロシー」

 

ドロシー「え、うん。少し気になってね。普通こういった場所にÄRMを隠すのは盗賊か特別な力を持った彫金師の筈。だとしたら持ち主を選ぶ罠や番人がいる筈なのよ」

 

ドロシーの言った通り、宝箱が輝き石でできた巨大なゴーレムのようなガーディアンÄRMが現れた。

 

ユウ「おお!ほんとに出てきた」

 

ギンタ「おおぉぉぉ!おっかねぇぇぇ!?でも―――」

 

ドロシー「でも何!?」

 

ギンタ「―――かっちょえぇぇぇぇ!?」

 

ドロシー「やっぱ帰れぇぇぇ!!!!」

 

ユウ「はははは!」

 

そんなやり取りをしている間に、石の巨人はその巨大な腕を降り下ろした。

 

ギンタ「うわっ!あぶねぇ!」

 

ドロシー「図体デカイ癖に以外と早い!?」

 

二人は素早く回避するが

 

ドロシー「っ!?ユウたん何してるの!?早く避けて!?」

 

ユウだけはその場を動かずに居た。

 

ユウ「はあっ!」

 

ガシッ

 

ギンタ「えぇぇぇぇ!?」

 

ドロシー「う、嘘でしょ!?」

 

なんとユウは石の巨人の一撃を、同じ右手で受け止めて見せた。

 

ユウ「今だギンタ。今のうちにÄRMを取ってこい。ドロシーはちょっと助けて」

 

ギンタ「おう分かった!」

 

ドロシー「任せて!ガーディアンÄRM【フライングレオ】」

 

ギンタは石の巨人の横をすり抜け、ドロシーは翼の付いた青白いライオンを出し、石の巨人をユウから離れさせる。

 

ユウ「ふ~流石に一撃が重いな。少し痺れた」

 

ユウは石の巨人の一撃を受け止めた右手をぷらぷらと降っている。

 

ドロシー「普通ÄRMも無しにガーディアンÄRMの一撃を受け止めるなんて出来ないわよ」

 

石の巨人の一撃を受けてもケロッとしているユウを見て、ドロシーは驚愕半分呆れ半分といった表情をする。

 

そんな時

 

ギンタ「ドロシーにしつもーん!」

 

ドロシー「何よ!【バッボ】は有ったの?」

 

【フライングレオ】に集中しているドロシーは、ギンタの声に少しだけ振り替える。

 

ギンタ「喋るÄRMって、有る?」

 

ドロシー「はぁ?んなÄRM有るわけ無いでしょ!ガーディアン化されてもないのに、ÄRMが喋るなんて気持ち悪いわよ!」

 

バッボ「気持ち悪いとは何じゃあぁぁぁぁっ!!無礼もんがぁぁぁぁぁっ!!謝罪せよぉぉぉぉぉっ!!」

 

ドロシー「………へっ?」

 

ドロシーの言葉に反応したのは、宝箱から飛び出した丸い銀の球だった。しかも、ただの球ではなく、球には長い鼻に立派な口髭と顎髭が生えており、目や口など人間に付いている物が揃っていた。更に、球には鎖が付いており、その先には銀のハンマーが付いている。

 

バシンッ

 

フライングレオ『ガアァァァッ!』

 

ドロシーが気をとられている内に、【フライングレオ】は石の巨人により叩き飛ばされていた。

 

ドロシー「しまった!?きゃあぁぁぁ!!」

 

石の巨人により叩き飛ばされた【フライングレオ】はÄRMに戻ってしまい、ドロシーは隙を突かれて石の巨人に捕まってしまった。

 

ユウ「ドロシー!こんのー!」

 

ドロシーが石の巨人に捕まったのを見たユウは、石の巨人の足元に行き、見事な足払いをした。

 

ギンタ「うりゃー!」

 

更にギンタが石の巨人の頭にバッボのハンマーを大きくして降り下ろし、体制を崩した石の巨人はその重さも合間って、大きな音を立てながら地面に倒れた。そして、一瞬光、ÄRMに戻った。

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

バッボ「嫌じゃ嫌じゃ嫌じゃぁぁぁ!!こいつのÄRMになるのは嫌じゃぁぁぁ!!」

 

ドロシー「な、何よこれ」

 

ユウ「どうなってんだこれ?」

 

バッボを入手し、ガーディアンÄRMを倒し、取り合えず遺跡の外に出てみると、改めてドロシーはバッボを見た。

 

だが、いくら見てもドロシーにも何故バッボが喋るのかさっぱり分からなかった。そして、バッボをドロシーが触ろうとすると、バッボ自身が激しく抵抗していた。

 

ドロシー「何で私は嫌なのよ!」

 

バッボ「お主からは邪悪な魔力がプンプンしとる。触られたくも無いわ!」

 

ドロシー「な、何ですって!?私はあんたを探して遥々っ!?」

 

ドスンッ

 

あまりの言いようにギンタの持っていたバッボを奪うと、バッボの重量に耐えきれずバッボを落としてしまった。

 

ドロシー「ちょっと待って坊や!?君、こんな重いもの投げたり、ぶん回したりしてたの!?」

 

ユウ「おおほんとだ。結構重いな」

 

と言いながらも、ドロシーが落としたバッボをユウは軽々と持っている。

 

ドロシー「じゃあユウたん貰う?」

 

ユウ「いや、流石に俺も文句を言う武器は嫌だな」

 

ドロシー「だよね~」

 

ドロシーは「仕方無いか」と小声で呟き、目をキラキラさせているギンタの方を向く。

 

ギンタ「それ持てないんだったらしょうがないよな。バッボ頂戴!」

 

話し合いの結果、ドロシーもユウも使わないと言う事で、バッボはギンタが持つことになった。

 

ドロシー「ただし坊や。坊やはこれから色んな奴等に襲われるわよ。喋るÄRMなんて唯でさえ珍しいし、多くの盗賊なんかが目をつける筈だから。それに、収穫は有ったしね♪」

 

そう言って見せたドロシーの手首には、先程倒した石の巨人の頭部をのような形の物が付いた銀の腕輪が光っていた。

 

ドロシー「じゃあ私はそろそろ行くわね。ユウたんはどうする?私と来る?」

 

ドロシーが乗っている箒の後ろを叩きながら誘う。

 

ユウ「……俺は良いや。少し一人でこの世界を見て回りたいし、ÄRMも探してみようと思う」

 

ドロシー「そっか。残念だけど、またどこかで会えるよね。じゃあねギンタ、ユウたん」チュッ

 

ドロシーはユウの頬にキスすると、箒に乗って空高く舞い上がり去っていった。

 

ユウ「んじゃギンタ。俺も行くわ。またどっかで会おうな」

 

ギンタ「おう!じゃあなユウ!」

 

ユウは後ろに手を振りながら、ギンタとは逆の方向に歩いていった。

 

 

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