メルヘヴン バカな救世主   作:悠之

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第九話 第二次メルヘヴン大戦!アランを襲う八本の鞭【オクトパス】

 

異空間『ギンタ側』

 

ギンタ「はっはっはっ!」

 

ギンタ、バッボ、ユウは異空間をグルッと大回りでランニングして、スノウとメリロのところへ戻ってきた。グルッと大回りでと言っても場所は異空間だ。壁などは有りはしないし、相当な距離を走っていた。流石のギンタも息を切らしている。ユウはいつも通り平気な顔をしている。汗なども見られない。そんなユウとギンタにスノウはタオルを渡す。

 

スノウ「ギンタ、ユウ。お疲れ様」

 

ギンタ「お。サンキュー」

 

ユウ「ありがとう」

 

スノウ「バッボさんは自分で拭けないから私が拭いてあげる」

 

―――いやいや、バッボってなんで汗が出るんだよ。っつかずっとギンタが持ってたじゃん。

 

ユウの中でバッボに対する謎が更に深まった。

 

バッボ「いや~スノウちゃんに拭いてもらうと、いっぺんにパワーが回復するのう。もちっと休憩しとりたいんじゃが」

 

スノウ「うふふ」

 

ギンタ「バーカ」

 

バッボはスノウに拭いて貰えてデレデレだ。

 

メリロ「特訓開始から4日が過ぎましたね」

 

メリロが近くの大きな岩に黒いチョークで四個目のバツを書く。

 

ギンタ「もう4日か。なんだかあっという間だな」

 

ユウ「そんなに時間が経った感じしないもんな」

 

4日と言っても、修行に夢中になっていると時間が経つのはあっという間で、実際2日と言われても納得しそうだ。

 

スノウ「でも現実の世界ではまだ一時間半くらいしか経ってないんだけどね」

 

ギンタ「そうだな。まだまだ先は長いけど、もっともっと強くなるぞ!そして、『チェスの駒』を倒すんだ!」

 

バッボ「わしも同じじゃ!」

 

スノウ「頑張ろうね。ギンタ、バッボさん、ユウ」

 

パチパチ

 

そんな四人を見ながら、メリロは拍手していた。

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

ドスンッ

 

ドスンッ

 

燃え盛る町の中、ÄRMと思わしき巨人が町を破壊していた。

 

クロスガード1「世界中に存在する『クロスガード』達に連絡をいれろ!恐れていた事が遂に起こったぞ!『チェスの駒』が二度目の戦争を起こした!」

 

“二度目の戦争”それが意味するのはまた世界中で多くの血が流れると言う事だ。

 

そして、同じような事がメルヘヴンのあちこちで起こっていた。

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

『クロスガード』の助けを求める声は、『クロスガード』のNo.2だったアランと現『クロスガード』でトップクラスの実力を持つアルヴィスの元にも届いた。

 

アルヴィス「聞こえましたよねアランさん!襲われている町を、民を助けに行きましょう!いくつもの国からSOSが届いている。以前の戦争で壊滅寸前まで陥った『チェスの駒』がここまで力を取り戻した!それが意味するのは、ファントムの………復活!」

 

アランは黙ってアルヴィスの言うことを聞いていた。

 

アルヴィス「ダンナさんのパートナーだった貴方が参戦すれば!」

 

アルヴィスの言葉を聞きながら、アランはゆっくりとアルヴィスに背を向けた。

 

アラン「アルヴィス、頼みがある。人々を助けに行ってくれ」

 

アルヴィス「……えっ」

 

アラン「俺はここに残る」

 

アルヴィス「どういう事ですかアランさん!貴方は行かないのか!」

 

いくらアランに言おうが、アランは振り返らない。

 

アルヴィス「“豪傑アラン”とも有ろう方が、チェスに恐れを抱くのか!」

 

アランの言葉にアルヴィスは怒った。人々がこんなにも苦しんで居るのに自分は動かないと言ったアランに、怒りを感じずには居られなかった。前戦争でアランと共に戦い、アランを尊敬しているからこそアルヴィスの怒りは大きかった。

 

アラン「……頼むぜアルヴィス」

 

アルヴィス「……くっ!貴方には失望しました。」

 

ベル「べー!」

 

いくら言っても無駄だと感じたアルヴィスは、自分一人でも助けに向かおうとその場を去った。

 

ポタポタ

 

アルヴィスが去った後、アランの足元に数敵の赤い滴が落ちた。見れば、アランの口から僅かに血が出ている。アルヴィスには見せなかったが、助けに行けない悔しさで歯を力強く噛みすぎたようだ。

 

アランはこの場を離れられないのには理由が有った。まず、異次元とは言え、同時に二体のガーディアンを発動しているため、一歩も動く事が出来ない。仮にガーディアンを戻しても、【修練の門】の中にギンタ達が居る状態で【修練の門】を戻すと、ギンタ達は永遠に異次元をさ迷う事になってしまう。故にアランは、行くことが出来なかった。

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

異空間『ギンタ側』

 

ギンタ「………」

 

バッボ「………」

 

ギンタとバッボは【修練の門】の中に有る湖の岩の上に居た。岩の上で目を瞑りながら、バッボを湖に垂らして、その時を待つように目を瞑り続けている。

 

ギンタ「……っ!?どりゃぁぁ!」

 

すると、バッボの下に大きな影が近付いた。そして、待ってましたと言わんばかりに、ギンタはバッボを引っ張り湖から巨大な魚を釣り上げた。

 

 

 

 

スノウ「美味しい~この魚」

 

ギンタ「うめぇー!特訓がこんなに楽しくて良いのかな?」

 

バッボ「何が楽しいじゃい。紳士に釣糸着けて魚釣りの道具にしょって、無礼者!」

 

修行20日目。ユウ達はギンタとバッボが釣り上げた魚を焼いて食べていた。

 

ユウ「……よくバッボで魚が釣れたな。今度俺もやって見ようかな」

 

バッボ「なっ!?もうやらんわ!」

 

スノウ「まぁまぁ。こんな大きな魚が釣れたのもギンタとバッボさんのシンクロが上手く行ってる証だよ」

 

バッボ「そ、そうかの~」

 

スノウに言われれば一瞬で機嫌が良くなるバッボを見て、外見が人間だったら、間違いなくエロ親父のような姿だろうなと思うギンタだった。

 

修行を段々とこなしていき、ギンタも見違えるほど強くなり、ジャックも『割れずの門』を無事クリアした。

 

そして遂に、全ての修行を終え180日を過ぎた。

 

メリロ「はい。それでは修行は今日で最後です。皆さん良く頑張りました。皆さんならきっと『チェスの駒』にも勝つことが出来るでしょう」

 

ギンタ「うおぉぉ!次はぜってぇ負けねぇぞ!」

 

バッボ「その意気じゃギンタ!」

 

スノウ「私も負けてられない!」

 

ユウ「ふぅ。じゃあ行くか」

 

三人+一が準備をし終えると、メリロの前に並んだ。

 

メリロ「それでは皆さん。……っ!?皆さん!今、アラン様に『チェスの駒』が攻撃を仕掛けています!急いで下さい!」

 

メリロはアランの危機を感じとり耳をピクッと動かすと、慌てた様子でユウ達に伝えた。

 

ギンタ「なっ!?ユウ!スノウ!急いで戻ろう!」

 

ユウ「おう」

 

スノウ「うん!」

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

【修練の門】の外

 

バシンッ

 

バシンッ

 

アラン「うぐっ!」

 

【修練の門】の外では以前氷の城で戦った『チェスの駒』のイアンと黒いローブで全体を包んだ赤と白の仮面を着けた『チェスの駒』が、アランに攻撃を加えていた。

 

イアンのÄRMは前の【パイソンウィップ】とは違い鞭の数が八本になった【オクトパス】というÄRMになっており、更に厄介なことに破壊されてもすぐに元に戻る再生機能付きだ。普段のアランなら階級が【ルーク】のイアンに遅れをとることなど有り得ないが、今のアランは万全とは程遠く顔は窶れ目元には隈が出来ている。

 

アランがこうなっている理由は今現在しようしているÄRMが原因だった。ディメンションÄRM【修練の門】と、【修練の門】の中でしようしているガーディアンÄRM【メリロ】と【ブモル】。いくらアランでもこれだけのÄRMを同時に使えば疲労も蓄積される。更に、ディメンションÄRM【修練の門】をユウ達が入った状態で元に戻せば、ユウ達は永遠に異空間をさ迷うことになってしまう。故に、アランはこの場所を移動することも出来なかったのだ。結果アランは飲まず食わずで三日間を過ごし、疲労も増えてイアン相手にボロボロにやられてしまったのだ。

 

アラン「はぁ……はぁ…」

 

イアンの【オクトパス】の鞭を受けてアランの体は既に限界を迎えていた。いくら【ルーク】クラスの実力しか無いと言っても、避けられない状態で尚且つ最悪のコンディションの時に攻撃されれば人溜まりもない。

 

イアン「それじゃあこれで………フィニッシュ!」

 

【オクトパス】の銀の鞭がアランにとどめを刺そうと向かってくる。

 

ズバンッ

 

だが、【オクトパス】はアランに当たる前に粉々に切られてしまった。

 

【オクトパス】を切ったのは手と十字型の剣が一体化した剣を装着したギンタだった。

 

スノウ「ただいまエド」

 

ユウ「おっさん無理し過ぎだ」

 

アラン「ハッ……ハッ……うるせぇ。俺様にとっちゃこんぐれぇ無理でも何でもねぇよ」

 

ギンタ「180日トレーニング完了!」

 

トレーニングを終えたユウ、ギンタ、スノウが【修練の門】から出てきた。

 

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