機械仕掛けの赤   作:貧弱モノサシ

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再投稿です、2話と3話を繋げました


1Days「ディマジオ」

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新しいパイロット、ディマジオへようこそ。

 

 

 

 

~旧秋葉原~

 

《A.R.N.D OS起動。作戦目標の再確認を行います。本ミッションは僚機「グラジオラス」との共闘です、南方向より接近中の大型兵器を無力化してください》

 

その音声を全て聞き終えた後、レバーを握り自分の機体を1歩前に進ませる。モニターに映ったのは青い空と砂に埋もれた建物、そして地平線から這い上がってくるように動く大きな戦車のような鉄の塊のみ。一瞬だけ「これを落とせるのか」と不安がよぎった、なにせその戦車は通常の比じゃないほど巨大なのだ、大雑把に例えるとビル20件位の大きさはあるだろうか、その威圧感は絶え間なくこちらを刺激し続ける

 

《なお、僚機グラジオラスは高い戦闘能力と実績を誇りますがパイロットとの通信は拒絶されるため連携が困難です、ご注意ください。 それでは作戦行動を開始します》

 

隣にヘッドパーツを向けると赤い機体の僚機グラジオラスが目標に向かい前進しているのがモニターに映る、グラジオラスは至ってシンプルな形をした人型兵器だ、頭部のカメラユニットは1つだけであり、装甲は波をトレースしたような流線型のものばかりで無駄を省いた機体だというのが一目で理解できた。

一方こちらの機体は「ロボット」や「機械」と表現するにはあまりにも特殊な形をしている。直線を多く使用した何の特徴もない脚部はふくらはぎの部分から熱を帯びたコードのようなものが数本飛び出しており、両腕は機体の全長より長く大きいたいめ地上を移動する際は腕を引きずりながらの行動になってしまう。胴体は前方への推力を追求した結果、空気抵抗を受けにくい尖った形となった、ヘッドパーツは任務に合わせて変えるようにしている。

毎回これを僚機や護衛対象に説明しないと敵と間違われて撃たれてしまうから厄介だ、形が形だから仕方ない

 

《ターゲット接近中》

 

ブーストを使って機体を加速させる、それに続くようにグラジオラスも少し遅れて機体を加速させた。

あんな大きな兵器を無力化するにはどこを狙えばいいのだろう?普通に考えるとキャタピラだが、あの大きさだと移動部分を破壊されても固定砲台として猛威を振るう可能性が高い、とすれば先に砲台を狙うべきか。ジェネレーターを壊して全機能を停止させるのも1つの手だが接近しないといけない以上致命傷になりうる被弾は必至だ

 

《ターゲットとの距離が短くなっているため、武器の用意を提案します》

 

ターゲットまでおよそ1500m、この距離ではまだ攻撃できないか。

システムの指示通りに武器をいつでも構える事の出来る状態にする、と言っても折りたたんでいたガトリングを展開しただけだ、このガトリングは両腕に内蔵されているため邪魔にはならないが馬鹿みたいに重い、この機体の腕が巨大なのもこれを支えるためなのかもしれない

 

《グラジオラスのオペレーターから通信が来ています、これより通話を開始します》

 

『あー、あー、てすてす、聞こえてるかな?』

 

聞こえたのは耳に残る若い男の声、オペレーターと言うことは本人ではないようだ

 

『これから行われる大型兵器の無力化についての話だけど、君の機体は宙に浮いたり飛行したりできるかい?』

 

地上戦に特化させているため飛行できない、シレクタ(人型兵器)に分類される機体はそのほとんどが飛行機能を持ち合わせていないはず、もちろん自分の機体もシレクタだ

 

『OK、じゃあグラジオラスは飛行して大型兵器上部に設置されてる砲台の気を惹きつけておく、君は二つあるキャタピラの一つを破壊しておいてくれ、一つでいいからね』

 

一つ……両方壊して動けなくする訳ではなさそうだが。何にせよグラジオラスが飛行できるようで助かったと安堵する、囮にするための僚機なのだ、存分に利用させて貰おう

 

《ターゲットの射程距離内に入りました》

 

『それじゃあ、お互いにベストを尽くそう』

 

返事をする前に向こうから一方的に通信を切られる、少々戸惑いつつ機体の操縦を続行してターゲットのキャタピラへとたどり着いた。

巨大な上半分と比べてキャタピラ部分はそこまで大きくない、例えるなら小さなブロックの上に本を何冊も重ねたような感じだ、ブロックの部分がキャタピラに当たるが……、いくら上半分より大きくないとは言っても巨大である事に変わりは無かった、巨大ゆえに動く度に砂煙が舞って視界が制限される。とにかくキャタピラのどこを狙うべきか……ただ撃っているだけで歯が立つとも思えない

 

《ターゲットの後方に電力を供給するタンクが露出しています、キャタピラに一つづつ取り付けられているタンクを破壊してください、片方だけ破壊すれば片方のキャタピラが無力化します》

 

なるほど、流石は有能AIだ。

グラジオラスが囮になれる時間も限られているだろう、ブースターの出力を最大まで上げてタンクへと向かった。

 

 

~~~

 

 

機体を動かす度に「ガリガリ」と関節に入り込んだ砂利が砕かれる音がする、向かい風が吹いているためかいつもより激しく砂や小石が散弾のように装甲を打ち付けた

 

《敵機確認できません、警戒を怠らないで下さい》

 

確かに、これほど大きな兵器だと護衛の1機や3機付いていてもおかしくはないが……。今の所奇襲の気配すらない、いや、奇襲は出来ないのか?現在、戦場で最も多く使われている兵器は「シレクタ」だ、凡庸性が高いが人型のため「スピード」「パワー」「戦術」の全てにおいて尖った特徴が無い、そのため視界外からの奇襲には向かず、進撃より防衛に使われる事が多い。

護衛機がシレクタなら奇襲をせずに大型兵器の防衛をしている可能性が高いだろう。どれだけ機体を軽くしようと戦闘機の速さには勝てない、どれだけ装甲を増やしても戦車からの集中砲火は耐えれない、それがシレクタだ

 

『こちらグラジオラスオペレーター、上空から見ている限りでは敵機は見当たらない、それに』

 

それに?

 

『……いや、うん、言葉に詰まっただけだよ。大変になるのは君が片方のキャタピラを壊した後だ、こちらも長時間滞空出来るわけじゃないから迅速に済ませて欲しい』

 

それもそうだ、早く終わらせよう。

ブーストを最低出力で起動し、脚部を動かせて走る。ブーストにより推力を得た走りは徐々に加速し、コックピット内にまで風を切る音が聞こえた

 

《ターゲット、大型兵器の電力タンク。ロックオンしました》

 

機体の両腕をキャタピラに張り付いている電力タンクに向け、腕に内蔵されたガトリングを展開する。現在、大型兵器の進行方向と逆方向に進んでいるため、このままでは大型兵器後部に付いている電力タンクを通り過ぎてしまう、どこかで機体を方向転換して大型兵器を追う形になった方が効率的か

 

《撃てます》

 

タンクに向けてとにかく弾をばら撒く。砲身は次第に熱を帯びて赤く染まり、冷却が間に合っていない。

砲身が悲鳴を上げる直前、大型兵器の電力タンクを通り過ぎたためドリフトして機体を反転させる。ガトリングを腕に収納して最大出力のブーストを起動した

 

《電力タンク、半壊しています》

 

これから掴んで引きちぎるのだからあまり関係ない、ガトリングでの攻撃はあくまでガッチリ固定されている電力タンクの金具を少し弱らせるための保険だ、……弾で弱るのかは分からないが。ともあれタンクまであと5mほど、腕を伸ばせば簡単に届く距離だ。右腕を真っ直ぐ前に突き出し、ドラム缶のような形をした電力タンクを思い切り掴む、その状態のまま機体に急ブレーキをかけて引きちぎった

 

『はいおつかれ、この大型兵器倒れるから離れてたほうがいいよ』

 

そりゃ片方だけ正常に動いていたらバランスを崩すだろう。

再びブーストを起動して大型兵器からできるだけ距離をとる、たまに振り返ってみると重心が不安定な大型兵器は円を描くように走り回っている、しかし両方のキャタピラは地に足を付けており、まだまだ倒れないだろう。

……不意に後ろから聞こえた爆音は、その考えの全てを否定した。

 

《作戦成功、帰還してください》

 

『いやぁ、なかなか早く終わったね。やっぱり君は強いよルドア君』

 

やっぱりそう呼ぶか、傭兵をやっている身のため本名を知られては色々不都合なのだ、だから……所謂ハンドルネーム、もしくは仮名としてルドアという名が半強制的に付けられるようになったのだが。

正直この仮名はあまり気に入っていない、理由は分からないがどこか不愉快なのだ

 

『君はこれからディマジオ社に報酬を受け取りに行くんだろう?僕らはこの大型兵器を調べ尽くしてから受け取りに行くよ』

 

大型兵器を調べる?どうしてだ、解体でもして売るのか?とすれば、キャラピラを片方だけ壊して転倒させたのも大型兵器の破損を抑えた状態で回収するためなのかもしれない

 

『その考え方で合ってる、けど売る気も解体する気も無い。まぁ、また会うことがあれば教えるさ』

 

もう行け、と言わんばかりに通信が切れる。

ディマジオ社の輸送機に機体を回収してもらい、荒れた地上を見下ろしながら帰路に着いた

 

 

 

~~~~

 

 

 

それからしばらく経った、具体的には2週間くらいだ。テレビには「傭兵ルドアとグラジオラスによって無力化された大型兵器の調査結果」がニュースとして流れている、まぁ自分は調査に参加していないため興味はないのだが。

 

《新着メールを受け取りました》

 

重い腕を動かして携帯電話を手に取る、慣れた手つきでロックを解除し、メールを開いた。

……ディマジオからだ

 

宛先:ルドア 様

件名:作戦

 

本文:

我々はあなたの力が必要になる作戦を実行しています。現在、AstとBextの戦いが激しくなっており、我々ディマジオは流れ弾を防ぐだけでは最早耐えることが出来ません、彼らに「敵」として認識されてしまいました。

もしもあなたが「ルドア」として力を貸してくれるのならば、早急にディマジオ社まで訪れてください、どうか良い判断を。

 

~追記~

 

これより全傭兵を集め、第2作戦名「鈴の狼」を実行します。このメールを受け取った皆様にどうか幸運を。

 

《もう一通来ています》

 

それも見る、………報酬の詳細だ、なかなか良い報酬だが、どうしたものか。はっきり言って面倒事の予感がする、かなりする、しかし……。

この会社は今まで生きてきた中で1番世話になった会社だ、少しだけなら手を貸そうか




実は誤字とか確認あんまりしてないんですよね……
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