後編は割と早めに出来上がる…かも?まぁ特に重要なシーンがない前編です、ご了承ください。
長めなんであとがき見てもらえれば3行でまとめてる文が見れると思います
《OS起動、非正式な作戦行動を開始します》
眺めるのは神宮、アパートやオブジェクトは複数機のシレクタによって破壊されて無残な姿になり、娯楽を楽しんでいた人々はただ死から逃げ回る。ぱっと見でもじっくり観察しても「酷い」の一言しか口から出てくる事はなかった
《敵機の各所につけられたエンブレムから、敵部隊は「Bext」の物と推測されます》
出撃ゲートを抜けて地上へと出る、まさか3日続けてシレクタに乗ることになるとは思わなかったが、これもなってしまったものは仕方ない。
それより敵機はBextの部隊のようだ、なぜ神宮を?
《現在支援は存在しません、数で不利なため極めて過酷な戦闘が予想されます》
一応勝率を聞いてこう
《4%です》
ああ死んだな……。最後に聞く事になるのがこの無機質なシステムボイスとは。
だが、どうせこのままズルズル傭兵を続けるのならいつかは戦いで死んでいた、それの覚悟だってもう出来ているはずなのだが……もう少し親孝行しておけば良かったかな
《敵機接近、警戒を》
接近してきている敵シレクタはまさに数えきれないほどであった、Bextの機体はいづれも青く統一され、整いすぎたその動きに妙な恐怖すら感じ取れる
《敵部隊がジャマーを起動、援軍の要請を含める外部との連絡手段が遮断されました。敵部隊の援軍を確認、数が多すぎてレーダーに収まりきりません。敵部隊がCIWSを起動、敵部隊が………》
こいつら、そこまでして何を……シレクタ1機に対してここまで大掛かりな警戒や増援は呼ばないはずだ、何かを恐れてやっているのか?
ここで大規模なジャマーを発したという事はBextが恐れるものがこのあたりにあるのか来るのか、……「来る」の方になら心当たりがある、もしも「ディマジオ社」が少しでも敵機の反応をキャッチできていたのなら
《機体接近、敵性反応はありません》
よし読みが当たった、いいタイミングだ。ただでさえ様々な集団に目をつけられているディマジオが、敵がわらわらと集まっている場に来て一気に畳み掛けようとするのは分かっていた。
《ジャマーを発生させている機体が撃破されました、機体の識別が完了……ディマジオの傭兵部隊、味方です。通信を繋ぎます》
『あー、あー、マイクテス……』
その声はついこの間聞いたばかりの声だった、何と言ったか……グラジオラスのオペレーター、ツェダクという名前だったはず
『その通り、よく覚えていてくれたね。君がこの近くをうろついていて助かった、傭兵で組まれた捜索隊がいち早く君の反応を拾ってね、そしてBext部隊の反応もキャッチ、捜索隊が急ぎこの場に集結し傭兵部隊が出来上がったわけだ……じゃあお互い健闘を祈るよ』
自分もつくづく運がいい……と、悠長にお喋りなどしている場合ではない。まっすぐ敵部隊、いや敵の軍勢を見据えると傭兵達が次々と敵機体を粉砕、爆破させているのが分かる、やはり雑兵と傭兵では練度が違うのだろう。
こうしている間にも戦場の背景と化した神宮は壊されてゆく。自分の機体も本格的に戦わねばならない……腕に内蔵されたガトリングは折り畳んだ砲身を伸ばし、これから貫く装甲に向けて熱を帯び始めた
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『クソッ!なんやこいつら、数が多すぎる!』
傭兵のひとりがそう叫んだ、そう、多い。これでもかと増え続けるのだ敵機体は。
いくらこちらに熟練パイロットがいてもシレクタの性能はその腕に応えてはくれない、定められた「性能」には限界がある、こちらも消耗しつつあるのだから1度退いて───
……いや、そうすると神宮は…、ヒーローを気取るつもりは無いがそうなってしまうのは嫌だ、仕事で殺してもこういう場では見殺しになんてするもんか。
『おいあんた!』
こちらの横に移動し、そう話しかけてきたのは重装甲型のシレクタ、両肩と両手にはスナイパーライフルが積まれており装甲には迷彩が施されている
『その両腕から撃ってるのガトリングやな!?俺が指示する場所に向けて集中的に弾幕張ってくれ!』
それはいいが、その後どうするか聞いておこうか
『援軍呼び続けてるリーダー機が群の中央におる、そいつへの道をガトリングで開いて俺がリーダー機を何とかする!』
なんて滅茶苦茶な、突っ込むつもりなのか
『頼む、上から攻めようにも戦闘機でもない限り……』
それしかない……訳では無いだろう、おそらく時間があればもっといい案くらい出てくる。しかし限られているのは戦略ではなく時間の方だ、どんな馬鹿げた策であってもこの戦況を打破するにはすぐにやるしかない
『やってくれるんか!よし、じゃあ若干機動戦になるで、動かずに弾幕張るのなんか敵に位置知らせてんのと同じやからな』
じゃあ自分は今まで敵に位置を知らせていたのか…
《位置座標受信》
『ここや、補足されんなよ』
コックピットのモニターはマップを映し出す、マップには赤い点が目立った、この赤点が指示された場所だろう
《ガトリング残弾数残り20%、先程の作戦を成功させるには弾数不足です》
『はぁ!?やってみんとわからんやろそんなもん!』
《不可能です》
『うっせ!お前はどう思うんや!』
あぁ……話をこっちに振られた。
まぁ足りないって言ってるのだから事実足りてないのだろう、となればこの作戦を提案したこの傭兵と一緒に突っ込むしかないか、残った弾をばらまきながらがむしゃらに戦う、何もしないよりは断然いい
『人に滅茶苦茶って言っといてお前もなかなか滅茶苦茶やな……よしやるぞ!』
隣でブースターが火を吹く音がする、それに続いてこちらもブーストし、加速した。
敵機の集団に近づくにつれ装甲と装甲が擦れる音、金属音が高く響いているのが耳に入る、中には爆発音や発砲音もあり、そしてそのすべてが街を破壊しているようにも見える。神宮をバックに戦い続けるBextの部隊は迫り来る傭兵に応戦しているが、よく見てみるとその銃口はたった1機のシレクタに集中していた──グラジオラスが集中的に狙われているのだ、浮遊できるからか?機体の赤いカラーが目立つからか?いや赤い機体などグラジオラスの他にもいる、浮遊は確かに面倒だが爆撃できるわけでもないなら他の機体を潰していくほうが戦略としては遥かにいいはずだが
『おらどけッ!』
既に交戦を開始しているみたいだ、熱くなったガトリングを味方に当たらないように撃ちながら群れに突っ込む、敵機が踊るように崩れ火に飲まれてゆくが気持ちのいいものではない
《残弾、残り10%、6%、2%》
0%の報告はなく、代わりにピーという警告音が鼓膜を震わせた。
『こいつら、異常なほど脆い……』
同感、鋼鉄ではなくまるで生き物の肉を抉っている気分だ。
とりあえず弾がなくなってしまったため非力だが砲身で敵機をひたすら殴る……なんだかこの戦闘スタイルはしっくり来て仕方が無い、近接戦闘など物好きしかしないだろうに
『おい、お前近接武器は?』
無い
『うそやろ?』
無い
数秒遅れで機体に衝撃、左肩の装甲に対シレクタナイフが浅く刺さっている
『アホ、それ使え!』
彼なりの優しさなのだろうがこれは酷い。うう……修理代が。ナイフを引き抜く、……相変わらずほとんどの敵機がグラジオラスをターゲットにしているため自分の方を見ている敵機は少ない、そのこちらを見ている敵機でさえ弾を惜しんでいるように見える。
こちらの物より1回り大きなナイフとライフルを持ったシレクタ2機が正面から接近してきているため後方へと距離を取り、不意打ちで背を低くし2機の脚部めがけて急加速する、結果2機は豪快にすっ転ぶがこちらもヘッドパーツ、特にカメラの部分にナイフの傷跡が深く残ってしまった
《カメラ損傷、若干の障害が発生します》
狭くなった視界で、起き上がろうとする1機のボディを掴んで握りつぶす、背を地につけたままのもう1機にはヘッドパーツにナイフを突き刺してボディまでスライドさせた。これで無力化はできたはず、しかしいつまでもこのカメラで戦うのはあまりにも危険だ。
胴体が潰れている方のシレクタからヘッドパーツを引き抜き、こちらのヘッドと入れ替える、カラーは頭だけブルーと合っていないが「ツインアイ」と前方に突き出した装甲の刺々しいシルエット、そして側面に当たる部分から後頭部まで突き抜ける展開型バイザーのデザインはなかなか合っていると感じる、よしこれは持って帰ることにしよう
《パーツ名 SNAKE-壱A。極めて軽量で安価、バイザーにより狙撃に優れる頭部パーツです》
ライフルも奪……いや、近接武器はともかくこの異形の腕ではまともに狙いは定まらない
《リーダー機までの距離、縮まっています》
この調子で……!
《味方の反応が5機増えました》
何?
『援軍か?……いや、作業用シレクタに近い反応かこれ……っておいどこいくねん!?』
戦線を離脱して周辺を探し回る。分かっていたことだが、少し前にこのシレクタをメンテナンスしてくれた人達が使っている作業用シレクタが視界に入った
《通信受信》
『あ、その……私らも戦うよ!武器は持ってるし…へへ……』
一瞬だけブーストを吹かして急加速、作業用シレクタ5機が並んでいる前に立つ。ソラ乗っているのか?
『私と私のメンバー4人、見てる限り敵は脆いんでしょ!?じゃあ私達でも』
『それは違うで』
会話に横槍を入れるように先程まで共に作戦をしていた傭兵が会話に混ざる…よく見ると戦闘をしながらこちら側との会話までやってのけているようだった
『これはあくまでも俺の感想なんやけどさ、傭兵っていうのは代わりなんだよ、戦えないすべての人のための代わり。もちろん戦力増強とか道具として扱うやつも居るんやけどそいつらも「戦力」が足りないから俺達傭兵を雇うわけで』
『……?』
『……この時代における傭兵ってな、金を払って欲を満たす物じゃなくてお前らみたいな奴らを守るためにおるんや、いつからか傭兵の扱い方は仕事屋から正義のヒーローにとって変わった、一言で終わらせてしまうと「仕事を取るな」って事、平和な世に近づくためには攻撃手段を知るものを一部に絞……ってクソッ!!おい早く加勢しろ!』
『そんな、でも傭兵の皆が押されてるし』
意外としつこいため通信を切って5機すべてを思い切り蹴り飛ばす、かなり強い力で蹴ったので作業用の脆い内部機器ならしばらく機能停止しているはずだ。最前線で出鱈目な戦いをされるよりこちらの方が断然生存率が上がるだろう。頼むから死なないでくれよ
『ぐああっ!』
まずい、すぐに向かわなければ
《ブースト出力オーバー、急加速の衝撃に備えてください》
並の者なら逃げ出してしまうほどの轟音を撒き散らして移動する、視界には既に四肢が切断されてダルマのようになった傭兵のシレクタが、敵機体のナイフによってコックピットを貫かれようとしていた
『まだ無事や、助けてくれ!』
《バイザーを展開します》
ヘッドパーツ側面のバイザーがツインアイを覆い、モニターに映る敵機の姿も拡大された。光が反射するナイフの先は恐怖を煽るように装甲をなぞる
《敵機ロックオン、近接射程内まで5、4、3、》
強すぎる機体の加速を右脚部で止めようとするも関節から火花が散るだけで速度が緩む気配はない
《2》
このままの速度で突っ込んでも死にはしない、だが突っ込んだ先は敵機の群れのど真ん中だ。
……これはチャンスでもある、一かバチかだ、賭けるとしよう
《1》
──馬鹿な
《右脚部の接続がありません》
そこにあるはずのシレクタの右脚が消えている。無茶をさせすぎてしまった。
バランスを崩した機体は回転し、無様に体中を地に擦り付けながら敵機の群れへと侵入してゆく、その摩擦で装甲が焼けたようでコックピット内にはきつい匂いが充満していた
『おい…!お、俺の方は味方に助けてもらった!そっちにもすぐ支援が来るはずや!』
ダメだ、立ち上がれなければ足掻くこともできない。
焦るなよ、焦るな………冷静な状態がベストなんだ
《機体のダメージが深刻です》
なにか手は
《機体が攻撃を受けています》
『っ……がぁぁぁぁぁ!!』
《味方機接近》
この声と、レーダーに映る反応……まさかあの傭兵!
『ほら潰しやすい獲物がここにもおるぞ!早よこっち向け!』
隣に滑り込んできたのは傭兵の五体不満足なシレクタだ、四肢は使えないというのにブースト移動だけでここに突っ込んできたのか
『お前!早くブーストで逃げろ!』
これだけ周囲に敵機がいればやるだけ無駄だろう
『っ──』
だが注意はこちらから逸れた、ここまでシレクタが密集しているのなら1機だけ盛大に爆発させれば連鎖的に他の機体もダメージを受けるはずだ。……もちろん自分もただでは済まないが
《周囲の敵性反応のターゲット、再びこちらへ向きました》
今機体は仰向けとなっている、寝返ることも転がることもできない、そんな中で激しいアクションをおこせるのは「装甲」のみだ
《セーフティ解除》
成功する見込みは少ないが、今できるだけの事をしないと隣のコイツはこちらのせいで死んだことになる、勢い任せとはいえ命を張ってくれた者を見殺しにするなど出来ることではない。
左腕に持っている対シレクタ用のナイフは装甲の間に無理やり差し込んでおき、機体の両腕を空に掲げる。これで準備は完了した、1度深呼吸をしてから操縦を再開する
《パージします》
両腕の装甲と装甲の継ぎ目に火花と熱が伝い、耳を突き破るような高い音がこの空間を包んでしまう、後を引くその音に続き腕の装甲は限りなく爆発に近い破裂を見せた。鉄屑と化したそれは散弾のように周囲に散り、無差別に攻撃を続ける、少なくとも視界に入った敵性反応はすべて後方に数メートル弾き飛ばされた、この分ならしばらくは大丈夫だろうが、一分持つかどうか
《腕部オーバーヒート》
肉がなくなり、鉄でできた骨だけの腕は重力に抗うことなく地上に吸い付いた。冷却中のため腕は使い物にならないだろう、……いやセーフティは解除してある、動くには動くか、しかしこれ以上どうすればいい?このまま死を待つしか無いのか?
装甲に差し込んだナイフは不発、つまり破裂と共にどこかへ飛んでいったが敵機にヒットせずに役目を終えたのだ
『終わりや……』
ブーストはまだ使えるのかを問う
『無理や、もう逃げ切れるだけのエネルギー無いし』
機体が持っておけるエネルギーの上限を100として、10秒のブーストで使うエネルギーは20程度だ、エネルギーの回復は限りなく遅いがブースト後のみ補助として瞬間的にエネルギーが高速回復される。もしかして10程度なら残っていたりしないのか?
『12%やな、残念やけどブーストできるほどの量やないよ』
いや、それだけあれば……。
機体の上半身を起こして両腕を隣の傭兵シレクタのバックパックに押し当てる、何かが焼けるなんて物じゃない、オーバーヒートによって強い熱を帯びている腕はバックパックを溶かしていた
『お……おい!なにやって……あっつ!』
バックパックは黄色に近い色の炎を纏い始める、それを少し見つめてから手足の無い傭兵の機体を無理やり斜め45度上に向けた。
正式名称がまだ定まらない「エネルギー」が用いられているのは様々な理由のうち大きく二つ、特定の条件下で簡単に爆発が起きるから、そして高熱を蓄積させれば、どのような状況であれ一定の威力を持つ爆発が起きるからだ。今この場合は後者を実行しようとしている、どうせ死ぬならここで一瞬だけ大爆発を起こしてみてからも悪くない、もしかしたら脱出できるかもしれないのだから
《キケンです、キケンです、キケンです》
エネルギーの恐ろしいところは、どの方向に強い爆発を起こし推力を得るかを調節できるところなのだ、この体制だとどう頑張って調節したとしても間違いなくこのシレクタは助からないが、せめて最後のブーストでこいつだけでも群れから出すことができるだろうか
『おいなんか出力上がってんねんけど……!』
《前方より熱源、ブーストに極めて近い物と思われます》
ブーストより強い爆発か、それなら期待できそうだ
《熱源の膨張を感知、熱源の爆破まで3、2、1、0》
それと同時に見えていて当たり前の外の景色がモニタに映らなくなり、各パーツとの接続も完全になくなっている。これは機体が溶けていっているということなのだろう。
腕部、肩部、胸部装甲、サブカメラ……徐々に接続先が消えてゆく恐怖はとても測りきれたものではない
さぁ、そろそろだ
《味方機戦線を離脱、本機も離脱を完了しました。高度上昇……着地に備えてください》
敵の数やべぇ
主人公機と傭兵の機体うごけねぇ
爆発で脱出するぞ
前編、主に序盤をどうやって書けばいいのか迷いまくってめちゃくちゃな文になってたかも、気が向き次第修正を入れることにします。