ハイスクールD×D~アルギュロス・ディアボロス~   作:Mr.エメト

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第十二話 =家族の絆=

ロキとの戦いが終わった。

採掘場跡地は、ボロボロ、大きなクレーターが幾つも出来てた。

皆が勝利の歓喜をしていたが、美猴、黒歌、アーサーの姿が何処にも無かった。

ヴァーリは結局は帰って来なかった、フェンリルに勝ったのだろうか・・・。

いや、あのヴァーリの事だ。負ける事は無いだろう。

鋼弥は朱乃、バラキエル、朱璃のもとへ行く

 

「貴方が涼刀鋼弥さん、ですわね・・・?」

 

「はい」

 

「今でも信じられません。私が生き返って、夫と娘と会えて温もりを得る事が出来るなんて・・・」

 

「母さま、鋼弥さんと仲魔が甦らせてくれたんです」

 

バラキエルの肩を持つ朱乃が笑顔で言うと、朱璃も優しげな笑顔で返す。

 

「そうね。朱乃もこんなに大きくなったのね」

 

「私も嬉しいです、母さま・・・」

 

朱乃とバラキエルは心底安らいだ様な表情となる。

鋼弥は朱乃の家族の対話を邪魔してはいけないと離れようとする。

 

「待ってくれ、涼刀鋼弥」

 

バラキエルが呼びとめて、振り向く。

 

「君は娘が、朱乃の事が好きか?」

 

「はい。朱乃は俺の事を支えてくれた素敵な女性です」

 

「そ、そうか・・・」

 

鋼弥は迷うことなく断言した。

バラキエルは照れ臭そうに笑い、朱乃は顔を真っ赤にした。

朱璃は頬に手を当てて笑んでいる。

 

「朱乃、良い殿方を持ちましたわね」

 

「父さま、母さま、私・・・」

 

「朱乃、あなたも鋼弥さんが好きなのでしょう?」

 

「はい。それに今、私は鋼弥さんのお家に居候させてもらっています。

 でも、父さまと母さま、また3人で暮らしたいと―――――」

 

「朱乃、あなたは好きになった殿方を置いていくつもりなの?」

 

「そ、そんな事しません!ただ・・・また3人で暮らせるから・・・」

 

「ダメよ。好きになった人を置いて家族と暮らすなんて。鋼弥さんと結婚すれば話は別だけれど」

 

『結婚!?』

 

「私はこの人と一緒に暮らすけど、朱乃はどうするの?居候をやめて私達と暮らす?

 それとも、結婚して私達の所に戻るまで鋼弥さんの家に住む?」

 

「・・・私、鋼弥さんの居候を続けます!鋼弥さんと結婚すれば、父さまと母さまにご紹介も出来ますわ!」

 

「・・・娘が娘なら、母も母もか」

 

「け、け、結婚なんて、私は認めんぞ!」

 

「あなた、親なら娘の成長を見守ってください。朱乃が好きになった殿方なんですよ?」

 

「むぐ・・・。す、涼刀鋼弥。娘を、よろしく頼むぞ・・・」

 

バラキエルは複雑な表情をしながら、握手を求める。

鋼弥は一息ついてからバラキエルと握手を交わした。

 

 

◇◆◇◆

 

 

「・・・久しぶりの覇龍は堪えたな。アーサー、そちらはどうだ?」

 

「支配のエクスカリバーの力で何とかできそうですよ。

 最も制限付きなのでフェンリルの力は下がってしまいますが、神を殺す牙は健在です」

 

「ヴァーリ、曹操の奴から連絡は言ったぜぃ。『独自に動くから邪魔だけはするな』だそうだ」

 

「お互い何もない事を祈ろうじゃないか。かかってくるのなら別だがな」

 

「それにしても、鋼弥の力は凄かったにゃん。あれほどの大放出の魔法を使えるなんて」

 

「赤龍帝、銀牙とその兄が最後に立ち塞がるのかもしれんな・・・」

 

 

◇◆◇◆

 

 

「もう、終わりだわ!」

 

修学旅行の話し合いをしているオカルト研究部の部室中央で悲鳴をあげる銀髪の女性がいた。

 

「うぅぅぅぅっ!酷い!オーディン様ったら、酷い!私を置いていくなんて!」

 

ロスヴァイセは会談を終えたオーディンに放置されてしまったらしい。

今頃気付いている筈なのだが、何の連絡もやって来ない。

 

「うわぁぁぁぁぁぁんっ!これは紛れもないリストラよ!

 私、あんなにオーディン様のために頑張ったのに日本に置いていかれるなんて!

 どうせ私は仕事が出来ない女よ!処女よ!彼氏いない歴=年齢よ!ふえぇぇぇぇぇぇんっ!」

 

もはや完全にヤケクソモードになっている。

泣きじゃくりながら床を叩きまくるロスヴァイセ。

 

「泣かないでロスヴァイセ。この学園で働けるようにしておいたから」

 

「・・・グスン。ほ、本当に?」

 

「ええ。希望通り、女性教諭って事で良いのよね?女子生徒ではなくて?」

 

「勿論です。私、これでも飛び級で祖国の学舎を卒業しているもの。

 歳は若いけれど、教員として教えられます」

 

「飛び級で卒業、優秀なヴァルキリーなのか」

 

「けど、私、この国でやっていけるかしら?かと言って祖国には戻れないし。

 うぅっ・・・せっかく安定した生活が送れそうな職に就けたのに!」

 

再び嘆くロスヴァイセにリアスが書類を取り出して見せる。

 

「今、冥界に来ると、こんな特典が付いてくるわよ?」

 

「ウソ!保険金がこんなに?こっちのは掛け捨てじゃない!」

 

「更にこんなサービスやシステムもついてお得だと思わない?」

 

「す、凄いです!!悪魔ってこんなに貰えるんですか?どれも好条件ばかりです!!」

 

それを聞いたロスヴァイセはさっきまで落ち込んでいた様子が嘘のように消え、表情が明るくなった。

リアスがポケットから紅い駒を取り出す。

 

「そんな訳で、冥界で一仕事するためにも私の眷属にならない?

 あなたのその魔術、『戦車』として得る事で動ける魔術砲台要員になれると思うの。

 ただ駒の消費が1つで済めば良いのだけれど」

 

全員がリアスの申し出に驚くのも無理がない。

しかし、ロスヴィイセの魔術砲台、テクニックは申し分無いので利益は大きい。

 

「どこか運命を感じます。私の勝手な空想ですけど、それでも冥界の病院であなた達に出会った時から、こうなるのが決まっていたかもしれませんね」

 

ロスヴァイセが紅い『戦車』の駒を受け取ると、背中から悪魔の翼が生えた。

 

「皆さん、悪魔に転生しました。元ヴァルキリーのロスヴァイセです。

 グレモリーさんの財政面も含め、将来の安心度もあるので悪魔になってみました。

 どうぞ、これからもよろしくお願い致します」

 

「と言う訳で、皆。私、リアス・グレモリーの最後の『戦車』は彼女、ロスヴァイセとなりました」

 

リアスが笑顔で改めて紹介し、全員が快く迎え入れた。

 

「これで、リアスの駒は全て埋まった事になるな」

 

「そうなるわね。新しいフォーメーションを考えないといけないけどね」

 

「でも・・・住む場所はどうしましょうか・・・」

 

「・・・住む当てが無いなら、俺の所に来ないか?空き部屋は幾つかあるから使っても良いぞ」

 

「ほ、本当ですか?あ、ありがとうございますぅぅぅぅぅ!!」

 

ロスヴァイセは鋼弥に抱き付いて泣きまくっており、鋼弥はヨシヨシッと頭を撫でる。

新たにロスヴァイセが仲間になり、益々賑やかになりそうなグレモリーチームだった。

 

 

◇◆◇◆

 

 

その日の夜。

バラキエルが突然、来訪してきたのだ。

鋼弥に改めてお礼がしたと言うとのことだ。

居間は、鋼弥とバラキエルの二人だけとなった。

 

「涼刀鋼弥。君にはいくら感謝してもしきれない、朱璃を甦らせてくれてありがとう」

 

「あの時、蘇生させた事は余計な事じゃないのかと心配してた。

 それに、これ以上・・・朱乃と不仲なのが放っておけなくてな」

 

不仲になるのが放っておけないという言葉に疑問を持つバラキエル。

だが、次の言葉で理解できたのだ。

 

「・・・俺は、俺の両親は亡くなって、兄とは殺し合う仲・・・。

 だから、困っている人や家族の事になると放っておけない性分になってね」

 

寂しそうな顔をする鋼弥。

バラキエルは眼の前の少年は辛く悲しい過去を背負い、兄やゾロアスターと戦っていた。

 

「・・・私は君に暴言を言ってしまったな。私の事を殴っても構わん」

 

「良いんです。朱乃の事を危険な目に合わせた俺が未熟でした。

 今度は、迷うことなく彼女を護ります。何があっても・・・」

 

「そうか・・・。君になら朱乃を大事に守ってくれると信じよう」

 

「ありがとう、バラキエルさん」

 

その様子を窓から見ていたアザゼル。

 

(あいつは壊れてしまった家族の絆を再び繋ぎとめた。俺も救われたよ、ありがとな)

 

アザゼルの頬に一滴の涙が流れた。

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