ハイスクールD×D~アルギュロス・ディアボロス~   作:Mr.エメト

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第三話 協力態勢

修学旅行初日の夜

ホテルに戻った鋼弥逹は事の顛末をアザゼルとロスヴァイセに報告すると、「何故京都で襲撃を受ける?」と困惑していた。

事前に京都を旅行する事は、京都を統べる者逹に伝えてある筈だった。

一誠はリアスに報告すべきか迷ったが、アザゼルから余計な心配をあいつに与えるなと言われ踏み留まる。

情報が足りないので、今報告したところでどうにもならないからだ。

 

「どうも、事件に巻き込まれやすいな・・・」

 

それとも赤龍帝、或いは俺が力を引き寄せているのだろうか?

そう考えてしまうと―――。

 

(力を持ち過ぎた者は戦い続けるのが宿命だというのだろうか・・・)

 

この力は守るために力を振るう。

しかし、あの姿―――修羅と化した自分に恐怖を感じている。

嶺爾みたいに、本能に身を任せれば、可能なのだろうか・・・?

とんでもない事を考えていることに気付き、頭を振るう。

 

「何を考えているんだ俺は、この力は闇雲に振るっては駄目なものだ」

 

「おー、いたいた。探したぜ」

 

「アザゼル?何か用事ですか?」

 

「ああ、近くの料亭でセラフォルー様が呼んでいるんだよ。で、お前が最後というわけだ」

 

そんなことで料亭に辿り着く鋼弥たち。

其処には魔王少女もとい、魔法少女セラフォルーが待っていた。

 

「京都の妖怪さん達と協力態勢を得るために来ました☆」

 

セラフォルーが横チェキで答えるが、すぐに顔に曇りを生じさせる

 

「けれどね・・・。どうにも大変な事になっているみたいなのよ」

 

「大変な事?」

 

「京都に住む妖怪の報告では、この地の妖怪を束ねていた九尾の御大将が先日から行方不明なの」

 

その一言を聞いた鋼弥と一誠は互いに顔を見合わせた。

昼間、襲撃してきた少女が言っていた『母上を返せ!』という言葉が脳裏に浮かぶ。

もしかすれば、あの少女は九尾の娘ということになる。

 

「九尾の御大将を誘拐か」

 

「ええ、アザゼルちゃんから、あなた達の報告を耳にしたのよ。おそらくそう言う事よね」

 

アザゼルが杯の酒を飲み干す

 

「ここのドンである妖怪がさらわれたって事だ。関与したのは――――」

 

「"禍の団(カオス・ブリゲード)"。もしくは"ゾロアスター"よね。

 しかも、ここには何か特殊なものが封印されている報告があるけど・・・その正体がわからないままなの」

 

「特殊な封印か・・・」

 

"禍の団(カオス・ブリゲード)"だけでなく"ゾロアスター"も関与している。

アザゼルが忌々しそうに吐き捨てる

 

「こちとら修学旅行で学生の面倒見るだけで精一杯だってのにな。

 まったく、やってくれるぜ。テロリストどもが」

 

「どちらにしてもまだ公(おおやけ)にする事は出来ないわね。

 何とか私達だけで事を収束しなければならないの。

 私はこのまま協力してくださる妖怪の方々と連携して事に当たるつもりなのよ」

 

「了解。俺も独自に動こう。ったく、京都に来てまでやってくれるぜ、やっこさんどもよ」

 

アザゼルが再び酒を飲む

修学旅行の初日から大変な事になってしまっているようだ

 

「あの、俺達は・・・?」

 

一誠が恐る恐る訊くと、アザゼルが息を吐きながら苦笑した

 

「とりあえず、旅行を楽しめ。何かあったら呼ぶ。

 でも、お前らガキにとっちゃ貴重な修学旅行だろ?

 俺達大人が出来るだけ何とかするから、今は京都を楽しめよ」

 

アザゼルがとても良い事を言ってくれて、一誠は感動する

普段はおふざけな性格だが、堕天使総督の名は伊達ではない。

 

「そうよ、今は京都を楽しんでね。私も楽しんじゃうわよ♪」

 

 

◇◆◇◆

 

 

次の日―――。

 

「こ、これは・・・銀じゃない!?」

 

ゼノヴィアが開口一番に叫んだ言葉はそれだった

一誠達は現在、銀閣寺に来ており、ゼノヴィアは開いた口が閉じないくらいショックを受けていた

 

「足利義向が死んでから銀箔を貼るの中止だとか、財政難で中止したとか諸説は色々あるけどね」

 

桐生がそう説明し、ゼノヴィアはガクリッと肩を落とす。

全部が銀の閣寺を楽しみにしていたと思っていたんだろう。

次は金閣寺の方へと向かう。

 

「金だ!!今度こそ金だ!!」

 

金閣寺に到着して、ゼノヴィアは歓喜の声を上げた。

 

「金だぞぉぉぉぉ!!」

 

両手を上げてゼノヴィアがハイテンションになる。

リオはクスクスッと笑い、露店の品物に目が入る。

鋼弥もリオと一緒に露店の品物を見る。

そこに、"幸運を呼ぶタリスマン"というものだ。

様々な方陣が描かれているものばかりだ。

 

「そこのお二人さん、何か欲しものとかあるかい?これが、お勧めだよ」

 

老人は、懐から取り出したのは、"フォー・ウィズダム"のタリスマンだ。

他のと違い、照らす角度が違うと虹色に光る。

 

「綺麗・・・」

 

「こんな貴重な代物いいのですか?」

 

「お二人なら、これを持っていた方がこいつも喜ぶよ。受け取ってください」

 

リオは虹色に輝く、タリスマンを手にする。

一誠に呼ばれて、鋼弥とリオは行こうとしたが・・・

 

「ちょっと待った」

 

「どうかしたの?」

 

「折角だから、このタリスマンを―――」

 

鋼弥は、虹色のタリスマンをリオの首にかけた。

 

「これでいいな。さあ、行こう」

 

「・・・うん」

 

リオは顔を赤めて、一誠たちと合流する。

茶店でお茶と和菓子を食して、休憩をとっているが松田、元浜、桐生の3人が眠っていた。

だが、そんなに疲れるようなことではない。

女性店員の方を見ると頭に獣耳が生え尻尾も出ている。

周りを見渡せば、鋼弥逹以外の観光客は皆その場で倒れ込むように寝ている。

一誠とゼノヴィアは臨戦態勢に入ろうとしたが、鋼弥が止めに入る。

 

「待て、俺たちを倒しにかかるのなら、一般人を巻き込むようなことはしないはず。

 ただ眠らせるような回りくどい事をするのは、訳があるはずだ」

 

丁度、ロスヴァイセが制止してきた。

 

「待ってください!!」

 

「ロスヴァイセさん!どうしてここに?」

 

「ええ、あなた逹を迎えに行くようアザゼル先生に言われました」

 

「アザゼルに?何かあったのか?」

 

「停戦です。と言うか、誤解が解けました。九尾のご息女があなた逹に謝りたいと言うのです」

 

獣耳の女性が深く頭を下げる

 

「私は九尾の君に仕える狐の妖(あやかし)でございます。

 先日は申し訳ございませんでした。

 我らが姫君もあなた方に謝罪したいと申されておりますので、どうか私達についてきてくださいませ。

 我ら京の妖怪が住む――――裏の都です。

 魔王さまと堕天使の総督殿も先にそちらへいらっしゃっております」

 

 

――――――――――

 

 

金閣寺の人気が無い場所に設置してあった鳥居を潜り、一行は家屋から顔を覗かせる妖怪が存在する薄暗い空間に足を踏み入れた

京都に住む妖怪が身を置く場所らしく、レーティングゲームとほぼ同じ方法でこの空間を作り出しているらしい

進んだ鳥居の先にアザゼルと着物姿のセラフォルーがいた

 

「お、来たか」

 

「やっほー、皆☆」

 

その2人の間に豪華な着物を来た少女がいる

先日襲撃を働いた九尾の娘だ。

 

「九重さま、皆さまをお連れ致しました」

 

狐の女性はドロンと炎を出現させて消えた

九重と呼ばれた少女が前に出てきて口を開く

 

「私は表と裏の京都に住む妖怪逹を束ねる者――――八坂の娘、九重と申す。

 先日は申し訳なかった。お主逹を事情も知らずに襲ってしまった。どうか、許して欲しい」

 

深々と頭を下げる九重。

 

「良いんじゃないか。誤解が解けたのなら私は別に良い。

 邪魔をしない限り、私たちは問題ない」

 

「そうね、許す心も天使に必要だわ。私はお姫さまを恨みません」

 

「はい。平和が一番です」

 

ゼノヴィア、イリナ、アーシアは許す気でいる

 

「し、しかし・・・」

 

どうやら余程気にしているらしい

一誠は膝をついて九重に目線を合わせた

 

「九重で良いかな?なあ、九重、お母さんの事心配なんだろう?」

 

「と、当然じゃ」

 

「なら、あんな風に間違えて襲撃してしまう事もあるさ。

 もちろん、それは場合によって問題になったり、相手を不快にさせてしまう。

 でも、九重は謝った、間違ったと思ったから俺達に謝ったんだよな?」

 

「・・・もちろんだとも」

 

「それなら俺達は何も九重の事を咎めたりしないよ」

 

「・・・ありがとう」

 

一誠の言葉を聞いた九重は顔を真っ赤に染めてモジモジしながら呟いた

 

「流石おっぱいドラゴンだな。子供の扱いが上手だ」

 

「ちゃ、茶化さないでくださいよ。これでも精一杯なんですから!」

 

アザゼルがカンラカンラと笑い、一誠は照れている。

九重は少女の悲痛な叫びを皆に告げた

 

「咎がある身で悪いのじゃが・・・どうか、どうか!母上を助けるために力を貸して欲しい!」

 

話によると、この京都を取り仕切る大妖怪"九尾の狐"こと八坂は、須弥山(しゅみせん)の帝釈天から遣わされた使者と会談するため、数日前にこの屋敷を出たと言う

ところが、八坂は帝釈天の使者との会談に姿を現さなかった

不審に思った妖怪逹が調査したところ、八坂に同行していた警護のカラス天狗を保護、瀕死の状態だった。

死の間際に八坂が何者かに襲撃され、さらわれた事を告げたらしい

京都にいる怪しい輩を徹底的に捜していた時、鋼弥逹は間違えられて襲撃を受けた事になる。

その後、アザゼルとセラフォルーが九重逹と交渉し、冥界側の関与が無い事を告げて今回の首謀者が"禍の団"と"ゾロアスター"の可能性が高いと情報を提供した。

 

「・・・なんだか、偉い事になってますね」

 

「各勢力が手を取り合おうとすると、こういう事が起こりやすい。

 オーディンの時もロキが来ただろう?今回はその敵役がテロリストどもだった訳だ。

 その上、ゾロアスターまで来やがるとは・・・」

 

アザゼルが不機嫌そうに言う

 

「総督殿、魔王殿、どうにか八坂姫を助ける事は出来んのじゃろうか?

 我らならばいくらでも力をお貸し申す」

 

九重の脇にいる天狗が一枚の絵画を見せる

巫女装束を来た金髪の女性で、頭部には獣耳が生えている。

 

「ここに描かれておりますのが八坂姫でございます」

 

「八坂姫をさらった奴らが未だにこの京都にいるのは確実だ」

 

「どうして、解るんですか?」

 

「まだ、京都全域の気が乱れていないからだ。

 そもそも"九尾の狐"はこの地に流れる様々な気を総括してバランスを保つ存在でもある。

 京都ってのはその存在自体が大規模な力場だからな。

 九尾がこの地を離れるか、殺されていれば京都に異変が起こるんだよ。

 その予兆すら起きていないって事は、八坂姫は無事であり、さらった奴らもここにいる可能性が高いってわけだ。

 セラフォルー、悪魔側のスタッフは既にどれぐらい調査を行っている?」

 

「つぶさにやらせているのよ。京都に詳しいスタッフにも動いてもらっているし」

 

アザゼルが鋼弥逹を見渡す様に視線を向ける

 

「お前逹に動いてもらう事になるかもしれん。人手が足りなさ過ぎるからな。

 特にお前逹は強者との戦いに慣れているから、対英雄派と対ゾロアスターの際に力を貸してもらう事になるだろう。

 悪いが最悪の事態を想定しておいてくれ。あと、ここにいない木場とシトリー眷属には俺から連絡しておく。

 それまでは旅行を満喫してて良いが、いざと言う時は頼むぞ」

 

『はい!』

 

アザゼルの言葉に応じるが、旅行どころじゃなくなってきた事に変わりはない

九重が手をついて深く頭を下げると、両脇の狐の女性と天狗も頭を下げる

 

「どうかお願いじゃ。

 母上を、母上を助けるのに力を貸してくれ・・・。いや、貸してください。

 お願いします」

 

九重は声を涙で震わせている。

鋼弥とリオはしゃがんで九重の頭をやさしく撫でる。

 

「心配するな。必ず、君の母を助けてみせる」

 

「お姉ちゃんたちに任せてね」

 

九重は、リオに抱き着いてエグエグと泣いていた。

リオは優しく、九重の背中を撫でる。

 

「まだ、母に甘えたい年頃なのに無理をしていたんだろうな」

 

「ああ、九重の母さんを攫った、禍の団はぜってぇ、許さねぇ!!でもって・・・」

 

『うふふ、お主が赤龍帝か?わらわを助けてくれたようじゃな?

 さて、どんな褒美をくれようか?なんじゃ、わらわの体ばかり見おって・・・。

 そうか、お主はわらわの体を所望するか。ふふふ、よかろう、極上の喜びを教えてやるぞ?』

 

一誠は着物を妖艶にはだける八坂を妄想して鼻血を出してグフフッ・・・と笑っている。

 

「イッセーさん・・・」

 

アーシアはジト目で一誠を見て、その視線に気づいたのか頭を振って切り替える。

 

 

◆◆◆◆

 

 

【これが、やつらの封印を解くためのカギ?】

 

【忌々しいアフラ・マズダの天使共は霊的国防兵器に強固な封印を施した。

 だが、この宝玉ならば破壊し、更に我が主の復活のエネルギーが得られる】

 

【どういうこと?奴らの封印を施しているのは光でしょ?】

 

【この常闇の珠は光を闇へと変換させる特殊な宝珠。

 封印が解かれ、行き場を失った光のエネルギーは闇のエネルギーへと変わり、

 これを我が主へと届ければ、復活は果たせるということだ】

 

【なるほどね。この珠がそんな効果があるなんてね】

 

【アンリ・マンユ様も復活し国防兵器を手に入り、戦力は増強する。二重三重の策だ】

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