ハイスクールD×D~アルギュロス・ディアボロス~ 作:Mr.エメト
是非とも、楽しんでください。
第一話 不思議の平行世界・前編
修学旅行を終えて、学園祭の準備にとりかかる一方。
鋼弥のもとに新たな依頼が届いていた。
「魔王べリアルと魔王ネビロスの依頼か」
べリアルとネビロスは中間管理職組織の魔王たち。
管理職と言っても、戦闘にも出ることがあるらしく武闘派コンビだ。
依頼の内容は―――。
"アリスが行方不明になってしまった。あるゆる世界を探しても見つからない。
もしかしたら、異界へと行ってしまわれたかもしれない。
どうか、探し出してほしい"
「・・・魔人アリスか。これは相当骨が折れそうになる」
―――魔人アリス。
べリアルとネビロスがとある理由で保護している少女だが、恐るべき呪力を持つ。
子供ゆえの性格から、手加減も知らない、命を奪うのに躊躇もしない。
ある意味で、他の魔人よりも厄介な存在である。
前にライドウは彼女と戦ったことが・・・手強い相手だそうだ。
手紙の内容にはまだ続きが書いてあった。
"この任務は涼刀鋼弥だけでは、難しいので、二人頼んでいる。
その人物はパンデモニウムにあるゲートで待ち合わせている"
「・・・ある二人と行動か」
鋼弥はこれからの任務の為にオカルト研究部に伝えて、魔界へと向かう。
―――――――
=魔界中央・パンデモニウム 異界ゲート=
パンデモニウムに入り、異界ゲートの前に辿り着く鋼弥。
本を読んでいる女性がいた。
「・・・あら、久々ね」
「今回の同行者というのは紫(ゆかり)だったのか」
「ええ、適任者ということで呼ばれたわ」
紫色のドレス、赤いスカーフ、髪を束ねて女性は橘樹紫(たちばな ゆかり)。
修行時代の仲間で、よく本を読んでいたことがある物静かな印象だ。
「もう一人の同行者は?」
「・・・すぐに来るわよ」
紫がそういうと、白髪のロングヘアーに深紅の瞳、髪に白地に赤ラインが入った大きなリボンの女性が走ってきた。
「わりぃわりぃ、遅くなった」
「望紅(もこう)も来たのか」
彼女の名は東雲望紅(しののめ もこう)。
同じく、修行時代の仲間で気が強く、不良のイメージがあるが誰とでも接していた活発な人だ。
特にドルキーとケンカしていたのが解る。
「二人は修行を終えて、それからどうしたんだ?」
「・・・私も貴方やスピードバカと同じくハンターをやっているわ」
「私もハンター職。んで、火山の国で活動しているわ」
「二人の実力なら騎士団だって入れたのに」
「私は窮屈よりも、自由気ままに生きれるハンターの方がいいのよ」
「私は、ああいう堅苦しい所が大嫌いなんでね」
修行時代、望紅はレイハと、紫はミランダと稽古していたのを見たことある。
二人と手合せしたことはないが、おそらく・・・俺やリオ、フィーナと同じ実力者だろう。
「さて、行きましょう。魔人アリスを探しにね」
「ああ、そうだな」
「別世界に行くの、ワクワクするな」
ゲートを潜り抜ける三人は眩い光に包まれる。
◇◇◇◇
光が収まると、どこかの路地裏に出たようだ。
後ろには紫色に輝く穴がある。
「どうやら、路地裏の様ね」
「ここを出てみよう」
三人は路地裏を出て、街へ進む。
すると、鋼弥はどこか見覚えるある町に辿り着いた。
「まさか駒王町か・・・?この世界に魔人アリスがいるのか?」
鋼弥はCOMPを開いてサーチモードを実行する。
だが、魔人アリスの反応はしない・・・。
「闇雲に捜しても骨が折れるわね」
「そうだな。情報集めに・・・」
そうは言っても一般人に悪魔の存在を知られてはいけない。
ましてや、魔界の悪魔がいるかどうかもわからない。
「・・・これ、詰んでいないか」
「・・・言われてみればそうね」
「・・・どうすんだよ」
兎にも角にも、ここで立ち往生しているわけにはいかない。
考えている三人だが、鋼弥はフッと見知った人物を見かける。
「・・・鋼弥、あの女性知っているの?」
「あれは、堕天使のレイナーレか。隣にいる人は・・・天使か?」
「人間の姿をしているけど、天使だな。純正のではなく、転生した者ね」
「別世界だが、知っている人に協力してみよう」
紫も鋼弥の意見に賛同し、レイナーレと一緒にいる男性と接触する。
「すまないが、そこのお二人。すこしいいかな?」
呼び止められたレイナーレと少年は鋼弥の方を振り向く。
「はい?」
「・・・単刀直入に言うけど、貴方達は人間ではないわね」
紫の言葉を聞いて、ドキッとする二人。
「安心しろ、俺は半魔だ。紫と望紅は人間だが魔力がある。
だから、二人が人間ではないということは解る」
「そ、そうなんですか・・・」
男性はホッとしている。
「信じられないと思うが、俺たちは任務で悪魔を追って別世界から渡ってきた。
情報を集めをしたいが、こっちの世界では解らない点がある。
君たちに協力をお願いしたい」
レイナーレと少年はしばらく、考えたが了承した。
「解りました。僕たちにできることがあれば・・・」
「ええ、協力してあげるわ」
「ありがとう少年」
「あ、あの僕は佐藤崇仁(さとう たかひと)と言います」
「改めて、ありがとうタカヒト。俺の名は涼刀鋼弥」
「・・・橘樹紫、よろしく」
「東雲望紅だ、よろしくな」
まずは拠点地として崇仁とレイナーレの家へと向かう三人
◇◇◇◇
~崇仁&レイナーレの家~
「さあ、こちらですよ」
「へえ~~、教会か」
「落ち着いた感じね」
望紅と紫が教会の建物を見上げつつ言った。
「実は私と崇仁は今は天界で暮らしていて、ここには久しぶりに帰ってきたのよ」
レイナーレが2人に説明する。
「ああ……あの教会か……」
一誠とレイナーレが戦った場所であり、レイナーレを助けたあの教会。
三人は教会へ入る。
「ふーん。案外、良いじゃん」
「・・・静かでいいわね」
紫と望紅はのんびりしている。
「それで、ある悪魔というのは・・・?」
「アリスという悪魔だ」
「アリスってルイス・キャロルの"不思議の国のアリス"の主人公ですよね?」
そんな御伽噺の登場人物が悪魔だなんて、信じられないと思っている崇仁。
鋼弥は説明をする。
「絵本の少女なのか、同名を持つ少女の霊と様々な説がある。
ある2体の悪魔は彼女を憐れんで蘇らせたのはいいが、恐ろしい力を持つ魔人となった」
「その魔人アリスを見つけてなんとか保護しないといけない。
相手は人間だろうが悪魔だろうが簡単に呪い殺すほどの力を持っているからな」
「・・・こちらの世界に迷い込んでしまったから、私たちはここへ来たの」
望紅と紫が自分たちの目的を説明する。
「あの僕たちにも何か、お手伝いとかできますか?」
「・・・手伝いか」
鋼弥は考えているが、望紅は目を細めて言う
「こんな、なよなよ男じゃあ、足手まといだと思うけどな」
望妹が辛口な言葉を言うとレイナーレが怒る。
「ちょっと!!崇仁になんてことを言うのよ!!」
「私は本当のことを言ったまでだ。見るからに戦闘向きという感じじゃないだろ?生白くて腕は細いし、肩幅もない。殺し合いどころか喧嘩すらした事ないだろ?戦闘のときにそばにいられたら邪魔になるだけだ」
「そうね。相手が魔人となると、守りながら戦うのは辛いわ」
望紅と紫は崇仁に向けて言う。
「あ、貴女たちっ……崇仁は貴女たちの事を考えて……」
「いいの、レイナーレ……東雲さんたちが言った事は本当の事なんだから……」
怒るレイナーレを崇仁はなだめる。
「二人とも、今はそんなことを言ってる場合じゃない。
崇仁、気持ちは嬉しいがこうして家に入れてくれただけでも十分だ。
戦闘に関しては俺たちに任せてほしい」
「・・・解りました。」
夜になり、鋼弥と崇仁は二人だけで会話をしていた。
鋼弥は思い切ってあることを聞き出す。
「聞きたいがレイナーレとはどういう経緯で暮らしているんだ?
転生天使と堕天使が一緒に暮らしているのがどうしても不思議でね」
「・・・経緯ですか」
鋼弥の質問に崇仁は頬をかく。
「僕はこの世界の人間ではないんです。不思議な声に導かれて、この世界に来たんです」
「不思議な声・・・?」
鋼弥の問いに崇仁は頷く。
「僕はレイナーレに惚れていて、彼女が殺されそうになった時に助けたんです」
「……それは、リアスたちを説き伏せたというのか?」
「それから、一緒にいる時間を共にしたく天使になる試練を乗り越えて、転生天使になったんです」
つまり、元々は人間だったが転生天使として生まれ変わったというわけか。
この崇仁はそこまでレイナーレを深く愛しているのが解る。
「後悔はしていないのか?元の世界に帰れなくなったことや人間でなくなかったことも」
崇仁は首を横に振って答えた
「元の世界に帰れなくなったのは、寂しいですけど僕はレイナーレと共に生きると決めたんです」
「君は、心がとても大きく強いようだね」
ただ、弱そうな男ではない。
遠くの世界から一人の女性を護りたい、幸せにしたい。
その強い想いを感じる。
◇◇◇◇
それから、鋼弥、紫、望妹は街で虱潰しに探していくのだが、集まらない。
異世界に来てから三日目―――。
「今日も見つからなかったな・・・」
「やっぱ、この街にはいないのかねぇ?」
「・・・」
あれからアリスを探しているのだが、見つから仕舞いだ。
一応、祟仁とレイナーレも協力している。
捜索を一時中断して、近くのファーストフード店で休憩している。
「全く(モグモグ)、アリスは(モグモグ)どこに(モグモグ)いるんだろうかね?」
ギガバーガーを片手に食べる望妹。
「・・・喋るか、食べるかどちらかにしなさい」
ストロベリーシェイクを片手に持ち注意する紫。
祟仁は鋼弥たちに質問をする
「あの・・・三人はどういう関係なんでしょうか?」
「ああ、私らは昔馴染みだよ。んで・・・何でも屋のハンター職に就いている」
「他の人は騎士団に就いてたり、国の後継者として任されている人もいるわ」
「そうなんですか・・・」
「平和に暮らしているあんたらにとっては、想像がつかないだろうよ。特に温室育ちの男女にはな」
望妹の言葉にレイナーレはムッとする。
「昨日もそうだけど、何故タカヒトにそんなことを言うのよ!?」
「本当のことを言っただけだよ。戦う覚悟もない奴に命なんか張れないんでね。
ましてや、相手が魔人と戦うことになると、自分の身だけで精いっぱいだ」
望紅の言葉に落ち込む、崇仁。紫はフォローに入る。
「気にしなくてもいいわよ。望紅は貴方達の事が心配なだけよ。
ただ、素直に言えず、遠回しに言っているだけよ」
「よ、余計な事を言うな・・・」
顔を赤めて、そっぽ向く。
昼食を済ませて、再びアリスの捜索をするが―――突然、寒気が襲ってきた。
鋼弥は警戒し、紫にアイサインを送る。
紫は杖を出して、トンッと地面を叩くと現世と幽世と切り分けたのだ。
「周りの人たちがいなくなっている・・・」
「紫は現世と幽世を瞬時に行き来できる力があるんだよ。
それにしても、この気配って・・・」
「ああ、間違いなく・・・」
―――とてつもなく恐ろしい気配がする。
「崇仁、レイナーレ。後ろに下がれ」
鋼弥が指示を出し三人は後ろに下がる
魔法陣が出現し、淡い光から青いワンピース、頭に白いリボンをつけた金髪の少女だ。
「間違いない、魔人アリスだ」
「凄まじい魔力を感じるな。流石は魔人ってところか?」
【ねぇ、お兄ちゃん達。アリスのお願いきいてくれる?】
アリスは笑顔で首をかしげて、告げた。
【死・ん・で・く・れ・る?】
少女は無垢で純粋な笑顔で死刑宣告をする。