ハイスクールD×D~アルギュロス・ディアボロス~ 作:Mr.エメト
第一話 転入生の悩み
「ずむずむいやーん!」
『ずむずむいやーん!』
ステージに立っている一誠の掛け声に、客席の子供達が笑顔で輪唱する
冥界の旧首都ルシファードにある大型コンサート会場で"乳龍帝おっぱいドラゴン"のショーが行われていた
通常は代役がコスチュームを着て行うのだが、サーゼクスからのオファーで本人達が出演している
おっぱいドラゴン役の一誠が怪人役にキックすると、ド派手な効果音が鳴る
すると、黒いレンガが積み合わさった黒いゴーレムが出現したのだ。
このゴーレムはミランダが造ったショー用である。大きく唸り声をあげるが銀色の光が現れる。
―――赤いマフラーを身に纏った鋼弥、改め乳龍帝のライバル銀牙だ。
「乳龍帝、ここは協力してあのゴーレムを倒すぞ。お前の力と俺の技が合わされば―――」
「勝てないものは、無い!!」
ゴーレムに立ち向かう二人、会場は大盛り上がりだ。
◆◆◆◆
「ふぅー……無事に終われてよかったな」
「ああ。ショーというものに初めて出たが、楽しいものだな」
ショーが終わった二人は休憩を取っていたが通路から――――。
「やだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!おっぱいドラゴンと銀牙にあいたよー!!」
声がする方を見ると地団駄している子供とそのお母さんとスタッフが困っているようだ
一誠と鋼弥は頷き、一誠は鎧を装着して鋼弥は赤いマフラーを纏う。
二人はスタッフと母親に話しかける
「どうかしたんですか?」
「あ、おっぱいドラゴンと銀牙だ!!」
子供は泣き止み、笑みを見せた。
スタッフが説明してくれる
「兵藤さん、涼刀さん。こちらのお母さんとお子さんがサイン会の整理券配付に間に合わなかったようでして……」
二人は片膝ついて、同じ視線に合わせる
「名前は?」
「……リレンクス」
「リレンクス、俺たちに会いに来てくれてありがとう。何か書くものありますか?」
スタッフはマジックペンを取り出す。
「この帽子、サインしてもいいかな?」
リレンクスは三度頷き、帽子を渡す。
一誠と鋼弥は帽子にサインをして、リレンクスの頭にかぶせた。
輝くような笑顔でリレンクスは何度も帽子を脱いで被っていた。
「リレンクス、男の子が泣いちゃ駄目だぞ。転んだって何度も立ち上がって女の子を守れるぐらい強くならないとさ」
一誠はリレンクスの頭に手を置き、告げる
「……僕にもできるかな?」
鋼弥は強く頷き告げる。
「誰だって最初は強くはない。俺もおっぱいドラゴンは努力し続けて強くなれた。失敗を恐れず進め」
「……うん!!」
スタッフと共にその場を後にする二人。
「なるべくこういうのは控えてください。全ての方に対応するとのは無理なのですから……」
「すみません、気を付けます」
「泣いている子供は放っておけなくてね」
「カッコよかったわよ、二人とも」
リアスは先程の様子を見ており、一誠の頬を撫でる
「少し軽率だったけれど、あの子の夢を守ったわ」
「ありがとうございます!!」
一誠にとってリアスは返しきれない恩がある。
惚れた女でもあり、大好きなヒトだ。
だからこそ、守りたい以上に―――仲良くなりたい。
………だが、脳裏にある出来事が浮かぶ………
◆◆◆◆
翌日の駒王学園。
鋼弥と一誠は小猫とギャスパーがいる教室前に立っていた
ここにフェニックス家の息女――――レイヴェルが転入してきたのだ。
「あら、イッセーと鋼弥も様子見?」
「ぶ、部長もですか?」
「ええ、ちょっと気になって」
「外国からの転入生だから言い寄られてる。レイヴェルもどうしたらいいのか反応に困っているね」
そういえば転入してきたとき、色々と質問攻めにあった事を思い出す。
レイヴェルは言い寄っている女子達にどう対応したら良いのか分からず四苦八苦していた
鋼弥と視線が合ったレイヴェルは「失礼しますわ」と席を立ち、鋼弥の手を取って何処かへ連れ去ろうとする
一誠とリアスも後を追い、廊下を曲がった所でレイヴェルは手を離した。
「……どうした?レイヴェル」
「……て、転校が初めてですので……。
ど、どう皆さんと接したら良いか分からなくて……。
私、悪魔ですし、人間の方々との話題が見つからなくて……」
上級悪魔の令嬢が人間界の平民が通う学校に転校してくれば話題も見つかりづらい
「ふむ。それなら小猫に頼めば――――」
「……呼びましたか?」
すぐ近くに小猫とギャスパーがいた。
どうやら、後を追いかけてきたようだ。
「小猫、レイヴェルに教えてくれ。同じ1年で同じクラス、知り合いだからさ」
「先輩がそう言うなら、別に良いですけど……」
「ありがとう、小猫。レイヴェル、小猫が君のフォローを……」
「……ヘタレ焼き鳥姫」
鋼弥の言葉を遮るように小猫が呟き、その場の空気が凍りつく。
レイヴェルのコメカミにも青筋が浮かび上がってきた。
「い、い、今、何とおっしゃいましたか?」
「ヘタレ焼き鳥姫」
「あ、あ、あなたね!フェニックス家の息女たる私にその様な物言いだなんて!」
「そんな物言いだから、いざと言う時にヘタレるんじゃないの?
もっと決心を持って人間界に来たと思ったのに……。
鋼弥先輩の手を煩わせるなんて、世間知らずの焼き鳥姫」
――ブチンッ!
レイヴェルからキレる音が聞こえた。
不気味なオーラが漂い、ロール状の髪もウヨウヨと動き始める
「わ、わ、私は鋼弥さまの手を煩わせる様な事なんて!こ、この猫又は……!」
「焼き鳥」
「ぐぬぬぬぬぬ!!」
遂には両者の背後で猫と火の鳥が睨み合う様な光景まで見え出す。
ギャスパーは2人の迫力を恐れて一誠の後ろに隠れた。
鋼弥はフゥと息を吐いてから、二人の頭をポンポンと撫でる。
「初日から、喧嘩するようなことはしないように」
「「……すみません」」
謝ったが、小猫とレイヴェルは小さく「ふんっ!」と顔を逸らした。
鋼弥はやれやれという表情をする。