ハイスクールD×D~アルギュロス・ディアボロス~   作:Mr.エメト

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第二話 サイラオーグ・バアル

第二話 サイラオーグ・バアル

 

 

学園祭の出し物の準備を終えて、事務所についたが――――。

 

「……それで、何故、集まったんだ?」

 

そこには修行時代メンバーが勢揃いしていた。

 

「学園祭やるって聞いたからよ。俺たちも盛り上げようかなーっと思って」

 

ドルキーがそう言う。

おそらく、地上世界に行きたいという建前が欲しいのだろう。

 

「ハンター職や騎士団に就いている者たちはいいとして、アルスとリーザとフィーナは学園祭に参加するのは無理ではないのか?」

 

魔界軍に所属しているアルス、貴族たちを管理しているリーザ、国を治めているフィーナ。

多忙な職務についているはずなのだが―――。

 

「ああ、マーラ殿に"たまには休んでもよいぞ。若者も思いっきり羽を伸ばせ"といわれた」

 

「私はノルマを終わらせたから、後は仕事が無いわね」

 

「母上が仕事を代わりに引き受けますと、言って休みをいただきました」

 

それぞれの休みが取れた理由を述べる。

 

「しかし、オカルト研究部はってお化け屋敷、占い部屋、喫茶店と準備は進めているが……」

 

「俺たちが修行時代に芸をやってた時があるじゃん。バンド」

 

ドルキーの言葉、皆は修行時代に遡る。

ノアが来ていた時に"何か面白い芸はないのか"と言いだす。しかも武芸ではない方だ。

ドルキーの案で"バンドをやってみてはどうかと"。

楽器の扱い方やそれぞれ奏でるタイミングなど練習したりもした。

 

「あの時の母上はミランダ殿と酒を飲んでいたから、余興が欲しかったということでした……」

 

カナンも当時の事を思い出し、ため息をつく

 

「……そうだな、久々にバンドを始めようか?」

 

鋼弥の言葉に皆が目をぱちくりさせて驚いていた。

皆の反応に訝しむ。

 

「……なんだ?」

 

「いや、お前がそんな事を言うなんて驚いたからな……」

 

「絶対に断るかと思っていたもの」

 

ドルキーと珠樹がそう言う。

 

「それだけ、鋼弥さんが柔らかくなったという事でしょうね」

 

「グレモリー眷属たちと過ごしていたからかしらね」

 

彗華とリーザが言う。

鋼弥はふふっと優しく微笑む。

まずは配役を決める

 

「そうなると、女性陣はボーカルだよな。

 一番目に歌うメンバーと二番目に歌うメンバー、ラストは一緒に歌うというのでいいよな」

 

「シェリルは歌う側にする?」

 

リーザの問いにシェリルはブンブンと首を横に振る。

人前で歌うのは嫌なようだ。

 

「シェリルは……ドラムでいいんじゃねぇか?打楽器系得意だったし」

 

それでいいという、OKサインをするシェリル。

 

「アルスはキーボード、俺とタオと鋼弥はギターかな?」

 

「配役を決めるのもいいが、生徒会に許可を出さなければいけないがな……」

 

とは言っても、急遽バンドの許可が出るのかどうか怪しいが―――。

 

 

◆◆◆◆

 

 

=駒王学園 生徒会室=

 

「バンドですか?」

 

「ああ、魔界の友人たちも学園祭で盛り上げたいから特別ゲスト枠で作れないだろうか……?」

 

ソーナは資料を見て、数回頷き鋼弥を見る。

 

「このバンドの件ですが、大丈夫です。検討して時間帯が決まり次第、お知らせします」

 

「……了承を得てなんだが、本当にいいのか?」

 

「貴方とご友人達がバンドをしていたというのも興味がありましたから、見てみたいと思いました」

 

意外な言葉だ。

厳格な性格のソーナからそんな事に興味があったなんて。

 

「そう言われたからには、盛り上げるように頑張るよ」

 

「楽しみにしてますよ」

 

 

=オカルト研究部=

 

 

リアスと朱乃に学園でバンドをやることを知らせた。

 

「バンドをやる?」

 

「ああ、仲間たちが学園祭を盛り上げたくてその話を持ちかけてきてな。生徒会長からも許可は得たよ」

 

「まぁ、鋼弥さんたちがバンドを」

 

「昔、ノア殿がそんな難題を出してきたからね。それでね」

 

頬をかいて昔の事を思い出し苦笑いをする。

 

「それでだが。オカルト研究部の学園の出し物を手伝った後、バンドをやるというのはどうかな?」

 

「ええ、勿論、いいわよ」

 

鋼弥の提案にリアスは賛成だ。

 

「……それで、鋼弥にもお願いがあるのだけど」

 

 

◆◆◆◆

 

 

=冥界 シトリー領・病院=

 

リアス、一誠、鋼弥はシトリー領にある病院へ到着する。

シトリー領は数ある上級悪魔のなかでも自然保護区が多く、美しい景観が多くある。

魔界の風と森林の国と同じように緑と自然豊かだ。

そして、もうひとつが医療機関が充実している領土でもある。

 

「イッセー、鋼弥。私の母がバアル家の出であることは知っているわよね?」

 

「ああ、サイラオーグとリアスはいとこ関係なんだよな?」

 

「正確に言うと、母とサイラオーグのお父様ことバアル家現当主の姉…腹違いだけれどね。

 サイラオーグのお母様は元七十二柱―――上級悪魔のウァプラ家、獅子を司る偉大なる名家よ」

 

ウァプラとは地獄の大公爵で36の軍団を従える、姿はグリフォンの翼を持つライオン。

その能力は魔術師の手先を器用にさせるたり、哲学を深めさせるという。

サイラオーグらしい血筋だな

 

そんな考えをしていると、エレベーターは上階に止まり、扉の先には病室フロアだ。

バアル家の執事に案内されて、一室の前に辿り着き、部屋へと入る。

其処にはベッドに綺麗な女性が眠りについていた。

 

「……この方はミスラ・バアル様。サイラオーグ様の母君でございます」

 

執事がそう説明する。サイラオーグの母――ミスラは呼吸器を付けたまま寝ている。

 

「二人に話をしてあげるわ……」

 

サイラオーグはバアル家の当主とウァプラ家のミスラとの間に生まれた。

次期当主が生まれ、周囲は喜んだのだが――――辛い事がつきつける。

魔力が無く、バアル家特色の"消滅"の力を持っていなかったのだ。

代々、バアル家は魔力に恵まれ"消滅"の地下背を持っていたのが当然だったが、サイラオーグは持っていなかった。

 

―――我が一族が持つ滅びの力をどこにおいて、こんな欠陥品を産んだのだ!?

 

欠陥品……そんな烙印を押されたサイラオーグと母ミスラは蔑まれたのだ。

 

「……あまりにも酷いものでした。

 当時のバアル家の者は私を含めたウァプラ家の者たちを除き、殆どの者がサイラオーグ様とミスラ様を侮蔑し、差別したのです」

 

執事がそう説明し、眼に涙を浮かべながらリアスも言う。

 

「当時のグレモリー家もうわさを聞いて、母がおばさまとサイラオーグを保護しようとしたのだけれど……」

 

本筋の者でもなく、嫁に行った者がバアル本家の事を口を出すな、と拒否されたのだ。

何時か話したがグレモリー家には滅びの力、つまりサーゼクスとリアスの兄妹が色濃く受け継ぎ、冥界で活躍されたが……

 

「バアル家は面白くなかったというわけか……。皮肉なものだな」

 

「ええ、バアル家は世襲ではない現魔王を除けば、トップに君臨する上級悪魔。

 なかなか他の御家でも口出しが難しく、プライドが高く周囲の目を気にするもの」

 

ミスラは故郷の助力を断り、サイラオーグ、ウァプラ家の従者を連れて辺境へと移り住んだ。

上流階級育ちにとって辛い事だったがサイラオーグを厳しく優しく育てたのだ。

 

「"諦めなければ、いつか勝てる"。サイラオーグから聞いた言葉よ。教わった大事な言葉だって、言ってたわ」

 

それで、若手悪魔の会合したあの時の目標に繋がるというわけだ。

 

「しかし、ミスラ殿はどうして眠りに……?」

 

「悪魔にかかる病の一つなの。症例は少ないけど……深い眠りに陥り目を覚まさなくなってしまう。

 徐々に体が衰弱していき―――死に至る。

 だから、医療機関で人工的に生命を維持しなければいけないの」

 

原因不明の難病というわけか……。

 

「お呼びしたのは他でもありません。

 赤龍帝殿は女性の胸に秘められた声を聴く技を持ち。

 魔界の銀流星殿は様々な悪魔に変身できるとのこと。

 医師からの了解は取れています。どうかお願いします」

 

執事が頭を下げて一誠と鋼弥に頼み込む。

 

「……つ、通じるのかどうか解らないけど、医師の了解が取れているのなら。お願いイッセー、鋼弥」

 

「わかりました。どこまでやられるかわかりませんが、やってみます!!」

 

一誠は籠手を出現させて力を高めて技を発動させる。

 

「乳語翻訳!!」

 

一誠の中心に魔力空間が広がり、ミスラ・バアルに語りかけたが……なにも起きない

 

「今度は、鎧になって訊いてみます!!」

 

禁手化して鎧を身に纏った一誠は再び乳語翻訳を発動させた。

リアス、鋼弥、執事は見守る……一誠は鎧を解く。

 

「……すみません。駄目でした」

 

申し訳ない顔をする一誠。

どうやら、病気などで意識を失っていると声は聞こえないようだ。

 

「……ならば、俺が!」

 

鋼弥は業魔化身を使い―――ヒジリとなる。

業魔人経巻を広げて、呪文を唱える。

 

【常世の祈り】

 

温かな光のしずくがミスラに降り注がれるが―――――何も変化は起きない。

化身を解除して、鋼弥も申し訳ない顔をする

 

「……俺の力でも駄目だった、すまない」

 

「……何をしているんだ?」

 

声がする方を見ると、サイラオーグが立っていた。

事情を説明してサイラオーグは小さく微笑んだ。

 

「そうか、すまないな」

 

「ごめんなさい、イッセーと鋼弥にも貴方の事を話したわ……」

 

「かまわんさ。母も喜ぶだろう。それにシトリー家とグレモリー家には世話になっている、感謝の念が尽きない」

 

「いいのよ、それぐらいはさせてもらうわ」

 

「……だが、ゲームは別だ。次のレーティングゲーム、勝つのは俺の俺たちのチームだ。

 余計な感情は捨ててくれ。俺が欲しいのは同情でも手加減でもない。

 本気のグレモリー眷属と銀流星だ」

 

堂々と不敵に宣言するサイラオーグ、次に自分の拳に視線を落とす。

 

「俺には肉体しかなかった。負けてしまえば積み上げてきたものが崩れるだろう。

 ただ、勝ち続けるこそが唯一のみちだった。だから、俺は拳でかつしかない」

 

次に一誠と鋼弥をみたサイラオーグは何を感じ取ったようだ。

 

「京都やマシンナリードライバーの時に何かを得たのか?瞳からは自信と強さがあるな

 ……リアス、兵藤一誠、涼刀鋼弥、俺の夢のためにも、野望のためにも、ゲームに臨もう」

 

「ええ、私も、私たちも負けないわ」

 

リアスもまた、大胆に答えた。

それから、サイラオーグと執事と別れて、三人は帰路につく




というわけで、魔界組がバンドをすることにします。

曲名は既に決まっている物から出しますが、何を出すのかはお楽しみ。
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