ハイスクールD×D~アルギュロス・ディアボロス~   作:Mr.エメト

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第五話 浮遊島の都市アグレアス

ゲーム当日―――。

皆は空中都市に続いているゴンドラの中から上空に浮かぶ島を眺めていた

 

その浮遊島にある都市――――アグレアス

 

大公アガレス領にある空中都市が今回のレーティングゲームの舞台となる。

実はゲーム会場の設定で上役がもめたらしく、最初はグレモリー領かバアル領での開催が候補に上がっていたのだが、血筋を重んじるバアル派がバアル領での開催を訴えてきた。

大公アガレスは魔王と大王の間を取り持ち、アガレス領での開催となった

今回のレーティングゲームは魔王ルシファーと大王バアルの代理戦争と言っても過言では無い。

更に今回のレーティングゲームの裏では政治家の連中もいるらしく、今更ながらサイラオーグの力に群がってきて甘い汁を吸うと言う事を聞かされた。

 

「政治も絡むとは……嫌なものだ」

 

「散々サイラオーグさんを蔑んどいて、自分勝手だよな」

 

「複雑だろうが、それで良いんだよ。苦労した分、やっと注目されたと思ってやれば良いじゃないか。

 どんな理由があろうと名のある者に認められる事は1つの成果だ。

 後は結果次第だが……お前達はあいつの事を気にせず全力で行け。

 自分の目的を果たす為にがむしゃらに行かないと奴には勝てん」

 

そう、サイラオーグはこれまで戦った者たちとは違う。

余計な事は考えては、戦えない。

 

「でも、大王派はサイラオーグ・バアルの夢を容認するのでしょうか?

 彼は能力さえあれば身分を超えて、どんな夢でも叶えられる冥界を望んでいるんですよね?」

 

「……元1位とか家柄にこだわる大王派が容認すると思うか?

 あくまで表向きに協力すると言って、裏じゃ蔑んでいるんだろうさ。

 奴等が欲しいのは現魔王に一矢報いるための駒。

 奴等にとってみればサイラオーグの夢はそれに心酔する者を集め、それを後押しする自分達を支持してもらう政治道具だ。

 サイラオーグもそれは認識しているだろう。それでも1つでも上へ向かえるならとパイプを繋げたんだろうな。

 ――――純粋で我慢強い男だ」

 

木場の疑問にアザゼルは答える

酷い話であるが、サイラオーグは敢えてそれを呑んだ、自分の夢を叶えるために……。

ここで一誠の頭に1つの疑問が生じた

 

「今更ですが、このゲーム。英雄派とかゾロアスターに狙われるなんて事は?」

 

「あるだろうな。これだけ注目されているし、会場には業界の上役が多数揃う。

 狙うならここだ。あいつらにとっちゃ、お祭り騒ぎに自慢の禁手使いやらを投入する事は大きな行動になるだろう。

 一応、警戒レベルを最大にして会場を囲んでいる。―――ま、杞憂に終わるかもしれん」

 

「どうしてそう言い切れますの?」

 

「魔界の魔王ルシファーが『総力を持ってゾロアスターと英雄派を防ぐ』という連絡だ。

 それと、ヴァーリの野郎、短くこう伝えてきやがった。

『あのバアル家のサイラオーグとグレモリー眷属の大事な試合だ。俺も注目している。兵藤一誠と涼刀鋼弥の邪魔はさせない』

 ――――愛されているなお前ら」

 

「や、やめてくださいよ!!」

 

「ヴァーリなりに気を配らせているというわけか」

 

 

◆◆◆◆

 

 

ゴンドラからリムジンに乗り、空中都市に存在する巨大なアグレアス・ドーム

その横にある高級ホテルに到着した一同、レイヴェルとも合流し、専用ルームへ先導されていく

試合は夜なので、開始時間まではそこで待機となる

通路を進む途中、向かい側から不穏な雰囲気と冷たいオーラを放ちながら歩いてくる集団が見えた

 

―――フードを深く被り、足下も見えない程の長いローブを着た集団。

その中央にいた司祭の顔に一誠は絶句した

 

「骸骨……?」

 

「いや、あの集団はもしかしたら……」

 

骸骨司祭は鋼弥達の眼前で足を止め、目玉の無い眼孔の奥を光らせる

 

《これはこれは紅髪のグレモリーではないか。そして、堕天使の総督》

 

「これは、冥界下層――――地獄の底こと冥府に住まう、死を司る神ハーデス殿。

 死神(グリムリッパー)をそんなに引き連れて上に上がってきましたか。

 しかし、悪魔と堕天使を何よりも嫌うあなたが来るとはな」

 

ハーデスとはギリシャ神話に伝わる冥府神、オリュンポス十二神の一柱だ。

 

《ファファファ……、言うてくれるものだな、カラスめが。最近上では何かとうるさいのでな、視察をとな》

 

「骸骨ジジイ、ギリシャ側の中であんただけが勢力間の協定に否定的なようだな」

 

《だとしたらどうする?この年寄りもロキの様に屠るか?》

 

アザゼルは頭を振って嘆息した

 

「オーディンのエロジジイの様に寛容になれって話だ。黒い噂が絶えないんだよ、あんたの周囲は」

 

《ファファファ……、カラスとコウモリの群れが上でピーチクと鳴いておるとな、私も防音対策もしたくなる》

 

ハーデスは敵意が籠った目付きで蔑み、視線を一誠に移した

 

《赤い龍か。白い龍と共に地獄の底で暴れまわっていた頃が懐かしい限りだ……まあ良いわ。

 今日は楽しみとさせてもらおうか。精々死なぬ様にな、今宵は貴様達の魂を連れに来た訳では無いんでな》

 

それだけ言い残し、ハーデスは死神(グリムリッパー)軍団を引き連れて去っていった

 

「……北欧時代に先輩のヴァルキリーからハーデス様の話を聞いてはいましたが……。

 魂を掴まれている様な感覚は生きた心地がしませんね」

 

「そりゃ各勢力主要陣の中でもトップクラスの実力者だからな」

 

「……先生よりも強いんですか?」

 

「俺より強いよ、あの骸骨ジジイは……。絶対に敵対するなよ?

 ハーデス自身もそうだが、奴の周囲にいる死神(グリムリッパー)どもは不気味だ」

 

ハーデスは悪魔や堕天使を敵対意識を出している。

関わりたくない相手だ。

 

「デハハハハハ!来たぞ、アザゼルゥッ!」

 

「こちらも来たぞ、アザゼルめが!ガハハハハハ!」

 

今度は豪快な笑い声が通路に響き渡り、ガタイ良しのひげ面男2人が駆け寄ってアザゼルにまとわりついた

 

「……来たな。ゼウスのオヤジにポセイドンのオヤジ……。

 こっちは相変わらず暑苦しさ全開だな。

 ハーデスの野郎もこの2人ぐらい豪快で分かりやすかったら良いのによ」

 

ギリシャ神話の主神にして雷を司るゼウス、トライデントを持つ海を司る神ポセイドン。

 

「嫁を取らんのか、アザ坊!いつまでも独り身は寂しかろう!」

 

「紹介してやらんでもないぞ!海の女は良いのがたくさんだっ!ガハハハハハハハハッ!」

 

「あー、余計な心配しなくて良いって……」

 

余りにも豪快過ぎるアザゼルが押され気味だ。

 

「来たぞ、お前逹」

 

「よぉ、試合身に来たぜ」

 

振り返ると、ミニサイズのタンニーンとドルキーたち魔界組も来ていた。

 

「その声、タンニーンのおっさんか!ちっちゃくなっちゃって!」

 

「ハハハ、元のままだと何かと不便でな。こういう行事の時は大抵この格好だ」

 

「皆も来ていたのか」

 

「はい、私は魔界代表として今回の試合観戦しに来ました。

 魔界でも映像を送って今大会を観戦しています」

 

フィーナがそう説明して、リオはドルキーたちの方へと合流する。

 

「私たちも試合観戦します。皆さん、頑張ってください」

 

「あっ!オーディンさま!」

 

突然ロスヴァイセが素っ頓狂な声を上げる。

ふと見ると、ロスヴァイセが指を向けた先にオーディンがいた

 

「これはマズい!」

 

オーディンはロスヴァイセの姿を確認するや否や、その場から走り去り、ロスヴァイセが吼えた

 

「ここで会ったが百年目!

 待てぇぇぇぇぇっ、このクソジジイィィィィィッ!

 その隣にいる新しいヴァルキリーは何なのよぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!」

 

ヴァルキリーの鎧姿と化したロスヴァイセは逃げ去るオーディンを追い掛けていった。

 

「それからシンディ、レイハ、ミランダ、ノアも会場に来ているぜ」

 

ドルキーがそう言う。

確かにこんな重大な試合となるとゾロアスターの襲撃に備えているようなものだ。

それに気掛かりなのは…………。

 

「嶺爾が気になるな。あいつは京都以降、姿を見せていない」

 

「魔界に帰還している線も調べましたが、どこにも……」

 

「あいつの事だから、絶対に現れるはずだが、心配すんな。

 俺たちが止めてやるから、お前は試合に集中しな」

 

ドルキーの言葉に鋼弥は頷く。

今はサイラオーグとの戦いに専念することに。

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