ハイスクールD×D~アルギュロス・ディアボロス~   作:Mr.エメト

146 / 174
連続投稿その3!!


第十四話 若手最強決定戦.6-3 正しき力

大罪人の涼刀嶺爾の出現に、周りがざわつきはじめる。

試合を中止しようとするがサーゼクスが手をあげ制止をする。

 

「サーゼクス?」

 

「おそらく、彼は……」

 

嶺爾はリアスとサイラオーグを襲う素振りもなく、一誠と鋼弥を倒しに来たわけでもない。

サイラオーグとリアスと向き合い、会話をする。

 

「邪魔をしに来たわけではない。力に飲まれかけている馬鹿を見に来ただけだ」

 

嶺爾は暴走しかけている鋼弥に近づく。

 

「お前はその程度の男なのか?勝てぬ相手に力で身を任せるというのか?

 俺に何度も挑んで、何度も戦い、何度も諦めようとしなかった。

 ……それとも、このまま無様に飲まれるのか!!」

 

嶺爾の言葉に鋼弥が反応し、紅に染まった双眸で嶺爾を見る

 

「見せてみろ。お前と赤き龍帝が持つ不可能を可能にする力を」

 

 

―――――――――

 

 

「…………ん?ここは神器の内部?」

 

一誠の記憶に覚えがあるこの場所は神器の内部、見渡す限り一面が白い世界。

一誠の周りには"赤龍帝の籠手"の歴代所有者達の姿があった。

その者達は黒いオーラを立ち上らせ、怨恨めいた表情をしていた

 

『覇龍だ』

 

『覇龍だ』

 

『あの男を倒すには覇龍しか無い』

 

不気味な事を口にしていく歴代所有者。白い世界の上空に映像が映し出される

その映像にはリアスに抱き抱えられている一誠、鎧は破壊され、口から大量の血が出ていた

 

「サイラオーグさんの一撃を食らって俺は――――意識だけが神器の内部に飛ばされたって事か……?」

 

一誠が自分の状況をようやく理解した時、サイラオーグと激闘を繰り広げる鋼弥の姿が目に入った

だが、鋼弥もサイラオーグの一撃を喰らい、倒れてしまった。

 

「鋼弥!!」

 

すると、鋼弥の体に異変が起き、髪が伸び銀髪が黒へと染まり紅の双眸となる。

シンディから聞いた暴走時の姿だろう。

歴代所有者達が椅子から立ち上がり、黒いオーラを纏わせながら不気味な笑みを見せる

すると、一誠の体にも同じ黒いオーラが出現していた

一誠の全身を覆っていくと同時に、一誠の中でどす黒い感情が蠢き出す

恨み、辛み、怒り、憎しみが一誠の中で高まり、心までも呑み込まれそうな時――――映像の奥から子供達の泣き声が届いた。

 

『おっぱいドラゴンと銀牙が死んじゃったーっ!』

 

『やだよーっ!』

 

『立ってよーっ!』

 

悲痛な叫びが聞こえるも、一誠は既に黒いオーラに支配されそうだった……その時―――――。

 

『泣いちゃダメーーッ!』

 

映像が移り変わり、とある1人の帽子を被った子供が映し出された。

その子供に一誠は見覚えがあった。

 

「……あの子は――――リレンクス」

 

数日前、ヒーローショーにてサイン会に出来なくて泣いていた子供――――リレンクス。

リレンクスは観客席でむせび泣く子供達に向かって叫んでいた

 

『おっぱいドラゴンと銀牙が言ってたんだ!男は泣いちゃダメだって!

 転んでも何度でも立ち上がって大切な人を守れるぐらい強くならなくちゃいけないんだよ!』

 

その一声を聞いた他の子供達も立ち上がって呼ぶ

 

『おっぱいドラゴンと銀牙が負けるもんかッ!!』

 

『頑張って!おっぱいドラゴン!銀牙!』

 

一誠と鋼弥を呼ぶ必死な声に続き、応援団長をしているイリナの声も届く

 

『そうだよ!皆!イッセーくんと鋼弥くん――――。

 おっぱいドラゴンと銀牙はどんな時でも立ち上がって強敵を倒してきたの!

 だから、応援しよう!信じよう!おっぱいドラゴンは皆のヒーローなんだからっ!

 ライバルの銀牙もヒーローなんだからっ!』

 

涙で顔を濡らしながら、イリナも必死で応援していた

 

『皆、おっぱいドラゴンと銀牙は好き?』

 

『大好きーっ!』

 

『私も大好きだよ!誰よりも熱くて、諦めなくて、努力して、

 大好きなヒト達の為に戦えるヒーローだって、私は知ってる!皆も知ってるよね!』

 

『知ってるーっ!』

 

『だから、応援しよう!声を届けるの!

 おっぱいドラゴンと銀牙は!どんな時でも立ち上がって!

 冥界や天界、いろんな世界の皆の為に戦ってくれるんだからっ!』

 

『おっぱい!おっぱい!おっぱい!』

 

『皆も一緒にぃぃっ!おっぱいッ!!』

 

『おっぱい!おっぱい!おっぱい!』

 

子供達の大合唱に一誠は涙を流していた

そして再び映像が、一誠にとって大事な女性―――リアスに変わる

 

『ねえ、イッセー。聞こえる?

 皆、あなたを呼んでるの。私もね。あなたを求めてるのよ?

 お願い・・・起きて・・・』

 

子供たちの声援が一誠の心に響き、憎しみが弾けていく。

 

『さあ、あの者を破壊しよう。覇道の力で――――』

 

「うるせーよ」

 

一誠は歴代所有者の言葉を一蹴し、見渡す様にして言う

 

「聞こえないのか?俺を呼ぶ声が、部長だけじゃない、あんなに大勢の子供達の声だよ」

 

『天龍は覇王となる事が本来の道程。あり得ない。そんな事はあり得ない』

 

「違う。俺は覇王になんてならねぇ。俺は兵藤一誠!

 ただのスケベで、行くならヤラシイ王様になってやる!」

 

『否、覇王こそが、覇龍こそが、この神器に組み込まれた本来の――――』

 

『――――良いじゃないか』

 

歴代所有者の言葉が遮られる。

白い光に包まれた1人の男、それを見た歴代所有者たちは激昂した

 

『僕は歴代アルビオンの1人だ』

 

「え、アルビオンの……歴代の先輩って事か?」

 

『そう、あなたはあの時、アルビオンの宝玉をブーステッド・ギアにはめ込んだ。

 あの宝玉に僕の残留思念が少しだけ乗っていたみたいなんだ。

 本来の僕はディバイン・ディバイディングの方にいるだろうけどね』

 

あの時―――ヴァーリと初めて戦った時に宝玉を取り込んだ。

アルビオンの歴代所有者が一誠に手を差し伸べる

 

『赤龍帝、これも何かの縁だ。あなたを助けよう。

 僕が持つ半減の力で、ブーステッド・ギアに渦巻くものを抑えてみせるよ』

 

「良いのか?俺は赤龍帝で、ヴァーリじゃないのに……」

 

一誠の言葉にアルビオンの歴代所有者が微笑む

 

『あなたは面白い。

 あの歴代最強の赤龍帝2人が笑いながら消えていったのも頷けるんだ。

 呪いを吹き飛ばす程の熱意と可笑しさのあるあなたなら、

 天龍を、いや、二天龍自体を新しい可能性に導けるのかもしれない。

 ――――だからこそ、あなたはヴァーリ・ルシファーと共に新たな時代を築くドラゴンになるべきだ』

 

歴代アルビオンが手を天高く翳し、光を広げていく

白銀の閃光が広がり、歴代赤龍帝達の黒いオーラが取り払われる

一誠の中で高まった恨み、憎しみの感情も消えていく

 

『させるか!憎しみが!悲しみが!恨みツラみこそが赤龍帝の神器なのだッ!

 呪いを内に込め、怨嗟(えんさ)を吐きながら負を撒き散らす事が天龍の――――』

 

「――――おっぱい。俺はこれに救われた。そして、これからもそれを求めていくぜ!!」

 

一誠の言葉に歴代所有者達は痺れを切らし、覇龍の呪文を唱え始めた

 

『我、目覚めるは覇の理を神より奪いし、二天龍なり――――』

 

しかし、一誠は独自に考えた呪文を唱える

 

「我、目覚めるは覇の理を捨て去りし、赤龍帝なり!」

 

『無限を嗤(わら)い、夢幻を憂う――――』

 

「無限の希望と夢を胸に抱え、王道を往く!」

 

『我、赤き龍の覇王と成りて――――』

 

「我、紅き龍の王者と成りて――――」

 

『汝を紅蓮の煉獄に沈め――――ッ!』

 

「汝らに誓おう!真紅の光輝く未来を見せると!」

 

『――――未来……。未来を見せる……だと』

 

一誠が最後に唱えた一節に歴代所有者達は晴れたような表情となった

 

「そうだ!俺が見せてやる!いや、俺と見よう!俺と共に見せてやろうぜ!

 仲間に!友に!好きな女に!子供達に!俺達が見せてやるんだよッ!!」

 

『未来……。我々が未来を……!破壊ではなく、未来を……!』

 

「行こうぜ、先輩達!

 俺は赤龍帝で、おっぱいドラゴンで、リアス・グレモリーに惚れた男!

 兵藤一誠だぁぁぁぁぁあああああああああああッ!」

 

 

―――――――――

 

 

身体が重く何も感じない。

無重力、あるいは水の中にいる感覚だ。

目を開けると――――真っ暗な世界が広がっていた。

光が一切差し込むことのない永遠の闇が広がっていた。

 

"汝が望むのは、敵を滅ぼす力か?"

 

声が聞こえる。それは恐ろしい巨大な存在だった。

ああ、闇に飲まれようとしていたのか。

このまま、闇に身を委ねてサイラオーグを倒せるなら――――。

 

『負けないで……』

 

別の声が聞こえた。映像に、朱乃が映っていた。

 

『鋼弥さん、貴方なら大丈夫ですわ。どんな時だって諦めなかったわ』

 

『鋼弥、帰って来い……!!』

 

『鋼弥先輩……!!』

 

小猫、ゼノヴィア、祐斗、ロスヴァイセの姿が映る。

観客席に座っているリオ、彗華、珠樹、リーザ、ドルキー、タオ、紫、望紅、フィーナ、カナン、アルス、シェリル。

皆が、待っている。それだけで、涙が流れる。

 

"汝が望むのは、敵を滅ぼす力か?"

 

黒い影が鋼弥を飲みこもうとするが、涙を拭い、鋼弥は強い眼差しで影を睨む

 

「敵を滅ぼす力は、いらない。皆を護るためにこの力を振るう。

 必要なのは共に歩んで一緒に笑い合った仲間たちを護る力を!!」

 

拳を握り、真っ直ぐ見る。

銀色の閃光とともに、闇が払われ―――陽が照らされる。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。