ハイスクールD×D~アルギュロス・ディアボロス~   作:Mr.エメト

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久々の更新!!

おそらく、一万文字は初めてかも・・・・・・。

祐斗の戦いをご覧あれ!!


第三話 繋がる友情

地下を後にした祐斗、そこにグレイフィアと出会う。

いつものメイド服の格好ではなく髪を一本の三つ編みに纏め、ボディラインが浮き彫りする戦闘服を身に着けていた。

 

「グレイフィア様。……前線に」

 

「聖槍の手前。

 サーゼクス様が出られない以上、私とルシファー眷属で魔王領の首都に向かう軍勢を迎撃します。

 最低でも、その歩みは止めて見せます」

 

他の部隊は氷漬けにしたり、巨大な落とし穴をつくったり、強制転移させたりとなんとか進行を封じようとした

だが……どれもこれも失敗に終わった。

それほど魔獣創造で生み出されたアンチモンスターとガルガンチュアが凶悪過ぎる。

グレイフィアはメモ紙を祐斗に渡す。

 

「現ベルゼブブ―――アジュカ・ベルゼブブ様がいらっしゃる現在地です。

 アザゼル総督からは"イッセーの駒と鋼弥のオカリナを見て貰えば、解析ができる"、と。リアスたちと共に趣になさい。

 アジュカ様ならば、僅かな希望でも拾い上げてくれるでしょう」

 

アジュカは"悪魔の駒"を制作した魔王。

だからこそ、一誠の駒と鋼弥のオカリナを調べれば手がかりが見つかるかもしれない。

 

「私の義弟になる者がこの程度で消滅など許されることではありませんから。

 はやく生存の報告を得てリアスを奮い立たせて御上げなさい。

 力ある若手がこの冥界の危機に立たずして次世代を名乗るなどおこがましいことです。

 私は義妹と義弟が冥界を背負えるほどの逸材だと信じてますから」

 

微笑みながらそう答えるグレイフィア。

 

 

◆◆◆◆

 

 

リアスを初め、他のメンバーに事の顛末を伝えてアジュカがいる場所へとたどり着く。

そこは、町はずれの廃棄されたビルだ。

まさか、こんな近くにいると想像もしなかったし、気配すら感じられなかったのだ。

中に入ると、男女がグループを組んで話し合いをしているようだが―――悪魔ではない。

異能を持つ人間のようだ。ケータイみたいなものを取り出し、驚愕していた。

どうやら、異形能力値を計るための機器のようだ。

ロビーに辿り着き、奥のエレベーターへと入り込む。

 

――●●●――

 

エレベーターで屋上に着き、広がる光景は庭園だった。

深夜のため風は冷たい、夜空に浮かぶ星々と月だけがあかりとなるが夜目が効くので様子は把握できる。

 

「グレモリー眷属か。勢揃いでここに来るとはね」

 

庭園の中央にテーブルとイスが置かれており、椅子に座っている妖麗な雰囲気を出している男性―――アジュカ・ベルゼブブ。

 

「話は聞いているよ。大変な事に巻き込まれたようだ。いや…君たちには今更なことか」

 

「アジュカ様に見ていただきたいものがあるんです」

 

「見て欲しいものか。……しかし、それは後になりそうだ。

 君たちの他にお客様が来訪しているようなのでね」

 

庭園の奥へと視線を送った。

そこから闇が生じ、無数の悪魔たちが出現した。

おそらく、旧魔王派の生き残りの連中だ、そして……。

 

「やぁ、僕もいるんだ」

 

魔剣帝のジークフリートだ。

彼はゆっくりと歩み、口を開く。

 

「初めまして、アジュカ・ベルゼブブ。この者たちは全魔王関係者ですよ」

 

「……知っているよ。元々は教会の戦士だったね。それで、用件と言うのは?」

 

「我々と手を組まないかですよ。

 貴方はサーゼクス・ルシファーとは違う思想を持ち、独自の権利を持っている。

 異能に関する技術・研究を超越し、サーゼクス派の議員数に匹敵する協力者を得られるという」

 

アジュカは両目を瞑り、うんうんと頷く。

 

「……つまり、俺がテロリストになって、サーゼクスと敵対する。

 なるほど、あの男が驚く顔を見るだけでもその価値はあるだろう。

 ――――――だが、いらないね。否定しなければならないものがある」

 

「……その理由は?」

 

「俺が趣味に没頭できるのはサーゼクスが俺の意志を汲んでいるからだ。

 あいつとは長い付き合いで"唯一の友"だからだ。

 アイツの事は誰よりも知っているし、アイツも俺の事を誰よりもよく認識している」

 

その言葉は……サーゼクスとアジュカ、親友だからの言葉だ。

アジュカの話が終わると、旧魔王派の悪魔たちが怒りのオーラを出す。

 

「だから、言ったのだ!!この男とサーゼクスは独善で冥界を支配しているのだと!!」

 

「偽りの魔王め!!貴様を消し去ってみせよう!!」

 

「いかにもな台詞だな……。

 怨念に彩られ過ぎて言動にも華も無ければ興味もない。

 つまらない存在だな」

 

【その言葉は同意する】

 

第三者の声が響き、黒い扉が開かれた。

現れたのはアエーシェマだ。

まさか、ゾロアスターの悪魔がこんな所に現れるとは思ってもいなかった。

しかし、アエーシェマは旧魔王派の悪魔たちを見て、嘲笑う。

 

【だからこそ、その怨恨は我らの主に捧げるに良い……】

 

召喚の陣が描かれると、其処から這い出たのは灰色の鱗の竜だ。

鋭い爪に大きな翼を広げて、唸り声を上げる。

 

【これは、我々の邪法で生み出されし造魔竜ニトロ。さあ……喰らえ】

 

アエーシェマの言葉にニトロは翼を広げて、大きな口を開けて旧魔王派の悪魔たちに襲い掛かる。

鋭い爪に突き刺さったり、大きな口で捕食されていく。

辺りは血の海となり、ベロリッと血の汚れを舐めとるニトロはグレモリー眷属とアジュカに狙いを付ける。

 

【フフフフッ……。さぁ、一人残らず喰われるがいい】

 

アエーシェマはそう言い残し、扉の方へと入り消えた。

祐斗は前に出て、剣を構えた。

 

「祐斗……?」

 

「僕はいきます。共に戦ってくださるのなら、そのときはよろしくお願いします」

 

祐斗の脳裏に一誠と鋼弥の言葉を思い出す。

もし、死んでしまったら……その分だけ、皆のために戦うことを。

友達が死んだら、嫌なのはわかっている。

正直に言えばその憎き相手が目の前に現れたら祐斗の怒りが抑えられないのだ。

 

「ジークフリート、貴方の仲間のせいで僕の親友は帰ってこれなかった。

 そこの竜と共に死ぬには十分な理由だ」

 

「……なるほど。だったら、決着を付けようじゃないか!!」

 

ジークフリートは禁手化した。

最初から全力で叩き潰しに行くつもりだろう。

ニトロはジークフリートと祐斗を両方とも喰らおうと、爪を鳴らす。

 

ジークフリートは懐から取り出すと注射器と銃を合わせた器具だ

 

「これはね、神器をドーピングするものだ。シャルバとゾロアスターと協力してね。

 聖書の神が生み出した神器と宿敵である魔王の血と混ぜたらどうなるか研究テーマだ。多くの犠牲の果てに完成されたアイテムさ」

 

ピストル注射器を首に指し、打ちこんだ。

手が崩れていき魔剣と同化していき、身体も異形へと変化していく。

それは、阿修羅ではなく蜘蛛の様な化物だ。

 

『"業魔人"。この状態を呼称しているよ。"覇龍"と"禁手"からの名称を拝借しているんだよ。この状態なら今まで封印してきたグラムも思う存分、使える!!』

 

声すらも変調していたようだ。

ジークフリートが動き出し、氷の柱、渦巻き状のオーラ、地が抉れて次元の裂け目ができた。

各魔剣の相乗攻撃だ、判断が遅れていたらあっという間にバラバラになるだろう。

 

【グオオオオッ!!】

 

その隙を狙いに来たのかニトロは爪を振り下ろした。

寸前の所で交わすが、丸太の様に太い尾を振り、祐斗は直撃し吹き飛ばされる。

恐らく、ゾロアスターたちはこれまでの戦闘データを全て叩きこまれたのか対処法や死角攻撃もできるのだろう。

ジークフリートは祐斗の足を凍らせて、両足にツララが突き刺さる。

 

「しまっ……!!」

 

ジークフリートは振り下ろすが祐斗は体を捻るが――――。

 

ザシュ!!!!

 

左腕が斬り飛ばされたが、炎の聖魔剣でなんとか脱出し、後方へと下がる。

失った片手から血が流れるが、フェニックスの涙でなんとか治療するが、片腕をくっつけないとダメのようだ。

 

『酷いものだ。いい殺気を放って……乱入も期待してたが、まさかこの程度か』

 

そう、リアスたちは一誠と鋼弥を失って戦える状態ではない。

その証拠にアーシアも回復の波動が弱くなっていた。

一誠も鋼弥も、この場にいない。

仲間と共に戦えない厳しさとツラさ、祐斗は今その苦境に立たされ無様に膝をついている

 

『兵藤一誠と涼刀鋼弥は無駄死にをしたよ。

 出涸らしとなったオーフィスを救う為に1人あの空間に残り、シャルバと相討ちになったんだろう?

 あれからシャルバの気配が消えたからね。

 生きていれば僕達に堂々と宣戦布告して、冥界にも旧魔王派の力を宣言しているトコロだろうから。

 あのまま兵藤一誠と涼刀鋼弥はオーフィスを放置して帰還すれば、態勢を整えて再出撃出来ただろうに。

 オーフィスはともかく、シャルバは後で討てた筈だよ。

 自分の後先を考えないで行動するのは良くないトコロだったね』

 

ジークフリートの言葉を聞いて、祐斗は目を見開いた。

 

――――ヒョウドウイッセイ ト スズガタコウヤ ハ ムダジニ シタ――――

 

――――ムダジニ シタ――――

 

――――ムダジニ シタ――――

 

「……ふ、ざけ、るな……ふざけるな……!」

 

祐斗の心を支配するのは悔しさと悲しみ、そして二人と約束した事だった。

両足を情けなく震わせながら立ち上がり、喉まで昇ってきたモノを遠慮無しで天に向かって解き放った

 

「オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!」

 

いつも冷静な祐斗が信じられない程の声量。

腹の底、心の底から沸き上がって噴き出した。

脳裏に蘇る二人の声。

 

『木場、俺達はグレモリー眷属の男子だ』

 

『どんな時でも、どんな相手でも、生き延びて戦うぞ』

 

「……まだだ」

 

祐斗は再び聖魔剣を手元に創り、震える両足に力を注ぎ込む

 

「まだ戦えるッ!僕は立たないといけないッ!あの男達のようにッ!

 兵藤一誠、涼刀鋼弥はどんな時でも、どんな相手でも決して臆せずに立ち向かった!

 こんな所で倒れてしまったら、僕は二人に合わす顔が無い!

 赤龍帝と銀流星はあなたが貶していい男じゃない!僕の親友をバカにするなぁぁぁ!」

 

涙混じりの咆哮を上げる祐斗。

しかし、ジークフリートはキッパリと断ずる

 

『無駄だっ!あの赤龍帝と銀流星の様にいこうとも、キミでは限界がある!

 ただの人からの転生者では、いくら才能があろうとも肉体の限界がダメージがキミを止める!』

 

「分かっているさ。もう、僕の肉体は限界だ。剣を握る力すら満足に無い。

だけど!イッセーくんと鋼弥くんはそれでも立ち向かえる筈だ!

 宿れ、少しでも良いから宿ってくれ!兵藤一誠と涼刀鋼弥を突き動かしていた意地と気合よ!

 どうか、少しでも僕に宿ってくれぇぇぇぇぇぇぇ!!」

 

するとリアスが握る一誠の駒が紅の光が奔る。

 

「――――イッセーの駒が……」

 

リアスの手から1つの"兵士"の駒が宙に浮かび、輝きを増して深夜の暗闇を紅く照らしていく。

直後、その駒が祐斗のもとに飛来し、弾けるように光を深めた

あまりの光量に一瞬だけ目を伏せるが次に目にしたのは宙に浮かぶ1本の聖剣――――アスカロンだ。

 

「……イッセーくんの駒がアスカロンに?」

 

――――行こうぜ、ダチ公。

 

一瞬だけ聞こえた友の声と後姿、祐斗は涙を溢れさせた。

 

「……キミはなんてお人好しなんだろう。たとえ駒だけでも、キミは仲間を僕を……!」

 

【ギャオオオオオオオオオオオオオオンッ!!】

 

ニトロは雄たけびをあげて、翼を羽ばたき、鋭い爪を伸ばして祐斗を切断しにかかる。

だが、ニトロの凶爪を止めたのは、目を疑う光景だった。

 

真っ黒な影が徐々に色が明かされていく―――鋼弥の姿だ。

 

『バ、バカな!?』

 

「信じられんことだ、こんな奇跡が……」

 

その場にいる者たちだけではなくジークフリート、アジュカも目の前の光景に驚く。

鋼弥の幻影はニトロを押し返し、腹部に掌打を撃ちこみその巨体を吹き飛ばす。

宙に浮いているアスカロンを手に取り祐斗に渡す。

ゆっくりと頷いて言葉を発した。

 

―――必ず勝て。

 

そう言い残し、蜃気楼のように消え去った。

何があってこんな事が起きたのか理解出来なかったが、祐斗はアスカロンを強く握り締めた

 

 

(BGM:朱-AKA-(奥井雅美))

 

 

「イッセーくん、鋼弥くん、二人の想いをしっかりと受け止めたよ。

 キミ達となら、僕は何処までも強くなれる!

 キミ達が力を貸してくれるなら!どんな相手だろうと――――斬る!!」

 

涙を払い、闘志を燃やす佑斗。

その直後、アスカロンからオーラが解き放たれ、ジークフリートの身を焦がす。

 

『バカな……血をあれだけ失えば自慢の足も動かなくなる筈だッ!』

 

「行けってさ。立てってさ。

 この剣を通してイッセーくんと鋼弥くんが僕に無茶を言うんだ。

 なら、行かなきゃダメじゃないかッ!」

 

ジークフリートはアスカロンをグラムで受け止める。

アスカロンの膨大なオーラのせいで体から煙を上げ、表情も苦痛に歪んでいく

 

『なんだ、その聖剣から感じる力は……!』

 

"魔人化"でグラムの力に対応出来ても、アスカロンに対しては別らしい。

祐斗が勝てると思い始めた時だった、ジークフリートの持つグラムが輝きだす。

祐斗は危険を感じて後方に飛び退こうとするが――――グラムは輝きを祐斗に向けていた。

攻撃的な輝きではなく、まるで祐斗を迎え入れるかの様な輝きだ

 

『魔帝剣が呼応している!?木場祐斗に!?まさか、"魔人化"の弊害なのか!?』

 

仰天するジークフリート。

もしかしてと思い、祐斗はグラムに向かって叫んだ。

 

「――――来い、グラム!僕を選ぶと言うのなら、僕はキミを受け入れよう!」

 

その言葉を受けたグラムがより強い輝きを解き放ち、持ち主だったジークフリートを拒絶するかの様に手を焦がしていく。

グラムは宙に飛び出し、祐斗の眼前の地面に突き刺さった

魔帝剣グラムは、この土壇場で持ち主をジークフリートから祐斗に選び直した

それを見てジークフリートは首を横に振り、目の前で起きた現象を信じられないように言う

 

『こ、こんな、こんな事が!こんな事があり得るのか!?

 駒だけでも赤龍帝は、幻だけでも銀流星は戦うと言うのか!?

 この男を立たせると言うのか!?』

 

祐斗はグラムの持ち主に選び直されたと言うのに、片腕だけでは扱えない。

そう思っているとアーシア、小猫、レイヴェルが近付いてきた

小猫が切り落とされた祐斗の腕を持って肩口に当て、アーシアが手から淡い緑色のオーラを放出し、レイヴェルが祐斗の体をしっかりと支える

腕は徐々に繋がり機能を回復させていく

 

「イッセーさんが『アーシアも戦え』って、駒を通して言ってくれた様な気がしたんです」

 

「鋼弥先輩が『祐斗を助けて』、そう言ったような気がします」

 

「私にも聞こえた気がしましたわ。鋼弥さまの声が『皆を支えて』と……」

 

皆が涙を拭い去り、微笑みを見せる。

 

「―――『皆と共に戦って』。そうよね。イッセーなら、そう言うに決まってるわ」

 

リアスが一誠の駒を手にして前に立ち、瞳に火を灯した。

 

「さあ、私の可愛い下僕悪魔達!グレモリー眷属として、目の前の敵を消し飛ばしてあげましょう!」

 

リアスが本調子に戻り、いつもの口上を解き放った。

アーシアのお陰で切り落とされた祐斗の左腕が繋がり、眼前に突き刺さったグラムを抜き放つ。

グラム×アスカロンの"龍殺し"を同時に繰り出していけば、ジークフリートを倒すことができる。

祐斗は2本の剣を構えて足に力を注ぐ。

 

「さあ、もう一度戦おう。けれど、さっきとは違う。こちらは僕だけじゃなくグレモリー眷属だっ!!」

 

リアス、アーシア、小猫、レイヴェルはジークフリートとニトロを鋭く見据える。

リアスが強大な滅びの魔力を解き放ち、それと同時に祐斗も前方へ飛び出していった

 

『まだだよ!それでも僕は、英雄の子孫として――――!!』

 

言いかけたジークフリートの頭上で稲光が閃き、夜空を裂くような極大の雷光が周囲ごとジークフリートとニトロを飲み込んだ。

宙に視線を向けると、6枚にも及ぶ堕天使の黒い翼を広げる朱乃がいた。

その姿は複数の翼を生やしており、まさに上位クラスの堕天使だ。

 

「これが私の最後の手、堕天使化ですわ。父とアザゼルに頼んで、"雷光"の血を高めてもらったの!!」

 

朱乃の両手首には魔術文字が刻まれたブレスレットが光を放ち、魔術文字が金色に輝いて浮かび上がっていた。

恐らく本来眠っていた堕天使の血が、極限に解放されたのだろう。

朱乃はオカリナをギュッと握る。

 

「ごめんなさい、鋼弥さん。

 ――――『いつもの笑顔を忘れないで』。

 貴方が残した最後の想いまで、押し殺そうとしていた!

 もう大丈夫ですわ、私も…………私も戦えます!!」

 

朱乃が決意に満ちた眼差しで戦線復帰を宣言し、グレモリー眷属の"二大お姉さま"が復活を遂げた。

特大の雷撃をまともに食らったジークフリートの全身は黒焦げと化し、至る箇所から煙を上げている

"魔人化"で堅牢になったジークフリートに多大なダメージを与えた辺り、朱乃の雷光は更に威力を増したと言う事だ

追撃と言わんばかりにリアスが放った滅びの一撃が襲い掛かり、肥大化していた龍の腕が全て弾け飛び消滅していく

 

「――――これがトドメだよ、ジークフリートッ!」

 

祐斗の持つ聖剣アスカロンと魔帝剣グラムが正面からジークフリートに突き刺さる

ジークフリートの口から血の塊が吐き出された。

 

『こ、この僕が殺られる?』

 

ジークフリートは自身を裏切ったグラムをそっと撫でるが、魔帝剣は拒絶するように手を焦がし、それを見た彼は自嘲した。

ジークフリートの体から引き抜かれる2本の剣。

2本の龍殺しを受けたジークフリートはその効果で徐々に崩壊していく

体の至るトコロにヒビが走り、煙を上げながら崩れていく最中、ジークフリートは目を細めて小さく笑った

 

『……は、ははっ……兵藤一誠と涼刀鋼弥は、殺しても戦い続けるというのか……』

 

ジークフリートは祐斗とリアス達を見据える。

既に顔にも崩壊の裂傷が生まれていた。

ここで祐斗は1つの疑問が生じた―――。

 

「何故、フェニックスの涙を使用しないんだい?キミ達英雄派は独自のルートで入手出来るんだろう?」

 

英雄派は京都での一戦でフェニックスの涙を使用したので、英雄派メンバーが所持していてもおかしくない

しかし、肉体が崩壊していく現状でもジークフリートは使う素振りすら見せない。

それを祐斗は不自然に感じたが、 ジークフリートは首を横に振り答えを言う

 

『……この状態になると、フェニックスの涙での回復を受け付けなくなってしまう。理由は未だに不明だけどね』

 

"魔人化"による強化状態は相応の代償があり、極度のパワーアップは出来るが回復は望めないと言う事だ

英雄派との戦いに関して有力な情報を手に入れた。

ジークフリートは乾いた笑いをして、己の最期を迎える

 

『あの戦士育成機関で育った教会の戦士は……まともに生けず、碌な死に方をしない、か……』

 

それだけを言い残し、ジークフリートは崩れ去っていった。

ジークフリートを倒したグレモリー眷属は次に造魔竜ニトロへと向ける。

 

【グルゥゥゥゥッ!!グガアアアアアアアッ!!】

 

ニトロは雄たけびをあげて、両の爪を伸ばし、翼が四枚と増える。

顔も変形し、角が四本となり鋭い歯が並び、背中には4つの蛇が生える。

ドラゴン、いや生物として、かけ離れた異形の姿だ。

 

「―――本来、進化は長い時間をかけて行うもの。けれど、目の前の生物は歪み間違った存在だ!!」

 

祐斗はグラムとアスカロンをニトロへ向けて疾風(かぜ)の如く駆け出す。

ニトロは背中の蛇と共に炎を撒き散らすが、祐斗は二刀の剣で炎を切り払う。

小猫はすばやい動きで翻弄し、掌打で顎を撃ち、脳天目掛けて踵落としを決め、離れる。

朱乃が雷光を放ち、ダメージを与えつつ、ニトロの動きを封じる。

 

「デスバウンド!!」

 

祐斗はアスカロンを縦一直線に振り下ろすと、幾つもの斬撃波が生まれニトロを斬りつける。

 

「ベノンザッパー!!」

 

グラムから斬撃波を水平に放ち、斬り飛ばす。

ニトロが片膝をつきはじめ、呼吸が荒くなっている。

目の前の剣士の背後に鎧を身に纏った紅のドラゴンと銀色の修羅が見え、怯み後ずさりをするニトロ。

 

「はああああああああああああっ!!」

 

祐斗はこの機を逃さず、駆け出し渾身の一撃を放つ!!

 

「ブレイブザッパー!!」

 

両の剣を重ね、二つの刃が一つとなり、真一文字にニトロを斬る。

アスカロンとグラムを同時に地に突き刺すと、ニトロの首、両腕、胴体とバラバラに斬り裂かれた。

龍殺しの威力も付加されており、ニトロの遺体は灰となって消滅した。

 

 

◇◇◇◇

 

 

戦闘が終わり、改めて一誠の駒と鋼弥のオカリナを調べる

小型の魔方陣を展開して内部を調べていくと、アジュカは興味深そうに息を漏らす

 

「ほう、これは……なるほど……」

 

「何か分かりましたか?」

 

「8つ中、4つの駒が『変異の駒』になっている。

 1つ1つの価値にばらつきこそあるが、恐ろしい事だ。

 例のトリアイナの分、真紅の鎧の分がこれらを現しているのだろうか。

 兵藤一誠が引き出した天龍と『悪魔の駒』の組み合わせ――――調和のスペックは想像を遥かに超える物の様だね。

 あの時に調整した甲斐があったと言うものだ。先程の現象も実に興味深かった。

 彼の意志が駒にダイレクトに反映されているのか。

 そして、このオカリナにもその波動が届き、先程のアストラル体が現れたわけだ」

 

なんと一誠の駒は7つの内、4つも『変異の駒』に変化していた

一誠を転生する際に使った『兵士』の駒は全て通常の駒で、『変異の駒』はギャスパーに使用した。

一誠の中で起きた予想外過ぎる変化に皆は驚愕せざるを得ない

 

「それで、駒とオカリナから他に分かった事は?」

 

リアスが再度訊き、グレモリー眷属全員がアジュカの言葉に真剣に耳を傾け、アジュカはハッキリと言った

 

「俺が言える答えはこうだ。どんな状態になっているかは分からないが、二人は次元の狭間で生きている可能性は高いだろうね。

 この駒の最後の記録情報が"死"ではない。

 赤龍帝ドライグの魂も神器として、まだ残っているようだね。兵藤一誠と"赤龍帝の籠手"は共にあるのだろう。

 そして、この駒も機能が停止しておらず、まだ使用出来る。

 この駒に刻まれた登録上、彼限定にだけどね。いや、兵藤一誠に戻せると言った方が適切か。

 次に涼刀鋼弥、このオカリナから彼の残留魔力が残っている。

 あの時、皆を奮い立たせたいという想いから、あの現象が起きたんだろう」

 

言葉にならない感情が全身を駆け巡る

全員が言葉を失った中、アジュカは説明を続ける

 

「この駒を受け入れた器――――つまり、魂と肉体が不安定な状態になっている事だけは確かだろう。

 サマエルの毒を受けたのなら肉体は助からないだろうね。それはこの駒からの情報でも確認出来る。

 しかし、次にサマエルの呪いを受けそうな魂が、これを調べる限り消滅してはいないのだよ。

 肉体が滅びれば直ぐに魂にまで毒牙は迫るのだが、肉体がダメになってから魂が消えるであろう時間が経過しても魂が無事だったとこの駒が教えてくれている。

 魂だけではどういう状態か把握しづらいが、アザゼル総督サイドからあのオーフィスが彼に同伴しているかもしれないと聞いている、何が起こっても不思議ではない。

 たとえどんな形であれ、魂だけで生きていてもね」

 

「一誠くんの魂が無事だったとして、滅んだ肉体はどうすれば良いのでしょうか?」

 

祐斗がアジュカ・ベルゼブブに問う

 

「彼のご両親は健在かな?もしくは彼の部屋にあるDNA情報、つまり抜けた体毛の類などでも良い」

 

「ご両親は健在です。体毛も探せば彼の自室にあるとは思いますが」

 

「ならば、まず魂が帰還した後に彼のご両親か。

 その体毛からDNAを検出して出来るだけ近しい体を新たに構築する必要がある。

 グリゴリが運営する研究施設でそれが出来るのではないだろうか。

 再現自体は可能だろう、クローン技術の応用でね。……問題はあるけどね」

 

「問題は他にあると?」

 

「新しい体に魂が定着するのかと言う点と、その体が『赤龍帝の籠手』を受け入れられるのか。

 この二点が問題だろうね。前者は仮に拒絶反応を示しても、投薬やその他魔法、魔力による治療で何とかなるだろう。

 ただし、一生治療が必要になるかもしれないが。一番の問題は後者だ。

 ――――神器は繊細だ、特に神滅具はね。神器を取り出して、移植する技術は堕天使によって確立してはいるが、

 新しい体に『赤龍帝の籠手』が移ったとしてもその後にどんな後遺症やらが出るか全く予測出来ない。

 とにかく、その新しい体を得た後で魂を定着させて、戻ってきた『悪魔の駒』を使用すれば再びキミの眷属として生きられる筈だ。

 駒でも拒絶反応が起これば、まあ、そこは俺が微調整するので心配しなくても良い。

 駒がサマエルの呪いにやられていなくて幸いだったね」

 

一誠が仮に新しい体を得て魂と神器を移植しても、後遺症や能力消失は否めないが復活出来ないと言う訳ではない

 

「"悪魔の駒"が機能を停止しておらず、魂と神器が残っていればこれだけの再生は可能だ。

 逆に言えばこれらが消えてしまったら、流石に手も足も出なかったけれども。

 しかし、神器と共にある……?いや、『獅子王の戦斧』の例があったね。

 案外あの様な例に漏れず、神器その物だけが残り、そこに魂が留まっているのかもしれない。

 "赤龍帝の籠手"の中に魂があれば次元の狭間にいようと、暫くは耐えられるだろう。

 今世の神滅具は全て異例の進化を遂げつつあると話には聞いているから、彼もその恩恵に預かっているのだろうね。

 ――――例に無い状況であり強運とも言える」

 

「うえぇぇぇぇぇぇぇんっ!イッセーさぁぁぁぁんっ!」

 

その答えにアーシアは歓喜して泣き、他の皆も大粒の涙を流した

絶望の状況の中、大きな希望を得られたグレモリー眷属

リアスと朱乃も顔を両手で覆い、喜びの涙を流していた。

 

「・・・イッセー、生きているのね・・・!」

 

「鋼弥さんが・・・生きていた・・・。よかった・・・」

 

「さて、俺はここから眷属に命令して例の巨大怪獣討伐を指揮するつもりだ。

 対抗策ぐらいはどうにかしよう。

 だが、最後に決めるのはキミ達、現悪魔とサーゼクス眷属であるべきだ。

 それでこそ冥界は保たれる」

 

アジュカが手を前に出すと転移魔方陣が展開された

 

「さぁ、キミ達も行くと良い。

 冥界は今、力のある若手悪魔の協力が必要な時だろう。

 なに、二人は来るだろうね。それはキミ達が一番よく知っていると思う」

 

生きているのなら、生きてさえいれば一誠と鋼弥は必ず帰ってくる。

ここにいる誰もがそれを信じて疑わなかった。

反撃の狼煙は上がる、リアスたちは冥界へと向かうのだった。

 

―――二人が帰ってくることを信じて!!

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