ハイスクールD×D~アルギュロス・ディアボロス~   作:Mr.エメト

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第五話 反撃の狼煙

=反撃の狼煙=

 

 

アジュカ・ベルゼブブの隠れ家から帰還したリアスたち。

ゼノヴィアとイリナが待っていた。

いつもの戦闘服を身に纏う二人、ゼノヴィアは布に包まれた得物を携えていた。

どうやら修復し終えたエクス・デュランダルだろう

 

「部長、鋼弥とイッセーは?ある程度の話は家の方で聞いた。魔王ベルゼブブはなんと?」

 

「最悪の事態にはなってないようだわ。傍らにオーフィスとドライグがいるようだから……なんとか連絡が取れればいいのだけれど……」

 

「……イッセーと鋼弥は生きているさ。イッセーは今頃、リアス部長、アーシア、イリナの胸を恋しがっているはずだ」

 

ゼノヴィアの言葉に皆は納得してしまう。

 

「それで、これからどうするの?」

 

リアスはフロアに備え付けられている大型テレビに電源を入れる。

冥界の各領土で暴れ回っている魔獣や巨人たち。

すると、驚くべき光景が映し出されていた。

 

『ご覧ください!魔王アジュカ・ベルゼブブ様をはじめとしたベルゼブブ眷属が構築した対抗術式!

 それによって展開する魔法陣の攻撃が"豪獣鬼"と"ガルガンチュア"にダメージを与えております!』

 

上空からレポーターが嬉々としてその様子をレポートする。

堅牢で凶悪な魔獣や巨人達もアジュカ・ベルゼブブ様とその眷属によって構成された術式プログラムに足を止め、ダメージを蓄積させているようだ。

ファルビウム・アスモデウスも協力して構築されたようだ。

 

『大怪獣対レヴィアたんなのよ!』

 

チャンネルが移り変わり、次に画面に映ったのはセラフォルー・レヴィアタンだ。

冥界の危機にいてもたってもいられなくなって、眷属を連れて魔王領を飛び出したようだ。

極大ともいえる氷の魔力が画面いっぱいに広がり、広大な荒れ地が全て氷の世界と化していった。

セラフォルー・レヴィアタン様の得意魔力、"豪獣鬼"も無事に済むはずもなく、半身以上が氷ついて身動きが取れなくなっていた。

別のチャンネルではタンニーンと眷属のドラゴン達と共に"豪獣鬼"や"ガルガンチュア"を追い詰めているところだった。

対抗術式を得た今となっては、魔王級と称されるあの方の火炎には耐えられないだろう。

 

『母上! 頑張って下されー!』

 

更にチャンネルを変えると九尾の狐が"豪獣鬼"と"ガルガンチュア"に強大な火炎をくらわせているところだった。

あれは―――――京都の八坂、背には巫女服を着た九重も一緒で、多くの妖怪を引き連れて大暴れしていた。

 

『見てください!!魔界からの応援が駆けつけて来ました!!』

 

魔界の精鋭部隊――幻鏡騎士団が防衛ラインで待機している。

 

『魔法隊、構え!!』

 

ベルフェゴールが指示し、後列隊から魔法の発射準備を構えをする。

 

『ファイヤ!!』

 

ベルフェゴールの極大氷結魔法"極寒凍結"を撃つと同時に、砲撃隊も様々な属性魔法を一斉射撃。

豪獣鬼やガルガンチュア達を飲み炎、雷、氷、風、岩と様々なものが入交る。

 

『白兵隊、突撃!!我に続け!!』

 

バルベリトが剣を抜き赤き戦馬を駆り、先陣を切る。

格闘・接近戦が得意の悪魔軍団も続き、生み出した小型魔獣たちを次々と押し返し蹴散らす。

 

『ヤアアアアアッ!!』

 

バルベリトの必殺剣技――"ダークセイバー"を飛ばし、小型魔獣の群を斬り飛ばしガルガンチュアの足を斬り、倒す。

 

『こちらでは豪獣鬼たちが8人に追い詰めています!』

 

別の画面を見ると、そこには意外な人物達が助けに来ていた。

かつて敵対していたマシンナリードライバーだ。

彼女たちも冥界の危機に駆けつけてくれたのだ。

 

『さぁーて、このデカブツをぶっ壊せばいいんだな』

 

『そうね。どう、料理してあげようかしら?』

 

『ホムラ、ジンライ。威力は調整しておけ、冥界を焦土にするな』

 

フブキがホムラとジンライに釘を刺す。

ミヤビは眼前の敵に対して、殲滅作戦を伝達する。

 

『全機、前方の魔獣を殲滅するぞ!!冥界を防衛するのだ!!』

 

機械の乙女たちはそれぞれの攻撃で豪獣鬼とガルガンチュアたちを次々と殲滅していく。

だが、サーシャとリアナの姿が見えないが何処に?

 

「残る問題は魔王領の首都に向かう『超獣鬼』でしょうね」

 

聞き覚えのある声が後方から聞こえてくる。

振り返ればそこにいたのはヴァルキリーの鎧姿のロスヴァイセだ。

 

「ロスヴァイセ!」

 

「ただ今戻りました、リアスさん」

 

北欧から戻ってきてくれたようだ、ロスヴァイセさんが真剣な面持ちで言う。

 

「イッセー君と鋼弥さんのことは聞きました。

 イッセーくんがそう簡単に命を落とすとは思えませんし、皆さんの胸を求めてそろそろ帰ってくるかもしれませんね。

 鋼弥さんもきっと、戻って来ますよ」

 

続いて現れたのはギャスパーとメルア博士だ。

 

「ギャスパー、それにメルア博士!!」

 

「お久しぶりですね、皆さん。あの事件の恩を返すためにここに参上しました」

 

「博士と一緒に合流したんです」

 

後は一誠と鋼弥だけだ。

しかし……ギャスパーは伏し目がちで顔色が悪い。

メルアは左右に魔力でできた液晶画面が表示されている。

 

「貴方達はこの都市に行きなさい。超獣鬼の他にもここに英雄派の幹部たちが攻めこんでいるわ」

 

其処に表示されていたのは―――首都リリスだ。

全員は頷き、そこへ向かう。

 

 

◆◆◆◆

 

 

魔王領にある首都リリス。

 

高層ビルが立ち並び交通機関も発達した冥界の大都市である。

この大都市に規格外の魔獣のリーダー各、"超獣鬼"が接近しつつある。

もし到達すれば首都は壊滅的な打撃を受け、その機能を失うだろう。

そうなれば、冥界の各所に影響が出るのは必然だ。

 

現在、ルシファー眷属―――――――グレイフィア様を始めとするサーゼクス様のご眷属方が『超獣鬼』の相手をしており、いまのところ足止めには成功しているそうだ。

グレイフィアの放った魔力の波動は想像を絶する規模であり、地形そのものを消し飛ばしてしまうほどの破壊力だった。

グレイフィアが率いるルシファー眷属でも決定打を与えるには至っていないという、どれほどの怨恨を込めればあのような怪物が生まれるのか。

足止めのおかげで、都民の避難はほぼ完了しているとのこと。

シトリー眷属を初め魔界組は逃げ遅れた人がいないかの確認に回り、サイラオーグ・バアルは首都で暴れている旧魔王派を相手にしていると聞いている。

 

「……あれ!」

 

小猫がとある方向を指差す。

その方向に視線を送ると遠目に黒い巨大なドラゴンが黒炎を巻き上げて暴れている様子が確認できる

 

あれは――――匙だ!

 

龍王化するほどの相手と戦っているということか!

全員がそれを確認すると、そのまま翼を広げて現場へと急行した。

 

 

◆◆◆◆

 

 

辿り着いた場所は広い車道で道の両隣には高層ビルが建ち並んでいた。

そこは既に戦場と化しており、建物や道路、公共物に至るまで大きく破損して、周囲には火の手が上がっている。

人の気配が感じられないのが幸いと言ったところだ。

この様子を見るにこの区域の避難もほぼ完了しているようだった。

 

「おおっ!!リアス、皆!!」

 

声がする方を見るとドルキーたちだ。

 

「僕たちも動くことができるようになって、避難誘導を終えたらゾロアスター幹部のタルウィとザリチェを追いかけてここに来ましたが……見失って」

 

予想はついていたがゾロアスターの幹部も現れたようだ。

 

「リアス先輩!」

 

聞き覚えのある声に引かれてそちらを振り向くと横転した一台のバスを守るようにして囲むシトリー眷属女性陣の姿があった。

バスの中には大勢の子供達、バスを守るシトリー眷属の一人、『騎士』の巡に尋ねた。

 

「しっかりして、何が起きたの!?」

 

すると、巡は涙交じりに答えた。

 

「このバスを先導している時に英雄派、ゾロアスターと出くわして、相手はこちらを確認すると突然攻撃を……!

 衝撃を受けてバスが横転してしまったので、ここで応戦するしかなくて、会長と副会長と、元ちゃんが……っ!」

 

「……あそこだ!!」

 

タオが指さす方向にヘラクレスに喉元を掴まれている匙の姿が……!!

ヘラクレスは匙を放り捨てると、倒れているソーナ会長の背中を踏みつける。

 

「ぐうっ!」

 

「やろう!!倒れた女性を踏みつけやがって!!」

 

ドルキーはヘラクレスの行為に激昂する。

ヘラクレスはソーナと匙を見て嘲笑う。

 

「んだよ、レーティングゲームで大公に勝ったっていうから期待してたのによ。こんなもんかよ」

 

「ふざけないでっ!子供の乗ったバスばかり狙ってきたくせに!それを庇うために会長も匙も……!」

 

真羅が涙を流しながら激昂していた。

普段、会長よりもクールな真羅だがここまで感情を表に出すほどだ。

そして、そんな卑怯な行動をした英雄派に許せない気持ちが強くなった。

 

「烈風刃!!」

 

珠樹は抜刀して風の刃をヘラクレス目掛けて飛ばすが、ヘラクレスは腕で防御する。

その隙に、タオは匙をドルキーはソーナと真羅を回収する。

 

「いい加減にしてくれないかな……」

 

祐斗は低い声音で向ける。

ジャンヌが祐斗が所持している得物を見て仰天する。

 

「グラム!?それにその腰の魔剣たちも……!」

 

「ああ、ジークフリートは僕が倒した。グラムを含め、彼の持っていた魔剣は僕を新しい主に選んだらしい」

 

祐斗の腰にはグラムを初めジークフリートが持っていた全ての魔剣が鞘に収まっている。

 

「へっ!こんな奴に負けるなんてよ! あいつもたかが知れていたってわけだ!」

 

ヘラクレスは彼を嘲笑うだけだった。

どうやら、彼らの間では仲間意識みたいなものは薄いらしい。

 

「侮るなヘラクレス。相手を過小評価するのはおまえの悪い癖だ」

 

ヘラクレス達の後方に霧が発生し一人の男性が現れる―――霧使いのゲオルクだ。

ゲオルクはこちらに視線を送ると嘆息する。

 

「そうか……ジークフリートまでやられたか。グレモリー眷属にこれ以上関わると全滅しかねないな」

 

ゲオルグの視線は匙に向けて、忌々しそうな顔をする。

 

「ヴリトラめ。思ったよりも黒炎の解呪に手間取ったぞ。呪いや縛りに長けた能力は伝説通りか」

 

「未成熟とはいえ、龍王の一角をやっちまうなんてな! 流石は神滅具所有者ってところか!」

 

ヘラクレスはゲオルクを称賛した。

どうやら、ゲオルクが中心となって匙を打ち倒したようだ。

魔法に長け、頭も働き、神滅具所有者が戦闘の中心となったのなら、龍王の匙がやられるのも納得できる。

 

【全く、赤龍帝と銀牙がくたばって、戦えないかと思ったが……全然、動いてるじゃん】

 

【アエーシェマの奴、ホラでも吹いたよ?面倒事が増やしやがって】

 

ゾロアスターの幹部悪魔のタルウィとザリチェも出現した。

他の奴らもいないのは別行動中なのだろうか?

 

「しっかりしてください!」

 

アーシアと彗華がソーナと匙に回復のオーラを当てて、傷が塞がっていった。

 

「………子供が大事に握りしめてたんだ……二人のヒーローの人形を……。

 ここで、あの子達に何かあったら、俺は……あいつらの背中を二度と追いかけられなくなる……」

 

「匙くん……!!」

 

【けっ。たかがクソガキ共を護るために反撃してこないからさぁ。

 面白いから執拗にやったら、ズタボロになっていくのがよ、笑えるぜ!!】

 

【全くだよな!!役に立たないガキ共を見捨てれば、俺たちに手傷を負わせたのにさぁ!!】

 

匙たちをバカにして笑うタルウィとザリチェ。

祐斗は彼らを切り裂こうとするが――――――。

 

―――ブォンッ!!

 

二人目掛けて赤い十字斬が飛び、タルウィとザリチェはそれを回避する。

 

【あぶねぇじゃねぇかよ!?】

 

【笑っているときに攻撃すんな!!】

 

あの斬撃を飛ばしたのはサーベルを抜いた――――アルス・ヴァレンタインだ。

 

「戦場で油断していると痛い目を見ると、習わなかったのか?

 例え傷だらけなりながらも、命を張って子供を護る事は誇れることだ」

 

アルスは匙を見てフッと笑う。

タルウィとザリチェ、英雄派を見て静かに怒りが燃え上がる

 

「それを嘲笑い貶める事をするならば――――貴様らを斬首する」

 

「覚悟した方がいいぜ?アルスを怒らせたら、完殺タイムだ。俺だって、同じ気持ちだけどな!!」

 

ドルキーもトゥインクルスライサーを構えて、風を巻き起こす。

 

【うざってーな!!そんなに死に急ぎたいのなら、ぶっ殺してやる!!】

 

【お友達の後を追わせてやるよ!!】

 

「彗華、リオ、二人はここに残ってリアスさんたちのサポートを」

 

珠樹の指示に二人は頷き、残ったメンバーはタルウィとザリチェと対峙する。

 

「ここは僕達がやります。副会長は子供達の避難をお願いします」

 

「けれど……」

 

「お願いします。あなた達が受けた分は僕達が返しますから。

 匙君やあなたの想いはしっかりと受け取りました」

 

「……木場君、わかりました」

 

真羅は頷く後退し、バスの方へと向かっていった。

 

―――――あとは彼らを斬るだけだ。

 

「木場くんが副会長さんにイケメン力を発揮しているわ!イッセー君のこと言えないわね!」

 

イリナが何やら嬉しそうにはしゃいでいたが………スルーしよう。

 

「なぜ、あのバスを狙った?そして、なぜこの首都リリスにいるんだい?」

 

そもそも子供達を狙う理由が分からなかった。

旧魔王派やゾロアスターならともかく、彼らが態々あのバスだけを狙うなんて考えられない。

ゲオルクが答える。

 

「まず後者から答えよう。といっても単なる見学だ」

 

「見学?」

 

「そう見学だ。

 曹操があの超巨大魔獣がどこまで攻め込むことが出来るのか、

 その目で見てみたいというのでね」

 

つまりは曹操の付き添いということか。

肝心の曹操の姿が見えないのが気になるが……どこかで高みの見物でもしているのだろうか?

 

「では、なぜバスを狙った?」

 

「偶然、そのバスと出くわしてな。

 そうしたら、ヴリトラの匙元士郎とシトリー眷属も乗っていたのだ。

 あちらもこちらの顔は知っている。出会ってしまえば相対するのは自然の流れだろう?」

 

確かにその流れで出会ってしまえば戦闘に入ってしまうのは理解できるが・・・・・・。

しかし、ヘラクレスは挑戦的な笑みを見せる。

 

「俺が煽ったってのもあるぜ?魔獣の都市侵略の見学だけじゃ、物足りなくなってな。

 『子供を狙われたくなけりゃ、戦え』って言ったんだよ。

 んで、戦闘開始ってわけだ」

 

「私は止めておけばって言ったんだけどねー」

 

「そんなこと言ったか?」

 

「あら、言ってなかった?まぁ、どっちでもいいじゃない」

 

そう言うとジャンヌとヘラクレスは面白そうに笑う。

 

―――そんなふざけた理由で戦いを始めたというかのか。

―――匙君はそれを受けて、子供達を守るために!

 

「英雄派は異形との戦いを望む英雄の集まりと聞いていたが、どうやらただの外道がいたらしい」

 

声の主は己の体術だけで祐斗、ゼノヴィア、ロスヴァイセを倒し、

一誠と鋼弥と真正面から殴りあった男―――――サイラオーグ・バアルの登場だった。

 

……それだけじゃなかった。

 

「なら、私たちの相手もお願いできるかしら?」

 

空から、二つの影が降りて来た。

機械の鎧を身に纏い、マシンナリードライバー最強姉妹――――サーシャとリアナも現れた。

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