ハイスクールD×D~アルギュロス・ディアボロス~   作:Mr.エメト

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アンリ・マンユとの決戦―――そして。


第十三話 =極限対決Ⅴ=

一誠と曹操が決着が着いたその頃。

 

 

鋼弥とアンリ・マンユは互いに両手を掴み、力比べにはいる。

アンリ・マンユが口を開き、黒い光線を放ち鋼弥に直撃させて、吹き飛ばす。

翼を使い、着地するが、アンリ・マンユはマハマグダイン、マハジオダインと唱えて岩と雷が雨となって襲ってくる。

 

「ハアアアアアアアッ!!」

 

その中を潜り抜けて、一気に近づこうとするがアンリ・マンユの背から白い触手が地に突き刺す。

 

【死魔の触手】

 

鋼弥の眼前に鋭く突きだすが、掠りはしたが直撃は回避する。

 

【遅い】

 

アンリ・マンユは鋼弥の眼前に迫り、右手に黒い気を溜めて、叩きつけた瞬間―――爆破する。

吹き飛ばされる鋼弥、後ろから誰かに支えられている。

 

「しっかりしろや!!」

 

「倒れても、僕たちが支えます!!」

 

「もうすこしだ……!!」

 

「ドルキー、タオ、アルス……無事だったのか……」

 

「あたぼうよ!!ボロボロだが、皆無事に帰ってきたぜ!!」

 

ドルキーの言葉に、後ろを向くとリオ達の無事を確認できた。

別の方向からは一誠たちの姿が、曹操を倒したんだろう。

 

【まだ、解らぬようだな?貴様は仲間とともに戦わなければ、勝つことも生きることもできない】

 

両手に禍々しき魔力を溜めて―――。

 

【滅びるがいい人修羅の子よ!!】

 

波動砲を放つ、その熱は大地を空気を焼くほどの威力だ。

鋼弥は体勢を立て直し、クロスガードして、障壁を張り巡らせる。

 

「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」

 

仲間を傷つけないために、盾となる鋼弥。

波動が終わり、サタンの鎧に焦げ跡が目立っている。

 

【まだ、立っているか?】

 

ここから、どう反撃するのか。

だが、一同は鋼弥の行動に驚いたのだ。

 

 

「解除!!」

 

 

鋼弥はサタンの鎧を解除しオーバードライブ状態のままアンリ・マンユに立ち向かう気だ。

 

【愚かな、サタンの力無しで我と立ち向かう気か?】

 

「……ここから先は俺と父さんの力で貴様を撃ち砕く。

 魔と魔の力では、決着はつかない。

 だから――――もう一つの"人の力"として、挑む!!」

 

サタンの鎧が形成し、黒曜色の髪留めとなり鋼弥の長髪を纏める。

力が溢れ、静かに構えて見据える鋼弥

 

【なるほど、その勇気は認めよう。だが、力の差を思い知るがいい!!】

 

アンリ・マンユの背後に六本の白い触手が地面に突き刺し鋼弥の足元に襲い掛かる。

更にメギドラオンを唱えて、ドームに閉じ込めて閃光と爆炎に包まれていく。

これで、鋼弥は死んだかと思っていたが、其処にはボロボロになりながらも鋼弥が立っていたのだ。

 

【直撃したはずなのに何故だ?】

 

「言ったはずだ。心が折れない限り俺は死なない」

 

【なら、その心を圧し折ってやろう】

 

アンリ・マンユは瞬時に鋼弥の前に現れて、鋭い一撃を放つ。

それを何度も何度も、繰り出し、魔力を集め、黒炎となる。

 

【バーニングレイ】

 

灼熱の閃光を放ち鋼弥を包み込み、その勢いは衰えず冥界の山々を貫通した。

あんなの喰らえば、無事どころではない。

だが、アンリ・マンユは驚愕するのだった。

 

――――――それでも、鋼弥は立っていたのだ。

 

【貴様は一体……!!】

 

「解らないだろうね。恐怖や力で支配するお前には絶対に解らない力だ!!」

 

 

(BGM:きっと・・・)

 

 

両腕をクロスさせて一気に解き放ち、アンリ・マンユへと向かい技を発動させる。

 

「螺旋蛇衡!!」

 

緑色に螺旋するエネルギーがアンリ・マンユに直撃して吹き飛ばす。

 

「地母晩餐!!」

 

追撃し両手を地面につけると、足元から地響きと罅が入り爆裂した。

 

【なんだ……この力は……】

 

直撃し、怯むアンリ・マンユ。

鋼弥の右手に光が集まり、紫電の光剣となり、居合いの構えをした。

 

「死戯斬爛閃!!」

 

横薙ぎ払いの斬撃を繰り出し、アンリ・マンユを切り裂いた。

 

【ぬぐおおおおおおおおおおおおっ!!?】

 

片膝をつき、息を上げるアンリ・マンユ。

 

【まさか、人修羅の子がこれほどの力とは……!!】

 

目の前の男の力に驚きを隠せなかった。

 

「受けろ、アンリ・マンユ!!この一撃を!!」

 

両手に紫色の闘気を集めて、一気に駆けて、アンリ・マンユへ向かう。

出会った仲間と仲魔が重なり、悪神に必殺の一撃を叩きこむ!!

 

 

 

 

 

"劫"(カルパ)ァァァァァァ!!」

 

 

 

 

 

想いを乗せた必殺の拳がアンリ・マンユを削り飛ばす。

その勢いは止まらなく、冥界を覆っていた黒雲をも吹き飛ばした。

アンリ・マンユは最早、戦う力は――――ない。

ボロボロとなっていた六大悪魔とアエーシェマが集結し、アンリ・マンユを庇っている。

 

【止む御えませんが、ここは退くしかありません。アンリ・マンユ様の肉体を再生させるためにも】

 

【いつの日か、我は蘇る。しばしの、安息を味わっておくがいい……】

 

アンリ・マンユとゾロアスターの悪魔たちは消え去って行った。

仁は悔いない顔をして鋼弥に語る。

 

「―――これで、俺の役目も終わったな」

 

「父さん、……!?」

 

見ると、仁の体が光の粒子となって消えていこうとする。

 

「今の俺は魂だけの存在。還る時が来たからね」

 

「やっと……やっと……父さんと会えたのに、もっと話がしたいのに!!」

 

目の前のことを受け入れたくなく、仁に抱き着いて涙を流す鋼弥。

仁は―――嶺爾を見て優しく語る。

 

「嶺爾、お前に辛い思いをさせたな」

 

「……そんなこと、一度だって思ってない」

 

「父として最後の願いを聞いてくれ。鋼弥と皆と協力してくれ、これからの事も」

 

嶺爾は目を瞑り答えず、その場を去った。

だが、仁は彼の想いを知っているのか微笑んでいる。

一誠もまた、消滅していく仁を見て、あの時の約束を思い出す。

 

 

――――

 

 

(――――俺は消滅してしまうだろう。

もう二人を護ることもできない。

だから……赤龍帝、兵藤一誠。鋼弥を支えて欲しい。あれは泣き虫な所があるからさ)

 

 

――――

 

 

「鋼弥、悲しむ時ではない。勝鬨をあげるんだ。

 冥界を守り、生きた勝利の雄たけびを……。

 さぁ……息子よ」

 

「…………解ったよ、父さん。―――――――届け、勝利の雄たけびを!!」

 

冥界の空まで響き渡るほどの雄たけびをあげる。

仁は微笑んで立派に成長した鋼弥を見届けて、泡のように消えていき空へと昇る―――。

鋼弥は涙を流し、枯れるまで雄たけびをあげ続けた。

 

 

冥界の大激戦は終わった―――。

 

 

―――――――――

 

 

「ぶっざまだなぁ、曹操。

 あれだけ準備しておいて裏切りと想定外で英雄派の計画はぜーんぶオジャンってか?

 上位神滅具を3つも潰されやがった」

 

「これは帝釈天さま、下界にまでお越しになられるとは」

 

「禁手に至った神器も神滅具使いも再起不能じゃねェか。

 お前とゲオルクとレオナルドも動く事も出来ねェし?――――で、どうすンのよ?」

 

「……立て直しますよ。

 新しいオーフィスが生まれますから、それを中心に新しい『禍の団』を結成します。

 ――――だが、今回の件であまりに戦力が削がれてしまった。少しの間、身を潜めます」

 

「そうかねぇ。今のお前のツラは、そう言うのじゃねェなァ。

 心を折られた野郎のツラだ。お前、二天龍に潰されたな?」

 

「二天龍に潰された、か。―――否定はしませんよ」

 

「ダセェな、お前。結局、何になりたかった?

 英雄か?勇者か?それとも悪役か?

 いや……全部になろうとして欲張ったンか?」

 

「英雄の子孫でありながら最強の槍を持って生まれた俺は、これ以外の道なんて無かった。

 異形達の毒と言う選択肢しか――――」

 

「ハハハハハハハハッ!

 なぁ、クソガキくん、神仏さまからのあんまりありがたくもねェ言葉を聞いとけや。

 良いか?お前みたいに普段B級だが本気出せばS級なんて奴はな、案外結構いるんだよ。

 問題は普段も本気もB級なのに、決める時にSSS級を叩き出すイカレた野郎だ。

 こいつが一番厄介だ。絶対に勝てる勝負を訳の分からねェもんで覆してくる。

 

 ……お前も実感したろ?赤龍帝、白龍皇、銀流星ってヤツがこれだよ

 

 そんなタイプに勝ちたかったらよ、運命ねじ曲げるぐらいの力を見せなきゃよ。

 何せ聖槍のお前の同期、神滅具所有者はあの赤龍帝と白龍皇だ。

 

 ―――お前、生まれてくる時代を間違えたンじゃねェか?」

 

「次は――――」

 

「次?お前はここまでだ。

 その槍に拒否され、ズタボロ状態のお前なンて価値が無くなったも同然だぜ?」

 

「……俺をどうするつもりだ?」

 

「なーに、お前とゲオルクとレオナルドは仲良く揃って冥府送りだ。

 ハーデスがどうにも不機嫌なんでな、お前らが相手してやれや。

 あそこで蜘蛛の糸でも垂れてくるのを待ってりゃ良い。

 ま、お前らの神滅具は全部俺が頂くけどな。

 3つとも禁手状態で引き抜けるなんて、涙が出る程嬉しいZE!」

 

「フッ……さすが、酷い神仏だ」

 

「裏で色々と画策して俺や他の神どもを手玉に取ろうとしていたのは何処のどいつよ?

 バチが当たったのさ。――――冥府から帰還でも出来れば聖槍を返してやンよ。

 英雄ならそんくらいやってみせてこそだぜ?

 赤龍帝と銀流星は似た様な事をやってのけたンだからよ?」

 

 

―――――――――

 

 

【まさか、人修羅の子と仲間たちが強いとはな……奴の父以上か】

 

【これから、どうしますか?】

 

【今しばらくは、我が肉体の再生と戦力の立て直しだ。その間にあの者たちに掛け合ってくれ】

 

【しかし、あの者たちは、我々に応えてくれるかどうか……】

 

【心配はいらぬ。

 あの者たちは今の世界に不満を持っている。

 我は還るべき許(ところ)へ行かねばならぬからな】

 

その先を見ているのは世界の果て――――。

 

【我と、相反する善神。

 全ては別れ落ちた―――創世神ズルワーンへと還る。

 そのために、次なる準備をせねばならぬ】

 

 

―――――――――

 

冥界の騒動が終わって、二週間が経った。

 

 

アザゼルは総督を更迭され―――地域の監督となった。

新たに総督となったのはシェムハザ、副総督はバラキエルだ。

ドタバタとなったが昇格試験の合格が発表された、全員合格だ。

 

禍の団は壊滅、ゾロアスターも活動はしばらくはできない。

首領やメンバーは再生のため時間が多く必要となる。

 

魔界は今回の事件の功績者である鋼弥たちやグレモリーチームに"名誉勲章"が与えられた。

冥界の悪魔たちにこの勲章が与えられるのは異例であり初なのだ。

 

 

―――――――――

 

=涼刀事務所 鋼弥の私室=

 

 

鋼弥は写真を見ていた。

父、母、兄と自分が写っている幸せだったころの一枚。

あの時を境に家族が壊れ、バラバラとなった。

 

母は……魔界で治療をしている。

毎日お見舞いに行って、今日までの事を話した。

迷惑をかけた事、楽しい事、悲しい事など、空白を埋めるように話した。

 

「……バラバラになっても、時間をかけてもう一度、直せるな」

 

新しい写真を飾る。

それは、一誠たちを初め修行仲間、シンディ、レイハ、ミランダ、ノア、母の千尋と一緒に写っている写真だ。

鋼弥はよしっと、顔を上げて前へと向く。

 

―――父親の約束を守り通すために、歩む。




ようやく!!ようやく、ここまでたどり着きました!!

この章では、真実、反撃、決着、別れとテーマがあります。

次回は吸血鬼編!!・・・の前に、オリジナルストーリーを挟みます。
キーパーソンとなるキャラはタオと紫!!

それでは、次回の章までお会いしましょう!!

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