ハイスクールD×D~アルギュロス・ディアボロス~ 作:Mr.エメト
第十一話 =もう一つの銀牙=
「部長、・・・終わりましたよ。」
「イッセー・・・。」
リアスは一誠のもと駆け出し、力いっぱい抱きしめる。
一誠は視線を移した。紅色の髪をしたダンディな御方、リアスの父―グレモリー卿だ。
グレモリー卿へ歩み寄り深く頭を下げ、はっきりと言い渡す
「部長を、俺たちの主であるリアス・グレモリーさまを返してもらいます。
勝手な振る舞いをしてしまい申し訳ありませんでした。でも、部長は連れ帰ります」
グレモリー卿は何も言わずにただ、目を瞑った。
「さぁ、イッセー。リアスと共に愛の逃避行でもして来い」
「ああ・・・」
一誠は懐から取り出し魔法陣の紙を取り出す。
眩い光が放たれ、其処から現れたのは魔獣グリフォンだった。
二人はグリフォンの背に乗り飛び立つ前に鋼弥達に言った。
「部室で待っているからな!!」
リアスと共にグリフォンに乗って会場を去っていった。
「・・・これで一件落着かな」
二人を見送り鋼弥は安堵の息をつく。
小猫がクイクイッと服の裾が引っ張っている。
「・・・行かなくてよかったのですか?」
「・・・イッセーは結構頑張ったからね。たまには労りが必要だ」
フッと笑う
その時、爆発音が響き渡る。見るとライザーが起き上がっていたのだ。
「ふざけるなぁ・・・、ふざけるなぁぁぁぁぁ!
何故俺が、あんな下級悪魔にやられるんだぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「まさか、あれだけ攻撃を受けても立ちあがるとは、悪魔の執念というやつか・・・。」
「そうだね、ここで止めないとね」
「完全に怒りで我を忘れていますわね」
「・・・しつこい」
四人は戦闘態勢に入る。
ライザーの眷属達はボロボロとなったライザーを必死に止めようとしているが・・・
「どけぇぇぇぇぇぇ!!」
あろうことか、眷属達を炎で吹き飛ばした。
鋼弥は傷ついたライザーの眷属たちを助け朱乃たちの所まで運ぶ。
そして、ライザーと対峙する。
「貴様、自分の仲間になんて事をするんだ!!」
「不死鳥の俺が!お前と下級悪魔のクソガキに負けなきゃならねぇんだっ!
もう少しで、もう少しでリアスは俺の物になったのにぃぃぃぃ!!」
こいつ・・・!!自分が負けた事を認めずにいるのか!!
「往生際が悪いぞ!素直に負けを認めたらどうだ!」
「黙れぇぇぇ!!貴様から、焼き殺してやる!!」
完全に聞く耳も持たず怒り狂っているライザーは掌から巨大な炎の塊を放つ
避けるのは簡単だ。しかし、後ろには祐斗たちと傷ついたライザーの眷属たちがいる。
"業魔化身"を発動させても間に合わない、多少の無茶をしてでも受け止める!!
だが、次の瞬間、鋼弥に襲い掛かってくる炎が斬られた。
鋼弥の前に青年が立っていた。銀色の髪をオールバックにまとめ、白いコートを纏った男性だった。
ゆっくりとこちらを向くと、その人物は・・・
「先輩が二人・・・!?」
そう、小猫の言うとおりその人物の顔は鋼弥とそっくりだった。
鋼弥は一瞬驚き、次に怨敵に会えたという顔をしていた。
「とうとう現れたか・・・」
「久々だな、鋼弥。五か月前の魔界で戦った以来か?」
「そんな事はどうだっていい。
お前が人間世界に無理矢理、行って揺らぎ現象が大きく発生し魔界の悪魔が出入りしたよ。
それとも、これもお前が狙っている事か?」
「ああ、悪いな。其処へ通じる結界を破壊したからな。予期しなかったトラブルという奴だ。」
クククッと笑うもう一人の鋼弥(?)。
対して鋼弥は苦虫をつぶしたような顔だった。
「何だ貴様はァァァァァァァァッ!俺の邪魔をするのかァァァァァァァァッ!」
ライザーの叫びに男は肩をすくめて静かにライザーを睨む。
「折角の再会の邪魔をするとは無粋な奴だな。遊んでやる・・・」
男からとてつもない魔力が流れ込み、足元に召喚の陣が浮かび上がる。
それは、鋼弥と同じ形成の陣、青く輝き、水の雫が溢れだす。
「――グランガチ」
名を告げると水の柱が青年を飲み込む。
其処に現れたのは全長8mもある青いワニの魔獣だった。
口から覗く鋭い歯が並んでおり、鋭い目つきはライザーを睨んでいた。
【サテ・・・我を十分に楽しませろよ。小僧】
鈍重なイメージとは裏腹に素早く動くグランガチ。
距離を詰め大きな口を開かせライザーの左腕を噛み千切り、巨大な尾を振りかざしライザーを弾き飛ばす。
「がああああっ!!」
壁に叩きつけられるが、左腕は再生する。
グランガチは口を大きく開き、氷塊を勢いよく吐き出す。
ライザーは氷塊に飲まれたが炎で何とか溶かす。
【さてさて、次の者へと回すかの】
そう言うとグランガチの姿が解除され男に戻り、次の魔の者の名を告げた
「――ダッキ」
名を告げると、召喚の陣から木の葉が舞い踊る。
そこから導師服を着た黒髪、九本の狐の尾を持つ女性が現れた
【うふふふ、私と遊びたいのは貴方ね?】
妖艶な笑みでライザーを見て、両手を広げると雷の光球が8つ現れた
【ジオダイン×8!!】
一気に放たれ、ライザーの頭上に幾つ物の雷が降り注がれる
「ぎゃああああああああああああっ!!」
「副部長と同じ雷を・・・!!」
「ですが、あれほどの雷の量は見た事がありませんわ・・・!!」
【お次はこれよ、スタンショット!!】
雷のエネルギーでできた弾丸を作り出し、ライザーの足元に向けて撃つ。
次の瞬間、凄まじき轟音と爆音が響き渡り、ライザーは吹き飛ばされて壁に叩きつけられた。
「あんな小さな雷の弾丸で、あの威力だなんて・・・!!」
雷の魔法を得意とする朱乃でさえ、スタンショットの威力を見て驚く
ダッキの姿を解いて、元の姿へと戻る
「・・・どうした?不死鳥と呼ばれしモノが無様に地面に這いつくばっているのか?」
「俺は不死鳥フェニックスだ・・・!リアスにも勝った、不死身の悪魔なんだぞ・・・!」
「二度目の対決で最弱と罵っていた赤龍帝の男と鋼弥に負けた奴が、よくそんなことを言えるな」
「黙れぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」
激昂したライザーは炎の翼を広げて無数の刃の炎を飛ばすが、男は素手で破壊する
「ぐ・・・!なめるなァァァァァァァァッ!」
拳に炎を宿らせて殴ろうとしたが、右手で受け止める
「・・・単調な攻撃だ。貴様は炎や不死の能力を頼りにしていたせいで格闘術は素人か」
グッと右足を引っ込めて、ライザーの腹目掛けて蹴りを入れる
「ごばぁっ!」
吹き飛ばされるライザーだが、先に回りライザーの背に右肘を叩き付ける
「があああああっ!!」
「ライザー様っ!」
「お兄さまっ!」
「フェニックスの力とやらはその程度だったのか? お前の下僕達も可哀相だな、貴様の様な弱い"王"にいるのがな・・・」
「黙れぇぇぇ!!レイヴェル!!フェニックスの涙をよこせ!!」
「もうお止めくださいお兄さま!」
「早くしろぉぉぉぉ!!」
「・・・別に構わんぞ。全快したお前と戦って解らせてやればいいのだからな」
男はそう言って、ライザーの距離をとる。
レイヴェルはフェニックスの涙を渡し、それを飲み干した
すると、先程受けたダメージが回復し魔力も元通りになった。
「これさえあれば、俺は無敵なんだよッ!今度こそ、フェニックスの炎で消し飛べッ!」
巨大な火炎を放ち、銀髪の男に向けて放つ。
男は避ける素振りを見せずに召喚の陣を描き詠唱をする
すると、血の様に赤い光が漏れだし、告げた―
「――ネラプシ」
コウモリたちが出現し、男の身を飲み込む
だが、ライザーが放った炎が迫りくるがそれも四散に引き裂かれたのだ。
水色の混じった青髪に真紅の瞳、白のナイトキャップとフリル服を身に纏っている少女。
身体を大きく広げると、蝙蝠の翼が展開し、口から覗く鋭い牙。
【私はネラプシ。夜の女王〈ミッドナイト・クイーン〉と呼ばれし吸血鬼よ】
クスリッと笑う
【私が出てきた以上、本気で来なさい。でないと・・・死ぬわよ?】
吸血鬼少女は恐ろしいほどの殺意と魔力が溢れだす
ライザーはその気配に本能的に後ずさりをする
【ブラッディ・チェーン!!】
赤い鎖がライザーの両手足を捕縛した。
「こんな、鎖なんぞ・・・!!」
ライザーは鎖を引き千切ろうとするが、切れない
燃やそうとしても、焦げ跡すらない
【無駄よ。その鎖に捕まったら最後、こうなるわ】
不敵な笑みをして指をパチンッと鳴らすと、鎖が大爆発したのだ
よろめくライザーだが、その隙を逃さず
【ブラッディ・ザ・スピア!!】
頭上に展開させた赤いエネルギーの槍を神速の如く投擲し、ライザーの腹を貫いた
更に、赤い槍を四本作り出し、両手両足に目掛けて投擲した
それだけでは、終わらず、赤い槍を何本も生成し、全てライザー目掛けて投擲するのだ
最早、勝負でも無い。あるのは圧倒的な虐殺だけだ。
【解ったでしょ?貴方が不死鳥でも上には上がいるのよ。それは変える事の出来ない運命なのよ】
「ふ、ふざけるなぁ・・・俺は・・・俺はフェニックスだ・・・!!」
ズタズタにされてもライザーはまだ立ち上がろうとしていた
【・・・驚いたわね。まだ、立ち上がる精神力を持っているの】
「俺は・・・フェニックス家の看板を・・・!背負ってるんだぁぁぁぁぁぁぁッ!!」
ナイトキャップを深く被り、二ィッと笑うネプラシ
【その敬意に免じて、とっておきの技を見せてあげるわ】
何処から、現れたのか無数のコウモリたちが出現し、ライザーの周りを囲む
真っ暗となった空間に真っ赤な目が光った瞬間――――
【ミッドナイト・カーニバル】
――ザシュザシュザシュザシュザシュ!!!!
切り裂かれ音が、何度も、何度も、何度も、響き渡る。
コウモリたちが、飛び立つと目を覆いたくなる光景だった
――ライザーの身体には幾つの刃物で切り付けられた痕、
――ネプラシは返り血を浴びペロリッと舐め残酷な笑みをする
最早、ライザーは戦う気力は残されていなく、精神は完全に潰されたのだ
ネラプシはライザーに止めを刺そうとゆっくりと歩み寄る。
だが、金髪ロールの少女が倒れたライザーの前に立ち塞がるのは・・・レイヴェルだ。
「もう、やめてください!!」
【あら?私の邪魔をする気なの?】
「もう、お兄様は戦えません!!なのにこれ以上、痛めつける気ですか!?」
【温室育ちのお嬢様に解りやすく言ってあげるわ。
この世は弱肉強食の世界、強い者は生きて、弱い者は死ぬだけ
だから、私はその男に止めを刺すのよ】
確実に殺すと言う目と雰囲気を放つネラプシだが、レイヴェルは退く気は無かった。
今直ぐ、ここから逃げだしたいという恐怖心に駆られるが、自分の兄を殺される訳にはいかないからだ
ネラプシは目の前の少女が退かないと知ると、まとめて殺す素振りを見せる。
【そう・・・。なら貴女も一緒に殺してあげるわ】
右手から黒い炎のエネルギーが収縮され、狙いを定める
【兄とともに灰にしてあげるわ、サヨナラ・・・】
ライザーの眷属たちは絶望に染まる、祐斗たちは救出しようにも間に合わない。
まさに放たれようとしたその時、鳥の鉤爪がネラプシの手を掴み無理矢理、方向を変えた。
瞬間、凄まじき轟音と炎柱が起こり冥界の空まで奔っていた。
皆が見ると、鋼弥はスィームルグへと変身しネラプシの腕を掴んでいた。
【誰かと思えば男勝りな霊鳥じゃない?邪魔をするなんてね】
【傲慢な性格は変わってないね・・・!!】
両者は距離をとり、元の人間体へ戻った。
「お前、あの兄妹を本気で殺そうとしただろ・・・」
「ああ、その通りだ。不死身で最強と喚くのが気に入らないからな」
「だからと言ってあそこまで、ボロボロにする必要は・・・!!」
「お前は相変わらず詰めが甘いな、鋼弥・・・。だから、決着はつかないんだ。」
祐斗たちも戦闘の構えをし、目の前の男を睨む。
だが、男は表情を変えていない。ただ、涼しそうな顔をしていた。
「君はいったい何者なんだ?涼刀くんと同じ顔で能力を持つ君は・・・」
祐斗が男に質問をすると、しばらくの沈黙だったが男は驚愕の言葉を告げた。
「俺の名は――――涼刀嶺爾(すずがたれいじ)。鋼弥の兄だ」
「なに・・・!?」
「先輩の・・・」
「お兄さん・・・」
祐斗、小猫、朱乃は驚愕し、鋼弥は、嶺爾を睨んで低く声で言う。
「力を求めて破壊の限りを尽くした貴様が兄と名乗る資格は無いッ!!」
「今回はお前と遊んでいる暇は無い。お前の顔と赤龍帝の力を宿した奴の顔を見るだけで十分だからな」
そう言うと嶺爾は背を向けて歩き出すと、蜃気楼のように消えた。
「嶺爾ぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!」
鋼弥の雄叫びが会場に響き渡り、拳を力強く握ったのか血が流れていた・・・