ハイスクールD×D~アルギュロス・ディアボロス~   作:Mr.エメト

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第七話 =三勢力会談と決意=

「―――――さて、行くわよ」

 

部室に集まったオカルト研究部員はリアスの言葉に頷く

今日は三大勢力が集まって会議を行う日、会談は駒王学園の新校舎にある職員会議室で行う

既に各陣営のトップ逹は新校舎の休憩室で待機しているらしい

学園も強力な結界に囲まれているので誰も中へ入れなくなり、会談が終わるまで外には出られない

一誠は協議が決裂したりしないかと気が気でなかった

 

「ぶ、部長!み、皆さぁぁぁぁぁぁん!」

 

部室に置かれた段ボールから聞こえてくる声

その声の主は、引きこもりヘタレヴァンパイアのギャスパーだ

時間停止の神器を未だに扱いきれないギャスパーが何らかのショックで邪魔をしたら大変な事になってしまいかねない

しかたないので、彼は留守番をする事になった

 

「ギャスパー、おとなしくしていろよ?

 部室に俺の携帯ゲーム機置いていくから、それで遊んでいて良いし、お菓子もあるから食べても良い。

 紙袋も置いていくから寂しくなったら存分にかぶれ」

 

段ボール箱からコソリッと顔を出すギャスパーはオドオドしていた

 

「は、はい、イッセー先輩・・・」

 

 

◇◆◇◆

 

 

「失礼します」

 

リアスが会議室の扉をノックしてから入り、鋼弥逹も後に続く

眼前には豪華なテーブルがあり、それを囲む様に各陣営のトップ逹が座っていた

 

悪魔側にサーゼクス、レヴィアタン、給仕係としてグレイフィア

 

天使側はミカエルと四大天使が一人のガブリエル

 

堕天使側は黒い翼を12枚生やしたアザゼルと≪白い龍(バニシング・ドラゴン)≫のヴァーリ

 

そして、護衛役としてかシンディが立っていた

大事な会議だけあって、アザゼルやレヴィアタン、サーゼクスは皆装飾が施された衣装を着ていた

 

「私の妹と、その眷属だ」

 

サーゼクスが他の陣営に紹介する

コカビエル襲撃についてミカエルは礼を言ったが、アザゼルは「悪かったな、俺のところのコカビエルが迷惑をかけた」と、あまり悪びれた様子を見せなかった

 

「そこの席に座りなさい」

 

サーゼクスの指示を受け、壁側に設置された椅子に向かう

その席の1つには既にソーナ会長が座っていた

その隣にリアスが座り、その横に一誠、鋼弥、朱乃、祐斗、アーシア、ゼノヴィア、小猫と順番に座った

 

「全員が揃ったところで会談の前提条件を1つ。ここにいる者逹は、最重要禁則事項である『神の不在』を認知している」

 

ソーナ会長は事前にリアスかセラフォルーから知らされたのか驚いてる様子はなかった

普段通りにしているグレイフィアと魔界出身のシンディも知っているようだ

 

「では、それを認知しているとして、話を進める」

 

サーゼクスの一言で三大勢力の会談が始まった

 

 

~~(数時間経過)~~

 

 

「と言う様に我々天使は・・・」

 

「そうだな、その方が良いかもしれない。このままでは確実に三勢力とも滅びの道を・・・」

 

悪魔、天使、堕天使のトップたちが貴重な話をしている。

これから三大勢力が手を組むという事だから、慎重になっているんだろう。

その時、手から温かく伝わる。見ると朱乃が手を握っていたのだ。

少し恥ずかしいが、手を握り返す。もう一度、朱乃を見るととてもうれしい表情をしていた。

 

「では、リアス、ソーナ。先日の事件について話を頼む」

 

「はい、ルシファー様」

 

リアスとソーナが立ち上がり先日のコカビエル戦での一部始終を各陣営に話した。

更に、鋼弥と嶺爾の二人の話題も出たのだ。

12の悪魔と契約を果たす事によって、その力を使いこなすという能力だ

厄介な点なのが上級神魔ですら契約する事もできるという点だ。

こうなると、三大勢力に確実に影響は出るのだが・・・鋼弥は冥界側についているという事で安心してもよい点だろう

 

「ご苦労、座ってくれたまえ」

 

「ありがとう、リアスちゃん☆」

 

リアスは席に座る。ここで、シンディが挙手したのだ

 

「私から皆様に伝えなければならない事があります。魔界の大魔王ルシファー閣下からの伝言です」

 

魔界を治める大魔王ルシファーの伝言。

今回の勢力平和会談に参加していない、もう一つの悪魔勢力だ。

鋼弥はシンディがここに来たもう一つの理由が、冥界の四魔王が一人、サーゼクスに手紙を渡す事だそうだ。

シンディは懐から手紙を取り出し、サーゼクスに渡す。

 

「ルシファー閣下は、事情で出席する事は出来ないが、その手紙に必要な事が書かれています」

 

サーゼクスは手紙の封を開けて、中身を読むと何回かゆっくりと頷く

 

「向こうの悪魔勢力達は我々に敵対意志は無い事と冥界のレーティングゲームに興味がある、と書かれているだけか・・・」

 

サーゼクスは手紙の返事を書いて、シンディに渡す。

 

「今度、時間があった時に話をしたいと伝えてくれないかね?」

 

「はい、伝えて置きます」

 

冥界勢力と堕天使勢力は魔界勢力の者達に警戒心を抱いていたのだ。

相手側がどんな事を考えているのか解らないからだ。

しかし、手紙の内容が平和を望んでいる事が解っただけでも、安心だ。

だが・・・サーゼクスはアザゼルを見て問う

 

「アザゼル、1つ訊きたいのだが、どうしてここ数十年神器の所有者をかき集めている?

 最初は人間達を集めて戦力増強を図っているのかと思っていた。

 天界か我々。冥界に戦争をけしかけるのではないかとも予想していたのだが・・・」

 

「しかし、いつまで経ってもあなたは戦争を仕掛けてはこなかった。

 ≪白い龍(バニシング・ドラゴン)≫を手に入れたと聞いた時には、強い警戒心を抱いたものです」

 

「神器研究の為さ。

 なんなら、一部研究資料もお前達に送ろうか?研究していたとしても、それで戦争なんざ仕掛けねぇよ。

 戦に今更興味なんて無いからな。俺は今の世界に充分満足している。

 部下に『人間界の政治にまで手を出すな』、と強く言い渡しているぐらいだぜ?

 宗教にも介入するつもりはねぇし、悪魔の業界にも影響を及ぼせるつもりもねぇ。

 ・・・それとも、俺の信用は三竦みの中でも最低か?」

 

「それはそうだ」

 

「そうですね」

 

「その通りね☆」

 

サーゼクス、ミカエル、セラフォルーの意見が一致した

アザゼルはよっぽど信用されていない

無理もない、飄々としており、手の内を見せようともしない男だ

 

「神や先代ルシファーよりもマシかと思ったが、お前らもお前らで面倒臭い奴らだ。

 やっぱ、こそこそ研究するのもこれ以上性に合わねぇか。

 あ~、分かったよ、なら、和平を結ぼうぜ。元々そのつもりもあったんだろう?天使も悪魔も?」

 

まさか和平を一番に提示したのはアザゼルだとは思わなかった事態に、皆が驚いた

アザゼルの一言に驚いていたミカエルが微笑む

 

「えぇ、私も悪魔側とグリゴリに和平を持ち掛ける予定でした。

 このままこれ以上三竦みの関係を続けていても、今の世界の害となるでしょう。

 天使の長である私が言うのも何ですが・・・戦争の大本である神と魔王は消滅したのですから」

 

「ハッ!あの堅物ミカエル様が言うようになったね。あれほど神、神、神様だったのにな」

 

「・・・失った物は大きい。

 けれど、いない物をいつまでも求めても仕方がありません。人間達を導くのが我らの使命。

 神の子らをこれからも見守り、先導していくのが一番大事なことだと私達セラフのメンバーの意見も一致しています」

 

「おいおい、今の発言は『堕ちる』ぜ?

 ・・・と思ったが、『システム』はお前が受け継いだんだったな。

 良い世界になったもんだ。俺らが『堕ちた』頃とはまるで違う」

 

「我らも同じだ。

 魔王がなくとも種を存続する為、悪魔も先に進まねばならない。

 戦争は我らも望むべきものではない。次の戦争をすれば、我々は確実に滅ぶ」

 

「そう、次の戦争をすれば、三竦みは今度こそ共倒れになる。

 人間界にも影響を大きく及ぼし世界は終わる。俺らは戦争をもう起こせない」

 

先程までふざけた調子だったアザゼルが一転、真剣な表情となっていた

 

「神がいない世界は間違いだと思うか?神がいない世界は衰退すると思うか?

 残念ながらそうじゃなかった。俺もお前達も今こうやって元気に生きている。

 神がいなくても世界は回るのさ」

 

「うむ、話はだいぶ片付いたが、本題はもう一つ残っているな・・・」

 

「ええ、最大の危険人物。鋼弥君の兄、涼刀嶺爾ですね・・・」

 

ミカエルの言葉に、場の空気に緊張が走る。

ライザー、コカビエルを完膚無きに叩きのめした半人半魔。

そして・・・鋼弥の兄でもある人だ

 

「彼がこちらの世界にも現れて、フェニックス家の三男とグリゴリの幹部のコカビエルと相手にしたのですね」

 

「幸いライザーくんは、あの後、完治は出来たが・・・部屋で落ち込んでいると聞いたぐらいだ」

 

「そっちのは方はまだいいぜ。コカビエルの奴は精神がブッ壊れてかけていやがった。

 嶺爾の名前を出した途端に震えだし、発狂する始末だ。アイツの心は恐怖が刻みこまれていやがる」

 

大戦の猛者であるコカビエルが怯えていた。

一撃も傷つける事も出来なく、圧倒的な力で叩き伏せられたのだ。

身体的ではなく、精神的にも深い傷をつけたというわけだ。

 

「・・・鋼弥君。君には伝えなければいけない事がある。嶺爾が天界に潜入したという報告があったのだ」

 

「天界の警備は厳しい筈はずたぜ?そんな簡単に潜入する隙はないはずだ」

 

アザゼルの疑問は最もだ。

天界の厳重な包囲網から、そんな易々と入り込むことは不可能だ。

だが、鋼弥は思い当たる節がある。

 

「・・・アメノサギリだろうな。

 奴は霧と境界を司る者で、自由自在に出入り口を作る事だってできる。

 いくら、厳重に警備しても奴の力を使えば造作もない」

 

コカビエル戦の時に姿を現した紫色のドレスを見に纏い傘を持った女性。

彼女は多種多様な魔法を使いこなし、計算されていたかのように技返しを使う事から"幻影の賢者"、"魔境女"とも呼ばれる事がある。

魔界で、コノハナサクヤの姿で戦った時は敗北寸前に追い込まれた事があった。

 

「しかし、嶺爾は何のために天界へ潜り込んですか・・・?」

 

「これは我々四大天使や上級大天使しか知らない情報だが、嶺爾は"大天使メタトロン"と接触したという話だ」

 

「大天使メタトロン・・・!」

 

 

―――大天使メタトロン。

 

天界の書記であり、神の玉座に最も近い場所に立つ熾天使(セラフ)。

≪神の顔≫、≪天使王≫、≪万物の創造主≫、≪ヤーウェの化身≫など、さまざまな呼称を持つ。

その実力は四大天使のリーダーであるミカエルを超えるほどで、天使の中で最も偉大と言われる。

 

アザゼルが顔をしかめてミカエルに問いかけた。

 

「まさかだと思うが、メタトロンのヤローと勝負を仕掛けようとしたのか?」

 

「メタトロンから聞いたのですが、戦い事をした訳ではないようです。

 単に話かけられただけだそうですが、直ぐに天使の兵隊たちを差し向けましたが結局、逃げられてしまいました」

 

ただ話をしていただけ?

嶺爾は強い者達と戦うのに勝負を仕掛けずに話すとは何かが引っかかる。

鋼弥に、ある憶測が次々と過ぎった

 

大天使メタトロンと接触したのは契約をする為か?

"業魔化身"は大天使・魔王クラスとも契約するはできる。

しかし、メタトロンは神に最も忠実で"神そのもの"と言ってもいいくらいの、最高クラスの大天使だ。

例え戦って服従させるたとしても、強大な"神聖"の前では制御する事だってできない。

 

なら、単純に倒すつもりだったのか?これもあり得ない。

大天使の中で最高クラスの者を倒しておけば天界の戦力は大幅にダウンできる。

しかし、アイツに支配は興味ない。

強い者と契約できなくなるというデメリットに真似はしない筈だ。

 

(どの道、奴と相まみえた時に聞きだすしかないか・・・)

 

サーゼクスが軽く手を上げ、静粛を求めた。

おそらく、この件は後で詳しく調べるのだろう。

今、話を続けてしまうと事態を混乱しかねない。

 

「鋼弥くん、君は今後についてどう行動するのか聞かせてもらえないかね?」

 

サーゼクスの言葉に、ミカエルとアザゼルも参加しだし、こちらを見ている

鋼弥は、立ち上がり静かに口を開く。

 

「俺は、自分の信念を貫くだけです。そして・・・」

 

鋼弥は後ろを向き、一誠たちを見てから、サーゼクス達と向き合う

 

「この世界で得た仲間を護る為に力を振るいます!!」

 

拳を強く握り力強く言う。

鋼弥の言葉を聞いて、シンディはクスリッと笑っていた

サーゼクスとミカエルは微笑み、ゆっくりと頷いていた

 

「ったく、冷静ながらも熱い性格だな~。話をいきなり変えちまう様で悪いが、レイナーレを助けたそうじゃなねぇか?」

 

「彼女は確かに許されない行為をしたのかもしれない。だからと言って、彼女の命で償うのは酷だから助けたんです」

 

「俺がもっと早く伝えておけば良かったと少しだけ後悔している・・・。

 危険な目にあわせなかったし、彼女の部下を死なせかったからな・・・。

 けど、レイナーレを助けてくれた事は感謝しているぜ」

 

「それでは、彼女の事は許してくれるのですか?」

 

鋼弥の問いにアザゼルはニッと笑う。

アザゼルは視線を一誠に移して、こう言いだした

 

「一誠はやっぱレイナーレの事を許せねぇか?」

 

「そりゃあ・・・一度殺されたから恨みは無いって言えば嘘だよ。

 けど、今は鋼弥がアイツを助けて、どうするかも決めた事だから、俺は何も言わないよ」

 

「鋼弥、今後もレイナーレの事は頼む」

 

「任せて下さい。俺の話はこれで終わっても良いですか?」

 

「構わないよ。今の話で、鋼弥くんはこれまで通りにいくと言う事になったが・・・異存は無いかな?」

 

「あぁ、良いんじゃねぇか?こいつはバカな事はやる様なやつじゃねぇし」

 

「私も警戒の必要性が無くなったので問題はありません」

 

「ありがとうございます。サーゼクス殿、ミカエル殿、アザゼル殿」

 

「さて、次にですがコカビエルの件ですね。アザゼル、本当にコカビエルの単独行動なのですね?」

 

「先日の事件は我が堕天使中枢組織『神の子を見張る者(グリゴリ)』の幹部コカビエルが、他の幹部及び総督の俺に黙って単独で起こしたものだ。

 奴の処理はそこにいる鋼弥の兄と≪白龍皇≫が行った。その後、組織の軍法会議でコカビエルの刑は執行された。

 ≪地獄の最下層(コキュートス)≫で永久冷凍の刑だ。最も精神的にズタズタにヤラれたから、もう出てくる気力もないと思うが。

 その辺りの説明はこの間転送した資料に全て書いてあっただろう?それが全部だ」

 

サーゼクスとミカエルはアザゼルの報告を確認して頷いた

 

「こんなところだな。

 さて、そろそろ俺達以外に、世界に影響及ぼしそうな奴らへ意見を訊こうか。

 無敵のドラゴン様にな。まずはヴァーリ、お前は世界をどうしたい?」

 

アザゼルの問いに白龍皇ヴァーリは笑みながら答えた

 

「俺は強い奴と戦えれば、それで良い」

 

「戦闘狂(バトルマニア)か。アイツと気が合うかもな・・・」

 

鋼弥の呟きにヴァーリはチラリッと見た

 

「じゃあ赤龍帝。お前はどうだ?」

 

「えっ?えっと、俺は・・・」

 

「一誠。話の内容を簡単に言えば、戦争が起こればハーレムが作れなくなる。

 つまり、リアスと戯れる事が出来なくなるという事だ」

 

鋼弥が解りやすい説明に、一誠は理解出来た。

 

「和平でひとつお願いします!平和ですよね!平和が一番です!部長とエッチがしたいです!」

 

欲望をそのまま口にした一誠。

隣に座ってるリアスも顔を真っ赤にしており、鋼弥は「バカ・・・」っと小声で言う。

その後、真面目な話をしようとしたが―――その瞬間、時が停まった。

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