ハイスクールD×D~アルギュロス・ディアボロス~ 作:Mr.エメト
一誠と鋼弥がタンニーンと修行して数日が経ち、火炎の爆撃が止むことなく巻き起こっていた。
ドゴォォォォォオオオオオオオンッ!
ズドォォォォォオオオオオオオンッ!
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!」
「ほーら、赤龍帝の小僧。もっと素早く避けんと灰になるぞ」
一誠は泣きながら逃げて、タンニーンはその後を追いまわす。
「タアッ!!セヤッ!!オリャアッ!!」
鋼弥は果敢にも、タンニーンの額に拳と蹴りを撃ち込む。
しかし、ドラゴン族特有の頑丈な鱗でビクともしない。
タンニーンは反撃に口から火炎弾を放つ。
「っ!!」
火炎弾のスピードが早くギリギリで回避したが、凄まじい熱気は骨まで届きそうだった。
「ふむ、銀色の小僧は果敢にも攻めてくるな。
我の攻撃する隙を見て撃ち込み、火炎弾を放つまで距離をとりつつ避ける。
それに比べて・・・」
タンニーンは岩陰に隠れていたイッセーを見つけると、その岩に向かって火球ブレスを放ち、イッセーを炙り出す
「ひぃぃぃぃぃっ!死ぬ!死ぬ!!」
「まったく、逃げ回ってばかりではいつまで経っても修業にならないだろう。
ほら、少しは銀色の小僧を見習って反撃してこい」
ドライグの宿主があまりにも逃げ回るから、やりがいが無く不満そうな声を上げるタンニーン。
一誠は首をブンブンッと振るっていた。
「無理っスよ!あんた強すぎだもん!もしかしてヴァーリより強いんじゃないの!?」
「んっ?まあ、パワーだけなら魔王級とはよく言われる」
「無理ィィィィィィッ!魔王級のドラゴンって何!?
ドラゴンってだけでもバケモノなのに、魔王級なんて相手に出来る訳ないでしょォォォォォ!」
「全くダラシナイ・・・」
「仕方ない。戦いに慣れてない一誠は逃げるのが精一杯だ」
一誠は土壇場の時に、力を発揮して逆転することが多い。
しかし、実戦に慣れておかないといつまでもラッキーが続く訳ではない。
「お~、やってんな。どうよ?」
アザゼルが顔出しに来た。手には弁当箱を包む風呂敷を持っていた。
◇◇◇◇
「うみゃい!うみゃいよぉぉぉおおお!」
「一誠、もっとゆっくり食べないと咽喉詰まらせるぞ」
一誠と鋼弥はリアス達が作ってきてくれた弁当を食べていた。
特に一誠は至ってはリアスが作ってくれたおにぎりが嬉しかったのか涙を流しながらバクバクと食べていた。
がっつき過ぎたのか案の定、咽喉詰まらせた。鋼弥がため息をついて、水を渡して飲ます。
「ハハハハ、しかし数日見ない間に多少は良いツラになったな」
「ふざけんな!死ぬよ!俺死んじゃうよ!このドラゴンのおっさんメチャクチャ強いよ!
ドラゴンの戦いを教えてくれるって言っても実力が開き過ぎてて話にならねぇぇぇぇっ!
タンニーンのおっさん。全然手加減してくれねえんだもん!!
俺、おっさんに焼き殺されちゃいますって!童貞のまま死にたくないっス!」
「一誠、一つだけ勘違いしているが・・・タンニーンは本気を出していない。
タンニーンの様な上級ドラゴンの本気ブレスは辺り一面を焦土化する事も容易い」
「えっ!?そうなのか!?」
「依頼で龍王や邪龍退治の経験はあるから、それぐらいの事は見切れる。
しかし、タンニーンと本気で戦ったが、離れた距離でも熱が伝わるぐらいの火炎だ。
流石は元龍王と名乗るほどの実力者だと痛感したよ」
「お前は我のブレスを掻い潜り、顔、腹、背中に拳と蹴りを入れてきたではないか。
久々だったぞ、我をここまで楽しませるほどの実力を持った者と戦える事が出来てな」
タンニーンはクククッと笑い、鋼弥はフッと笑っていた。
互いに一歩も譲らずの戦いだからこそ解り合えた雰囲気だ。
一誠はヴァーリの事で思い出した件がある
「あの時、ヴァーリが何か呪文みたいなものを唱えようとしていたんだが、あれは何だったんだ?」
「あぁ、≪覇龍(ジャガーノート・ドライブ)≫の事か」
「もしかして、禁手の更に上とか?」
「いや、禁手の上は存在しない。神器の究極は禁手だ。
だが、魔物の類を封印して神器にしたものがいくつかあってな。それらには独自の制御が施されている。
特にお前のブーステッド・ギアとヴァーリのディバイン・ディバイディングもその例だ」
「独自の制御と言う事は、≪覇龍(ジャガーノート・ドライブ)≫は暴走状態になるのか?」
「あぁ、恐ろしく酷いぐらいのな。本来、神器は強力に制御されていて、その状態から力を取り出して宿主が使えるようにしている。
だが、赤龍帝と白龍皇の神器の場合はそれを強制的に一時解除し、封じられているパワーを解放するのが≪覇龍≫だ。一時的に神に匹敵する力を得られるが、当然、リスクも大きい。
寿命を大きく削り、理性を失う。言うなれば、力の亡者と化した者だけが使う呪われた戦い方だ。イッセー、お前は絶対に真似するな、いいな?」
アザゼルは真剣かつ憂いを含んだ目で一誠に忠告を出した。
恐らく、ヴァーリと同じ様な道を歩ませたくないという配慮だ。
「さてと鋼弥。話があっから、向こうに来てくれないか?」
「話・・・?」
アザゼルは鋼弥を呼んで少し離れた場所へ移動を開始した。
「お前、朱乃の事どう思う?」
「朱乃は何があっても護らなければいけない人だ。隣にいなければ折れてしまいそうだからね」
鋼弥が迷いなく言うと、アザゼルは安堵したかのように頷いた
「そうか。俺はな、ダチの代わりにあいつを見守らないといけない部分もあるからな」
「雷光のバラキエルはアザゼルの部下と聞いたな」
「配下ってよりはシェムハザと同じ大昔からの仲間さ。
よく一緒になってバカをやったもんだ。で、気づけば俺の周りは妻子持ちばかりでさ」
「察するに、シェムハザも既婚者というわけか?アザゼルは結婚しないのか?」
「・・・・・・俺には女なんていくらでもいるから良いんだよ」
そう言うが何処か、遠い眼をしている。
どうやら、婚期に関する話は禁句(タブー)のようだ。
「それはともかく、俺は朱乃の事が気になるのさ。
バラキエルや朱乃にとってみれば余計なお世話かもしれないがな。
朱乃の事はお前に任せられるかもなんて思っているしさ。
お前はレイナーレを助けてくれた事だってあるし、信頼できるからな」
「俺はどんな事があっても朱乃を護る。"漢(おとこ)は全力で護りたい者を護れ"、俺の信条にかけてな」
「そうか、朱乃に関してはお前にも任せる。それよりも・・・問題は小猫だな」
「小猫がどうかしたのか?」
「ああ、どうにも焦っている。
と言うよりも、自分の力に疑問を感じているようだ。
俺が与えたトレーニングを過剰に取り組んでてな、今朝、倒れやがった。
怪我はアーシアに治療してもらえるが、体力だけはそうはいかん。
特にオーバーワークは確実に筋力などを痛めて逆効果だ。
ゲームまでの期間が限られているのだから、それは危険だ」
「オーバーワークをするとは、小猫らしくない・・・」
「それと鋼弥とイッセーを一度連れ返せと言われたんでな。一度グレモリーの別館に戻るぞ」
「別館に戻る?リアスに頼まれたのか?」
「いや、母上の方だ」