ハイスクールD×D~アルギュロス・ディアボロス~   作:Mr.エメト

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第十三話 =嵐の前触れ=

ソーナとのレーティングゲームが終了し、結果は鋼弥のキングテイクにより、リアスの勝利となったが、リアス陣営はギャスパー、ゼノヴィア、アーシア、一誠と半数を取られてしまった。

ゲームに圧倒的と言われていたグレモリー眷属は評価を下げてしまったのだ。

特に開始早々ギャスパーを失った事と、赤龍帝の力を宿した一誠がやられた事のが原因だった。勝利を収めたものの、納得のいかない結果となってしまった。

鋼弥は一誠の病室へと向かっていた所だ

 

「一誠の病室は・・・んっ?」

 

鎧を着た銀髪女性の姿が目に入った。

こちらの視線に気が付いたのか、向かってきた。

 

「貴方が魔界のハンター、涼刀鋼弥さんですね?」

 

「そうだが、貴女とは初対面だ。何者だ?」

 

「私はヴァルハラ神族にお仕えする戦乙女(ヴァルキリー)のロスヴァイセと申します。貴方のご活躍は聞いています」

 

「戦乙女(ヴァルキリー)がここに居るという事は、大神オーディン殿もここに?」

 

「オーディン様は今は用事で空けてますので、私はここで待機しています。では、失礼します」

 

鋼弥はロスヴァイセと別れて一誠の病室へ向かう途中、声が聞こえた。

表札に書かれているのは匙の病室だ。

部屋をノックしてから、入る。そこには絆創膏だらけの匙がベットの上に座っていた。

其処にはソーナが付き添っていた。

 

「おう、涼刀か・・・」

 

「小猫から聞いたよ、一誠と激しく殴り合ったって、怪我の具合はどうだ?」

 

「大丈夫さ、でも・・・。兵藤には負けちまったなぁ・・・」

 

匙が肩を落して乾いた笑いをする。

その時、部屋がノックされ扉が開かれるとサーゼクスが入って来た。

突然の事で驚く、匙は姿勢を改めようとする。

 

「ああ、そのままでいいよ。匙くん、君にこれを渡すよ。

 先程のゲームは素晴らしいかったよ、北欧の神オーディンも君に賛辞を送ったほどだからね」

 

サーゼクスが箱を取り出し、中を開けると勲章が入っていた。

これはレーティングゲームで優れた戦いや印象的な戦いで演出した者に贈られる勲章だ。

しかし、匙は首を横に振るっていた。

 

「で、でも・・・俺は兵藤に負けました・・・。だから、これは受け取っていい立場ではありません」

 

「自分を卑下してはいけない。私は将来有望な若手悪魔を見られて嬉しい。

 これからも精進しなさい、私は期待しているよ。

 何年、何十年になってもよい。レーティングゲームの先生を目指しなさい」

 

サーゼクスの言葉に匙は無言で泣いていた。

とめどなく流れて、顔がくしゃくしゃになっていた。

 

「・・・サジ、貴方は沢山の人々に融資を見せたのですよ。貴方は立派な戦いをしたのですから」

 

ソーナも目から透明の雫が溢れだし、匙の頭を撫でた。

 

「君にはその勲章を受け取る資格はある。最後の最後まで一誠に立ち向かったから」

 

鋼弥も匙に賛辞の言葉を贈る。匙は涙を拭いて、力強く頷いた。

 

「・・・ありがとうございます!!」

 

一誠、ヴァーリだけでは無く匙も強力なライバルになるかもしれない。

再び戦うときは更に力を付けるかもしれん。お前も俺も鍛えなければな・・・。

 

 

◇◆◇◆

 

 

匙の病室を後にして、再び一誠の病室へと向かう。

部屋をノックして開けると、一誠とリアス、帽子を被った隻眼老人がいた。

あの老人の恰好はもしかすれば・・・

 

「大神オーディン殿」

 

「名乗ろうかと思ったが先に言われてしまったの、魔界の半人。

 いやはや、長く生きているがお主の様な若者の試合は素晴らしいのぉ」

 

ほっほっほっと、笑いながら髭を摩る老人ことオーディン。

 

「オーディン様ですね?初めてお目にかかります。私、リアス・グレモリーですわ」

 

「この爺さんそんなに偉い神様なの?」

 

「ああ、北欧において主神クラスの存在だ」

 

鋼弥の言葉に一誠は物凄く驚いている。

世界中で知らぬものはいないだろう、北欧において魔術、戦、詩人、王の神として君臨しているオーディン。

大抵は立派なあごひげを生やした老人だが、魔術で青年の姿を取ることもあるらしい。

神鑓グングニル、黄金の腕輪ドラウプニルを所持している。

 

「そちらがサーゼクスの妹じゃな、試合見ておったぞ。お主も精進じゃな。

 しかし、デカいのぉ。観戦中、ずーっと、こればかり見とったぞい」

 

オーディンはリアスの胸をやらしい目付きで見る。

その様子に気付いた一誠は猛抗議しようとしたが、いつの間にか入室していた銀髪の女性がハリセンでオーディンを叩く。

 

「もう!ですから卑猥な目は禁止だと、あれ程申したではありませんか!

 これから大切な会談なのですから、北欧の主神としてしっかりしてください!」

 

「・・・まったく、隙の無いヴァルキリーじゃて。

 わーっとるよ。これから冥界と魔界の悪魔、天使、堕天使、

 ギリシャのゼウス、須弥山(しゅみせん)の帝釈天(たいしゃくてん)とテロリスト対策の話し合いのな」

 

叩かれた所を摩るオーディン。

そのヴァルキリ―はあの時、廊下ですれ違った――。

 

「ロスヴァイセさん?」

 

「また、お会いしましたね涼刀鋼弥さん」

 

「なんじゃお主、この半魔人と会ったのか?」

 

「はい、オーディン様をお待ちしていた際に、挨拶しました」

 

「ほっほっほっ、そうかそうか。お主はこのような少年がタイプなのじゃな?確かに髪の色が同じ銀色じゃからのぉ」

 

「な、な、な、何を言っているんですか!!?」

 

顔を赤くしながらアタフタとしているロスヴァイセ。

オーディンは愉快に笑った後、顎鬚を摩り、鋼弥達に向けて喋る。

 

「サーゼクスの妹、赤龍帝、銀色の少年、世は試練だらけじゃがな、楽しい事も沢山あるぞい。

 存分に楽しんで、苦しんで前へ進むんじゃな。

 我武者羅(がむしゃら)が若造を育てる唯一の方法じゃよ。ほっほっほっ・・・」

 

 

◇◆◇◆

 

 

~冥界 牢獄所~

 

鋼弥とアザゼルは冥界の牢獄所にいる。

理由はカテレアと会う事だ、禍の団と手を組んでいるゾロアスターに関する情報を手に入れるためだ。

「可能な限り、禍の団の情報を入手してくれ」というアザゼルの条件付きだ。

カテレアが閉じ込められている独房へと入る。

奥の部屋には、バスタブが置いてある。やはり女性として配慮していたのか。

 

「来ましたね、魔界の半魔人・・・」

 

「俺は涼刀鋼弥という名前がある。さて、聞きたい事があるが」

 

「解っていますわよ、アザゼルが事前に言ってくれたわよ」

 

「それは重畳、まずは禍の団から頼む」

 

「まず≪禍の団≫は3つの組織に分類されています。

 1つは白龍皇(はくりゅうこう)ヴァーリが率いるヴァーリチーム。

 彼らは唯一単独での行動を許可された特殊な部隊です。白龍皇のスペックを見込んで許可を出したのでしょう。

 2つ目は私が所属していた旧魔王派、現魔王に恨みや不満を抱いた者の集まりです」

 

「旧魔王はの残りは旧アスモデウスと旧ベルゼブブとなるわけか、最後の1つは?」

 

「英雄派と呼ばれています。この特徴は構成員が人間で統一されていると聞いています」

 

「・・・人間だけが構成か。その英雄派は神器(セイクリッド・ギア)の所有者が揃っている訳か」

 

「そうなりますわね、中には神滅具(ロンギヌス)を所持している者もいると聞いてますわ」

 

この英雄派というのはおそらく、悪魔などを倒す為の組織か。

英雄と言うのは、神との交信が出来る者、神の血を引いている者、文武の才に優れ実力が優越した者。

神話や伝説において、魔物を討伐したり、伝説の武器を使いこなしたり、偉業を成し遂げるというものがある。

だからこそ、≪禍の団≫と協力しているんだろう。

 

「・・・聞きたい事はもう一つある。ゾロアスターと手を組で情報は?」

 

「旧魔王派と英雄派のリーダーと同盟を組み協力するとしか聞いてませんわ。

 彼らは魔界の悪魔達を駒として使っても良いとぐらいしか・・・。

 会ったのはタルウィとザリチェ、サルワ、タローマティですわ」

 

アンリ・マンユに仕える六大悪魔のうち4体がこっちに来ているという訳か。

残りの連中はアマラ深界で待機しているのか。既にこちらの世界に来て姿を見せてないだけか。

いずれにせよ、警戒しなければならないか・・・。

 

「そうか、ありがとう」

 

「構いませんわよ。貴方は私の事を助けて下さったではありませんか・・・」

 

ザリチェとタルウィに身体を乗っ取られ醜い海竜にされた時、鋼弥と嶺爾の活躍で追い払う事が出来た。

カテレアの処遇の時、鋼弥は「彼女は魔界で罪を償わせる」とサーゼクス、セラフォルー、アザゼル、ミカエルに頼んだのだ。

今は独房生活だが、何れはここから出られるという希望ができたのだ。

 

「気にするな。ゾロアスターは貴方に復讐に対する心の隙を突いて、利用する。

 だから、役に立たなければその場で殺されるか、心がボロボロになるまで利用される」

 

「不思議ですわね貴方は、敵なのに助けるなんてね」

 

「・・・こういう性格だからね」

 

 

◇◆◇◆

 

 

カテレアから≪禍の団≫とゾロアスターの情報を引き出し、人間界へと帰る列車に乗った。

隣には朱乃が腕を掴んだまま、スヤスヤと寝ていた。

ゼノヴィアは「鋼弥・・・」と寝言を言っていた。

二人は特に変わりは無かったが小猫は―――。

 

「にゃーん♪」

 

小猫は満面の微笑みを見せて猫耳をピコピコ動かして、鋼弥の膝の上に座っていた。

聞いた話では、猫又の副作用が出てこうなってしまったとの事。

小猫の愛らしい仕草に鋼弥は笑みをこぼし、頭を撫でる。

 

「にゃう~ん♪」

 

嬉しいのか小猫はスリスリと鋼弥の身体を擦り付ける。

可愛いが・・・戦車の特性のせいで、グイグイと押すので地味に苦しい。

結局、この行為は人間界に付くまで続いたのだった。

 

 

◇◆◇◆

 

 

冥界での生活は終わり、人間界へ戻ってきた。

地下ホームに着き、一誠は背伸びをし、鋼弥は軽く柔軟体操をし呼吸をした

ふと、一誠がアーシアに振り返ってみると、アーシアは謎の優男に言い寄られていた

 

「アーシア・アルジェント、やっと会えたよ・・・」

 

「あ、あの・・・」

 

「おい!アーシアに何の用だ!」

 

一誠はすぐに2人の間に入り、鋼弥は男の顔を見て思い出す。

 

「ディオドラ・アスタロト。アジュカ・ベルゼブブ殿が出たアスタロト家の次期当主」

 

「・・・ああ!思い出した。若手悪魔の会合でいた!」

 

ディオドラ・アスタロトは胸元を開くと、大きな傷跡があった。

アーシアはその傷を見て思い出した。

かつて、アーシアが教会に勤めていた時に助け、教会を追放される切っ掛けとなった悪魔だ。

 

「アーシア、僕はキミを迎えに来た。会合の時、挨拶出来なくてゴメン。

 でも、僕とキミの出会いは運命だったんだと思う。

 僕の妻になって欲しい。僕はキミを愛しているんだ」

 

ディオドラ・アスタロトは一誠達の目の前でアーシアに求婚したのだ。

夏が終わりを告げ、長くなる秋がもうすぐ、始まろうとしていた。

 

―――新たな、嵐と共に。

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