ハイスクールD×D~アルギュロス・ディアボロス~ 作:Mr.エメト
閑休話題7 =レイナーレと黒騎士=
=魔界・狩猟と闘技場の国 コロシアム内部=
最近、魔界でも冥界のレーティングゲーム化が進んでいた。
それは様々な悪魔達がチームを組んで6人チームVS6人チームの団体戦で行われていた。
技、魔法、戦略と戦術を駆使し、バトルフィールドではチェス盤、迷宮、海上戦、市街地戦など様々。
特にバトルフィールドの多さや派手に戦うのを目当てに来る人たちも多い。
トーナメントや総当たり戦しかなかったかコロシアムに、≪レーティングゲーム・システム≫を導入した事で爆発的に人気となった。
「んー・・・疲れた。マスターの新作デザート早く食べに行こうっとー」
依頼を済ませた堕天使のレイナーレがいつもの店へと向かっていた。
ちなみにマスターは季節限定のメロンパフェが発売されるとの事だ。
これを楽しみにしているので、早歩きで向かっているが、なにやら人が集まっている。
何かと思い、様子を見ると、赤い太っちょの悪魔が小さい子を寄ってたかって囲っていたのだ。
「ねぇ、何かあったの?」
【ああ、あの女の子がヤクシャにぶつかった拍子に酒を落としたんだよ。それで脅しているんだよ】
「見てないで助けたらいいじゃない」
【む、無茶言わないでくれよ。あのヤクシャは相当な荒くれ者の鬼だから助けに行ったら殺されるよ・・・】
レイナーレは情けないと思った。
鋼弥だったら、助けに入ってアイツの顔面にパンチを五発入れるのに。
決意して、ヤクシャの前に立ち塞がる。
【ああんっ?何だ姉ちゃん?】
「あなた、小さい子を寄ってたかってイジメるなんて恥ずかしくないと思わないの?」
【あのなぁ、あんたみたいな部外者には関係ない話だ。怪我したくなければとっとと失せな】
シッシッと手で払うヤクシャ。
しかし、レイナーレは一歩も引く気は無い。
「大人だったら、許してあげたらいいじゃない。案外心が小さいのね」
【あんだと!?この女(アマ)!!】
ヤクシャが憤慨して、手に持っている刀を抜こうとするが・・・
【其処までにして、もらおう】
遠雷の様に重く、低い声が響き渡る。
見ると、全身を黒い鎧を身に纏った騎士が居たのだ。
【や、やばい、キメリエスだ・・・】
【ダークナイツのリーダー、キメリエスだ・・・】
野次馬の悪魔達が驚いて、道を開ける。
それほどまでに、恐ろしい力を放っている悪魔と言う事が解る。
レイナーレの所まで近づき、同じ目線に合わせる。
【我身で幼子を護る勇気、見事である。ここからは私の番だ】
そう言って立ち上がり、ヤクシャを見る。
【貴殿は、神聖なコロシアムで女に手を上げるとは・・・何事だ?】
【そ、その女が庇っているガキが俺にぶつかって酒をダメにしたんです。キメリエスの旦那には関係ない事で・・・】
その瞬間、ヤクシャの眼前に剣が構えられていた。
ギョッとして後ろに下がるヤクシャ。
キメリエスの仮面の眼光が黄色く光り、睨みつける。
【酒如きで暴力を振るうとは、闘技戦士の風上にも置けん。命が惜しければ早々に立ち去れ!!】
威圧の言葉でヤクシャは2、3歩後ずさりしてほうほうと逃げだした。
キメリエスは剣を腰に下げている鞘に収めて、レイナーレを見る。
【・・・大丈夫か、お嬢さん達?】
「え、ええ。ありがとう」
「お姉ちゃんが護ってくれたから大丈夫だよ」
【そうか、では私はこれにて失礼する】
キメリエスはマントを翻して、立ち去った。
レイナーレは黒騎士の背中を、ただ見ていた。
◇◆◇◆
=魔界・風と森林の国 お菓子屋フェアリー本店=
次の日、アヌーンの店に遊びに来たレイナーレは昨日の出来事を話した。
「えっ?キメリエスさんに会ったのですか?」
「ええ、彼に助けられたけど・・・そんなに凄いの?」
「魔界でも冥界のレーティングゲーム化が進められているのはご存じですよね?
彼はその中でも、ランキングに入るほどの強さを持つ≪ダーク・ナイツ≫のリーダーなんです」
「そんなに、強い人なの・・・」
【≪ダーク・ナイツ≫のメンバーは、元は魔術王に仕えていたって聞いたことあるわ】
ピクシーは蜂蜜ジュースを飲みながら、キメリエスの事に付いて話す。
他の悪魔達も、キメリエス率いるチームの評判はどれも凄いとのことだ。
戦術や戦略の手際さ、派手な魔法を駆使して戦うの姿でファンが多くできるほどだ。
近々、冥界と魔界の対抗試合を検討している噂も・・・。
そんな話をしている時に、ドアが開く音がした。ドアの方向へ向くと、キメリエスだった。
「いらっしゃいませ。すみません、ただいま休憩中で・・・」
【買い物に来たのではない。先日の女堕天使に用がある】
「私の事かしら・・・?言っておくけど、私はレイナーレと言う名前があるわよ」
【そうか、レイナーレと言うのか・・・。私の名前はキメリエス、たぶん私の噂は聞いてると思うが・・・】
「ええ、とっても強いチームを率いてる悪魔の騎士と言うことぐらいはね。私に何か用なの?」
【詳しい用件は私の屋敷で話そうと思うが、同行を願おうかな?】
◇◇◇◇
キメリエスの後を付いて行き、屋敷へと到着するレイナーレ。
扉を開けると、レッドカーペット、シャンデリアなどなど豪華な内装だった。
【私の友人のマルパスは人間世界の建造物を学んでいてね。頼んで造ったんだよ】
一階の大広間の扉を開けると、多くの悪魔達がいた。
【紹介しよう、ここにいる同胞は我がダーク・ナイツのメンバーだ。
あそこにいるのがマルコキアスとグラシャラボラスだ。前線として戦ってくれる頼もしい者たちだ】
狼の姿にグリフォンの翼を生やしているのがマルコキアス。
犬の姿にグリフォンの翼を生やしているのがグラシャラボラス。
二体とも、素早く駆け巡り敵を蹴散らす役割を持っている。
【サポーターのビフロンス、ゴモリー、パイモンだ。魔法が得意なモノ達だよ】
ビフロンスは魔導師の黒いローブを着ており、顔が見えなく赤い眼だけが輝いていた。
ゴモリーは黄金の冠、真紅の流れるような髪、錦糸細工の黒ビロードと純白のレースを羽織っている。
パイモンは宝石をちりばめた王冠をかぶり、紫色のマントを羽織り、レオタードの様な服装だった。
【他にもムールムール、フルフル、クロセル、オセ、フラロウス、ボティス、ブネ、ヴェパルなどいる。皆、頼もしい仲魔たちだ】
他にも多くの悪魔達が勢揃いしていた。皆、どれも屈強の悪魔の戦士だという事が解る。
【さて、私の本題はここからだ。レイナーレ、我々のチームに入らないか?
そなたの活躍は十分聞いているから、実力は何の問題もない筈だ】
キメリエスの言葉に、レイナーレは驚いていた。
「で、でも・・・私は堕天使よ?あなた達、悪魔と一緒には組めないわ」
【確かに我々は悪魔だが、種族的には堕天使だ。それの何が問題でも?】
「それは・・・」
レイナーレは続けて言おうとするが、ビフロンスはキメリエスの元へ行き耳打ちをした。
【なるほど、そなたは≪グリゴリ≫と呼ばれる堕天使の組織で、悪魔や天使と敵対していたのか】
「そうよ・・・だから、貴方達と一緒にはいけないし、迷惑がかかるから・・・」
【それの何が問題になるというのだ、この魔界は全ての者達を受け入れる場所だ。
違う世界の堕天使が我々と共に戦えるというのは真に面白いと思うぞ】
「・・・変わり者ね、貴方は」
【フフフッ、私は面白い事や試合を盛り上げる事は何でも使うからね】
キメリエスがクククッと笑う。レイナーレは意を決して、手を出す。
「貴方のお誘い、受けるわ。よろしくお願い」
【おお、引き受けてくれるか!!】
キメリエスはレイナーレの手を掴んで握手をする。
そして、両手を広げて演説をしたのだ。
【同志諸君!!今宵はレイナーレを新たな同胞として、迎え入れようではないか!!歓迎の宴を開くぞ!!】
悪魔達が同胞を迎え入れる歓声を上げ、レイナーレは嬉しくて笑みを浮かんでいた。
そして、自分を助けて新しい生き方を教えてくれたあの男を思い浮かべていた。
(貴方に感謝しているわ。私を助けて、新しい生き方を教えてくた。アヌーンやピクシーのほかに、私の力を必要としてくれる人と出会えたから・・・)