ハイスクールD×D~アルギュロス・ディアボロス~   作:Mr.エメト

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第十話 =心=

祐斗達は一誠と鋼弥の攻撃に巻き添え喰らう事無く神殿を脱出したが、神殿は崩壊していた。

すると、神殿の瓦礫の山が吹き飛び一誠と鋼弥が現れた。

一誠は悲哀に包まれた咆哮を、鋼弥は怒りに満ちた咆哮をあげていた。

もう一つ瓦礫から出てきたのは・・・人間態になったサルワだ。

 

【いやはや・・・代償が私の両腕で済んだだけでいいか・・・】

 

サルワの両腕がグシャグシャに千切れていた。

そんな事も気にせずに一誠と鋼弥を見て、更に二人の姿を見てニヤリッと笑う。

 

【ふふふふ、素晴らしい。これがドラゴンと修羅の力か・・・。

 その力は果たして、どう向けるのか、ククククッ・・・・】

 

サルワは意味深な言葉を残して、消え去った。

だが、今は豹変した一誠と鋼弥をどうやって止めるかだ。

 

「困っているようだな?」

 

第三者の声が聞こえ、再び空間に裂け目が生じる。

そこから出てきたのは白龍皇のヴァーリと孫悟空の美猴、背広を着た聖王剣コールブランドの所有者だった。

部員達は戦闘態勢に入ろうとしたがヴァーリは手を前に出して戦闘の意思がないことを告げた。

 

「やるつもりはない。見に来ただけだ。赤龍帝の『覇龍』を。

 と言っても、あの姿を見るに中途半端な『覇龍』と化したようだ。

 『覇龍』の現象がこの強固な作りのバトルフィールドで起こったのは幸いだったな。

 人間界でこれになっていたら、都市部とその周辺が丸ごと消える騒ぎになっていたかもしれない」

 

「・・・この状態、元に戻るの?」

 

リアスがヴァーリに尋ねるがヴァーリは顎を抱えながら、考えを口にする。

 

「完全な『覇龍』ではないから戻る場合もあれば、このまま元に戻れず命を削り続けて死に至る場合もある。

 どちらにしても、この状態が長く続くのは兵藤一誠の生命を危険にさらす事になる。

 それに、涼刀鋼弥の姿・・・。今のアイツは俺よりも力が上とは、恐ろしい奴だ・・・」

 

そんな話をしている中、美猴が見知った少女を抱えて歩み寄った。

美猴から渡された少女はサルワによって消された筈のアーシアだった。

 

「アーシア!」

 

「アーシアちゃん!」

 

皆がアーシアのもとに集まり容態を確かめるが気を失っていただけだ。

呼吸も安定し、何処にも怪我なく、命に別状はないみたいだった。

 

「けど、どうして?」

 

「私たちがちょうどこの辺りの次元の狭間を探索してましてね。

 そうしたら、次元の狭間で≪全身布を纏った男≫がこの少女を抱えていたんですよ。

 ヴァーリが見覚えがあると言いまして、ここまで連れてきたのです。

 運が良かったですね。私達や救出した人がその場に居合わせなかったら、

 この少女は次元の狭間の『無』にあてられて消失していくところでした・・・」

 

偶然にしろアーシアが無事に戻ってきた事に変わりはなかった。

ゼノヴィアはアーシアを大事そうに抱きかかえ、嬉し涙を流した。

 

「後は二人を元に戻す方法ね・・・。アーシアの無事を伝えればあの状態を解除出来るかしら」

 

「危険だ、死ぬぞ。何か彼の深層心理を大きく揺さぶる現象が起これば何とかなりそうだが・・・」

 

ヴァーリの考えに横で頭をかきながら美猴が提案した。

 

「赤龍帝には、おっぱいでも見せれば良いんじゃね?」

 

「あの状態ではな。ドラゴンを鎮めるのはいつだって歌声だったが、赤龍帝と白龍皇の歌はない」

 

「あるわよぉぉぉぉ!」

 

声を上げ、飛んできたのは転生天使の紫藤イリナだった。

イリナは何やら立体映像機器をリアスを渡した。

イリナの話によると、サーゼクスとアザゼルが用意した秘密兵器らしい。

 

「よく分からないけれど、お兄さまとアザゼルが用意したのなら、効果が見込めるかもしれないわね」

 

「ですが、鋼弥さんはどうやって元に戻せば・・・」

 

遅れて、ドルキーとリオが現場に到着する。

リアス達は事情を説明して、一誠と鋼弥を見て驚く二人。

 

「あれが、一誠だというのか?本当にドラゴンじゃねぇか・・・」

 

「それにコーくんの姿、あの時と・・・」

 

ドルキーは決意して、帽子を深く被り直す。

 

「師匠が来るまで、俺たちで時間を稼ぐぞ。矛先がこっちに向けられたらアウトだ」

 

「皆さんは、一誠さんを元に戻してください」

 

ドルキーは小型の竜巻を作り、鋼弥へと撃つが鋼弥はそれを拳で粉砕した。

 

「そうだ、こっちだ!!」

 

ドルキーは両手から風の手裏剣をつくり、鋼弥に向けて放つ。

無数に放たれた風の手裏剣を弾き落す、鋼弥。

だが、足元が見る見るうちに凍ってゆく、リオの氷結魔法で足止めをしたのだ。

凍結が加速し、半身が凍り付いてゆく。

 

「後、少し・・・!!」

 

【ガルアアアアアアアアアッ!!】

 

だが、鋼弥は力づくで凍った半身を動かして解き放った。

手刀からエネルギーが集まり、刃状に放つ。

猛スピードで迫りドルキーは風で防ぎ、リオは魔力の障壁で防ぐが・・・破壊され直撃した。

 

「ぐああああああっ!!」

 

「きゃああああああっ!!」

 

威力は軽減したが、それでも一撃が重く大ダメージだった。

 

(今の攻撃、防ぐのがやっとだ・・・!!こんなのが立て続けに来たら・・・!!)

 

高威力の攻撃に焦るドルキー。

鋼弥は止めを刺す為、第二波を放とうとしたが、二人の前に朱乃が両手を広げて立ちはだかる。

凛とした表情で、鋼弥と向きあう。

 

「鋼弥、戻ってきて・・・もう、敵はいないわ」

 

【グルルルル・・・】

 

「私よ、姫島朱乃よ。貴方を愛している人よ・・・」

 

【ガアアアアアアッ!!】

 

鋼弥は凄まじい瞬発力で朱乃の前に迫り、拳を付きつけようとする。

ドルキーの風とリオの魔力の障壁で防ぎ、阻んだのだ。

 

「バカヤロー!!今のあいつには説得なんて通用しねぇ!!」

 

「朱乃さん、早く逃げて!!私達が食い止めている間に!!」

 

二人は、避難する事を呼び掛けるが・・・

 

【ウオオオオオオオオオオオッ!!】

 

鋼弥は両の拳を付きつけて障壁を破壊した。

ドルキーとリオに気弾を放ち二人を吹き飛ばす。

 

「どわああっ!!」

 

「きゃああああっ!!」

 

【ガアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!】

 

大地を蹴って、朱乃に鋭い爪を振りおろそうとするが、朱乃は避ける素振はしなかった。

修羅の爪が朱乃を引き裂かれ―――なかった。

寸前の所で止めたが、朱乃の背後にある瓦礫が吹き飛んだ。

朱乃の髪留めが切れて、ポニーテールが解かれた。

鋼弥はゆっくりと近づき、朱乃を見る。

一瞬、脳裏に過ぎったのは懐かしき記憶の人物―――――。

 

【か・・・あ・・・さ・・・ん?】

 

途切れ途切れに言葉を言い、朱乃の頬を、髪をオズオズと触る。

この匂い、この輪郭、この優しい瞳、愛した人―――――。

 

【・・・朱・・・乃・・・?】

 

赤い眼が消えて、髪の色が元の銀色に戻った。

 

「思い出してくれたんですね・・・」

 

朱乃は鋼弥を優しく、抱きしめた。

鋼弥は崩壊した神殿の惨状を見て、全てを理解した。

 

「俺は怒りに身を任せてしまったのか・・・。お前を危険な目に晒してしまった・・・ごめん・・・」

 

涙を流して謝る鋼弥、朱乃は子供をあやすかのように優しく頭を撫でた

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