ハイスクールD×D~アルギュロス・ディアボロス~   作:Mr.エメト

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第十二話 =闇の胎動=

ディオドラとの激戦の次の日。

鋼弥は昨日から目が覚めていなく、自室で寝ている。

どうやら、あの時の黒銀の修羅神の姿になった影響で疲労が一気に襲ったと言う。

シンディはリアス達を一階に集めて、あの時何が起きたのかを話し合っていた。

 

「アーシア殿が次元の彼方に飛ばされた時、怒りを爆発させた訳ですか・・・」

 

「シンディさん、教えてくれませんか。あの時の鋼弥さんの身に何が起きてのですか?」

 

リオとドルキーはシンディを見て、話す事なのかサインを送る。

シンディはゆっくりと頷いた。

 

「・・・鋼弥は怒りに身を任せて≪オーバー・ドライブ≫を引き起こしたのでしょう」

 

「≪オーバー・ドライブ?≫」

 

「全ての力を解放し、限界以上の力を振るう事が出来るのです。

 鋼弥と嶺爾の真の切り札と言っていいほどですが、心が曇っている状態で使うと解りますよね?」

 

シンディの言葉に、リアス達はあの時の鋼弥の姿を思い出す。

敵を完膚無きに叩きのめし、闇雲に力を無尽蔵に振るい、躊躇も情も無い。

まさに戦う事だけに生きる修羅そのものだった。

 

「あんたらと出会う前の鋼弥は、オーバー・ドライブを使った事がある。

 あの時も酷かった。目に映る者を全て八つ裂き、容赦なく粉砕、出来あがったのは屍の山だった」

 

ドルキーはその当時の事を話した。

 

 

―魔界の砂漠と荒野の国に現れた妖獣カブラカンの群れが暴れて、それを食い止める事だった。

 

―三人で村の人達の避難をしていた。

 

―シンディは暴走するカブラカン達を食い止めようとするが、侵入されてしまった。

 

―村が破壊されてしまった事によって、鋼弥の怒りの引き金(トリガー)となった。

 

―今回の出来事と同じ様にオーバー・ドライブ化し、妖獣の中でも巨体を誇るカブラカンを粉砕し、引き裂いた。

 

―やがて、夜明けになり戦いは終わった。

 

―太陽の光に照らされた光景は、血の海とカブラカンの屍の山だった。

 

―鋼弥は屍の山に立ち、天に向けて雄叫びを上げた。それは血塗られた戦いに勝利した者の咆哮。

 

 

「結果的にカブラカンの群れは壊滅したが・・・あいつの姿は今となって忘れる事は出来ねぇ」

 

「あの時の彼は、冷静で優しかった面影は無く破壊の限りを尽くす修羅でした・・」

 

「それ以来からな、鋼弥が冷たい性格になり、俺たちと連絡しなくなったからな。

 あの力が暴走して俺達を傷つけ、この手で殺してしまう恐れがあるからな・・・」

 

ドルキーは帽子を被り直す。

力に成れなく、苦しんでいるのに助けられない気持で一杯だろう。

シンディは目を瞑り、淡々と話す。

 

「彼は、そんな暴走する力に負けないように修行を続けました。

 ですが――――――、今回の件で仲間を傷つけた事で罪悪感が一杯なのでしょう。

 本当は温厚で優しい心の持ち主ですから、自分の事よりも他人の事を心配する人です。

 だから、貴方達にお願いがあります。彼が心を閉ざそうとしても支えて欲しい」

 

シンディは深々と頭を下げて、リアス達にお願いをした。

 

「任せて下さい、シンディさん。私達はどんな事があっても鋼弥とは仲間よ」

 

「・・・その言葉が聞けただけで、嬉しいです。ありがとうございます」

 

シンディとドルキーは魔界へ行き、報告をするために帰還した。

オカルト研究部のメンバーは解散し、それぞれの家へと帰った。

朱乃は、鋼弥の様子を見に、部屋へと入る。

そこには窓に立っている鋼弥は銀の長髪が靡いていた。

どうやら、オーバー・ドライブの影響で髪が長くなっていた。

 

「鋼弥さん、起きたんですね」

 

「・・・来るな」

 

朱乃が鋼弥の元へ歩き出そうとするが、鋼屋が制止した。

 

「師匠から聞いただろ。俺の恐ろしい姿を・・・。

 俺は怒りに任せて、あの姿になって何もかも破壊尽くす修羅になって・・・。

 朱乃と小猫に力の使い方を誤るなと言った本人が、この様だ・・・」

 

「・・・」

 

「朱乃、俺の事は忘れてくれ・・・。また暴走したら俺は今度こそ、お前を殺してしまうかもしれない・・・」

 

「そんな事をしませんわ。貴方の事を嫌い忘れる事なんて・・・」

 

朱乃は後ろから優しく抱きしめた。

 

「鋼弥が暴走しても、私は決して見捨てたりしませんわ。私は貴方の事を誰よりも、愛している。

 貴方が抱えている悲しみも辛さも、一緒に支えます。だから、そんな言葉を言わないでください」

 

「・・・ありがとう。朱乃」

 

鋼弥は両眼を閉じて、笑みを浮かべる。

不器用な自分を愛し、支えてくれる嬉しさに涙を流していた。

 

 

 

◆◆◆◆

 

 

 

赤い霊気が漂う、深き奈落世界―――――アマラ深界。

其処には、悪神アンリ・マンユに仕えし七人の悪魔達が集まっていた。

アエーシュマ、アカ・マナフ、ドゥルジ、タローマティ、サルワ、ザリチェ、タルウィ。

黒い長髪をした男性のアエーシュマが語りだす。

 

【赤龍帝とあの男の弟と対峙したようだな、サルワ・・・】

 

【ええ、両腕で済んだのは安い代償ですよ】

 

両腕がグルグルの包帯で巻かれている。

灰色の髪をしたドゥルジと魔女の衣装をしたタローマティがクスクスと笑っていた。

ザリチェとタルウィはゲタゲタとサルワの姿を見て大笑いしていた。

顔を包帯で巻いた男、アカ・マナフが手を上げて静粛を求めた。

 

【タローマティ、ドゥルジ。我が主の復活の為に必要なエネルギーはどうなっている?】

 

【ご心配なく、部下達が神器所有者を狙って魂を集めていますわ。

 弱い神器所有者でも強い神器所有者でも、魂の純度・濃度は高いですもの・・・】

 

【でもさー。コソコソと集めていたら、我が主の復活がかかりそうだよー】

 

【もっと、ドーンっと派手に集められないのかねー?】

 

タルウィとザリチェが不満そうに言う。

 

【心配するな。その膨大なエネルギーを手に入る場所の目星はついている。

 後は英雄派の連中に協力体制をしつつ行動すればよい】

 

【その英雄派の連中。

 たかが力がある人間の分際で神や悪魔に挑むなんて、馬鹿もいい所だよなー。

 まぁ、しばらく泳がせて置いて三勢力を疲弊させておけば、クシシシシッ】

 

ザリチェがこれからの事に笑う。

アエーシュマは、巨大な氷塊を見る。

 

【貴方様が目覚める日を待っています。アンリ・マンユ様】

 

他の悪魔達もアエーシュマと同じく氷塊を見る。

氷漬けにされている悪神の両目から赤い眼が不気味に点滅し、心臓の鼓動が響きわたっている・・・。

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