ハイスクールD×D~アルギュロス・ディアボロス~   作:Mr.エメト

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第七話 =悪魔戦闘(デーモンバトル)=

「いい二度と教会に近づいてはだめよ」

 

その日の放課後、一誠はこっ酷く叱られていた。

 

「教会は私たち悪魔にとって敵地、踏み込めばそれだけで神側と悪魔側の間で問題になるわ。

 天使たちはいつも監視しているのだから、いつ光の槍がとんでくるかわからなかったのよ?」

 

やはり、教会には天使たちの陣地内という訳か。

リアスの説明がさらに続く。

 

「それに教会の関係者にも関わってはダメよ。

 特に悪魔祓い(エクソシスト)は我々の仇敵、神の祝福をうけた彼らの力は私たちを滅ぼせるほどよ。

 神器所有者が悪魔払いなら尚更、それは死と隣り合わせなのと同義だわ。」

 

少々強めに一誠に言うリアス。

当の本人である一誠にはピンと来なく案の定困惑気味の一誠。

それに気が付いたリアスは少々バツの悪そうな顔で詫びる。

 

「ごめんなさい、熱くなりすぎたわね。とにかく今後は気をつけてちょうだい。」

 

「は、はい・・・。」

 

理解してくれたのかリアスは一誠の頭を撫でると、一誠の顔がだらしなくデレデレしている。

 

「鋼弥、貴方もよ。」

 

「別に自分に振りかかった火の粉は振り払うよ。例え相手が誰でもね。」

 

相変わらず、冷淡な返答だ。

 

「貴方ね。どうして、平然とそんな事を言えるのよ。事の重大さは解っているの?」

 

「仮に堕天使や悪魔祓いに殺されたとしても、俺は其処までだったということで割り切るよ。」

 

「あのね・・・、もういいわよ。」

 

説教が終わるのを見計らっていたのだろうか朱乃が入ってきた

 

「あらあら、お説教はすみましたか?」

 

「朱乃、どうかしたの?」

 

部長の問いに朱乃さんは少しだけ顔を曇らせた

 

「討伐の依頼が大公から届きました。」

 

◇◆◇◆

 

『はぐれ悪魔』とは・・・

爵位持ちの悪魔に下僕としてもらった者が主を裏切り、主を殺して主なしとなる事件が極稀に起こる。

はぐれ悪魔は見つけ次第、殺す。それが悪魔のルール。

これは、他の勢力でも危険視されていて、天使や堕天使側もはぐれ悪魔がいたら見つけ次第殺すよう命じられてるらしい

 

(確か、堕天使のドーナシークもイッセーの事をはぐれ悪魔だと思って殺そうとしたのがそれがそうなのか・・・。)

 

そうこう考えているうちにその悪魔が出現すると言う廃墟へ辿り着いた。

外からでも、禍々しい気配と血の臭いを感じる。

子猫は血の臭いを感じたのか嫌そうな顔をしている

 

「イッセー、鋼弥、いい機会だから悪魔の戦いと下僕の特性を説明してあげるわ。」

 

「特性ですか?」

 

「前に悪魔、堕天使、神の三つ巴の大戦の話をしたのは覚えているわよね?

 どの勢力も疲弊し、勝利する者もいないまま、戦争は終結したの。

 でも・・・悪魔側も大きな打撃を受けてしまってね。

 多くの軍団を率いていた爵位を持った大悪魔の方々も部下の大半を長い戦争で失ってしまったの。」

 

リアスが語り、次に朱乃が説明を続ける

 

「純粋な悪魔はその時に多く亡くなったと聞きます。

 しかし、戦争は終わっても堕天使、神との睨み合いは現在でも続いています。

 いくら、堕天使側も神側も部下の大半を失ったとはいえ、少しでも隙を見せれば危うくなります。」

 

「そこで悪魔は少数精鋭の制度を取る事にしたの。それが『悪魔の駒(イーヴィル・ピース)』」

 

「イーヴィル・ピース?」

 

聞き慣れない単語に首を傾げる

 

「爵位を持った悪魔は人間界のボードゲームの『チェス』の特性を下僕悪魔に取り入れたの。

 下僕となる悪魔の多くが人間からの転生者だからって皮肉も込めてね。

 主となる悪魔が『(キング)』・・・つまり、私達の間で言うなら私のこと。

 そこから『女王(クイーン)』、『騎士(ナイト)』、『戦車(ルーク)』、『僧侶(ビショップ)』、『兵士(ポーン)』と五つの特性を作り出したわ。

 軍団を持てなくなった代わりに少数の下僕に強大な力を分け与える事にしたのよ。」

 

リアスは説明しながらドアを開けて、はぐれ悪魔を探す

 

「更にこのチェスのルールが爵位持ちの悪魔に好評になって、

 『レーティングゲーム』と呼ばれる上級悪魔同士の戦いが大流行したのよ。

 それは大会まで行われる程発展するほどね。

 悪魔の間では駒の強さ、ゲームの強さが地位や爵位に影響される程になっていると言う。」

 

「冥界におけるスポーツのような感覚という訳か。」

 

「簡単に言えばそうなるわね。それで、イッセー、貴方の役割と特性は―――。」

 

大事なところで言葉を止めたリアス

殺意、敵意といった空気がこの部屋から流れ込んでいる

暗闇から声が響く

 

「不味そうな臭いがするぞ?でも美味そうな臭いもするぞ?甘いのかな?苦いのかな?」

 

「はぐれ悪魔バイサー!!あなたを消滅しに来たわ!!」

 

リアスがそう言うと異様な笑い声が辺りに響き、暗闇から人間の死体が投げ込まれた。

一誠は「うっ・・・」と手で口を抑える。

 

「汚い食い方だな。」

 

そう言うと暗闇から姿を現す。

女性の上半身と獣の下半身を持った化け物、両手には槍を一本ずつ持っている

 

「主のもとを逃げ、己の欲求を満たすためだけに暴れまわるのは万死に値するわ。

 グレモリー公爵家の名において、あなたを消し飛ばしてあげる!」

 

「こざかしいぃぃぃぃ!小娘ごときがぁぁぁ!その紅の髪のように、お前の身を鮮血で染め上げてやるわぁぁぁぁ!」

 

普通の人間だったら腰を抜かして、怯えるほどの迫力はある。

まぁ、ここにいる人たちは悪魔だけどね

 

「三流以下の悪魔だと、お約束と洒落のある台詞を言うね」

 

「あら?珍しく気が合うわね。まずは・・・祐斗!」

 

「はいっ!」

 

祐斗は目にも止まらぬ速さでバイサーへ接近する。

 

「中々のスピードだね。中級悪魔でもあの素早さは反応できないね。」

 

「えっ!?鋼弥、見えているのかよ!?」

 

驚く一誠を余所に鋼弥は冷静にコメントを返す

 

「祐斗の役割は『騎士(ナイト)』、特性はスピード。

 "騎士"となった者は速度が増すの。

 そして、祐斗の最大の武器は剣、目では捉えきれない速力と達人級の剣捌きよ」

 

祐斗の両手には両刃剣が握られており、バイサーの両腕を斬り飛ばす

バイサーが痛みにのた打ち回る隙に小猫が足元へと近づく。

それに気づいたのか、獣の前足を振り上げて、踏み潰そうとした。

 

「小虫がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

ズシンッという衝撃と手応えで潰れたと確信していたようだが、それは裏切られた。

埃が晴れると、小猫は持ち上げ押し返した。

 

「小猫の役割は『戦車(ルーク)』。"戦車"の特性はいたってシンプル。

 バカげた力と屈強なまでの防御力、踏みつけぐらいでは小猫を潰せないわ」

 

「・・・吹っ飛べ」

 

小猫はジャンピングブローでバイサーの腹部に拳が入り、吹き飛ばされ瓦礫の山に埋もれた。

バイサーはヨロヨロと起き上がる。

 

「最後に朱乃、お願いするわ。」

 

「はい、部長。あらあら、どうしようかしら」

 

「朱乃は『女王(クイーン)』。私の次に強い最強の者。

 "兵士"、"騎士"、"僧侶"、"戦車"、全ての力を兼ね備えた無敵の副部長よ」

 

つまり、戦況によっては前衛も後衛もできるというのか。

対軍相手でもまとめて沈める事が出来そうだ。

 

「ぐぅぅぅぅ・・・・・・」

 

「あらあら、まだ元気みたいですね?それなら、これはどうでしょうか?」

 

朱乃の目が一瞬、氷のような冷たい視線になった瞬間、手を上に翳すとバイサーに雷が落ちた

激しく感電する化け物に対し、朱乃はただ不敵に笑う

 

「あらあら。まだ元気そうね?」

 

ビカッ!

 

先程よりも雷の威力が上がり化け物に落ちる

更に舌舐めずりしながら、高らかに笑いながら攻撃をする。

あれは嬲り殺すためのやり方だ。

 

「朱乃は魔力を使った攻撃が得意なの。

 雷、氷、炎などの自然現象を魔力で起こす力ね。

 そして、何よりも彼女は究極のSよ」

 

「大丈夫。副部長は味方にはとても優しいから」

 

祐斗がにこやかに説明するが、一誠はもう一度、朱乃を見る。

雷の他に、火炎までも出している。

 

(やっぱ、こええええええええええっ!!!!)

 

「物足りないですけど、部長さんにゆずりますわ」

 

リアスは最早、虫の息のバイサーの前に立つ

 

「最後に言い残すことはあるかしら?」

 

リアスが聞くと、化け物から発せられたのは「殺せ」の一言だけだった

 

「そう、なら消し飛びなさい」

 

掌から魔力の塊が撃ち出され、化け物は完全に消滅した。

鋼弥はリアスの魔力の塊を冷静に分析する

 

(今のは、メギド(万能)系に匹敵する威力だな・・・。)

 

これで、はぐれ悪魔の討伐は終了し、いざ帰還しようとしたが、一誠は先程の話を思い出す。

 

「部長、聞きそびれてしまったんですけど。俺の駒……っていうか、下僕としての役割は何ですか?」

 

「『兵士(ポーン)よ。イッセーは"兵士"なの』」

 

紅髪のリアスは微笑みながらハッキリとそう答えた。

orzして落ち込む、一誠。

 

「残っている駒で思いつくのは、それしか・・・んっ?」

 

何かの気配を感じる。

バイサーは確かに倒した筈なのに、この瘴気は・・・

他の人達も瘴気の気配を感じた。

 

「まだ、他にもはぐれ悪魔が・・・?」

 

そう言うと、召喚の陣が出現し毒々しい光を放った。

現れたのは緑色の肌をした人と紫色の肌とボロボロのドレスを着た女性が計6体、現れた。

しかも、両者とも腐敗した臭いが漂う。

小猫の表情が険しくなり不機嫌そうな顔になった。

 

「うわわっ!?な、なんだ、コイツら!?」

 

「グールとグーラーか。バイサーの食い散らかした死体に集まってきたか」

 

鋼弥がそう言うとアンデッド達は我先にとバイサーが放り捨てた人間の死体をガツガツと貪り食っていた。

その光景を見てしまった一誠に再び吐き気が襲い掛かってくる。

食い終わると、今度はこちらを睨んでいる。明らかに食おうとする態勢だ。

リアス達は身構えるが、鋼弥が静止する。

 

「君たちの戦いは十分に見せてもらった。今度は俺の番だ」

 

グールとグーラーの群れを見る、その目は――――狩人(ハンター)の目だ。

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