ハイスクールD×D~アルギュロス・ディアボロス~ 作:Mr.エメト
時刻はすっかり夜になっており、大きな満月が浮かんでいた。
鋼弥は高層ビルが並び立つ場所へと着き、気配が感じる方へと昇って行った。
屋上に辿り着くと、銀色の髪の少年―――涼刀嶺爾がいた。
「こんな所で俺を呼び出すと言う事は、勝負をする気か?」
「ああ、お前は十分強くなったからな。退屈はしないだろう」
周辺の気配を探ると一般の人間は誰もいない。
勿論、周りのビルの中に居る人々も全て、いなくなっている。
嶺爾が人払いの陣を張っているようだ。
おそらく、朝にならない限り解除はされないだろう。
「夜は短いからな、早く始めよう」
「・・・今夜は眠れない夜になりそうだな」
同時に駆け出し、拳と拳がぶつかる。
両者の拳の雨が繰り出され、周辺のコンクリートが削られてた。
回し蹴りがぶつかり合い、力の均衡となったが、弾け飛んで両者とも距離を取った。
「アンヴァル!!」
「グランガチ!!」
業魔化身を発動させて、悪魔へ変身する。
アンヴァルはジオダインを無数の球状にさせて、蹴り撃つがグランガチは口から凍える息を放ち相殺する。
その隙に、素早い動きで、近付き蹴りを放つがグランガチの強固な鱗でダメージが入らなかった。
グランガチは尾を振りかざしたり、大きな口で噛み砕こうとしてきたが、避ける。
お互い解除して、次の悪魔へと変身する。
「スィームルグ!!」
「ダッキ!!」
スィームルグは一気に近づいて、蹴りを機関銃の様に放つがダッキは手で受け流していた。
ならばと思い、空へと飛び風の渦が3つ生み出していく。
【マハザンダイン!!】
3つの竜巻がダッキに襲い掛かるが、手を翳して呪文を唱えた。
【マカラカーン!!】
魔法反射の呪文を唱えて、竜巻を反射させるがスィームルグはダッキの背後に回り蹴りを放つ。
しかし、ダッキは瞬時に振りかえり、蹴った脚を掴んでそのまま放り投げた。
【馬鹿ね。貴女がやろうとしていることぐらいお見通しよ】
【だったら・・・この動きに付いて来れるかい!?】
スィームルグはスピードを上げて縦横無尽にダッキの周りを飛ぶ。
すると、残像が残るほどの速さでダッキを翻弄させる。
【ふん。高速移動による残像か。けどね・・・】
ダッキは印を結び、バンッと両手に付ける。
【広範囲攻撃を得意とするアタシ相手には無駄な攻撃だけどね!!】
無数の雷撃が周りを奔り、スィームルグの残像達が消える。
だが、本物のスィームルグの姿は見つからない。
【ハァァアアアアアアアアッ!!】
雷撃の雨を避けて、地面擦れ擦れのスライディングキックがダッキの腹部に直撃する。
【グッ!!】
"く"の字に曲がったダッキはそのまま、吹き飛ばされて壁を突き破り瓦礫に呑まれた。
瓦礫を弾き飛ばすと、髪をかき上げて、怒りが込められた目で睨む
【・・・・・・殺すっ!!!!】
ダッキの身体から、青白い炎が噴き出し、頭上に青白い炎の塊を作った。
【プロミネンス!!】
白熱の炎の塊を放り投げるとダッキ。
スィームルグは身体を回転させて、風を巻き起こす。
【真空刃!!】
切り裂く風の波動を放つスィームルグ。
白熱の炎と風の渦がぶつかり、均衡しているが耐え切れずに大爆発が起こる。
互いに変身を解除して、次なる悪魔を呼び出す。
「ルーグ!!」
「アガートラーム!!」
鋼弥が変身したのは、≪輝ける者≫の意味名を持つルーグ。
対して、嶺爾が変身した銀色の甲冑を身に纏った騎士はアガートラーム。
ケルト神話に登場する神の一柱で、トゥアハ・デ・ダナーン(ダーナ神族)の王。
闇より生まれしドラゴンのクロークルワッハと死闘を繰り広げた猛者だ。
ルーグはブリューナクをアガートラームはクラウ・ソラスを手に、構える。
同時に駆け出し、槍戟と剣戟がぶつかりあい火花が散る。
【オオオオオオオオオオオオオオッ!!】
【デャアアアアアアアアアアアアッ!!】
同時に繰り出される神速に近い攻撃は周りを削いでいたのだ。
ルーグを弾き、ビルへと落すが、アガートラームは追撃しにビルへと落ちる。
高層ビルから飛び出した二体の魔神は落ちながら戦っていた。
武器がぶつかり合う音と、火花が散る。
アガートラームはクラウ・ソラスを振りかざして、ルーグを後ろのビルに叩き付ける。
態勢を立て直すが、アガートラームは眼前に迫り、剣で串刺しにしようとしたが、間一髪避ける。
そして、再び落下しながらの戦いが始まる。
ルーグのブリューナクから光のオーラが、アガートラームのクラウ・ソラスから闇のオーラが溢れだす。
この一撃で、勝負を決める気だ。
【ライトスピアッ!!】
【ダークセイバーッ!!】
極光の槍と闇黒の刃が同時に放たれ、凄まじい閃光と衝撃波が巻き起こった。
衝撃波によるビルのガラスが全て粉々に粉砕されて、舞い散る。
鋼弥と嶺爾は元の姿へと戻り着地する。
お互い、連続の業魔化身を使ったせいか、疲労が襲っている。
嶺爾は、その場から立ち去った。鋼弥は、その場に座り込んだ。
夜の摩天楼の戦いは引き分けに終わった―――。