ハイスクールD×D~アルギュロス・ディアボロス~ 作:Mr.エメト
次の日の休日。
鋼弥は待ち合わせ場所である駅前で到着していた。
服装は、蒼いパーカーとジーンズ。ドルキーが勧めてくれた服装だ。
ドルキー曰く「いつも、黒マントだと不気味だから、こういう服が良いと思うぜ」とのことだ。
時計が午前10時になろうとした時、フリル付きの可愛らしいワンピースを着た女性がやって来た。
「ゴメンなさい、鋼弥さん。待たせちゃったかしら?」
朱乃はいつものポニーテールではなく、髪を全て下ろしていた。
「・・・どうしました?もしかして、何処か変かしら?」
「そうじゃない。髪を下ろしていた朱乃が可愛いと思ってね・・・」
朱乃はそれを聞いてパァッと顔を明るくさせた
「ねぇ、今日は2人だけのデートだから・・・思いっきり甘えても良い?」
「・・・勿論だ。今日はよろしくな朱乃」
ふと、鋼弥の視界に紅色の何かが映り込んだ
電柱の陰にサングラスと帽子を被った紅髪の女性が二人を窺っていた。
レスラーの覆面をした2人の人影、その内の1人は猫耳を出している。
紙袋を被った怪しい奴と普段着の祐斗とリオ、メガネをかけた金髪女性の隣に一誠。
それはオカルト研究部のメンバーだった。
「・・・尾行してたのか」
「あらあら、尾行するにしては多過ぎね」
朱乃も気付いていたらしく、見せつける様に鋼弥に身を寄せた
「・・・行くか?」
「ええ」
2人は町へ繰り出していった。
◇◆◇◆
デートを始めてから三時間。
その間の朱乃は終始年頃の女の子だった
洋服を比べて鋼弥に訊いたり、露店で買ったクレープを一緒に食べたりとしていた。
いつも、朱乃にドキドキしていたが今日はそれ以上にドキドキしていた。
鋼弥はチラチラと尾行してくるリアス達を気にしていた。
「懲りないな・・・」
「そうね・・・」
2人はゲームセンターに向かってレースゲーム、ガンシューティング、ステップゲームなどを遊び尽くした。
一通り遊び終わって出たが、追跡者達は未だに尾行を続けている。
鋼弥は歩いてからチラッと確認し、そろそろ巻いた方がいいような気がしてきた。
「朱乃、リアス達を撒くぞ」
「そうね。撒いちゃいま―――――きゃっ?」
鋼弥は朱乃をお姫様抱っこで抱え、リアス達を撒こうと走り出す。
リアス達も鋼弥と朱乃が逃げると知るや否や、急いで追い掛ける。
だが、跳躍して、屋根から屋根へと走り跳んだのだ。
「ああ、しまった!!」
「・・・先輩が朱乃さんを抱っこしてました」
「朱乃さんを抱えたまま私達を撒くとは、流石だな・・・」
「なんとしてでも、見つけるわよ!見つけたら携帯に連絡をちょうだい!」
リアス達はそれぞれの方向に散開していった。
それを確認した鋼弥は朱乃を抱えたまま、道路へと降りる。
「上手く撒いたようだ」
「うふふ、そうね。抱かれながら、走るのは凄く気持ち良かったわ」
朱乃が朱に染まった頬に手をやりながら言う。
我武者羅に走って、状況を見ておらず辺りを見渡すと建物は全てラブホテルだった。
「・・・ここから、離れるか」
「・・・入ろう」
朱乃の呟きに鋼弥は驚き、朱乃は追い討ちをかけるように真正面から言った。
「・・・入ろう。ホテル、入りたいの・・・」
「朱乃。いや・・・しかし・・・」
困った事になった。
幾ら付き合っている仲とはいえ、展開が早すぎる。
戸惑いつも、断ろうとしたが・・・。
「昼間から、女を抱こうとするとは中々やるのぉ」
老人の声が聞こえて、その方向を向くと見覚えのある人物だった。
「オーディン様!?」
「ほっほっほっ、久しいの銀牙よ。北の国から遠路遥々やってきたぞ」
「もう、オーディン様!!このような場所をウロウロされては困ります!!
神様なんですからキチンとなさってください!!
貴方達も昼間からこんな所にいちゃダメですよ?ハイスクールなんですから」
オーディンの付き人のヴァルキリーのロスヴァイセも一緒で注意された。
まぁ、止めていなければ本当に危ない所だった。
するとガタイの良い男は朱乃に詰め寄られていた。
「おい朱乃、何なんだその男は。いったい誰なんだ」
「いや!離して!」
朱乃が激しく抵抗しているのを見て、鋼弥は男の腕を掴み、朱乃を庇うように前に出た
「朱乃が嫌がっているじゃないか。貴方は何者なんですか・・・?」
「今日はオーディン殿の護衛として来ている、グリゴリ幹部のバラキエルだ。姫島朱乃の父親だ」
「貴方が、朱乃の父さん・・・」
◇◆◇◆
デートは中断して、兵藤家の最上階のVIPルームに集まった。
朱乃はバラキエルと視線を交わそうともしなかった。
バラキエルはアザゼルから聞いたが、武人気質で堅物とのことだ。
その実力はアザゼルと副総督のシェムハザと肩を並べるほどで、攻撃力の高さなら随一だ。
「どうぞお茶です」
「ありがとう。しかし、相変わらずデカいのぉ。そちらもデカいの~」
リアス、朱乃、リオの胸を交互に見るオーディン。
「もう!オーディンさまったら、いやらしい目線を送っちゃダメです!こちらは魔王の妹君なのですよ!」
付き人と思われるヴァルキリーがハリセンでオーディンの頭を叩く。
オーディンは頭をさすりながら半眼になっていた。
しかし、北欧の主神をハリセンで叩くとは、凄いヴァルキリーだな・・・。
「まったく堅いのぉ。サーゼクスの妹と言えばべっぴんさんでグラマーじゃからな。
そりゃ、わしだって乳ぐらい見たくなるわい。と、こやつはわしのお付きヴァルキリー。
名は―――――」
「ロスヴァイセと申します。日本にいる間、お世話になります。以後、お見知り置きを」
「ちなみに彼氏いない歴=年齢の生娘ヴァルキリーじゃ」
オーディンはいやらしい顔をしながら追加情報をバラすと、ロスヴァイセは酷く狼狽し出した
「そ、そ、それは関係ないじゃないですかぁぁぁぁっ!
わ、私だって、好きで今まで彼氏が出来なかった訳じゃないんですからね!
好きで処女な訳ないじゃなぁぁぁぁいっ!うぅぅっ!」
ロスヴァイセがその場に崩れ落ちて床をバンバンと叩き出す。
流石に可哀相になって来たので、鋼弥が頭を撫でる。
「・・・その大丈夫か?辛い事があるかも知れんが頑張れ」
「涼刀鋼弥さん、ありがとうございますぅぅぅぅ!!」
「まあ、戦乙女の業界も厳しいんじゃよ。器量良しでもなかなか芽吹かない者も多いからのぉ。
最近では英雄や勇者の数も減ったもんでな、経費削減でヴァルキリー部署が縮小傾向での。
こやつもわしのお付きになるまで職場の隅にいたのじゃよ」
オーディンはうんうん頷きながら言い、アザゼルがやり取りに苦笑しながらも口を開いた
「爺さんが日本にいる間、俺達で護衛する事になっている。
バラキエルは堕天使側のバックアップ要員だ。
俺も最近忙しくて、ここにいられるのも限られているからな。
その間、俺の代わりにバラキエルが見てくれるだろう」
「よろしく頼む」
言葉少なにバラキエルが挨拶をくれた。
アザゼルは神妙な顔をしてオーディンに問いかけた。
「爺さん、来日するにはちょっと早すぎたんじゃないか?俺が聞いていた日程はもう少し先だった筈だ。
今回来日の主目的は日本の神々と話をつけたいからだろう?
ミカエルとサーゼクスが仲介で、俺が会談に同席――――と」
「まあの。それと我が国の内情で厄介事・・・と言うよりも厄介なもんにわしのやり方を批難されておってな。
事を起こされる前に早めに行動しておこうと思ってのぉ。日本の神々といくつか話をしておきたいんじゃよ。
今まで閉鎖的にやっとって交流すらなかったからのぉ」
オーディンが長い白ヒゲをさすりながら嘆息する。
どの勢力でも厄介事や問題事の1つや2つはあるようだ。
「厄介事って、ヴァン神族にでも狙われたクチか?お願いだから《
「ヴァン神族はどうでも良いんじゃが・・・この話をしていても仕方ないの。
それよりもアザゼル坊。どうも『禍の団』は禁手化が出来る使い手を増やしているようじゃな。
怖いのぉ。あれは希有な現象と聞いたんじゃが?」
グレモリー眷属は鋼弥以外驚いて顔を見合わせていた。
「やっぱり度々起こる各勢力への襲撃は、神器所有者を禁手にさせるためか」
「どっかのバカが手っ取り早く、それでいて恐ろしく分かりやすい強引な方法でレアな現象を乱発させようとしているのさ。
それは神器に詳しい者なら一度は思い付くが、実行するとなると各方面から批判されるためにやれなかった事だ。
・・・成功しても失敗しても大批判は確定だからな」
「・・・何ですか、その方法って」
「リアスの報告書で概ね合っている。下手な鉄砲も数打ちゃ当たる作戦だよ。
まず、世界中から神器を持つ人間を無理矢理かき集める。殆ど拉致だ。そして洗脳。
次に強者が集う場所――――超常の存在が住まう重要拠点に神器を持つ者を送る。
それを禁手に至る者が出るまで続ける事さ。至ったら強制的に魔方陣で帰還させる。
お前らの対峙した影使いが逃げたのも禁手に至ったか、至りかけたからだろうな」
以前、鋼弥達と戦った影使いは、やはり禁手に至りかけたというわけだ。
アザゼルが更に続ける。
「これらの事はどの勢力も、思い付いたとしても実際にやれはしない。
仮に協定を結ぶ前の俺が悪魔と天使の拠点に向かって同じ事をすれば批判を受けると共に戦争開始の秒読み段階に発展する。
自分達はそれを望んでいなかった。だが、奴らはテロリストだからこそ、それをやりやがったのさ」
鋼弥は話を理解し、一誠は納得がいかないような顔でアザゼルに訴えかけていた
「自分はその様な目に遭って禁手に至りましたけどって訴えかけるような顔だな、イッセー」
「そりゃそうですよ、先生」
「だが、お前は悪魔だ。人間より頑丈なんだぜ?」
「それでも死にかけました!」
「確かに、タンニーンとの修行の時は一誠は死に物狂いで逃げていたな」
「それと、鋼弥も加わっていただろうが!!本当に死にそうだったんだぞ!!」
「・・・どちらにしろ、人間を拉致、洗脳して禁手にさせるってのは『禍の団』ならではの行動ってわけだ」
「それをやっている連中はどういう輩なんですか?」
一誠の問いにアザゼルが続ける
「英雄派の正メンバーは伝説の勇者や英雄の子孫が集まっていらっしゃる。
身体能力は天使や悪魔にひけを取らないだろう。更に神器や伝説の武具を所有。
その上神器が禁手に至っている上に、神をも倒せる力を持つ神滅具だと倍プッシュなんてものじゃ済まなくなる訳だ。
報告では、英雄派はオーフィスの蛇に手を出さない傾向が強いようだから、底上げに関してはまだ分からんが」
「オーフィスの蛇を使わないテロリストか・・・。どちらにしろ手強い相手になるのは確実だな」
その後、話が一段落終わったところでアザゼルとオーディンは堕天使経営のおっぱいパブに行く事に。
ロスヴァイセはオーディンが問題を起こさないかついて行く事に
鋼弥、朱乃、バラキエル以外の皆は空気を読んだのか、その場を去る。
「涼刀鋼弥と言ったな。席を外してくれないか、朱乃と話がしたいのだ」
鋼弥は無言で立ち去ろうとした時、バラキエルが呼び止めた。
「・・・聞かないのか?私と朱乃の事を」
「親子の会話に首を突っ込む様な事はしないからね」
鋼弥は再び踵を返し、部屋を出ようとするが、バラキエルが呼び止めた。
「・・・やはり君も同席してくれ。訊きたい事がある」