ハイスクールD×D~アルギュロス・ディアボロス~   作:Mr.エメト

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第九話 =生命(いのち)の天秤=

「オーディンの爺さんからのプレゼントだとよ。ミョルニルのレプリカだ。

 まったく、マジでこれを隠してやがったとは・・・

 ミドガルズオルムも、よくこんな細かい所まで知ってたな」

 

「そんなに凄いものなんですか?」

 

「ミョルニルは相手に叩き込めば神の雷が放たれ、投擲しても必ず手元に戻ってくる魔法の戦鎚だ。

 その重さはとてつもなく、剛腕無双のトールだからこそ扱える武器だ」

 

鋼弥がそう説明すると、ロスヴァイセがミョルニルを持ってきてくれた。

日曜大工サイズのハンマーだが、豪華な装飾に文様が刻まれている。

レプリカと言えど本物に近い力を持っており無闇に使えば、高エネルギーの雷で辺一帯が吹き飛ぶほどの威力を持っている。

さて、いよいよロキとフェンリルとの決戦に備えて、作戦会議が開かれる

 

「まずはシトリー眷属がロキとフェンリルを違い場所へと転移させる。

 転移先は採掘場の跡地だから、思いっきり暴れても大丈夫だ。

 ロキの相手は一誠、鋼弥、ヴァーリを主軸にする。二天龍と神魔に変身する魔人だ

 フェンリルとブラックヴァルキリーの相手は対策はグレモリー眷属とヴァーリチームでフェンリルを捕縛して撃破する」

 

アザゼルと匙はヴリトラの神器関連でアザゼルにグリゴリの研究施設に拉致、もとい連れて行かれた。

すると、ドライグとアルビオンがなんだか言い争っている。

 

『ご、誤解だ!!乳龍帝と呼ばれているのは宿主の男であって!!』

 

『乳をつついて、覚醒して《覇龍》から解除するなど・・・。酷過ぎで泣いた私の気持ちが解るか?』

 

『俺だって・・・俺だって泣きたいぐらいだ!!うおおおおおおおおんっ!!』

 

やっぱり、伝説のドラゴンも泣くほど辛い思いをしていたんだな・・・。

 

 

◇◆◇◆

 

 

最上階のVIPルーム

一誠、ヴァーリ、鋼弥はロキ戦に向けてトレーニングしていた。

ヴァーリは手に持っていた本を読んで北欧の魔術を覚えた。

 

「しかし、悪神とはいえ『神』と戦う事になるとはな」

 

「神とは言ってもオーディン殿の様に善神も入れば、ロキの様な悪神もいる。

 一番わかりやすいと言えば、ゾロアスターにおける神々だ。

 あの辺りは、善神と悪神ときっちりと分けられているからね」

 

「なんでこう平和を嫌う奴がいるんだろうな?普通に暮らして楽しく過ごせれば十分なのにな」

 

「キミ達にとっての平和が、苦痛と感じてしまう者もいると言う事だ」

 

平和が苦痛。

人と立場によってそう感じる者は少なからずいる。

だから、戦いで己の存在意義を見出す者だっている。

ヴァーリもその内の1人だろう。

 

「ヴァーリは今の世界は嫌いなのか?」

 

「退屈なだけだ。だから、今回の共同戦線は楽しくて仕方がない」

 

「嫌になるよな。強い奴がわんさかいるんだからさ」

 

「だからこそ世界は面白いんだ。俺は誰よりも強くなる」

 

ヴァーリの夢は≪最強≫の一点のみの様だ。

 

「俺は最強の『兵士』になって、上級悪魔になれれば良いや。俺だけのハーレムを作るんだ」

 

「俺は、いつか決着を付けなればいけない事がある。それが終わるまで、安息は無い」

 

「それに、もう一個目標がある。ヴァーリと鋼弥を超えることだ」

 

「・・・良いだろう。いつの日か決着をつけよう、一誠」

 

「ああ、俺のところまで来たら良い。キミが強くなる度に俺は嬉しいよ。

 才能が無くて、弱い赤龍帝だと失望した時期もあったが・・・、

 キミは今までの赤龍帝とは違う成長をしてきている。

 ドライグと対話しながら、赤龍帝の力を使いこなそうとする者はおそらく初めてだろう」

 

「本当かドライグ?」

 

『その通りだ。お前は歴代の中で一番俺と対話する宿主だ。

 俺の力に溺れず、過信せず、赤龍帝の力を使いこなそうとしている』

 

「ただ思うがままに強力且つ凶悪な力を振るう宿主ばかりだった。

 そして、ドライグの力に溺れ、戦いで散っていった」

 

『お前は歴代で一番才能の無い赤龍帝だ。パワーも何もかも弱い。しかし―――』

 

「歴代で一番力の使い方を覚えようとしている赤龍帝だ」

 

ドライグとヴァーリにそう言われた一誠は少し照れた。

 

「うむうむ。いいのぅ。青春だのぉ」

 

突然現れたオーディンは感心している様子だった

 

「今回の赤白は個性的じゃい。昔はみーんなただの暴れん坊でな。

 各地で大暴れして、勝手に赤白対決なんぞして周囲の風景を全部吹っ飛ばしながら、死におった。

 《覇龍》も好き勝手に発動しおってな。そこらにある山やら島やらいくつ消えたかの」

 

「確かに片方は卑猥なドラゴン、片方はテロリストと言う危険極まりない組み合わせですけど、

 意外に冷静ですね。出会ったら即対決が赤龍帝と白龍皇だと思っていました」

 

オーディンが鋼弥とヴァーリにいやらしい目付きをしながらある事を訊く。

 

「ところで、白龍皇と銀牙。お主らはどこが好きじゃ?」

 

「何の事だ?」

 

「・・・何がです?」

 

首を傾げながら聞き返すヴァーリと鋼弥。

オーディンはロスヴァイセの胸、尻、太ももを指差していく。

 

「女の体の好きな部分じゃよ。赤龍帝は乳が好きじゃからの。

 お主らもそういうのがあるんじゃないかと思うてな~」

 

「心外だ。俺はおっぱいドラゴンなどではない」

 

「・・・俺はそういうのに興味は無い」

 

ヴァーリは心底心外そうな表情を浮かべ、鋼弥はため息をつく

 

「まあまあ、お主らも男じゃ。女の体で好きな部分ぐらいあるじゃろう」

 

「・・・あまり、そういうものに感心が無いのでね。強いて言うならヒップか。

 腰からヒップにかけてのラインは女性を表す象徴的なところだと思うが」

 

「なるほどのぉ。ケツ龍皇じゃな」

 

『・・・ぬ、ぬおおおおん・・・』

 

オーディンがボソリと呟いた呼び名に、ヴァーリの神器に宿る白龍皇アルビオンが無念の涙を流している。

 

「して、銀牙はどこが好きなのじゃて?」

 

「・・・・髪かな。魅力があるとすれば髪だと思う」

 

「ほうほう、髪か。なんともコアな部分が好きじゃのー」

 

オーディンは髭を摩りながらホッホッホッと笑う。

 

 

◇◆◇◆

 

 

時刻は夜。

ロキとの決戦が近付いている中、鋼弥を意識を集中させて、仲魔たちと会話する。

アンヴァル、スィームルグ、コウ、アシェラト、コノハナサクヤ、ヒジリ、ルーグ、四騎士と集まっていた。

 

(いよいよ、ロキとの決戦は近いわね。一体誰を出すの?)

 

(神と相手にするんなら、アタシやコノハナサクヤ、ルーグを出した方がいいと思うけど)

 

(我はフェンリルと相手にしたかったが・・・作戦上、止む負えぬか)

 

スィームルグ、アシェラト、コウと順に喋る。

 

(コノハナサクヤで行こうと思っている。高火力で高威力を持ちスピードがある)

 

(解りましたわ。任せて下さい)

 

(・・・それから、皆に訊きたい事がある。あの黒い戦乙女の事だ)

 

その言葉を聞いて、仲魔たちの表情は暗くなる。

アシェラトは腕を組んで、言葉を発する。

 

(ゾロアスターは前々から汚い手は使ってくるけど、今回ばかりは反吐が出るわ)

 

(まったくね・・・死者の魂を使って戦わせるなんてね。でも、何か対策はあるのかい?)

 

(・・・朱乃の母を蘇生させたいと思う)

 

その言葉を聞いて、コノハナサクヤは前に出る。

 

(私が選ばれたもう一つの理由は・・・"あの禁術"を使えるから?)

 

(そうだ。しかし、本当にそれを使っても良いのだろうかと思ってしまう・・・)

 

(その気になれば、容易く命を甦らせる事が出来るからね。でも、マスターの父と母は蘇生できなかった)

 

(あの時、父さんと母さんに会いたいと思っていたが、生命を軽々しく扱ってはいけないと言う事に気づいて中断したからな)

 

(・・・マスター。貴方がどう判断するのか私達はマスターとどこまでついて行きますわ)

 

コノハナサクヤがそう言うと仲魔達もゆっくりと頷いた。

鋼弥はゆっくり頷き、目を閉じて、仲魔達との会話を終わらせる。

意識を戻して、ゆっくりと目を開ける。

ドアがノックして、開けると朱乃が立っていた。

 

「朱乃、どうかし・・・」

 

言い切る前に鋼弥は朱乃に押し倒され、朱乃は身に付けてる白装束を脱ぎ捨てた。

朱乃の白い裸体が、月の光で照らされる。

そして、耳元で呟く。

 

「――――抱いて」

 

鋼弥は突然の事で一瞬固まり、朱乃が目線を合わせる。

だが、鋼弥には朱乃の顔と目を見て解った。

虚ろな表情でキスしようとしてくる朱乃の肩に手を置き制止する。

 

「どうして?私の体は魅力ない・・・?」

 

「そうじゃない。嬉しいけど・・・」

 

「なら、何も問題ないじゃない。私の事が好きなら遠慮なく化せずに抱いても――――」

 

「じゃあ、なんで、そんな悲しい顔をしているんだ?」

 

「――――っ」

 

「俺は朱乃の笑顔が好きだ。その笑顔を見て、心が安らげる。

 でも、今の朱乃を抱いてもお互いに傷付き後悔が残ってしまう。

 だから、いつも優しい笑顔の朱乃でいてくれ」

 

一筋の涙が頬に伝い、鋼弥は朱乃を優しく抱き締めた。

 

「鋼弥さん・・・ゴメンなさい・・・!ゴメンなさい・・・!」

 

 

◇◇◇◇

 

 

朱乃は泣き止み、白装束を着て、ベッドに腰をかける。

鋼弥は、朱乃の母を蘇らせようとする話を切り出した。

 

「あの黒いヴァルキリーから解放するがある。コノハナサクヤの持つ禁術を使えば・・・」

 

「禁術?」

 

「魔界では絶対に使ってはいけない術は幾つかある。その中の一つ"反魂蝶桜"と呼ばれる反魂術だ」

 

反魂の術は、死者の骨を媒介にして肉体を構築させ、魂を呼び寄せて蘇生する。

ただし、本人が死んだという品物を見せれば反魂術は切れて、死者は骸へと戻ってしまう。

コノハナサクヤの"反魂蝶桜"は例え肉体が滅んだとしても魂を呼び寄せて蘇生する事が出来る。

だが・・・これらは命を弄ぶ禁術であり、絶対に使ってはいけないのである。

 

「そんな術が・・・」

 

「勿論、こんな術を使えば人の論理と道理を反する事だ。

 それこそ、ゾロアスターとやっている事と同じ・・・。

 俺は・・・どうすればいいのか解らなくなってきたんだ」

 

朱乃は両手で鋼弥の手を握り締める。

 

「鋼弥さん・・・ありがとう。

 でも、その力を使って、貴方が見失ってしまうかもしれません。

 その気持ちだけでも、嬉しいです・・・」

 

「・・・すまない、朱乃の事を元気づけようとしたのに逆に不安にさせる様な事をしたな」

 

「・・・今夜だけは、一緒に寝ても良いですか?」

 

朱乃の問いに、鋼弥はゆっくりと頷く。

二人は、眠るまで互いに見つめ合いながら話をした。

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