ハイスクールD×D~アルギュロス・ディアボロス~ 作:Mr.エメト
「おっぱいメイド喫茶希望です!」
「却下」
一誠が出した意見はリアスに見事却下される。
この日の部活動は学園祭で催す予定の出し物についてだった。
「そもそも、そんな事をすれば生徒会や教員達だって却下されるのが目に見えているぞ」
鋼弥からもダメ押しされて項垂れる一誠。
部室の隅でお茶を飲んで会議を静観していたアザゼルが、外の夕暮れを見てボソリと呟く
「・・・黄昏か」
それを聞いた皆は真剣な面持ちになった。
部活終了のチャイムが学園中に鳴り響く。
「神々の黄昏(ラグナロク)にはまだ早い。―――――お前ら、気張っていくぞ」
『はいっ!!!!』
◇◆◇◆
決戦の時刻となった夜。
グレモリー眷属はオーディンと日本の神々が会談すると言う都内のとある高級ホテルの屋上にいた。
周囲のビルの屋上にはシトリー眷属が各々配置についているが、匙だけはグリゴリの研究所で特訓している。
アザゼルは会談での仲介役のため、オーディンの側におり、バラキエルと同じく屋上で待機
ロスヴァイセも既に鎧姿で戦闘準備はできている。
上空にはタンニーンが待機しているが、普通の人間に視認されない術を施して待機中。
ヴァーリ達は少し離れた所で待っている。
作戦はロキを二天龍とミョルニルを使える鋼弥で相対し、
フェンリルはグレモリー眷属とヴァーリチームでグレイプニルの鎖を使って動きを止めてから撃破する。
一番の決め手であるミョルニルを撃ち込めば倒せる。
「――――時間ね」
リアスが腕時計を見ながら呟く。
会談がスタートし、後はロキが来るのを待つのみとなった。
「小細工なしか。恐れ入る」
ヴァーリが苦笑した直後、ホテル上空の空間が歪んで大きな穴が開いていく。
歪みから姿を現したのは悪神ロキ、フェンリル、ブラックヴァルキリー。
「目標確認。作戦開始」
バラキエルが通信機を通してそう言うと、巨大な結界魔方陣が展開される
ロキは不敵に笑み、抵抗を見せないでいる。
光に包まれ、目を開けると、そこは岩肌ばかりの広大な土地だった。
戦場となる場所は古い採石場跡地で、現在は使われていない。
前方にロキとフェンリル、ブラックヴァルキリーを確認したところで、鋼弥はコノハナサクヤに変身。
一誠は禁手のカウントを始めた。
「逃げないのね」
リアスが皮肉げに言うと、ロキは笑う
「逃げる必要はない。
どうせ抵抗してくるのだろうから、ここで始末した上であのホテルに戻れば良いだけだ。
遅いか早いかの違いでしかない。会談をしてもしなくてもオーディンには退場していただく」
「貴殿は危険な考えにとらわれているな」
「危険な考え方を持ったのはそちらが先だ。各神話の協力などと・・・。
元はと言えば、聖書に記されている三大勢力が手を取り合った事から、全てが歪み出したのだ」
「話し合いは・・・不毛か」
バラキエルが手に雷光を纏わせ、10枚もの黒き翼が展開していく。
『Welsh Dragon Balance Breaker!!!!』
『Vanishing Dragon Balance Breaker!!!!』
一誠は赤龍帝の、ヴァーリは白龍皇の力を具現化した全身鎧を装着。
三人が同時にロキの前に出ると、ロキが歓喜した。
「これは素晴らしい!
二天龍と銀の魔人がこのロキを倒すべく共同すると言うのか!
こんなに胸が高鳴る事はないぞッ!」
ヴァーリも光の軌道をジグザグに生みながら高速でロキとの距離を詰めていき、一誠も負けじと背中のブーストを噴かす。
「赤と白と銀の共演!こんな戦いが出来るのはおそらく我が初めてだろう!」
ロキは喜びながら魔方陣を展開し、魔術の光が幾重にも帯と化し放出した。
コノハナサクヤとヴァーリは、曲芸の如く回避し、一誠は攻撃をものともせず詰め寄る。
『BoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoost!!』
バリンッ!!
一誠の拳打でロキを覆う魔方陣が音を立てて消滅し、ヴァーリが上空からあり得ない質量の魔力を溜める
「とりあえず初手だ」
ヴァーリの手から発射された北欧魔術で攻撃し、一誠は瞬時にその場を離れる。
攻撃が止んだ後、ロキがいた場所には底の見えない穴が開いていた。
「この威力が初手かよ!一撃が半端ねぇ・・・」
「ふははははははは!」
高笑いが聞こえてきた方向を向くと、ローブのみがボロボロになったロキが宙に浮いていた。
だが、高速に近付く緋色の閃光が現れる。
【マハザンダイン×3!!】
「ぬぅっ!?」
3重の衝撃魔法が炸裂しロキを吹き飛ばす。
だが、決定的なダメージは受けていない。
「ふむ、二天龍も危険だが・・・やはり、業魔化身を使う貴様が一番脅威だな」
【・・・やはり、魔界のロキと同じく魔法耐性も強いと言う訳ね】
魔界の魔王ロキは魔法攻撃が半分しか通らない耐性を持つ。
こうなると、物理的な攻撃で叩くしかないが、目の前の敵は易々と倒せる相手ではない。
コノハナサクヤはもう少し弱らせてから使おうとした、ミョルニルを持ち、魔力を送る。
ロキはミョルニルを見て目元をひくつかせた。
「・・・ミョルニルのレプリカか?それにしても危険な物を手にしている。
オーディンめ、それ程までに会談を成功させたいか・・・ッ!」
【行きますわよ!!】
ロキに向かい、ミョルニルを思いっきり振り下ろした。
ズドォォォオオオオオオオンッ!!
大きくなったミョルニルの一撃はロキに避けられ、地面に巨大なクレーターを作っただけだった。
【雷が出ない・・・。壊れている訳でもないわね?】
「残念だがその槌は力強く、そして純粋な心の持ち主にしか扱えない。
本来ならば重さすらも無く、羽のように軽いと聞くぞ?
それに・・・貴様は日本の神で火山を司るから、雷は使えぬと言う事だ」
【そういう制約があるなんてね・・・】
純粋な心。一誠は煩悩、ヴァーリは戦闘狂だから無理。
コノハナサクヤは日本の神だから、使えないと言う事になる。
「そろそろ、こちらも本格的な攻撃に移ろうかッ!行け!フェンリルよ!」
ロキがフェンリルに指示を出した瞬間、リアスが手を挙げた。
「にゃん♪」
黒歌が周囲に魔方陣を展開し、巨大且つ太い魔法の鎖グレイプニルが出現。
それをコノハナサクヤ、一誠、ヴァーリ以外の仲間達が掴み、フェンリルの方へ投げつける。
ダークエルフによって強化された鎖はフェンリルに巻き付いていき、対象物を捕獲した。
「仕上げは任せてください」
リオは杖を天に向け、呪文詠唱をする。
足元から雪と氷が溢れ出で来る。
「私は命じる。氷雪よ無数の刃と化し、氷棺へと閉ざさん」
杖をトンッと地面に突くと、無数の氷の刃が出現する
「―――クリスタルダンス!!」
氷の刃が舞うように、フェンリルに次々と突き刺す。
更に頭上には、氷の水晶が出現して、フェンリル目掛けて落下した。
氷雪が巻き起こり、晴れるとフェンリルが氷漬けになっていた。
「――――フェンリル、捕縛完了」
バラキエルがそう言い、勝利を確信した。
【後は、貴方とブラックヴァルキリーだけのようね】
「仕方無い。スペックは劣るが、出てこい!スコルッ!ハティッ!」
ロキが両腕を広げて叫ぶと、2つの歪みが生じてオレンジ色の狼と紫色の狼が出てきた。
オオオオオオオオオンッ!
オオオオオオオオオンッ!
【まさか・・・太陽と月を喰らいし狼!?】
紫色がハティ、オレンジ色がスコルは北欧神話において天空を駆け巡る双子の狼。
ハティは月の神マーニを、スコルは太陽の神ソールを追い掛け回していたという。
一説によれば、この双子の狼はフェンリルの子供だ。
二匹の新たな狼の出現に、ヴァーリ以外の全員が驚きの顔となった。
「ヤルンヴィドに住まう巨人族の女を狼に変えて、フェンリルと交わらせた。
その結果生まれたのがこの二匹だ。親よりも多少スペックは劣るが、牙は健在だ。
充分に神を、貴様らを葬れるだろう」
「畜生!聞いてねぇよ!ミドガルズオルムもそんな事は言ってなかったぞ!?」
「兵藤一誠。無駄口を叩いている暇は無いぞ」
「スコル、ハティ、ブラックヴァルキリー!あの者達を八つ裂きにするがよいっ!」
ロキが二匹の狼と黒い戦乙女に指示を出した。
一匹はヴァーリチームの方へ、もう一匹はグレモリー眷属の方へ向かっていった。
「させるかぁ!!犬風情がっ!!」
タンニーンは口から業火の炎を撒き散らすが、ハティとスコルは怯む様子は無かった。
コノハナサクヤが二匹の前に立ち塞がる。
【ここから先は、通さないわよ!!】
右手に桜の花弁が集まり、刀を作りだす。
ハティは大きな口を開けて噛み砕こうとするが、コノハナサクヤは上に避けて、鼻に剣を突き刺す。
痛みで暴れるハティから離れ、スコルの尾を掴み踏ん張る。
【くぅぅぅぅ・・・・!!】
そして、信じられない事が起きた。
体格の差は歴然なのに巨体なスコルが浮いたのだ。
「ま・・・まさか!?」
「あの巨体を持ち上げたのか!?」
【うああああああああああああああああああっ!!】
そのまま、勢い良くスコルをハンマーの様に振りかざしハティに叩き付けた。
あの巨体同士を叩きつければ、その衝撃は恐ろしい物だろう。
【全く・・・慣れない肉体労働なんて、やるものじゃないわね】
土埃を払いながらも愚痴をこぼす
「流石にゃん♪益々、鋼弥を好きになっちゃいそうだにゃん♪」
「・・・姉さまに、絶対渡しません」
黒歌は褒めるが、小猫が釘をさして止める。
「チッ。なら、ついでだ。こいつらの相手もしてもらおうか」
ロキの足元の影が広がり、影から体が細長いドラゴンが複数現れる。
それを見たタンニーンが憎々しげに吐いた。
「ミドガルズオルムも量産していたかッ!」
「マジかよ!しかも五体も!」
量産ミドガルズオルムが一斉に炎を吐くが、タンニーンの火炎で全て吹き飛ばされる。
ヴァーリチームとグレモリー眷属もハティ&スコル達と死闘を演じていた。
バラキエルが極大の雷光を天からハティに落とすが、ダメージを受けても平気な様子で攻撃を再開した。
祐斗は神速で動き回り、聖魔剣を振りかざしてハティを斬り付ける。
「でりゃあああああああッ!!」
ゼノヴィアはデュランダルとアスカロンを掲げて、莫大な波動斬を繰り出し、斬り傷を負わせた。
更に朱乃の雷とリオの火炎が放たれ、直撃する。
「オラオラオラオラオラオラオラァァァァァァァァッ!!」
美猴は如意棒を乱打でスコルに何度も何度も何度も殴打して行く。
「デカくなれ、如意棒!!」
美猴に応じて、如意棒は大きくなり、そのままスコルの頭部へと撃ち込んだ。
「足止めにゃん!!」
黒歌は術でスコルの足元をぬかるみに変えた。
足場が悪くなれば身動きは取れなくなる。
アーサーはコールブランドを抜き、眼、前足、牙を大きく抉り切る
「聖王剣コールブランドならば、空間を削り取れるはずです!!」
流石のスコルも激痛で悲鳴を上げる。
だが、ブラックヴァルキリーはスコルとハティの頭上で弧を描くと淡い光が溢れる。
すると、スコルとハティの傷が逆再生するかのように何事もなく元に戻った。
「なんと!?元に戻った!?」
【あれは、回復魔法のメディアラハン!!あんな魔法まで持っていたなんて!!】
「くそっ!!だったら、あの黒ヴァルキリーから叩き落として・・・」
【ダメよ!!あの黒い戦乙女を倒したら、囚われている魂まで壊してしまうわ!!】
「んな事言ったっても、俺たちがやられちまうぜ!!」
その隙に量産ミドガルズオルム達とブラックヴァルキリーがフェンリルを捕らえている氷と鎖を破壊していく。
コノハナサクヤは直ぐに向かうが、間に合わない。
バギャアアアアアアアアンッ!!ブチブチブチッ!!
――アオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオンッ!!!!
遂にフェンリルの封印が解かれたのだ。
氷が砕ける音と紐が食いちぎられる音が響く。
フェンリルは狩人の眼で獲物に食らいついた。
バグゥゥゥゥゥゥンッ!!
「ぐああああああっ!!」
フェンリルの牙が白銀の鎧ごとヴァーリの体を貫いた。
「ふははははっ!まずは白龍皇を噛み砕いたぞ!」
「ヴァーリッ!!」
一誠がヴァーリを救出するべく突貫していくが、フェンリルの前足の爪で鎧を切り裂かれた。
「うあああああああああっ!」
傷を押さえる一誠。
コノハナサクヤは救出に向かうがブラックヴァルキリーが邪魔をして助ける事が出来ない。
支給されたフェニックスの涙を傷口にかける一誠。
ヴァーリはフェンリルに噛まれたまま、コノハナサクヤと一誠に話し掛ける。
「・・・兵藤一誠、涼刀鋼弥。ロキ達はキミと美猴達に任せる。このフェンリルは俺が確実に殺そう」
「ふははははははっ!どうやってだ!既に瀕死ではないか!強がりは白龍皇の名を貶めてしまうのではないか?」
笑うロキだが、ヴァーリは強い眼差しでロキを睨む。
「――――天龍を、このヴァーリ・ルシファーを舐めるな」
すると、鎧の各宝玉が七色に輝き始め、呪文を唱えた。
「我、目覚めるは――――」
〈消し飛ぶよっ!〉〈消し飛ぶねっ!〉
「覇の理に全てを奪われし、二天龍なり――――」
〈夢が終わるっ!〉〈幻が始まるっ!〉
「無限を妬み、夢幻を想う――――」
〈全部だっ!〉〈そう、全てを捧げろっ!〉
「我、白き龍の覇道を極め――――」
「「「「「「「「「「汝を無垢の極限へと誘おう」」」」」」」」」」
『Juggernaut Drive!!!!!!』
フェンリルの口に捕らえられたヴァーリから大出力の光が溢れ、フェンリルの体躯ごと呑み込んでいく。
白い極光は見る者を圧倒させるほどだ。これが、白龍王の《覇龍(ジャガーノート・ドライブ)》。
「黒歌!俺とフェンリルを予定のポイントに転送しろッ!」
光を放つヴァーリは黒歌にそう叫ぶと、黒歌は手をヴァーリに向けて指を動かす。
魔法の鎖グレイプニルがヴァーリの方に転移され、やがて巨大な光と化したヴァーリとフェンリルを魔力の帯が包み込み夜の風景に溶け込むように消えていった
とりあえず、フェンリルがいなくなれば・・・戦況は変えられるかもしれない。
ブラックヴァルキリーはコノハナサクヤに剣を振りかざしてきた。
剣は扇子で防いで、受け流しつつ、朱璃に呼び掛ける。
【貴女は、朱乃とバラキエルさんと過ごした思い出も無いの!?眼を覚まして!!】
だが、どんなに呼び掛けようとしても、ブラックヴァルキリーは攻撃を緩めない。
「母さま!!やめて!!」
朱乃はブラックヴァルキリーを抑えつけるが払い除けられて、漆黒の剣が朱乃を突き刺そうとした。
「朱乃!!」
【朱乃さん!!】
ザシュ―――――!!