世界の破滅ってのは、思いもしない時にやってくる。
例えば、下校してる時とか………………
あの日、世界の時間が止まる現象、いわゆる''グローバルフリーズ''が勃発した。
そして、俺の時間もあの日、止まった。
『危ない!』
『先輩!』
『お前は自分が何をしたのか分かっているのか!』
『お前の所為で未来あるA組の彼は大怪我を負ったんだぞ!』
『もう彼は杖なしでは歩けないそうだ』
『貴様は成績だけは良かったから、今まで庇ってやったが、俺の評価に傷をつけるなら話は別だ』
『半年後、貴様はE組行きだ』
「ふぁ~……………やる気が起きねぇ…………」
中学三年になった四月。
俺、泊佑一は校舎近くの木の下で上着を枕代わりに、横になっていた。
「ま、E組だし、やる気なんか出した所で何にも変わらないか」
俺が通う椚ヶ丘学園は中高一貫の進学校で、偏差値は66。
理事長の浅野學峯は、創立10年で椚ヶ丘学園を、全国指折りの優秀校にした敏腕経営者だ。
更に、理事長は海外の一流大学を出て、様々な資格を取得している。
そんな彼が経営する学園の教育方針は徹底したもので、今までにも優秀な生徒達を輩出してきた。
ここE組を除いて。
三年E組、通称エンドのE組。
ここには成績不振や素行不良などとの生徒が送られる特別強化クラスだ。
だが、実際は特別強化なんかではない。
この学園ではE組は勉強の出来ないクズと言う扱いで、E組以外の生徒はそれを笑いものにし、優越感と緊張感を得ている。
そして、これは生徒だけに限ったことじゃない。
教師までもE組をクズ扱いする。
僅かな生徒を激しく差別することで大半の生徒に緊張感と優越感を与える。
教育機関としてどうかと思うが、合理的な仕組みではある。
ここを抜け出す方法は一つ。
テストで学年50位以内に入り、元担任からのクラス復帰の許可を貰えれば抜け出せる。
だが、ここE組の環境は酷い。
E組の校舎は椚ヶ丘中学校の古びた旧校舎で、本校舎から1㎞離れた山の上にある。
学食もなく、トイレも汚く、劣悪な環境で勉強させられる上に部活動への参加も禁止され、学校行事も低待遇での参加。
こんな環境では、それが条件達成の阻害要因となっているため実現は非常に困難。
だから、誰もが諦めていて後ろ向きだ。
しかし、俺にはどうでもいいことだ。
あの日から俺は前に進めなくなった。
そんな俺には、ここが十分にお似合いだ。
「泊君」
「ん?」
急に俺の頭上に影が現れ、聞き覚えのある声が耳に入る。
「またサボリ?」
「神崎か」
神崎有希子。
俺の隣の席の奴で、清楚な雰囲気をした黒髪のロングヘアーの女子生徒だ。
「先生が早く戻ってきなさいって」
「で、俺を連れ戻すように言われて来たと」
「ううん。私が連れて来るって言ったの」
俺は溜息を吐き、体を起こす。
教室に戻らないと一部の男子たち、特に杉野がうるさいぐらいに騒ぐため大人しく戻りたくもない教室へと戻った。
教室に戻りたくない理由は二つある。
一つは授業を受ける気が無い。
そして、もう一つは
「泊君、戻ってきましたね。遅刻ですが出席したので、それは大目に見ましょう」
このタコだ。
「全員出席。素晴らしい、先生とても嬉しいです」
タコとはあだ名なんかじゃない。
文字通り、E組の担任は黄色いタコの様な生物だ。
そして、この教室では授業以外にもう一つあることが行われている。
それは
「今日も命中弾はゼロ。残念ですねぇ。もっと工夫しましょう。でないと」
「最高時速マッハ20の先生は殺せませんよ」
このタコ教師の暗殺だ。