俺と先輩の出会いは俺が小学校五年の時だった。
親を亡くして落ち込み、悲しんでいた俺の前に明先輩が現れたんだ。
最初、明先輩は俺をサッカーの足りないメンバーにしようと俺に声を掛けて来た。
断ったが、明先輩は無理矢理俺をサッカーに連れて行った。
そしたら、サッカーが楽しく俺は夢中になった。
両親を亡くしてから始めて俺は笑った。
明先輩は俺を救ってくれた。
だからこそ、俺は椚ヶ丘学園に進学し、サッカー部に入った。
明先輩とサッカーをしたかったから。
俺は一年でありながらレギュラーになり、明先輩とのコンビはたちまち有名になった。
だが、俺には一つ問題となることがあった。
それは、困ってる人を見過ごせないと言うことだった。
街中で絡まれてる人がいれば例え相手が大人でも、それを助けようとする。
その所為で、何度か不良の高校生と喧嘩になったことがある。
幸い、俺は勉強もできる方だったので、顧問や学年主任、担任などが俺を庇ってくれた。
だがそれもあの日までだった。
半年前のグローバル・フリーズ。
雨が降ったあの日、俺は明先輩と帰っていた。
もうじき明先輩は引退で、新たな新三年生に部長職もといキャプテンの座を渡すことになっていた。
明先輩は俺を次の部長にと顧問に推薦していた。
嬉しかった半面、俺にキャプテンが務まるのか不安だった。
そのことで相談に乗ってもらおうと俺は明先輩と一緒に帰っていた。
だが、相談に乗る前に、俺は不良が一人の女の子に絡んでるのを見付けてしまい、それを助けようと不良たちの前に立ち塞がった。
そっから、不良との喧嘩になった。
俺一人に対し、向うは七人。
多勢に無勢だった。
一人がナイフを出し、俺に向かって走り出した。
「危ない!」
その様子を見ていた明先輩がそいつに体当たりし、俺を守ってくれた。
俺は咄嗟に、蹴りを放ち、男を蹴り飛ばそうとした。
その時、俺達はどんよりを感じた。
どんよりの所為で、動きがずれ明先輩ごと男を蹴り飛ばしてしまった。
明先輩はその男と一緒に鉄パイプの下敷きになり、足を負傷した。
その結果、明先輩は二度とサッカーが出来なくなり、スポーツ推薦は取り消しになり、明先輩の夢であるプロサッカー選手は諦めなければならなかった。
そして、今まで俺を庇ってきてくれた大人たちは一斉に俺を非難し、俺はE組へと落ちた。
「これが、あの日何が起きたのかの話だよ。殺せんせーもどんよりがなんなのかは知ってるだろ?」
「ええ。この間感じたあの感覚。あれですね。話には聞いてましたが、体験したのはあの時が初めてです」
「………前原が言ったことは正しい。明先輩は、俺の所為で………」
屋上の手すりにもたれながら、俺は呟く。
すると頭を柔らかい触手で触られる。
「早瀬君が泊君をどう思ってるのかは先生には分かりません。ですから………連れて来ました」
「よ!」
なんと殺せんせーの後ろに明先輩が居た。
なにやってんだよ、国家機密!
「事情はこの殺せんせーから聞いた。だから、はっきり言わせてもらうぞ、佑一」
明先輩は真面目な表情になり、拳を握る。
殴られるんだろうな…………
俺は下を俯き、殴られる準備をした。
すると
「馬鹿野郎」
明先輩は俺の頭を軽くこっついた。
「俺がいつお前の所為だって言った」
「で、でも………俺の所為で明先輩は………」
「うぬぼれるな」
その言葉に俺は顔を上げた。
「お前の所為で俺が怪我しただって思ってるのか?俺は俺の意志でお前を守って怪我した。そこに、お前の所為なんでもんは欠片もねぇよ」
「明先輩………」
明先輩はただ笑って俺を見ていた。
「お前は誰よりも責任感が強い。だからこそ、お雨に次のキャプテンを任せようと思った。でも、背負わなくていい物まで背負っちまう。それがお前の悪い所だ」
俺の肩を軽く叩き、明先輩は更に言い続ける。
「楽になれ。それができれば、お前は優秀なキャプテンになれる。あの日の俺がお前に言えるのはそれだ」
「明先輩……俺が相談したいこと分かってたんですか?」
「お前は俺の相棒だ。お前の事なんかお見通しだ」
「…………俺、少し難しく考え過ぎてたんですかね?」
「ああ。少しどころか、大きく考え過ぎた」
そうやって笑う明先輩を見て、俺は殺せんせーの方を見る。
「なぁ、殺せんせー。俺、前原と分かり合えるかな?」
「ええ………きっと彼も君の事を理解してくれますよ、泊君」
自然と俺は笑っていた。
だが、次の瞬間、大きな衝撃が俺達を襲った。
見ると、青い生物が病院を襲ってた。
あれはロイミュード!
「殺せんせー!明先輩を頼みます!」
「待ちなさい!泊君!」
殺せんせーが叫ぶが俺はそれを無視して、屋上を飛び出す。
病院内は大騒ぎだった。
医師や看護師の指示が飛び交い、患者や怪我人が呻き声を上げてる。
すると、曲がり角から怪我をした男性が現れたので、俺はその人に駆け寄る。
「大丈夫ですか!?」
「あ……ああ、俺は大丈夫だ。それより………まだ奥に子供か」
「子供?」
「……中学生ぐらいの男の子だ。その子が俺を守ろうと、青い化け物に…………」
中学生…………まさか、前原か!
「すみません!この人お願いします!」
近くの看護師に、その男性を任せ、俺は男性が来た方向を行く。
暫く進むと、通路の所で前原が青いロイミュードに胸倉を掴まれ、持ち上げられていた。
俺は足元のコンクリートの欠片を蹴り飛ばし、ロイミュードの側面にぶつける。
ロイミュードは欠片が飛んできた方向を振り向うとするが、振り向き切る前にタックルし、前原を解放してもらう。
「大丈夫か!前原!」
「……余計なお世話だよ」
前原は素っ気無い態度を取り、立ち上がる。
「んなことより、逃げるぞ。あいつ、殺せんせーなんか話にならないぐらいヤバイ」
前原はそう言うが、俺は引くことが出来ない。
「前原、お前だけ行け」
「は!?何言ってるんだよ!」
「どうせ二人で逃げても追付かれる。それに、まだ避難できてない人たちが大勢いる。その人達が避難できるまで誰かが残ってアイツを食い止めないと」
「だからって、何でお前がやるんだよ!」
「……俺だからやるんだ」
そう言ったら、前原が俺の胸倉を掴んできた。
「いい加減にしろよ!そうやって毎回毎回!背負わなくていいもんまで背負いやがって!」
前原が怒鳴った。
だが、病室での怒鳴り方とは違う感じだった。
「どうして周りを頼らねぇんだよ!どうして一人で解決しようとするんだよ!どうして……………俺を頼らねぇんだよ、佑一」
「……そうやって名前で呼ばれるの久しぶりだな、陽斗」
「たりめーだ。なんの言い訳もせずサッカー部止めたお前を、俺は許してねぇんだからな」
「話は済んだが?」
はっとし、俺はロイミュードの方を見る。
「感動の仲直りの後で悪いが、死んでもらうぜ」
ロイミュードはノコギリみたいな刃が付いたチャクラムを出し、それを投げ付けて来た。
「危ねっ!」
俺と陽斗は咄嗟にしゃがむ事で攻撃をかわす。
「おっと、俺の刃は何処までも追うぜ」
ロイミュードが指をくいっと引くとチャクラムは俺達の方に戻ってきた。
だが、そのチャクラムはやってきた黒と白のツートンカラーのシフトカー、ジャスティスハンターが弾き、助けてくれた。
「陽斗、早く逃げろ!」
「で、でも!」
「いいから行け!」
俺は立ち上がり、陽斗を庇うように移動する。
「許さなくていい…………でも、今は俺を信じてくれ!」
「………………すぐに助けを連れて来る!それまで死ぬんじゃねぇぞ!」
陽斗はそう言い、走る。
「………おい、一つ聞かせろ」
「なんだ?」
「どうして重加速を使わない?そうすればもっとやりやすいだろ?」
「俺はな、人間が苦痛に顔を歪める表情を見るのが大好きなんだ。重加速の中じゃ、そんな良い顔も台無しになっちまう。だからだよ」
「そうか、なら、俺はお前を絶対に許さない!」
ベルトさんを取り出し、装着する。
「ベルトさん、行くぜ!」
『ああ、やるぞ!佑一!』
シフトスピードをシフトブレスに設置し、構える。
『START・YOUR・ENGINE!!』
「変身!」
『DRIVE!!TYPE!!SPEED!!』
ドライブに変身し、ハンドル剣を構えロイミュードに言う。
「さぁ、ひとっ走り、付き合えよ!」