暗殺教室~アサシン・ドライブ~   作:ほにゃー

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ビッチはE組で何を思うのか

病院での襲撃事件の翌日

 

俺はいつもの坂道を上っていた。

 

正直、陽斗とのわだかまりが完全に解けたとは言えない。

 

「どんな顔して会えばいいんだか…………」

 

『普通に挨拶したまえ。自分から歩まなければ、直る関係も直らない』

 

鞄の中からベルトさんがそう言ってくる。

 

「挨拶ね」

 

そう呟きながら、靴を仕舞い教室へと入る。

 

すると陽斗と目が合った。

 

俺は陽斗の近くに近づき、顔を合わせず――

 

「………よぉ」

 

そう言った。

 

すると陽斗はきょとんとした表情になると、すぐに昔の様に笑い――

 

「よぉ!」

 

そう言ってくれた。

 

ちょっとだけ嬉しく感じた。

 

そしてHRが始まる。

 

「今日から外国語の臨時講師を紹介する」

 

「イリーナ・イェラビッチと申します。皆さんよろしく! 」

 

新しい教師イリーナ先生が何故か殺せんせーの腕に抱き付き言う。

 

殺せんせーはつけていたヅラを外すが、構いませんと言う。

 

「そいつは若干特殊な体つきだが気にしないでやってくれ。本格的な外国語に触れさせたいとの学校の意向だ。英語の半分は彼女に受け持ちさせるが、問題ないな? 」

 

「………仕方ありませんねぇ」

 

渚は殺せんせーが人間の女性に抱き付かれたらどのような反応をするかを記録するためにメモ帳を取り出す。

 

反応は……………普通にデレデレだった。

 

「あぁ。見れば見るほど素敵ですわ。その正露丸のようなつぶらな瞳。曖昧な間接。私、虜になってしまいそう♪」

 

「いやぁ、お恥ずかしい」

 

いや、そこがツボな女なんていないだろ。

 

ま、どちらにしろあの理事長が俺達E組の為にここまで献身的になる理由は無い。

 

恐らく、烏間先生が用意した殺し屋。

 

それも様子からして色仕掛けを専門に扱う奴だな。

 

そんな手にこうも易々と引っ掛かるとは殺せんせーにはがっかりだ。

 

それとも何か手でもあるのか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

休み時間になり、俺達は校庭で暗殺サッカーをする。

 

殺せんせーがキープするボールを奪いつつ、暗殺を行う。

 

これが結構難しい。

 

「ヘイ!暗殺!」を掛け声に全員で殺せんせーを襲うが、誰一人としてダメージを与えてる奴はいない。

 

「殺せんせー! 」

 

暗殺サッカーに精を出していると、イリーナ先生が走ってきた。

 

「烏間先生から聞きました。すごく足が早いんですって?」

 

「いえ、それほどでも」

 

「お願いがあるの、一度本場のベトナムコーヒーが飲みたくて。私が授業してる間にお願い出来ないかしら? 」

 

「お安いご用です。ベトナムに良い店を知っています」

 

そしてマッハ20のスピードで飛んでいってしまった。

 

それと同時にチャイムが鳴り、磯貝がイリーナ先生に声を掛ける。

 

「……えーと……イリーナ先生? 授業始まるし教室戻りますか? 」

 

「授業? あぁ。適当に自習でもしなさい。それと、ファーストネームで気安く呼ぶのやめくれる? あのタコの前以外では先生を演じようとは思ってないし、「イェラビッチお姉様」と呼びなさい」

 

凄い豹変だ。

 

殺せんせーの前ではせんせーに惚れてる女教師。

 

それ以外の前では暗殺者。

 

見事な使い分けだと思う。

 

だが、行き成りの事に全員が唖然としてる。

 

そんな空気の中、最初に沈黙を壊したのは赤羽だった。

 

「で、どーすんの?ビッチ姉さん」

 

「略すな!!」

 

「あんた殺し屋なんでしょ? クラス全員でも殺れないモンスターにビッチねえさん1人で殺れるの? 」

 

「ガキが。大人には大人のやり方があるのよ………潮田渚ってあんたね? 」

 

そう言うと、渚に近づき行き成りキスをする。

 

それもディープキス、通称大人のキスだ。

 

数秒で渚は骨抜きにされ、その場に崩れ落ちる。

 

「後で、職員室に来なさい。アンタが調べた情報聞きたいわ。その他にも、有力な情報を持ってる子は話に来なさい!男には良いことしてあげるし、女子には男も貸してあげる。技術も人脈もすべてあるのがプロの仕事よ。ガキは外野でおとなしくしてなさい………あと、少しでも私の暗殺の邪魔したら、殺すわよ」

 

やって来た屈強な男達からデリンジャーを受け取り、そう言い放つ。

 

プロとしての重みのある殺す。

 

恐らく全員がそう実感したに違いない。

 

そして、それと同時に、全員が思ったことがある。

 

それは

 

 

 

 

 

 

 

 

《この先生は………嫌いだ》

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あれから、ビッチは渚から情報を聞きだすと、それを元にタブレットを使い操作してる。

 

恐らく、作戦を立てているんだろう。

 

授業そっちのけで。

 

「なービッチねえさん。授業してくれよ-」

 

陽斗がビッチにそう言うと、ビッチは椅子の上でずっこけた。

 

「そーだよ、ビッチねえさん」

 

「一応先生だろビッチねえさん」

 

「ビッチビッチうるさいわね!まず正確な発音が違う!あんたらBとVの区別もつかないのね!正しいVの発音は歯で下唇を噛む!」

 

その言葉に全員が従う。

 

「そのまま一時間。これで静かになったわ」

 

《なんだこの授業……!》

 

ビッチのおざなりな授業に全員が怒り心頭になる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

五時間目の体育の時間になる。

 

今日は銃の訓練だ。

 

エアガンを持ちながら、俺はふとあることが気になり烏間先生に近づく。

 

「烏間先生。ドライブの武器に銃とかはないんですか?」

 

「ああ、現在こちらで銃の方も開発を進めてる。近日中には完成するだろう」

 

戦う手が増えるのは嬉しい。

 

それに、他のシフトカーの力もある。

 

ちなみに協力者になった神崎にはドリームベガスが常について回っている。

 

なんでも初めて会った時から親近感が湧いてるそうだ。

 

すると、殺せんせーがビッチに連れてかれ、体育倉庫にへと連れてかれてるのが見えた。

 

「おいおいマジか。二人で倉庫にしけこんでったぜ」

 

「……なーんか、ガッカリだよな。あんな見え見えの女に引っ掛かって」

 

三村と木村の二人がそんな殺せんせーに呆れて声を上げる。

 

「烏間先生……私達、あの女の事好きになれません」

 

「……すまない。プロの彼女に一任しろと国の指示でな」

 

片岡がみんなの気持ちを代弁するが、烏間先生は申し訳なさそうに謝る。

 

「泊君は、あの人、どう思う?」

 

ふと神崎が隣りに立ち、そんなことを聞いて来る。

 

「俺も好きになれないよ。でも、一日で全ての準備を整える手際と、それをすぐに実行する行動力。間違いなく一流だと思う」

 

その直後、体育倉庫から銃声が聞こえた。

 

銃声に驚き、全員がそちらを向く。

 

無論、俺もだ。

 

だが、俺達が使ってるエアガンの様な発砲音ではなく、実銃中の様な轟音だ。

 

数秒ほど銃声が響くと、その後、倉庫からビッチの悲鳴とヌルヌルという効果音が聞こえた。

 

「な、なに!?」

 

「銃声の次は鋭い悲鳴とヌルヌル音が!?」

 

ヌルヌル音が聞こえる度に、ビッチの悲鳴が聞こえる。

 

「執拗にヌルヌルされてるぞ!!」

 

「行ってみよう!」

 

全員で倉庫へと向かうと、殺せんせーがつぎはぎの服を着て出てきた。

 

「殺せんせー!」

 

「おっぱいは?」

 

岡島、そういう聞き方はないと思うぞ。

 

「もう少し楽しみたかったんですが、皆さんとの授業の方が楽しいですからね。六時間目の小テストは手強いですよ」

 

「あ、あはは………まぁ、頑張るよ」

 

渚が力無く答えると、倉庫からビッチが現れた。

 

何故かブルマ姿で。

 

《健康的でレトロの服にされている!!》

 

「まさか……わずか一分で、肩と腰のこりをほぐされ、オイルと小顔とリンパのマッサージされて……早替えさせられて………その上………ヌルヌルとあんなこと…………」

 

そこでビッチは力尽き倒れる。

 

……………………だから、ヌルヌルってなんだよ?

 

「殺せんせー、何したの?」

 

「……大人には大人の手入れがありますから」

 

「悪い大人の顔だ!!」

 

「さ、教室に戻りますよ」

 

渚の叫びをスルーし、殺せんせーと共に、校舎へと戻る。

 

……………ヌルヌルってなんだよ?

 

殺せんせーによってマッサージとヌルヌルをされたビッチはいらいらとしながらタブレッドを操作する。

 

黒板には自習と書き込み授業そっちのけだ。

 

自習しようにも、殺せんせーみたいにプリントを用意してくれるわけでもないので、自習しようにもできない。

 

それを思ったのか、男子委員長の磯貝がビッチに声をかける。

 

「先生、授業してくれないのでしたら、殺せんせーと変わってください。俺たち、今年受験なんで」

 

「はっ!ガキはお気楽でいいわね。地球の危機と受験を比べられるなんて。それに、聞けばあんたたちE組ってこの学校の落ちこぼれだそうじゃないの」

 

その言葉に全員の雰囲気が代わる。

 

明らかに苛立ってる。

 

「それより、あんたたち私に協力しなさいよ。あいつの暗殺に成功したら一人五百万分けて上げる。勉強するよりずっと有益でしょ」

 

その瞬間、ビッチの横を消しゴムが通り、黒板に当たる。

 

消しゴムは跳ね返り、教卓の上に転がる。

 

「出てけよ」

 

誰かがそう呟くと同時に、全員が口々に騒ぐ。

 

「出てけ、くそビッチ! 」

 

「殺せんせーと代わってよ! 」

 

「な、なによあんた達! 殺すわよ!? 」

 

「上等だやってみろコラァ! 」

 

「そーだそーだ! 巨乳なんていらない! 」

 

「そこ!?」

 

約一名、変なことを言ってるが気にせず、俺も叫ぶ。

 

騒ぐ俺たちに耐え切れず、ビッチは慌てて教室を出る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日、教室で、あれから少しだけ仲良くなった渚と赤羽の二人と話してるとビッチが教室に入ってくる。

 

そういえば次は英語だったな。

 

ビッチは何も言わずチョークで黒板に英文を書く。

 

「You're incredible in bed! Repeat!

 

いきなり英文を書いて、それを読めと言って来た。

 

全員がぽかーんとする。

 

「ほら! 」

 

『ユ、ユーアーインクレディブルインベッド』

 

全員、ためらいがちに言う。

 

「アメリカであるVIPを暗殺した時、まずそいつボディガードに色仕掛けで迫った時に、言われた言葉よ。意味は『ベッドでの君は凄いよ……♪』」

 

中学生になんちゅう英文を読ませやがる!

 

「外国語を上手いかつ手早く習得するならその国の恋人を作るのが手っ取り早いとよく言われるわ。相手の気持ちを知ろうとして、必死で言葉を理解しようとするからね。私はその方法で色々な言語を身に付けてきたわ。だから私の授業では外人の口説き方を教えてあげる。身に付けておけば実際に外国人と対話する時、必ず役に立つ。受験に必要な勉強はあのタコに教わりなさい。私が教えるのは実践的な会話術で、中間にも定期に期末テストにも受験にも出ないわ。もしそれでもあんたたちが私を先生として認められないっていうのなら、その時は暗殺は諦めて出ていく。それなら文句ないでしょ? …………後、色々悪かったわよ」

 

謝るビッチに全員が驚き、そして次には

 

『あははははは!』

 

みんな一斉に笑い出した。

 

「何ビクビクしてんのー。さっきまで殺すとか言っちゃってたのにさ」

 

「なんか普通の先生になったな」

 

「もうビッチ先生なんて呼べないね」

 

ビッチの眼に涙が浮かぶ。

 

「あ、あんた達。分かってくれたのね」

 

「考えてみりゃ先生に向かって失礼だったな」

 

「うん。呼び方変えないとね」

 

「じゃあ、ビッチ先生で」

 

赤羽の発言にビッチもといビッチ先生は涙が引っ込む。

 

「せ、折角だからこの際、ビッチから離れましょ? 気安くファーストネームで呼んで良いのよ?」

 

「今更イリーナ先生って呼ぶのに違和感あるし」

 

「よろしくな、ビッチ先生」

 

口々にビッチ先生と呼び、ビッチ先生は体を震わせる。

 

「キーーーッ! やっぱあんたら嫌いよ!」

 

何はともあれ、これでビッチ先生も俺たちの仲間となった。

 




今回セリフが少ないですね。

次回は集会の話となります。

あの二人が登場となります。
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