仮面ライダーマッハ、もとい詩島隼人は修学旅行後転校してくると言い残すと、すぐにバイクに跨りその場を去った。
俺はその光景に唖然としながら、急いで皆の所に戻った。
もちろん、殺せんせーからはお叱りの言葉を受けた。
そして、現在。
俺は、旅館の自販機コーナーの隣で牛乳瓶を手にぼーっとしていた。
ちなみにベルトさんは烏間先生に預けてる。
「あれ、泊。なにしてんの?」
一人でいると赤羽がやってきた。
「別に、牛乳飲んでただけだ。お前は?」
「俺は煮オレ買いにだよ」
そう言うと自販機でレモン煮オレを買い、プルタブを開ける。
「俺戻るけど、泊は?」
「ああ、戻る」
牛乳瓶を籠に入れ、俺と赤羽は大部屋へと戻る。
大部屋では男子たちが部屋の中心で固まって何か騒いでいた。
「おっ、面白そうなことしてんじゃん」
「おっ!カルマ、それに泊も」
「良い所に来た、お前ら、気になる女子いる?」
どうやら女子のランキング付けをしていたみたいだ。
「う~ん……俺は奥田さんかな」
「お、こりゃ意外」
「なんでだ?」
「だってあの人、怪しい薬とかクロロホルムとか作れそうだし、俺のイタズラの幅が広がるじゃん」
「うわっ………」
「絶対にくっつかせたくない二人だな」
「泊は?」
三村が俺の方を見て声を掛ける。
思えば、最近E組の男子とも話すようになったな。
陽斗と和解した辺りから俺は徐々に男子とも会話するようになった。
流石に友達とまでは言えないが、日常会話をするぐらいには仲はいいはずだ。
「俺は…………神崎かな」
「泊も神崎か」
「気になるって言うか、神崎ぐらいなんだよ。E組で話してる女子って」
そう言い、俺は座布団に座る。
「分かってるとは思うが、投票結果は、男子の秘密だ。女子や先生には絶対に言うなよ」
磯貝が髪を持ち上げ言うと、窓の外で殺せんせーがメモを取ってこっちをニヤニヤと見ているのに気付いた。
そして、男子たち全員気付く。
殺せんせーはニヤニヤと笑い、素早く逃げた。
「メモ取って逃げたぞ!」
「あれは男子だけの秘密だ!」
「殺せ!!」
男子たちは各々対先生ナイフや銃を手に追いかける。
騒がしいな。
~少し前の女子部屋~
女子たちも女子たちでクラスの気になる男子ランキングを制作していた。
やることは皆同じだった。
「えっと一位が烏間先生って、生徒じゃないよね?」
集計をしていた片岡が結果に、苦笑いしながら言う。
「え~、でもカッコいいよ」
「そうだけど、クラスの男子にしなさい」
そんな話をしてると部屋の扉が開けられた。
「まだ起きてたの?早く寝なさい」
「あ、ビッチ先生」
入って来たのはビッチ先生で、片岡の持っていた紙に目をやる。
「クラスの気になる男子ランキングねぇ。まぁ、アンタ達は私と違って、危険とは縁遠い国で生まれたんだから、こんな風に青春を謳歌しなさい」
ビッチ先生の言葉に全員が、その言葉の重さを感じ取る。
「で、ランキングはって、一位が烏間って………まぁ、アンタ達ぐらいの年頃なら大人の男性に惹かれてもおかしくはないわね。で、二位が磯貝。打倒って所ね。赤羽と渚が一票。あら、泊も一票ね。一体誰が居れたのかしら?」
「ビッチ先生。一応誰が誰に入れたか分からないようになってるからそう言う詮索は」
「分かってる分かってる。まぁ、私ぐらいの女なら表情で誰が入れたのか分かるけどね」
その言葉に反応して、神崎は下を向く。
「ん?この集計、一人足りないけど誰?」
その時、ビッチ先生が数が会わないことに気付き、尋ねる。
「あ、それ私」
手を上げたのは倉橋だった。
「あら、陽菜乃なの?」
「うん、私、好きな人がいるから」
その言葉に全員が驚く。
「え!?陽菜ちゃん、好きな人がいるの!?」
「誰!?誰!?」
女子らしく恋には興味津々らしく女子全員が倉橋に詰め寄る。
「小学生の時アメリカに転校しちゃった幼馴染なんだ。カメラが大好きで、カメラマンになるんだって言ってたよ。元気かな~…………」
嬉しそうに幼馴染の事を語る倉橋に女子一同は羨ましそうにする。
「あ、そうだ!ねぇねぇビッチ先生の話が聞かせてよ!」
「私の?」
「オトしてきた男の話聞かせて」
「あ、興味ある!」
「……フフフ、いいわよ。子供には刺激が強いから覚悟しなさい。例えば、あれは十七の時の………」
そこまで語ってビッチ先生は気づいた。
女子に混ざって、殺せんせーがいることに。
「おいそこぉ!!さりげなくまぎれこむな女の園に!!」
。
「いいじゃないですか、私も…その…色恋の話聞きたいです」
「そーゆー殺せんせーはどーなのよ」
「そーだよ人のばっかずるい!!」
「先生は恋話とか無いわけ?」
「巨乳好きなんだし、片思いぐらい絶対あるでしょ」
女子に指を指されまくり、殺せんせーはその場を逃げ出す。
「逃げやがった!」
「捕えて吐かせて、殺すのよ!」
女子は片岡を先頭に、殺せんせーを追う。
全員が殺せんせーを追う中、俺は一人廊下の窓を開けて、風に当たっていた。
「ふぅ~、風が気持ちいい」
「泊君、なにしてるの?」
振り向くと神崎がそこに居た。
「ああ、ちょっと休憩。今日も色々あったし」
主にもう一人の仮面ライダーのこととか。
「ねぇ、泊君」
「ん?」
「初めてロイミュードに襲われた時、私が言おうとしたことなんだけど」
初めて?
ああ、俺のどこが優しいのかって話か。
今となってはどうでもいいが、折角だし聞いておこう。
「半年前の事、覚えてる?」
「………ああ、覚えてるよ」
俺にとっては忘れちゃいけない出来事だ。
「あの時、不良に絡まれてた私を助けてくれたんだよ」
「え?」
一瞬驚いたが、よくよく考えると、あの時、俺が不良に絡まれてた人を助けようと思ったのは、その人が椚ヶ丘の制服を着ていたことに気付いたってのもあったな。
「あの時の絡まれてたのって神崎だったのか?」
「うん。あの後、泊君、早瀬先輩とすぐにどっか移動しちゃったしお礼言う暇なくて。だkらずっとお礼を言う機会探してたんだ」
そうか。
だから、神崎は俺によく付きまとっていたんだ。
「だからさ、今ここで言わせて」
神崎は俺の隣に立って、俺の方を若干見上げるように笑って言う。
「あの時は助けてくれてありがとう、泊君」
その神崎の笑顔が直視できず、俺は思わず顔を背け、星空を見上げる。
「あ……ああ。どういたしまして」
そんな俺を見て、神崎はくすりと笑うと黙って俺の隣で、一緒に星空を見上げた。