翌日、陽斗へした仕打ちの仕返しのために、俺たちは集まった。
現在、瀬尾とあの女はオープンカフェで楽しくお茶をしている。
そこに老夫婦がやってきて、二人の後ろの席に座る。
その老夫婦とは菅谷がパーティーグッズの変装マスクに手を加え、それで変装した渚と茅野だ。
殺せんせーを騙すにはまだまだだが、一般人程度なら騙すには十分過ぎる出来だった。
「しかし、よくこの家の人が俺たちを上げてくれたな」
そう。
俺たちは、そのオープンカフェの向かいにある民家の二階で様子を観察している。
「ああ、矢田と倉橋がやってくれたよ。ビッチ先生直伝の接待術。大したもんだ」
「ヌルフフフ、守備は上々ですね。では、作戦を開始しましょう」
殺せんせーの言葉を合図に、俺たちは行動を開始した。
こちら側の準備が整い、俺は渚に作戦開始のメールを送る。
それを見た渚と茅野は頷き合い、動き出した。
作戦では、茅野が席を立ち、店のトイレに向かう。
そして、渚がテーブルの上の物を落とす。
その瞬間、二人はそっちに気を取られカップから意識を外す。
すると千葉と速水の二人がエアガンで、奥田の持ってきた特製のBB弾を二人のカップの中に撃つ。
弾は寸分狂いなく、カップの中に入る。
二人に気づかれないうちに。
二人は渚に怒鳴り、渚は謝る。
変装してるとはいえ、老人に対して酷い奴らだな。
二人はぶつくさと文句を言って、カップの中身を飲む。
これで作戦は概ね完了。
「あとは下の皆さんにお任せです」
殺せんせーはそう言い、コーヒーを飲んでいたカップを食べる。
「なぁ、奥田。アレはなんなんだ?」
「アレはマグネシウムを主成分として調合した物で、市販薬の数倍の刺激を大腸に与える強力下剤です」
笑顔でそう言う奥田に、ちょっと恐怖し俺は凄いなっとだけ言って観察を再開する。
見ると、下剤の効果が現れたのか二人は慌てて、店の中のトイレに向かったが、その後すぐに店を慌てて飛び出す。
トイレは茅野が立て籠もっており使えない。
事前の調査であの店にはトイレがないのは把握済みだ。
ちなみに調べてくれたのはシャドーだ。
そして、この辺にあるトイレは百メートル先にあるコンビニのみ。
加えて、コンビニに向かうための道はいま、工事中で、コンビニに行くには、一度横断歩道を渡って、俺たちがいる民家の前を通らないといけない。
そこで待ち構えるのは…………
「三人とも、今だ」
合図を送ると、民家の木の上でスタンバってた陽斗と磯貝、岡野の三人が木の枝を切り落とす。
切り落とされた木の枝は見事、下を通った二人に直撃し、二人はずぶ濡れの毛虫まみれになった。
なお、木の枝を切り落としたのは民家の人が塀からはみ出て、切り落とすのに困っていたからだ。
何が起きたのかもわからず、二人はずぶ濡れの姿のまま、コンビニへと走り去った。
「これで幾分かは気が晴れたでしょ。汚れた姿でおお慌ててトイレに駆け込む。そして、どちらが先に入るか醜く争う。彼らには随分な屈辱でしょう。それで、どうですか、前原君?まだ自分が、弱いものを平気でいじめる人間だと思いますか?」
「………いや、今の皆見てたらそんなことできないや。一見弱そうなのに、頼れる武器を隠し持ってるし」
「そう言う事です。強い弱いは見た目では測れません。それを学んだ君は、この先、弱者を簡単には蔑むことはないでしょう」
「……うん、そう思うよ。あ、そうだ。佑一」
陽斗が俺の方を向く。
「昨日はありがとな。お前が、あいつらに向かってった時、少し嬉しかったぜ」
「そんなの当たり前だろ。親友がやられてるのに我慢できるかよ」
そう言って俺と陽斗は拳を合わせた。
「あ、俺これから他校の女子とメシ食いに行くから。じゃあ、皆ありがとな!また明日!」
そう言い残し、陽斗はささっと去っていった。
なんというか、切り替えの早い奴だよな………
『親友……か………』
「ん?どうした、ベルトさん?」
誰にも見つからないように、俺はベルトさんに話しかけた。
『………佑一、ちょっと付き合ってくれないか?』
Q佑一は何をしたのか?
A連絡係です